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金井 健
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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与えられた問題に対し熟練した設計者の思考に近い結果を与える問題解決手法として、生物の脳神経系を模倣したニューラルネットワークと、生物の進化の過程をシミュレートした遺伝的アルゴリズムがあり、近年工学の幅広い分野で利用されている。著者は(財)日本造船技術センターに蓄積された船型と推進性能に関するデータを活用し、船舶の推進性能を推定するためのニューラルネットワークを構築し、さらにその機能を有効に利用できる応用例として、遺伝的アルゴリズムを用いた船型最適化を行った。本論文では、(1)ニューラルネットワークの学習過程における再構築法の有用性を示し、(2)パラメトリックな船体形状表現法を検討し、(3)推進性能推定システムを構築しその精度を確認し、(4)遺伝的アルゴリズムを利用した船体形状最適化の結果を示した。この結果ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを使用した本方法が、高い精度で推進性能の推定が行えること、少ない計算時間で最適船型が得られることを示した。
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大橋 訓英, 安東 潤, 中武 一明
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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プロペラが引き起こす船尾変動圧は船体振動の原因となり、またプロペラは船尾の伴流中で作動するため、伴流分布の形状により船尾変動圧が大きく変化する。プロペラによる変動圧力を求める際には、プロペラおよび船尾形状をモデル化する必要がある。プロペラ性能計算においては様々な研究が行われ、現在では精度良くその性能を求められるようになっている。また船尾形状をパネル法を用いて表す方法もあるが、船尾形状を無限平板として計算する方法が一般的である。本研究においては、吹出し分布を用いて翼およびプロペラ上方の有限平板を表し、その上の変動圧力を求めることにする。まず2次元、3次元矩形翼について平板上の変動圧力を求め、次にプロペラによる変動圧力を求め実験結果および他の計算結果と比較する。
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石田 駿一, 藤野 良亮
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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二重反転プロペラの等価な前進速度と回転数を実験的に推定する方法を示した。二重反転プロペラの単独性能試験結果に適用し、結果をプロペラ後流中に存在する回転エネルギの観点から考察して、本推定法の合理性を明らかにした。本推定法から得られる等価前進速度と等価回転数を用いると、流場計測によらないで二重反転プロペラの前プロペラが後流中に残す回転エネルギ量を推定できる。本推定法を、船後で二重反転プロペラが作動する場合の推定にも、自航試験や馬力推定法の結果を利用することによって拡張できることを示した。これによって、二重反転プロペラの設計法と馬力推定法を、前後プロペラそれぞれを一つの推進器として扱う立場から直接関連づけることができる。
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右近 良孝, 藤沢 純一, 工藤 達郎
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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本論文はプロペラに発生する非定常キャビテーションにより誘起される船尾変動圧力を起振源とする船尾振動を低減するため、プロペラの上流の船体表面から空気を吹き出し、プロペラ直上の船体表面とプロペラとの間に空気層を形成し、キャビテーションが誘起する船尾変動圧力が船体に伝わらない様に減衰させる方法を提案し、その有効性を調べた。キャビテーション水槽において模型船を取付け、プロペラにキャビテーションを発生させた状態で、空気の吹き出し量を種々変化させて船尾変動圧力を計測した。幾つかのプロペラについての計測から、本方法によって船尾変動圧力は大幅に減衰することが分かった。
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田中 健二, 西本 仁, 片岡 克己, 仲渡 道夫, 中谷 敏義
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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瀬戸内海の島嶼部に多く就航している小型カーフェリーは、離着岸と車の乗降の便から両頭船が好評であり、年々高速化の傾向にある。しかし、高速化に伴い発生する航走時の引波の増大は、小型漁船や養殖漁業(かき筏等)に被害を与えるためにその周辺では適宜、減速運航あるいは迂回運航を余儀なくされ、なかなか高速化できないのが実情である。この様な状況下、新しい発想により通常の単胴型両頭船を船体中心線で縦に2分割し、分割面(平面)を外側に配置する双胴船を設計し、その抵抗と引波について従来船型と比較、検討を行った。この新型双胴両頭船は、波を双胴内側に閉じ込めることにより引波の減少を狙ったもので、ここでは、この新型双胴両頭船をWAVE-LOCKING CATAMARANと呼ぶことにする。
