西部造船会々報
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  • 古川 芳孝, 貴島 勝郎, 茨木 洋, 池田 渉, 松永 祐樹
    p. 18
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     近年の海運業界の国際競争激化に伴い,国内の船員雇用数は年々減少傾向にあり,また,船舶の乗員数の少人数化が進むにつれて,乗組員の操船時の作業負担が大きくなってきている。さらに,全乗員数に対する経験の浅い乗員の割合も相対的に増加しているため,船舶航行の安全性の確保や乗員の作業負担の軽減を目的とした操船支援システムに関する研究ならびに自動運航システムに関する研究が多く行われている。一方,Kinematic GPS を利用した測位精度の向上や,IMO における AIS (Automatic Identification System) の搭載義務化の決定により,船舶の完全自動航行システムの実用化が現実味を帯びてきている。 著者らは完全自動航行システム開発の第一段階として,二隻の船舶間の衝突回避問題を対象にファジィ推論を用いて海上衝突予防法に基づく判断・行動を行う衝突回避アルゴリズムを構築し,これまでシミュレーション計算および模型実験により,その有効性について検討を行っている。前報においては,Realtime Kinematic GPS (RTK-GPS) を利用することにより,屋外の広い水域において模型船の運動計測ならびに運動制御を可能とする実験システムの開発を行い,停止船として想定した障害物を回避する問題についてシミュレーション計算と模型実験により衝突回避システムの有効性の検証を行った。その結果,停止船と十分な距離を保ちながら安全に航過することが可能であることを確認したが,停止船を航過した後の航跡がややオーバーシュートする傾向が見られた。また,模型実験を実施したプールのサイズの制限により,停止船を航過した後,初期航路へ戻る過程の計測を行うことができなかった。 そこで本研究においては,停止船として想定した障害物を回避する問題を対象として,前報で構築した停止船を対象とした衝突回避アルゴリズムの改良を行い,シミュレーション計算により各種パラメータが避航運動に及ぼす影響について検討を行った。また,停止船との衝突回避を想定した模型実験により,本研究において提案した避航アルゴリズムに基づいて,停止船との距離を十分保ちつつ安全に航過することが可能であることを確認した。今後は,様々な見合い状況で自船の周囲を航行する複数の船舶を対象として,避航アルゴリズムを拡張していくことが必要である。
  • 李 聖旭, 栗栖 誠二, 貴島 勝郎
    p. 17
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    浅水域における船舶の操縦特性について検討を行った。
  • 岩本 才次
    p. 4
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     造船所の制御系設計の実務現場では、PID 制御が用いられることが圧倒的に多く、他の制御則が用いられることはほとんどないと言っても過言ではない。多変数制御が困難であるという欠点はあるにしても、PID 制御が重宝される要因は、基本的に制御対象のモデル化が必要ないこと、たかだか P、I、D の 3 つのパラメータを調整することにより実用上差し支えない程度の制御性能が得られること、従って、現場でのゲインチューニングが容易で扱い易いことなどである。しかし、最近の制御性能向上の要求に応えるため、最適制御理論による制御系設計が行われることもある。 最適制御理論は状態フィードバックを施すことによる多くの利点があるにもかかわらず、制御性能とゲインの関係が明確でなく、設計者が満足する応答特性を得るためには、評価関数の重みの組合わせを試行錯誤によって決定する必要がある。従って、現場でのゲインチューニングができず、それが現場で採用する場合の大きな障害の一つとなっている。ゲインと応答特性との定性的な関係が判明すれば、実務現場での最適制御理論採用に明るい見通しを付けることになると考えられる。 著者は、前報において、舵によって回頭角を制御する場合を考え、最適制御理論と同様の多重フィードバックが施された 1 入力 1 出力系に対して、オーバーシュートせずしかも最速応答が得られるゲインの設計法を提案し、またゲインと操縦運動特性との関係を明らかにした。 本論文では、前報と同様、根軌跡を用いた極配置によって、制御仕様の一つに応答速度が指定された時に、それを満足するための制御系設計法について検討し、ゲインと応答速度及び船速との関係を導いた。また、この結果、時不変システムと仮定して設計されたゲインが、時変システムのゲインとして適用できることを示した。
