西部造船会々報
第103回西部造船会例会(平成13年度秋季造船三学会連合大会)(西部造船会々報 第103号)
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 中村 昌彦, 永富 治, 小寺山 亘
    p. 1
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年、通信のグローバル化に伴い、国際間を往来する情報量は多大なものとなってきており、大洋横断するような大規摸な光海底ケーブルネットワークの構築がなされている。これら光海底ケーブルは25年もの設計寿命が要求され、ケーブル内にある光ファイバ特性を維持するために高い信頼性が必要とされている。また、海底ケーブルはその敷設·回収といった作業を実施する場合に非常に大きな張力変動を受けるため、張力変動を精度良く把握できることがケーブルの設計、敷設·回収工事の施工をする上で信頼性向上のために必要不可欠となる。しかし、ケーブル敷設状態の静的な計算方法はほぼ確立されているものの、動的な挙動に関する計算方法(特にケーブル回収の動的計算方法)についてはまだまだ研究途上にあると言える。本論文では、ランプドマス法を用いた、ケーブル敷設船の動揺による張力変動も計算可能な、海底ケーブル敷設·回収シミュレーション方法を提案し、計算結果を実際に広く世界で使用されているケーブルを用いて行われた実海域実験結果と比較することにより精度の検証を行った。
  • 豊貞 雅宏, 後藤 浩二, 村上 幸治, 高松 知宏, 渡辺 眞一, 渡辺 佳彦
    p. 2
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    養殖用生簀としてアルミニウム合金(A5052)を用いた浮沈式の物を作成し, 実証実験を行った. その結果, 予想外に短期間で損傷を確認したので, 原因を調査した. 浮体部をつなぐ連結部は溶接にて構成されているが, その溶接止端部が損傷しており, 破断面のSEM観察の結果, 損傷の主原因は疲労であることが判明した. さらに損傷した連結部の疲労発生寿命を推定した. その結果, 損傷した連結部はかなりの疲労強度不足であり, 改善された連結部の疲労損傷の可能性は十分に低いことを確認した.
  • 百留 忠洋, 青木 太郎, 前田 俊夫, 村島 崇, 月岡 哲, 広川 潔, 井田 匡彦, 中條 秀彦
    p. 3
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化が囁かれ出して久しい現在においても、未だそのメカニズムを解明するに至ってはいない。温暖化のメカニズムを究明するためには、全地球規模の海洋大循環におけるCO2の移動過程を解析する必要がある。このためには世界中の様々な海域·水深の海洋データ及び海水サンプルを、広範囲にわたって効率良く採取してくることが必要である。このような観点から海洋科学技術センターでは、自律して長距離を航行し連続的に海洋データ及び海水サンプルを取得することが可能な無人潜水機の開発を1998年から開始し、2000年に深海巡航探査機“うらしま(Code name: AUV-EX1)”を完成させた。自律巡航型の無人潜水機は、母船と交信することなく長距離を航行し海洋観測を行うため、自身の現在位置や前方の環境を精確に把握することが重要となる。深海巡航探査機“うらしま”は、長距離航行を可能にするために、リングレーザージャイロと加速時計からなる慣性航法装置、前方障害物探査装置、流速計、音響ホーミングソーナ等の高精度の航海用センサを備えている。これらの航海装置により“うらしま”は広範囲の海洋観測が可能となる。2000年3月に機体が完成して以来、実海域に於いて様々な試験を行ってきた。その結果、2001年8月には目標最大潜航深度3,500mを超える3,518mの潜航を達成した。また、2001年10月には自律航法による連続航行距離60kmを記録した。
  • 前田 正広, 香川 洸二, 藤田 一誠, 嶌田 芳記
    p. 4
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は, 上部構造の固有振動数の変更と重量の低減を行う最適化問題にニューラルネットワークを応用したものである。始めに, 設計変数を組み合わせた複数の上部構造モデルを用意して, 有限要素法を用いてそれらのモデルの振動数計算を行う。その結果を教師データとして, ニューラルネットワークの学習を行う。次に, 学習済みニューラルネットワークを用いて, 最適化のために, 振動数の推定と感度解析を行う。複数の起振力のそれぞれに対して共振回避を行うために, 最小2乗法を用いて設計変数の最適値を探索する。本手法を用いることにより, 設計初期段階で上部構造の防振設計が早く有効に行えるようになった。