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齊藤 公男, 前田 克弥, 大倉 康志, 小瀬 邦治, 佐藤 勇, 菅野 賢治, 中谷 敏義
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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船体応答等の推定精度の検証については, 外航船を対象として水槽試験や実船試験で得られた計測値について行われているが, 内航船については, これまであまり研究対象とされておらず, 内航船の運航性能や安全性の向上のためには, 実船試験による検証も必要であると考えられる。そこで, 本稿では, 現在就航中の内航貨物船を用いて実船計測を行い, その運航状態及び船体応答の一年間にわたる計測を行い, その計測結果について, 1)統計解析とスペクトル解析との比較による計測値の検証, 2)船体応答の長期分布, 3)季節及び海域毎の船体応答や運航状態の把握, などの解析を行った。
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鈴木 和夫, 加藤 雅康, 秋永 清
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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本論文では高速三胴船型まわり自由表面流の数値解析について論じるが、対象とする高速三胴船型は小型の水上自走標的と呼ばれる排水量型船型で、フルード数に換算すると実に1を超えるという高速船型であり、両舷に主船体船長の約70%に及ぶ船長のアウトリガーを有し、各胴の中央横切面がそのままトランサム船尾断面になっているという特異な形状をしている。従って高速域における胴間流とトランサム船尾後流の数値解析が必要になる。本論文ではChengの方法を考慮したトランサム船尾形状を有する高速三胴船型用のRankine source法について検討し、標準胴配置状態に関する数値計算例について紹介した後、造波抵抗および波紋の数値計算結果に基づき最適な胴配置について検討する。
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星野 邦弘, 原 正一, 湯川 和浩, 山川 賢次
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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海難事故により損傷·転覆した船舶は、他の船舶の安全な航行を妨げるとともに損傷した船体からの油流出や海岸に漂着して港湾施設等に損害を与える等の新たな2次的な災害を引き起こす恐れがある。これらの災害の発生を未然に回避するためには航行不能となった船舶を早急に静穏な港内等に待避しなければならない。本論は, 海難事故等が発生した場合に損傷船舶の形状から大まかな粘性抗力の特性を求め、その結果を直ちにフィードバックし現場作業に生かすツールの開発を目指したものである。本論で開発した推定法の適用性は、幾何学的船舶模型の曳航実験により検証された。
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槙 燦益
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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1993年2月21日、長崎県五島列島北西方沖合でまき網漁船(以後『漁船E丸』と称する)が転覆、沈没した。この転覆、沈没事故で乗組員20名のうち1名が救助されたが、19名は行方不明となっている。本研究で著者は、『漁船E丸』が転覆した原因とその過程を明らかにするために、転覆した『漁船E丸』とほとんど同型の漁船に対する実船調査と、模型船を用いて直立状態と横傾斜状態の二つの状態を想定した水槽実験により、それぞれの状態における復原性と横波中での挙動の関係を実験的に調べた。実験は、1/20縮尺の『漁船E丸』の模型を用いて実施した。模型船の傾斜状態は甲板上に搭載されたウエイトあるいは漁網の搭載位置の調整により得ている。模型船による実験結果は、漁網の横移動による傾斜状態がまき網漁船を転覆へ容易に導くことを示している。本報告では、『漁船E丸』の基本設計時の復原性および甲板上の漁網の横移動により傾斜したままの浮遊状態における復原性と転覆の関係について明らかにするとともに、実海域における荒天準備の重要性と船の安全性について報告する。
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三宮 一彦, 末吉 明, 東〓 清
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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PMM試験装置を用いた拘束模型試験をベースにトリムと排水量の違い、即ち載荷状態が操縦微係数と操縦運動特性に及ぼす影響について、シミュレーション計算による検討を行い、更にその計算結果を試運転実績値と比較することにより精度の検証を行った。載荷状態と操縦運動特性の相関を把握したことにより、Ballast操縦性試験結果より満載時の操縦性能を推定する為の方向性を示すことができたと考える。
