【目的】
アイスクリーム
の製造や評価研究においては,卓上型
アイスクリーム
製造機(以下,卓上機)を使用する例が多く見られるが,製造規模や機器特性の違いのため,実用機で製造した際の研究成果の再現性に疑問が残る.そこで,卓上機と実用機で試作した
アイスクリーム
の特性を比較した.
【方法】卓上機(ICM-15A,Jinroom)および実用機(Compacta 3002RTX,CARPIGIANI)を用いて,同配合率の原料(それぞれ合計量440g,5500g)を用いて
アイスクリーム
を製造した.牛乳 ,生クリーム,砂糖,水,スキムミルク,
アイスクリーム
用増粘剤(パンナネーヴェ)を主原料として,これに抹茶,塩および食用サボテンを添加したものも製造した.双方の機器ともに,冷却・撹拌過程で継時的に試料を採取してオーバーランを測定した.また,クライオSEM(JSM-IT700HR,日本電子株式会社)を用いて試料の構造を観察した.
【結果および考察】卓上機,実用機ともに,製造時間に伴い試料のオーバーランが上昇し,最高値に達した後,下降した.両機器による試料の最大オーバーランを比較すると,絶対値は異なるが,正の相関があった.また,クライオSEMで観察したところ,両機器ともに製造時間が長くなると空気や氷粒子が細かくなり,それら形状の変化も類似していた.以上のように,卓上機と実用機を用いて製造中の
アイスクリーム
は,同様のオーバーランおよび構造の推移を示すとともに,卓上機で試作したオーバーランの値から,実用機による値を予測できる可能性も示唆された.現在,官能評価および物性測定器による硬度測定を行い,両機器による
アイスクリーム
の食感および物性の違いを検討している.
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