  • 古野 弘志, 加藤 瞭, 楊 風祥
    p. 5
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    著者等は、初期計画時におけるバルクキャリヤやダブルハルタンカーの構造最適化システムの開発と、それらに必要な簡易強度推定法の導出を行ってきた。前報では、バルクキャリヤ二重底パネルの簡易座屈固有値解析法を提案した。実際の設計では、より一般的な構造部材に対しても座屈強度評価を行う必要がある。しかし、前報の方法は、バルクキャリヤの二重底パネルとこれに類似する防撓パネルを検討の対象としているため、今のままでは一般の構造部材に対して適応できない。そこで、本研究では、前報の方法をより一般的な構造部材に適用できるように検討を行う。また、本方法の推定結果と有限要素法解析結果を比較して推定精度を確認し、防撓パネルの座屈強度に及ぼす防撓材の影響について検討を行う。
  • (その1) 荷役制御
    古賀 幹生, 福地 信義
    p. 6
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    タンカーなどの液体貨物を運ぶ船舶では、液体荷役に伴う漏油、混油に対しては、品質確保、環境保護の観点から社会的に大きく問題視されることになり、必然的に荷役作業分野における数少ないオフィサー、エンジニアの業務負担·責任は急激に増大する傾向にある。この種のタスク軽減のために、コンピュータ技術の急速な進歩を背景に、様々な分野において、各種の荷役自動化·設備診断および操作支援システムが実用化されている。本論文では、大型原油タンカー(VLCC)、内航小型プロダクトタンカー、ケミカルタンカー等の液体荷役操作支援システムにおける機能要件の特徴を挙げ、荷役作業において安全性を確保するための方策および荷役計画支援機能と荷役自動制御機能に関する具体的なシステム開発の手法について述べた。
  • 福地 信義, 篠田 岳思, 村田 理
    p. 7
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    航海支援システムなどの人間-機械系システムの設計では、人間に一定レベル以上の判断·操作能力を期待して機械との機能配分を行っているが、人間の思考·行動能力は環境負荷や仕事内容などの外部環境によって大きな影響を受ける。本研究では、操船者の心拍変動計測に基づく緊張ストレスの算定とタスク分析を行い、緊張ストレス環境下において作業負荷の軽減と人的過誤生起の減少を目的とする航海支援システムを構築するための基礎とした。これには、まず操船環境負荷による緊張ストレスの発生状態を把握するために、操船中における操船者の心拍変動を計測し、心電図から粗視化スペクトル法により緊張ストレス値を算出する。これにより、緊張ストレスが高い作業を抽出し、緊張緩和のための支援装置について考察した。
  • 安川 宏紀
    p. 8
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    減速時の高速艇が造る非定常な曳き波について、数値的な検討を行った。この状況は、港湾や運河において減速·停止を模擬したものである。ポテンシャル理論をベースとした時間領域パネル法を用いて、深水域ならびに浅水域での水路における非定常な曳き波をシミュレートした。船が減速·停止した後、定常航走時に造られた波が船を追い越し、船の前方に伝搬して行くこと、またcritical speed近くで航走中から減速するときに大きな波が生じること、等の高速船が造る非定常な曳き波の伝播の様子を例示した。本計算法は、非定常な曳き波の解析にとって有効であることが分かった。
  • 片岡 史朗, 末吉 明, 東濱 清, 岩下 英嗣, 高木 幹雄
    p. 9
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    船の耐航性能推定精度の向上を目的として、時間領域Green関数法に船体非線型影響を考慮した境界条件を導入し、強制動揺問題への適用を試みた。本手法による計算では定常流場の撹乱影響及び運動状態をより合理的に取り扱うことにより流体力の推定精度が向上することを実験結果及び既存の推定手法による計算結果との比較により確認した。また、船体の動揺振幅を変化させた計算を行うことにより非定常波動場に及ぼす船体非線形影響について検討を行った。船体非線形影響は動揺振幅の増加に伴って現れ、非定常圧力あるいは抵抗増加等の2次の流体力に関してより顕著に現れることを明らかにした。