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前川 和義, 貴島 勝郎, 烏野 慶一
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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水産資源量の調査に用いられる調査船には優れた操船能力が求められることから, バウスラスターが装備されていることが多い。バウスラスターは定速操船時にその効果を発揮するが, 船の前進速度によって性能が低下してしまう事が知られている。本研究は漁船船型を対象として数値計算によりバウスラスター性能の推定を行なったものであり, 計算の結果, 前進速度によって横方向の干渉力は最大20%, 干渉モーメントは最大30%減少し, スラスター推力が小さい程性能の低下が大きい事がわかった。また, 干渉力に影響を及ぼすスラスターからの噴流経路の決定手法について検討を行ない, 可視化実験によらなくとも経路の推定が可能であることを示した。
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貴島 勝郎, 岸本 隆
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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海難事故により自力航行不能に陥った損傷船は可能な限り安全且つ迅速に、現場海域から撤去する必要がある。このような場合、一般に損傷船はタグボートによって曳航される。ここで安全な曳航方法の指針を導くためには、損傷船とタグボートの船体に作用する流体力を精度良く推定した上で、数値シミュレーションにより両船の運動特性を検討することが必要である。また海難事故に遭遇した船舶は船殻に損傷を受け、大きな傾斜角を生じる場合がある。そこで本論文ではそのような大きな傾斜角を伴う船体について取り扱うものとし、安全な曳航方法の指針を導くための第一段階として、これに作用する流体力の理論的な手法による推定を行った。
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貴島 勝郎, 高澄 東太
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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船体が横方向に移動する際、船体流体力の成分はcross flow dragによる成分が支配的になる。よって船体流体力を求めるにはこのcross flow dragを推定しなければならないが、あまり研究は行われていない。そこで本研究では、cross flow dragが支配的となる、船体が真横に移動する場合の船体流体力の推定する方法として、境界要素法と離散渦法を組み合わせた方法について示してある。また、実際にこの推定法で計算を行い、模型試験結果との比較から、この推定法が有効であると考えることができることを示している。
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その2 ゲインスケジュールドコントローラーによる回頭角制御
中村 昌彦, 梶原 宏之, 百留 忠洋, 小寺山 亘, 望月 政徳
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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近年、海底資源掘削のための洋上ステーション、海上工事で使用される台船等で浮体式海洋構造物の位置制御の技術が必要とされている。これらの浮体式構造物は、風·潮流·波等の外乱下で一定位置を保持することが必要であり、さらに、台船、試掘船などではある範囲内で精度よく位置を調節できることが要求される。このような位置制御を行う為には、浮体にスラスター等の推進器を取り付け、それらを制御することによって位置を制御する方法が考えられる。また、洋上において浮体は、波·潮流·風による漂流力及び波による線形波浪外力を受けるが、線形波浪外力による動揺はスラスター程度の推力では抑制することが困難であり、その運動振幅も小さい。そこでH
∞制御理論を用い、波周波数領域の運動に反応しない位置制御用コントローラーの設計を試みた。さらに、大きな回頭角指令に対応できる、ゲインスケジュールドコントローラーの設計を行い、模型実験·シミュレーション計算によりその性能を確認した。
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前田 克弥, 斎藤 公男, 松田 秋彦, 鈴木 四郎
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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前報では, 角水槽において, 曳引車に取り付けた波高計により計測された波変位の計測値を用いて方向波スペクトルの推定を行った。その結果、 方向分布関数については計測値と推定値が良く一致したが, 周波数スペクトルについては, 試験状態により有義値に大きな差が見られた。また, 計測された周波数スペクトルの成分がω
e≤ω
ecの領域のみに存在し, 周波数スペクトルを波周波数へ変換する場合に1対1での変換が可能であった。そこで, 本稿では水槽試験において, 計測値から得られるスペクトル成分がω