  • 慎 勝進, 新開 明二, 山口 悟
    p. 22
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    著者らはこれまで、小型高速艇の船首部近傍で発生するスプレーについての調査研究を行ってきた。具体的には、実船の1/16スケールの模型船を使用して曳航試験を実施し、船首部にあらわれるスプレーの発生状態を2台のカメラを用いて定性的に観察し、フルード数や抵抗との相関関係を考慮しながら調査を行ってきた。本研究ではさらに、船体の姿勢や浸水表面積との関係を調査し、スプレー発生の様子を3次元で再現することを試みた。
  • 山口 悟, 鍵山 渓, 寺田 昌史
    p. 3
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    魚類型ロボットのための新しい運動機構の開発を試みる。ロボットに要求される魚類特有の運動を実現するため、人工筋肉を用いた駆動ユニットを開発し、その運動特性を調査する。また、これに基づく魚類型ロボットの運動制御結果について報告する。
  • 山本 郁夫
    p. 13
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    深海巡航探査機「うらしま」は地球温暖化のメカニズムを解明するために必要な塩分濃度、水温等の海洋データを、広範囲にわたって自動で採取し、自律して海洋調査が行われるため、船舶では観測が困難な北極域や海底火山周辺の調査が可能となる、「うらしま」は自律して長距離を航走するために必要な閉鎖式燃料電池と、高精度航法システム、深海底を精密に探査することを目的としてデジタルカメラやサイドスキャンを搭載している。2005年2月26日_---_28日の航走で全自動航行の無人探査機として世界最長となる317kmを達成した。本論文では、深海巡航探査機の技術について解説する。
  • 大坪 和久, 五百木 陵行, 梶原 宏之
    p. 23
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     現在、地球規模の環境変動、地震発生メカニズムの解明を進めるために、大水深ライザー管を用いた地球深部掘削プロジェクトが進められている。そこで用いられているライザー管の長さは数千メートルにも及び、なおかつ流体抗力の影響が働くため、その複雑な非線形運動を制御することは非常に困難である。しかしながら、台風などの環境からの外乱要因を多く持つ海上での作業は、緊急退避などの必要に迫られるために、ライザー管を海底掘削プラットフォームから切り離し、回避後は早急に再接続するというエントリー/リエントリー問題に対しての高精度制御技術が求められている。 本研究では、大水深ライザー管に働く流体抗力が速度変動により大きく変化することに着目し、ゲインスケジューリング制御の一つであるLPV(Linear parameter varying)制御を適用する。そして、性能評価のために数値シミュレーションを行い、線形時不変コントーラと比較して、LPVコントローラは全体傾斜角を小さく押さえ込んだまま、迅速な制御が可能であることを示す。
  • 五百木 陵行, 大坪 和久, 梶原 宏之
    p. 29
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    深海底掘削に用いられる長大弾性管(ライザー管)を把持する浮体は,極度の悪天候時にはその海域から非難し,天候回復後に元の場所に戻り,作業を再開する。その場合,管の先端部を一度切り離した海底プラットホームに再接続する必要がある。現在,この作業は熟練者により多くの時間と労力をかけて行われている。そのコスト削減や作業時間短縮を目的とした自動化の必要性も指摘されているが,ライザー管の全長が数千メートルにも及ぶため柔軟構造物であること,さらにライザー管には流体力が作用するために複雑な挙動をすることが主な原因となり自動化を困難にしている。 自動化に向けたこれまでの研究では,変形を抑えるためにライザー管上にスラスターを配置する方法も提案されている。