Li-N-H系水素貯蔵材料は, リチウムアミドと水素化リチウムを複合化した新材料である. この材料は, 150℃で理論上6.5mass%の水素を吸放出する特徴を持つため, 車載用の水素貯蔵材料としての用途活用が期待されている. Li-N-H系水素貯蔵材料の水素放出特性の改善には, 原料であるリチウムアミドと水素化リチウムの均一な混合と, これら材料の複合化が不可欠である. そこで, 遊星ミルを用いて回転速度および粉砕時間の検討を行い, 適正な粉砕条件の把握を試みた.
遊星ミルによる原料の粉砕時間を長くすると, 本材料の水素放出特性を示すDTAのピーク温度が低下する傾向であった. さらに, 遊星ミルの回転速度を高め, 粉砕時に与える重力加速度を大きくすると, DTAのピーク温度が低下する傾向であった. しかし, 遊星ミルによる粉砕時間が長すぎる場合, あるいは回転速度が高すぎる場合は, DTAのピーク温度が高温にシフトした. そこで, 水素放出特性を改善する粉砕条件をミルの仕事量から考察した. 水素放出に伴うDTAのピーク温度と水素放出量は, ミルの回転によって与えられる重力加速度G(m/s
2), 粉砕重量w(g), 粉砕時間T(hr)と関係しており, GT/w≒10となる粉砕条件が適正値であった.
抄録全体を表示