e≥ω
ecの領域に存在する場合も含めた試験状態について計測し, その検討を行っている。また, 試験状態における計測値のバラつきを検討している。
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—雲画像情報と天気図の関係—
山田 智貴, 細田 龍介
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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気象-雲系の挙動, 気象-海洋波浪の間には気象学的観点から密接な関係が存在すると考えて良い。そこで, 雲画像と海象(波浪図, 浪波実況図)の中間に気象(天気図)を介在させ, これらの情報の時·空間相関関係を工学的手法によって解析し, 雲画像をベースとした気象·海象の把握, 予測が可能であると考える。本論文においては, 雲画像の解析によって分類された層, 積雲の形状的, 力学的動態の把握によって, 台風, 移動性低気圧などの発達した低気圧を対象としてその勢力, 動きを中心とした盛衰過程を表現する手法を提案し, 雲画像と地上天気図の時·空間領域における関連づけの一手法を示した。
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野瀬 幹夫, 森 正浩, 日垣 智寛
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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本研究は、まず、既に発表した縦曲げにおける横断面の反りを考慮した薄肉変断面梁の応力解析法から導き出した変形応答量に、変分原理から導き出された力学的境界条件の表式の一つを応答量に加え、伝達マトリックス法を適用した変形応答量を解析する方法を導き、変形応答解析の精密化を行った。次に、この方法を上下非対称I型断面梁および二重船殻油槽船に適用して変形応答量を求め、これらを従来のTimoshenko梁理論による変形応答量と比較することにより、横断面に生ずる反りが変形応答量に及ぼす影響を検討したものである。
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その2 遺伝的アルゴリズムによる重量最適化
李 旗, 古野 弘志, 加藤 瞭
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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前報では、著者等は簡易二重底構造強度評価法を提案した。この方法はエネルギ法を適用し、二重底境界周辺における回転角の連続性をラグランジェの未定乗数法を用いて保証し解析する方法である。本論文では、本解析法を適用したバルクキャリヤの構造初期計画システムに、遺伝的アルゴリズムを適用して船殻重量の最適化を行ったものである。最適化においては本簡易解析法を用いて二重底構造の簡易強度解析を行い、二重底の補強重量を計算してこれを評価関数の一つとした。また、構造部材の寸法計算等では船級協会ルールを満足するように計算し、また簡易強度解析法を用いて強度の不足する部材については補強を行うことで、本最適化問題を制約条件の無い遺伝的アルゴリズムによる最適化問題とした。
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その1 モニター構造による設計波の導出
李 旗, 加藤 瞭, 池田 亮
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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船体構造部材の疲労強度評価においては、部材が受ける最大荷重を推定すると同時に、荷重振幅の推定が必要となる。ここで、疲労強度に大きな影響を与える荷重振幅を統計的に予測する方法として、モニター構造を用いた応力応答推定法を提案する。モニター構造とは、構造部材を一つの単位構造とし、荷重に対する応力応答特性が実構造のそれと比較して、定量的には若干異なるが、定性的には同等に扱うことができ、応力応答を材料力学レベルで記述できる構造モデルである。このモニター構造を用いることで、膨大な構造解析を行うことなく構造部材に生じる応力の時刻歴、振幅および応答関数を計算することができる。また、応答関数から長期分布を計算することで、疲労設計波を合理的に推定することができる。
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ベ スンヨン, 安澤 幸隆, 香川 洸二
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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船体構造には、船尾タンク、バラストタンク、オイルタンクなどのように内部或は外部が流体に接しているタンク構造が多く存在する。これらの接水タンク構造に振動が原因と見られる疲労損傷が発生しているようである。したがって、このようなタンクの振動特性をなるべく精度よく予測することが求められている。我々は前報で報告したように、タンクの接水振動の固有振動数とモード形状を計算するための数値解析コードを開発して、タンクの隣接パネル間の相互干渉や対面パネル間の相互干渉などを考慮した振動数について議論した。そして、相互干渉はタンク壁面の振動モードに応じて変化し、タンクの各次数の接水振動数の大小が複雑であることを示した。本研究では、まず、前回報告した対面パネルの振動特性についての数値計算の結果との比較検討のために実験を行った。また、自由表面を有する内部流体を有するタンクの最低次固有振動数に対応する振動モード(以下呼吸モードと呼ぶことにする)に注目して深いタンクについてその振動特性と動的流体圧分布について数値計算を行い、その結果について検討した。