  • —Economic Feasibility—
    Arit Fadillah, Agoes Priyanto, 斎藤 公男
    p. 10
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    インドネシアにおける水上石炭輸送にプッシャーバージシステムを用いた場合の実現可能性を経済性の観点から考察している。インドネシアでのデータを元にして、通常の船舶による石炭輸送と曳航バージによる輸送を経済面からプッシャーバージと比較しながら検討している。その結果、プッシャーバージの輸送間隔が丁度荷役時間と等しくなるときに最大の輸送効率となり、他の方式より優れていることが分った。
  • 川市 克己, 藤原 直昭, 矢島 浩, 西川 和人, 山本 元道, 森 誠一郎
    p. 11
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    球形タンク方式LNG船のタンクは, スカートと称される円筒殻によって支持されている。このスカートの上部には, タンク材料と同じアルミ合金A5083が使用されているが, 下部は, 熱伝導率の小さいステンレス鋼SUS304を介して低温用鋼で船体に接続されている。この場合, アルミ合金とステンレス鋼とは直接溶接することができないので, Al/SUS STJが使用されている。現在Al/SUS STJとしては, 4層クラッド材(Al/Ti/Ni/SUS STJ)が使用されている。本報では, あらたに改良·試作された爆発圧着接合型5層(Al/Al/Ti/Ni/SUS)STJが, 球形タンク方式LNG船のタンクスカートに実用可能であることを, 破壊強度の観点から確認した結果について報告する。
  • 豊貞 雅宏, 丹羽 敏男, 村上 幸治
    p. 12
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは、疲労き裂伝播中の1サイクル中のコンプライアンス変化がどのような物理現象により生じるかを詳細に考察することにより、負荷過程において、き裂先端に引張塑性域が生じ出す荷重(RPG荷重)を規準とした疲労き裂伝播則を提案した。また、RPG荷重を計測するために高精度コンプライアンス計測装置を開発し、その決定法(反転法)について言及した。一方, 町田らは, コンプライアンス微分法によりRPG荷重を明確に定義できると報告している。そこで, 本報告では, 中央貫通切欠付試験片を用いて, 応力比の異なる一定荷重振幅下における疲労き裂伝播試験を実施し, 反転法および微分法により求めたRPG荷重を比較検討し、定量的には両者に良い一致が認められることを確認した。
  • 福田 順子, 永野 裕康
    p. 13
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    スキャナより取り込んだ画像データより, 種々の画像処理を行って, 解析対象の形状およびブロック情報を抽出して, これらの輪郭線を点列で定義できるように, 点の位置を自動的に決定し, 数値データによって取り出すシステムの開発をした。このシステムよって作成された形状データを, 著者等が提案している自動要素分割システムの入力データとして利用することにより, 解析に必要な多量の入力データを常時, 迅速で正確に準備することができ, 有限要素法の実用性を向上させることができる。
  • 高木 幹雄, 今井 康貴, リー サンミン, 柴田 慎輔, 千葉 真哉
    p. 14
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    超大型浮体構造物を外洋に設置するために、ポンツーン浮体の前面に没水平板と円筒からなる消波構造物を配した新形式メガフロートシステムのコンセプトを提案している。没水平板は次の特性: (1)波数分裂の発生、(2)砕波現象の発生、(3)定常流の発生である。このを活用することにより、超大型浮体構造物の波浪中の弾性応答を減少させるばかりでなく、海水交換による環境浄化を促進することが期待できる。本研究においては、メガフロートの波上側に取り付けた没水平板の効果について論じている。まず、没水平板とメガフロートに作用する流体力特性を実験ならびに数値シミュレーションの両面から明らかにし、メガフロートの先端部に働く流体力に対する没水平板の影響を、波強制力の減少係数の考えを導入して考察を加えた。更に、この没水平板がメガフロートの弾性変形の減少に非常に有効であることを実験から明らかにしている。
