目的テトロンなどの合成繊維におけるパルス波の伝播速度を測定し, ネックの前後における速度の増大を考究した.
成果(1) テトロンなどの合成繊維は, ネックの前後でパルス波の速度が2~2.5倍と大きくなる.繊維の内部は, 結晶部, 非結晶部, 空洞, 割目などが共存すると考え, 溶融紡糸の状態では, 微結晶の結晶方向はあらゆる方向へ平等に分布する.しかし冷間延伸でネックが生ずると, 微結晶は繊維の方向へ整列すると考えると
(i) 長さがネックの前後で3~5倍に伸びる.
(ii) 断面積がネックの前後で1/2~1/3に小さくなる.
(iii) 繊維方向の一次元的な結晶部は約80%程度である.
(iv) パルス波の速度がネックの前は1400m/sec, ネックの後は3500m/sec程度に増大する.といえる.
(2) ポリエチレソガットは屈曲により割目を作ると, 比重はあまり変らないが, パルス波の速度は3900m/secより3200m/secへ減少する.
(3) サラソガットはパルス速度が1550m/secで割合に小さい.
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