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安澤 幸隆, 杉本 晋一, 香川 洸二
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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動的陽解法有限要素法は、構造物の大歪大変位を伴う衝突解析に適用されており、その特徴としてメモリーの減少や解の発散を防ぐために時間増分を小さく取る必要がある事が挙げられる。本研究では動的陽解法有限要素法を定式化し骨組構造物の飛移り座屈解析と梁の弾性座屈及び座屈後解析を行った。骨組構造物の大変形解析では飛移り後振動を発生するために時間増分が影響を与え解析上動的釣合経路が異なる。このような問題を解く場合マススケーリング法等の計算手法が考えられているが構造物の材料特性を数値的に変化させるため構造物の動的応答も変化する可能性がある。そこで、本研究では時間増分を制御する方法を提案して解析を行った。梁の弾性座屈解析では荷重速度による動的挙動に及ぼす影響について研究を行った。
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垣野内 勉, 荒見 未紀, 渋江 唯司
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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水中爆発による衝撃荷重に対する水中および浮体構造物の構造応答を評価するため, 薄板平板構造を持つ鋼製模型を用いた水中爆発実験を実施し, 水中圧力, 構造物表面圧力およびひずみを計測した。実験では特にバブル波に着目して, 衝撃波に対する構造応答との比較検討を行ない, バブル波が構造に与える影響は衝撃波に対して無視できない大きさであることを確認した。また, 実験の範囲では力積とひずみはほぼ比例の関係にあることを確認し, この性質を利用して, 圧力波の力積から構造応答を簡易的に算出する方法を提案した。数値シミュレーションでは, 解析結果と実験結果を比較することにより, 解析精度を向上するための検討課題は残るが, 本解析手法での衝撃応答の予測が可能であることを確認した。
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藤久保 昌彦, 矢尾 哲也, Mohammado Reza Khedmati
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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水圧と2軸圧縮の組み合わせ荷重を受ける船底パネルの最終強度簡易推定法を開発した。まず, 水圧と縦圧縮, および水圧と2軸圧縮を受ける連続パネルについて, FEMによる弾塑性大たわみ解析を実施し, 水圧が連続パネルの圧縮最終強度に及ぼす影響を系統的に明らかにした。具体的には, 水圧には弾性座屈強度を上昇させるプラスの効果と, 板の降伏を加速するマイナスの効果があることを示した。つぎにこれらの水圧の影響を, 物理的意味を有するパラメータを用いて合理的に考慮することにより, 最終強度の簡易推定式を導出した。推定値を弾塑性大たわみFEM解析の結果と比較して, 推定値の高い精度を確認した。
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—無き裂状態から任意の大きさのき裂になるまでの疲労寿命推定法—
豊貞 雅宏, 丹羽 敏男, 永見 修作, 松田 宏之
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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溶接構造物の疲労き裂は溶接止端部などの構造的応力集中部から発生·伝播する。これまで、その疲労寿命評価においては初期き裂長さをその都度適当な値に設定し、発生寿命と伝播寿命を異なった理論体系で評価している。すなわち、初期き裂長さの設定の仕方でいかようにでも寿命が評価されており、両者を結びつける手法が確立していないのが現状である。本研究では、スティフナを有する角回しすみ肉溶接試験片を用いて疲労試験を実施し、その結果をもとに、ΔK
RPが疲労被害を受ける領域寸法を規定していることを利用し、さらに外応力ならびに残留応力によるき裂想定線上の応力分布が与えられれば、無き裂状態から任意の大きさのき裂になるまでの疲労寿命を机上で定量的評価できる手法を示し、疲労き裂の発生と伝播を統一した理論体系下で論じ得る疲労寿命評価法の妥当性を確認した。
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藤井 一申, 萩森 保彦, 中村 庸介, 斉 葵