  • 古林 義弘, 香村 国彦
    p. 15
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    エネルギー源としての化石燃料は、燃焼後それに含まれる炭素分の大部分は温室効果を持つCO2として大気中に放出され、地球温暖化を起こす主因となっている。CO2の大気中への放出を抑え、大気中の濃度増加を低減する方法として、一旦発生したCO2ガスを液体や個体の形に変換後に海洋中層、深層或いは地層に一時ないし永久隔離する案がある。海洋の膨大なCO2受容能力を考慮すれば, これを利用した海洋処理による方法は工業規模での可能性を示唆している。本研究では液体CO2を深海の盆地に半載状態で投入貯留した場合、貯留池からの拡散と盆地内の海水流動に伴う移流、さらに盆地につながる海洋内での拡散現象を解明し、盆地内海水の存在による影響を調べ、本方式での海洋処理方法の技術的可能性を探る。
  • 宮島 省吾, 瀬戸 秀幸, 佐藤 千昭
    p. 16
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    多方向不規則波中におけるメガフロートの弾性応答シミュレーション法を開発して, 実証実験浮体のみならず東京湾奥設置を想定して試設計された5km級超大型国際空港モデルにおいて, 計器着陸装置(ILS)設置位置での弾性応答評価に適用した。本方法は, 防波堤や岸壁, 海底起伏のある海域に設置された複雑な構造を有するメガフロート空港の所定位置の周波数応答関数と想定された入射波の方向波スペクトルを用いて, 多方向不規則波中の短期予測, または時刻歴シミュレーション計算を可能にしたものである。本報では, 実証実験浮体の応答実測値とシミュレーション結果との比較を行い, その有効性を明らかにした。ついで, 5km級試設計モデルへの適用事例についても報告した。
  • 伊藤 政光, 玉島 正裕, 王 国強, 渡辺 幸夫
    p. 17
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    模型試験の結果から実船の推進性能を推定する場合に用いる自航要素の1つである、プロペラ効率比に関する従来の研究においては、プロペラトルクに比較的影響するプロペラ翼面上粘性抗力については定常的あるいは平均的に一定であると仮定しており、伴流中での非定常粘性力の影響については考慮されていない。本研究では、非定常渦格子法によるプロペラ翼面上圧力分布を入力として、翼面上非定常境界層特性を計算し、伴流中での1周平均摩擦抵抗を求めてトルク係数への寄与を計算した。さらに同一推力発生条件のもとでの定常状態の寄与も計算することにより、プロペラ効率比に占める非定常摩擦成分が定量的にどれほどのオーダーかを調査し、それが無視できるものではない有意な影響量であることを示した。
  • 張 来大, 肥後 靖
    p. 18
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    地震による海底地盤の振動によって、海震の原因となる水中における圧縮波のみならず水面における自由表面変位波も同時に発生する。そのため、水中圧縮波と自由表面変位波が干渉し、いわゆる海震現象に影響を及ぼすことが考えられる。本研究の目的は地震時に発生する水中圧縮波による海震が、自由表面変位波を考慮することによって生じる影響を調査することである。波動場を解析するために、三次元波動方程式を時間領域直接解法を用いて解くことによって海震荷重を計算している。この際、自由表面変位波を考慮した場合と考慮しない場合の計算を実施し、その両者を比較することによって自由表面変位波が海震に及ぼす影響を検討している。
  • 陳 作鋼, 土井 康明
    p. 19
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    水棲動物のように波状に変形する翼による流れと推力, その効率を数値シミュレーションにより解析し, レイノルズ数の影響を調べた. 数値計算には, Navier-Stokes式を差分法により離散化した数値シミュレーション法を用いた. レイノルズ数が低い層流域では変形の位相速度の増加とともに摩擦抵抗が増加するのに対し, 高レイノルズ数域の乱流場では逆に位相速度の増加により摩擦抵抗が減少することが判明した. また翼の伴流中に形成される渦は層流, 乱流で様相が異なることが分かった.