しかし,浮体からライザー管上端に伝わる力のみを利用してライザー管の下端を海底プラットホームに近付けることができれば微調整の作業量の低減が可能となり,再接続に要する時間の短縮にも寄与すると考えられる。本研究では,浮体の運動のみを利用したライザー管の再接続問題に対して,変形をモード波形の重ね合わせと捉え,また,流体抗力が非線形性を有することに着目し,非線形制御の一つであるIDA-PBC(Interconnection and Damping Assignment Passivity-Based Control)法の適用を試みた。また,数値シミュレーションにより線形制御手法との比較を行い,時間短縮の観点から優位性を示すことを目的とする。
  • 経塚 雄策, 郡司 智博, 城野 清治
    p. 2
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化対策として自然エネルギーの利用拡大が求められている。本研究では、海域の橋脚を利用した潮流発電の提案を行う。潮流のパワーは流速の3乗で大きくなるが、狭い海峡においては一般に潮流は速いので潮流発電の適地である。さらに、海峡に橋が架けられていて橋脚が存在すれば、橋脚による増速効果が見込まれるので潮流発電には最適である。橋脚の利点はこれ以外にも多いが、既存の施設を利用できることによる経済的なメリットが大きい。ここでは、潮流発電のフィージビリティスタディとして、長崎県生月大橋の橋脚部付近の潮流を数値シミュレーションによって推定するとともに海底設置型ADCPによって観測した結果について報告する。
  • 新開 明二, 山口 悟, 久保 憲一, 慎 勝進, 口木 裕介
    p. 16
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    船を設計する上で、その経済性と安全性が常に追及されるため、船舶の運航プロセスを定式化し、コンピュータによってシュミレーションできるようにすることが求められている。航海中に起こる経済性・安全性に関わる事象は船の運航プロセスの状況に強く依存し、これらの状況および運航時間での変化が重要であり、船の航海の経済性・安全性分析において、運航プロセスの確率モデル化は必須の要件であると思われる。例えば、船のライフタイムにわたる総合性能保障の考えを船舶設計へ導入するためには、船の寿命のタイムスケールで、就航海域の海象、気象、操船の方法、積荷の種類、メンテナンスの程度などを考慮して、船の状態をモニターする必要がある。そのためには、設計段階で船舶の就航後の運航プロセスを予測する手法の確立が重要な課題となっている。本研究では、大型ばら積貨物船の約2年間に及ぶログブック(湯浅通史ら(実船の就航時の船体応答について)日本造船学会論文集 第159号 掲載)を基に、モンテカルロ実験を実施し、運航プロセスの確率モデル化を行い、運航プロセスの予測を行った。そして、その応用例として、大型ばら積貨物船の貨物倉の一部材を対象に、鋼板の侵食(腐食・衰耗)速度の時刻歴変動を仮定することで、航海期間6年間の鋼板の侵食速度の時刻歴を生成し、6年後の鋼板の侵食深さを予測した。
  • 木村 元, 福田 ゆか, 中尾 洋一, 梶原 宏之
    p. 25
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では造船所内の物流最適化について分析する。
  • 木村 元, 池平 怜史, 池崎 英介, 梶原 宏之
    p. 28
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    船舶の配管設計は、CAD(Computer-Aided Design)が発達、普及し以前より効率的・経済的になったものの、未だ設計者の経験に頼る部分が大きい。特に本論文で対象としている造船所では、エンジンルームの配管作業は大ま かな部分は最初に設計されているものの、大部分は現場で実際に作業行う技術者がその場で配管している。本論文では、エンジンルームのような、パイプが密に存在し、また障害物を避けて配管しなければならない空間での配管設計問題を定式化する。本問題は、大規模な数値最適化と組合せ最適化の複合問題になっており、通常の最適化手法では解くのが困難である。そこで、本問題に適した新しい多目的遺伝的アルゴリズムを提案する。パイプは生成パターンと実数値により定まり、それらを組み合わせてコード化する。