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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日本海事協会(NK)鋼船規則では, 主に冷凍運搬船を対象に, 低温にさらされる縦通部材に使用される鋼材について, 使用区分[1]を定めており, 破懐靱性の確保を行なっている。しかし, 同じく低温にさらされるにもかかわらず, 横部材についての規定はない。また全ホールドにわたって縦通してはいないものの, 相当な長さにわたり連続している部材の扱いは不明であり, 破壊靱性の観点からは, 多少の懸念があると言わざるをえない。そこで, 冷凍運搬船として典型的な供試船を選び, 実際の設計条件より, 連続縦通部材, 部分的に縦通している部材, および横部材に対して, 脆性不安定破壊を起こすことのない要求破壊靱性値を求め, 最終的には, NK鋼船規則に定めていない鋼材に対する要求グレードの提案を行うものである。
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藤井 一申, 矢尾 哲也, 藤久保 昌彦, 田中 義雄, 柳原 大輔
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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船体の独立タンク構造などの防撓材として, 球平型鋼が広く使用されている。これは, 強度的には直接軸力が作用する部材ではないので, angle-barやtee-barほどのフランジ幅が必要と考えられないこと, また, これらと比較して下地処置や塗装が容易であり, 就航後のメインテナンスも楽であることなどによる。しかしながら, 広範に使用されている割には, 球平型鋼の強度特性はあまり知られておらず, 特に, フランジ部の水平曲げ剛性がangle-barやtee-barと比較すると小さく, 横倒れを伴う座屈·塑性崩壊の発生が懸念される。そこで, 本研究では, 球平型鋼が防撓材として取り付けられた独立タンク構造の側壁を対象として, 静圧や慣性力による分布荷重を受ける連続防撓パネルとしての曲げ崩壊挙動と崩壊強度の推定法について, 実験および数値解析の結果に基づいて検討する。
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坂井 文和, 末岡 英利, 川嵜 哲郎, 井上 克明
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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高速艇に用いられる水中翼の構造強度は、高速航走時の最大揚力に対する高強度が要求されると同時に、海水中で長期間の変動荷重に耐える強度信頼性が求められている。従って、15−5PHステンレス鋼を水中翼に使用する場合には、適用する溶接法や熱処理条件などを考慮した、海水中での疲労強度特性を把握することが重要となる。本報は、15−5PHステンレス鋼の母材および溶接継手について、当社の水中翼製作に適用された溶接条件および熱処理条件における大気中および人工海水中での疲労強度特性に関する検討結果を述べたものである。
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坂井 文和, 末岡 英利, 川崎 哲郎, 井上 克明
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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全没型水中翼船の開発における最大の課題は軽量化の達成であり, 中でもディーゼル機関を搭載し, 船体が双洞船型である“レインボー”は, 従来とは大幅に異なる特徴を有しており, アルミ合金製船体とステンレス製水中翼との接合部については, 従来のようなピン接合方式を重量の制約から採用が困難と判断し, 新たに開発したボルト締結方式を採用することとなった。新方式は, 結合部に作用する圧縮荷重がボルトに流れ込まない工夫を施した“窓枠構造”と称する切り欠き構造を有し, ボルトの疲労強度を高めたものである。本報は, 部分モデルを用いた静的荷重試験によるボルト軸力変動(内力係数)の低減効果の確認結果及び海水中での繰り返し荷重試験による結合ボルトの緩み確認結果について述べたものである。
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坂井 文和, 末岡 英利, 河野 隆之, 藤田 明次, 瀧本 務
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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全没型双胴水中翼船“レインボー”には, 全没型水中翼旅客船としては世界最大級の水中翼が装備されている。水中翼は析出硬化型15-5PHステンレス鋼を使用した溶接組立て型中空構造であり, 溶接組立て後には所要の強度と靱性確保のために溶体化熱処理と時効熱処理が実施されている。溶体化熱処理は通常1050∼1100℃の温度から急冷するのが普通であるが, 溶体化熱処理温度を790℃とするなどの新たな熱処理方法を開発した。本報は, 15-5PHステンレス鋼製大型水中翼の製作法及び熱処理による水中翼の変形量などについて述べたものである。
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北村 茂, 高島 逸男, 前田 利雄, 松岡 一祥, 永井 昌憲, 田辺 弘往