  • 洪 〓範, 土井 康明
    p. 20
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    制限水路内で航走する船による造波現象を差分法で数値計算することにより解析した. 制限水路内で問題となる波の非線形性を考慮するために, 支配方程式にはEuler式を用いた. 計算のアルゴリズムはMAC法にもとづき物体適合座標を用いた. まず, 肥痩係数0.8のSeries60船型による制限水路内流れの計算を行い, 実測値と比較することにより, 計算方法の妥当性を検討するとともに, 非線形性を考慮したKP方程式による計算結果と比較した. 続いて, 制限水路の底面及び側面の断面形状が船の造波に及ぼす影響を数値計算により比較検討した.
  • 星野 邦弘, 湯川 和浩, 原 正一, 山川 賢次
    p. 21
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    1997年1月に発生したロシア船籍タンカー「ナホトカ」号の海難事故では, 荒天下で波浪により折損した船首部が長期間漂流したのち海岸へ漂着した. 本事故では長期間の船首部の漂流と海岸への漂着により被害が拡大した. 本論では, ナホトカ号の船首折損状態を摸擬した模型船の波浪による漂流力と漂流運動を実験的に求めた結果について報告する. 本研究で得られた結果を要約すると(1)船首折損船舶の波浪中漂流運動計測実験から、漂流運動は波との初期出会い角度により複数の異なる漂流軌跡を通ることが分かった. (2)船首折損船舶の漂流軌跡は波に対して直角に進む場合や波に向かう場合、あるいは左右に大きく蛇行する場合もある. このような複雑な漂流軌跡をとる場合であっても波高、波長、模型船初期姿勢が同一であれば漂流経路は再現性がある. (3)漂流運動は、同一模型船を用いた波漂流力計測実験によって求めた流体力の作用方向と大きさから類推することが出来る. (4)波漂流力は波高の自乗に比例し漂流速度は波高に比例する.
  • カハルディン ジェノド, 北村 充
    p. 22
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    船舶設計の初期計画段階の最適化手法を研究した. 遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法では, 非常に多くの設計案の強度解析を行う必要がある. このような問題点を解決するために, ニューラルネットワークによる構造評価法を検討した. 最初に, 23個の設計変数を入力因子とし, 6個の制約条件を出力因子としたニューラルネットワークを構築したが, 誤差が大きく効果的な構造評価システムは得られなかった. これを解決するために重回帰分析を導入し, 関係が深い設計変数を残し, 関係が浅い設計変数を入力因子から削除したニューラルネットワークを構築した. これにより, 高い精度を有する構造評価をニューラルネットワークにより得ることが示された.
  • (その1: 基礎式の誘導)
    永田 修一, 一色 浩, 新里 英幸
    p. 23
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、浅海域に設置されたポンツーン型メガフロートの非線形波浪中での弾性挙動と周辺波浪場の計算を行うために、まず、自由表面を有する流体の非線形運動と水面に浮かぶ弾性平板の連成運動に関する変分原理を、ハミルトンの原理から出発して導いた。この変分原理の変関数は、速度ポテンシャル、水面変動及び平板の上下変位である。次に、この変分原理の変関数である速度ポテンシャルの鉛直分布を仮定することにより、非線形波浪中での浮体の弾性挙動と周辺波浪の平面分布を計算するために必要な基礎式を導いた。
  • Daisuke Yanagihara, Daniel V. Olaru, Masahiko Fujikubo, Tetsuya Yao
    p. 24
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    Shear collapse of plate girders is one of the predominant failure modes in double-bottom structures subjected to lateral loads due to cargo weight or water pressure. In this paper, a series of elastic-plastic large deflection FEM analyses is performed for plate girders predominantly in shear. Unstiffened, vertically stiffened and horizontally stiffened web plates are considered. The girders having perforated web plates are also considered. The fundamental features of buckling/plastic collapse behaviour are discussed with focuses on the ductility (the deformation capacity until the reduction of load-carrying capacity) of girders as well as the ultimate strength.
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