交叉に障害物との接触情報を持った遺伝子を用いた新しい交叉方法を提案する。パイプの本数の増加につれて、実行可能な解の生成が急激に困難になるという問題が生じる。そこで実行不可能な解を実行可能解に修正する2つの修正オペレータを提案する。一つ目はパイプ同士が接触しないように修正するために接触点の数の多いパイプを優先的に生成し直すもので、二つ目はパイプが障害物と接触しないように修正するために障害物と接触しているパイプを優先的に生成し直すものである。実際の設計では、障害物を避けることが不可避な問題が存在し、その問題にも対処したアルゴリズムとなっている。実験によりその有効性を示し、実際の配管設計についての適用について議論する。
  • 転落・墜落事故について
    篠田 岳思, 福地 信義, 金生 芳樹, 池田 耕平, 山脇 由李
    p. 24
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    造船所における災害度数率はここ数年の労働災害の増加傾向にある。労働災害は人的・物的損失が大きく、何らかの防止対策を考える必要があるが、同種事故が頻発しており、各造船所で対策が徹底されていないのが現状である。本研究では、労働災害をデータベース化して災害と要因の因果関係を解析し、リスク評価を行う。さらに、労働環境が人間に与える影響を調べるために、人体歩行の不安定性を実験により解析し、ヒューマンファクターを考慮した労働安全について検討を行った。
  • 諫早干拓と環境価値
    篠田 岳思, 黒木 旭, 福地 信義
    p. 26
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     近年、環境問題は益々深刻化してきており、人間の生活や生産活動、さらには人間社会の拡大により、自然環境は大きな環境負荷圧力を受けている。開発か、それとも保護かという意思決定の際には、人間の生活と環境保全とのバランスをとることが必要である。さらに、環境価値は自然が喪失した時点で大きく変化することがあるため、開発に際してこの点を十分に考慮する必要がある。本研究では、防災が環境価値に及ぼす影響や環境価値についての認識などを調査するために、諫早湾干拓事業により干潟の環境が失われた諫早湾を対象に、仮想評価法(CVM)を用いて分析を行なった。さらに、数量化_(特)_類およびクロス集計表を用いて防災や環境価値に与える要因分析を行なった。
  • 新開 明二, 山口 悟, 西依 亮, 松尾 宏平, 慎 勝進
    p. 21
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    大洋を航海する船舶の設計で最も考慮すべき自然環境条件として、ランダムな海洋波による影響を統計学的に取り扱うことが一般的である。最近では、人工衛星を用いたリモートセンシングによる地球環境観測技術が確立している。本研究では、地球観測衛星ERS-2から得られるリモートセンシングデータを利用し、船体応答長期予測に利用できる信頼性のある全球規模の波浪発現頻度表の構築を図り、新しい船舶設計の指針を確立する。
    波浪統計データベースは、エラーチェックを施した有義波高について3つの確率分布形を想定した。また波周期に関しては、GWSデータより逆算的に求めた対数正規パラメータを本研究の統計データベースに導入した。
    また、作成した長期波浪統計データベースに基づく、ある対象船に対する船体応答長期予測値を算出し、GWSデータとの比較を通じてデータベース間の特性を調査した。
  • 矢島 浩, 山本 元道, 廣田 一博, 石田 欽也, 飯塚 智史
    p. 20
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    前報では,小型帯板試験片を用いた亀裂発生試験ならびに有限要素法による3次元弾塑性大変形解析を実施して,アルミニウム合金JIS A5083を対象に,繰返し大ひずみ範囲での極低サイクル亀裂強度を定量的に評価する目処を得た.本報では,アルミニウム合金JIS A5083の大型防撓パネルを用いた亀裂発生試験および3次元弾塑性有限要素法解析を実施し,本研究で提案する極低サイクル亀裂強度評価手法の実構造部材への適用について検討した.さらに,丸棒小型素材試験片を用いた亀裂発生試験を実施し,小型・簡便かつ安全側・合理的に各種素材の極低サイクル亀裂強度を評価することのできる試験法の提案を試みた.