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発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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塗装した塗膜は硬化過程において収縮に起因すると思われるひずみが発生する。このひずみは塗膜のき裂発生や剥離の原因となる。塗装した塗膜の硬化過程及び塗膜中に残存するひずみを計測することを試みた。塗膜の内部ひずみの測定法については、ひずみゲージを塗膜表面に接着し、その表面のひずみから内部の応力を推定する方法、ひずみゲージを接着後応力解放を行い、塗膜の残留ひずみを測定する方法、塗料を塗るときに塗膜の内部に、ひずみゲージを埋め込む方法等が考えられる。ここではひずみゲージを埋め込む方法で、ゲージ長がどれくらいの長さが適当か調べた。さらに、塗膜の膜厚によるひずみの発生及び経時変化について調べた。さらに腐食疲労試験に用いた試験片の塗膜について応力解放による方法で残留ひずみの計測を行い、そのひずみの値が疲労試験にどれだけ関与しているか調べた。海洋構造物の没水部や船舶の補修塗装として多く適用されている厚膜用塗料について検討した。
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寺崎 俊夫, 北村 信男, 中井 雅之
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31
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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線状加熱加工で生じる熱サイクルを熱伝導理論式により予測した論文である。線状加熱のガスフレームにより投与される熱量を計測して, 2つのガウス分布の熱量で近似できることを最初に明らかにした。次に, ガウス分布による熱サイクルを得る式を導いた。銅板を線状加熱したときの熱サイクルを測定して, 導いた熱伝導式で予測できるか否かを検討した。その結果, 水冷は半ガウス分布熱源でおおむね評価でき, 線状加熱加工の熱サイクルが理論式により予測できることが明らかになった。
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豊貞 雅宏, 後藤 浩二, 村上 幸治, 石井 稔, 永田 陽造, 古城 昭
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32
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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ガス、プラズマ切断を鋼管および平板において実施した。熱切断後の鋼管のたわみ分布と残留応力分布の測定結果より、固有応力分布が得られた。その結果、プラズマ切断はガス切断と比較して切断溝幅は大きかったが、固有応力は、小さい事が明らかとなった。また、良質な切断面が得られる切断速度変化の固有応力分布への影響は小さかった。以上より得られた固有応力分布によって熱切断時の種々の境界条件下における収縮量の推定を行う事が可能となる。
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矢島 浩, 山本 元道, 鈴木 秀一, 誉田 登, 渡邊 栄一, 多田 益男, 小岩 哲也
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33
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
会議録・要旨集
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本報では, 船体用50キロ級高張力鋼板程度の強度を有する3種類の鋼板を供試して, プラズマ切断部の大気中および人工海水中での疲労強度を把握し, 概略下記の知見を得た。(1)プラズマ切断によって大気中の疲労強度は, 10∼17%程度低下する。(2)オーステナイト粒成長抑制効果が大きいことや, 焼入れ性が良いことは, プラズマ切断部の大気中疲労強度向上に有効であることが確認できた。(3)プラズマ切断部の海水中疲労強度には, ほぼ同じような化学成分を有していた3鋼種とも, 有意差は認められなかった。
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—溶接部の長期腐食特性—
鈴木 清, 奥崎 和宏, 粟飯原 周二, 市川 和利, 矢島 浩, 篠崎 賢二, 山本 元道
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34
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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本報では, 溶融亜鉛めっき槽の建造期間短縮と建造コストの低減を目的として, 実績のある被覆アーク溶接法に代わる溶接方法および溶接材料について, 溶融亜鉛による腐食特性の観点から検討した。その結果, 概略以下の結論が得られた。(1)溶融亜鉛による腐食は, 材料のSi含有量に依存し, Si含有量が0.20∼0.47%以上になると腐食は急激に増大する。また, 長時間腐食は, 放物線則に従う。(2)Si含有量の少ない溶接材料を用いたガスシールドアーク溶接法, およびサブマージアーク溶接法は, 被覆アーク溶接法に代わる溶融亜鉛めっき槽建造時の溶接方法および溶接材料として, 適用可能であると考えられる。