  • 井上 総一郎, 佐藤 宏一, 井上 克明, 夛谷 元希, 吉田 泰三
    p. 6
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    エネルギー需要のグローバル化に伴い、LNGの輸送に関しても安全性を維持した上でのコスト低減が要求されている。MOSS型球形独立タンク式LNG運搬船は、安全性とコストの両面において優れたシステムであるが、アルミタンクと船体を接合する構造用異材継手(STJ: Structural Transition Joint)の製造コストが高く改善の余地がある。そこで本研究では、従来使われている爆着材と同様の強度を持ち、より製造コストの低い真空圧延接合法による新型STJを製造、実機に搭載し、その健全性を実証した。強度、施工面の検討を含めて以下報告する。
  • 池田 亮
    p. 7
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、船舶の強度安全性への関心は高まり、船級協会などによる船体構造強度に関する要求が強化される傾向にある。特に疲労強度については、設計段階における疲労強度評価の実施はもちろん、疲労設計寿命の延長といった船主要求も年々増加傾向にある。このような中、著者らは、構造初期計画段階において、より合理的な船体構造安全性評価を実現すべく、設計のより早い段階で、かつ比較的簡便な方法を用いて対象部材に対して最も過酷な荷重条件を導く手法として、モニター構造と呼ぶ簡易構造解析モデルを用いた疲労設計荷重の推定法を提案した。本手法では、ストリップ法による船体運動解析に加え、モニター構造解析モデルを用いた簡易構造解析を実施することにより、船体が受ける最大荷重のみならず、対象とする部材の応力振幅の応答関数により、設計規則波および変動内圧などの設計荷重分布を設定する。本論文では、本手法により導出された疲労設計荷重と構造設計において一般に用いられている船級協会((財)日本海事協会による疲労設計ガイドライン)が定める疲労設計荷重とを比較検証し、著者らが提案するモニター構造解析モデルを用いた疲労設計荷重推定法が十分な実用性を有していることを示す。
  • 安澤 幸隆, 藤原 孝紀
    p. 15
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,構造物の振動解析において、低周波数領域ではFEM、高周波数域ではSEA法が有効であるがその間の中周波数領域に適用可能な方法として,波動方程式を用いる方法(Wave Equation Method)を検討している。これは,4階偏微分で表される曲げ振動方程式を分解することにより得られる2つの2階偏微分方程式のうち,伝搬成分に関する波動方程式のみを解いて応答を計算する方法である。この方法を用いれば解くべき偏微分方程式は4階から2階の式になるので計算量の軽減化が期待できる。本研究では,平板から構成される薄板構造物の振動応答解析に波動方程式に有限要素を適用したWave-FEM法の解析法とその有効性について検討を行なった。
  • 吉川 孝男, 前田 正広, 岸田 和人, 中村 栄隆, 前田 修平
    p. 1
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     超音波を用いた探傷法は、X線を用いた探傷に比べて安全で取り扱いが容易であるため、利用分野の拡大が図られつつある。しかし、複雑な構造の欠陥探傷を行なうには、模擬試験片を作って試験を行い、探傷方法を決定するなどの労力が必要となる場合もある。 数値計算を用いて超音波の伝播挙動を精度良く可視化することができれば、探傷方法決定のための試験が不要となり、また、欠陥からの反射波の性状が明らかとなれば、超音波試験でこれまで利用していなかった情報を利用して、より精度良い欠陥の判別ができる可能性もある。そこで、本研究では有限要素法を用い、超音波の伝播挙動を精度良く推定する方法について検討した。また、欠陥同定のために利用できる情報について考察した。
  • サントソ ディディック, 新宅 英司, 藤本 由紀夫, セトヤンコ タウフィック
    p. 14
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,構造部材表面の歪み分布を簡便で低コストに計測する装置を開発した.開発した計測システムには圧電フィルムをひずみ検出器として使用し,ひずみ検出器は圧電フィルムと導電性ゴムから構成される.また,本ひずみ検出器用に多チャンネルのデータ収録・処理装置を開発した.実験では(i)円孔(ii)貫通人工き裂(iii)非貫通一様深さのき裂を有する試験片を用い,衝撃的に荷重を加える衝撃法によって実験を行って,本装置と手法の有効性を確認した.
  • ユエ ジンシャ, タウフィック アリフセテイアント, 藤本 由紀夫
    p. 5
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は表面亀裂の開口変動量を測定することにより亀裂深さを推定する新規的手法を提案する。まず、有限要素法解析により、種々の形状の表面亀裂について亀裂深さを変化させた数値解析を行った。そして、表面亀裂が生じた部材に単位曲げ歪を負荷したときの亀裂線に沿う開口変動量の分布(標準化開口変動量)にある比例定数を乗じた分布で、亀裂深さ分布の形状がよく近似できることを明らかにした。次に、標準化開口変動量の測定方法について検討した。その結果、標準化開口変動量は亀裂線の直上に歪ゲージを複数枚接着し、ハンマ打撃法によって公称歪と同じ時間タイミングで測定して求めることができることを明らかにした。亀裂深さ分布は、有限要素法を用いた数値イタレーションで、上記比例定数を決定し、測定した標準化開口変動量の分布に、上記比例定数を乗じて推定することができる。提案手法の有効性は、二次元片側亀裂、円弧状表面亀裂、及び溶接継手の角廻し部に生じた疲労亀裂を対象に実験を行って明らかにした。
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