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—溶接部の溶融亜鉛中クリープ破断強度特性—
鈴木 清, 濱田 卓嗣, 粟飯原 周二, 市川 和利, 矢島 浩, 篠崎 賢二, 山本 元道, 頓田 裕基
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35
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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本報では, 溶融亜鉛めっき槽の建造期間短縮と建造コストの低減を目的として, 槽用鋼板の溶接材料の適用性について, 溶融亜鉛中でのクリープ破断強度の観点から検討した結果, 概略以下の結論が得られた。溶融亜鉛めっき槽用鋼板の溶接材料の適用性について, 液体金属脆化感受性, 高温強度, 腐食特性およびクリープ破断強度の観点から評価した結果, Si含有量の少ない溶接材料を用いたガスシールドアーク溶接法が, 最も優れており, 被覆アーク溶接法に代わるめっき槽建造時の溶接材料および溶接方法として適用可能であると考えられる。また, 同様に, Si含有量の少ない溶接材料を用いたサブマージアーク溶接による溶着金属も, 母材なみの材料特性値を有しており適用可能であると考えられる。
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福地 信義, 下野 雅生, 古賀 幹生, 篠田 岳思
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36
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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近年、新らしい機能システムの開発では機能・性能優先の設計から安全性・信頼性を確保した冗長性のあるシステム設計への指向が強まり、また船舶の機能システムには人的要因が大きく係わる人間・機械系のシステムが多いために、両者のインターフェースも含めた安全方策を十分に検討した上で新しいシステムの設計を行うことが必要である。本論文では、船舶近代化のための高度機能をもつシステム設計における安全性・信頼性確保のための安全論について述べた。さらに人間・機械系システムの安全性・信頼性評価のための感覚尺度としての危惧度を用いた解析法を示し、その適用例としての荷役自動化システムの信頼性について解析した。
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篠田 岳思, 福地 信義, 萱島 健吾
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37
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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種々の産業での生産活動による産出は, 互いに他の産業と密接に関連して, 複雑な需給関係を構成している。上流側の産業からの需要をいかに喚起するかが, その産業の発展に大きな影響を受ける。本研究では, 産業間の影響を産業連関表により分析して, 他産業からの造船業への産業波及効果について述べる。また, 国内向け船舶・同修理部門は, 内航海運業を主とする沿海・内水面輸送部門から大きな影響を受け, 現産業構造では上流側にある海運業の盛衰が造船業の盛衰を左右する。このため, 造船業への産業波及効果が期待されるモーダルシフトによる効果の検討を行う。
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古林 義弘, 堤 俊憲
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38
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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液化ガスタンク(球形)の支持構造のスカートにステンレス鋼を用いたサーマルブレーキ構造にさらに低熱伝導率の非金属材料として木材を組み合わせた複数の複合支持構造を考え、液体窒素を用いた模型構造での低温伝熱実験を行い、いずれの構造でもスカートのタンク接合部での温度勾配を従来方式の1/2から1/3以下に小さくすることに成功し、良好な熱遮断効果を得ることを確認した。
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下野 雅生, 松島 和夫, 福戸 淳一
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39
発行日: 2000年
公開日: 2003/06/30
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船橋における操船は2∼3人にて実行されている。日本人の高賃金と高令化により, 単独装置船の開発にせまられた。シミュレータ実験を通じ、航海システムのリスクを同定, システムに必要な機能を作成した。アイフリー操作が可能なシステムを作り, 外部監視の連続性を可能とした。世界の安全レベル以上のシステムを音声入出力装置により達成した。
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