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クエリ検索: "サリドマイド"
2,746件中 1-20の結果を表示しています
  • 光学異性体の自己不均一化現象
    徳永 恵津子, 柴田 哲男
    ファルマシア
    2020年 56 巻 4 号 330-334
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    サリドマイド
    の催奇形性はS型の光学異性体に起因し, R
    サリドマイド
    は催奇形性を持たない.しかし,R型の
    サリドマイド
    であっても,生体内でS型とR型の等量混合物(ラセミ体)に変化してしまうことから,
    サリドマイド
    は現在もラセミ体で流通している.では,ラセミ化するにもかかわらず,なぜ,R
    サリドマイド
    には催奇形性が見られなかったのか.一筋縄ではいかない光学異性体の挙動に迫る.
  • *山崎 浩史, 清水 万紀子
    日本毒性学会学術年会
    2022年 49.1 巻 S14-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
    会議録・要旨集 フリー

    サリドマイド
    は、その芳香環が酸化されるヒト不均衡性代謝物5-水酸化体に変換され、さらなる酸化的活性化反応を受ける経路に代謝される一方、主要な解毒反応と考えられるげっ歯類型の脂肪環5′-水酸化体に代謝される。
    サリドマイド
    よる催奇形性を示すサル由来の肝酵素源は、同様にヒト型代謝を触媒する。本研究では、
    サリドマイド
    の第一段階の酸化的代謝反応とその体内動態に関して、催奇形性を示すモデル動物ウサギと、同作用が観察されないラットとの間で比較することを目的とした。ウサギの
    サリドマイド
    低用量経口(2.0 mg/kg)群では、投与 2 時間後に最大血中
    サリドマイド
    濃度を示した。
    サリドマイド
    の第一段階の酸化的代謝物に注目すると、ウサギ血漿中 5-および5′-水酸化体
    サリドマイド
    濃度は、いずれも
    サリドマイド
    濃度の約1/100 程度の低値を示した。ラットに
    サリドマイド
    中用量(250 mg/kg)を経口投与した場合、後者の 5’-水酸化体
    サリドマイド
    に優先的に変換された。この 5’-水酸化体
    サリドマイド
    は、尿中への排泄が容易な硫酸抱合体とグルクロン酸抱合体としてラット血中に存在した。一方、ラットの血中5-水酸化体
    サリドマイド
    濃度は、上記ウサギの場合に比較して低値であった。予備的にヒト肝細胞移植マウスに中用量
    サリドマイド
    を投与した場合、その半数程度が48時間以内に死亡したが、ヒト肝細胞非移植マウスでは、ラットの場合と同様に、見かけの
    サリドマイド
    毒性作用は全く観察されなかった。これらの実験動物における
    サリドマイド
    の薬物動態や薬物応答性の種差を総合的に考慮し、実験的にウサギにて得られた薬物動態特性を基盤情報とし、さらに
    サリドマイド
    研究を薬物動態の視点から展開する予定である。

  • *桑形 麻樹子, 高島 宏昌, 羽田 亮, 田中 加奈子, 長谷川 拓郎, 山崎 浩史, 北嶋 聡
    日本毒性学会学術年会
    2021年 48.1 巻 P-90
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/12
    会議録・要旨集 フリー

    催奇形性懸念のある医薬品服用時の男性避妊期間及びその必要性を設定するエビデンスに基づいた非臨床試験法は確立されていない。そこで、医薬品適正使用を目的とし、雄性生殖能を介した新規発生毒性試験法開発の一環として、雄性精液を介した雌性膣内経路による催奇形性発現を評価するウサギ試験法を立案中である。本研究はモデル薬物として催奇形性物質

    サリドマイド
    を選択し、雄ウサギ(Kbl: NZW)に経口投与後の血漿および精漿中濃度時間推移を検討することを目的とした。
    サリドマイド
    2.0、250および500 mg/kg を一群3匹の雄性ウサギに単回経口投与し、経時的に血漿中および精漿中の
    サリドマイド
    およびヒト不均衡性代謝物5-水酸化体
    サリドマイド
    を液体クロマトグラフ-質量分析計により測定した。
    サリドマイド
    2.0 mg/kg群では、投与2時間後に最大血中濃度を示し、投与24時間後には検出限界まで消失した。一方、250 および500 mg/kg群では、投与7時間後に最大血中濃度を示し、24時間時点まで高濃度を維持した。血漿中5-水酸化体
    サリドマイド
    濃度は、いずれも
    サリドマイド
    濃度の約1/100程度の低値を示した。ウサギ精漿中の
    サリドマイド
    および5-水酸化体
    サリドマイド
    もウサギ血漿中と同様の濃度推移を示し、両者の血漿中と精漿中の濃度比に特段の濃縮は認められず、0.5から1.1の範囲内であった。以上の結果から、
    サリドマイドの経口投与により血漿中と概ね同程度のサリドマイド
    と5-水酸化体
    サリドマイド
    の受動的な精液移行が明らかになった。ウサギへの経口投与による
    サリドマイド
    動態評価の過程で、反復投与時と比較し、単回投与時には
    サリドマイド
    の血中曝露が継続する知見も得られた。これらの薬物動態特性を基盤情報とし、雌性ウサギ膣内への
    サリドマイド
    投与試験をさらに推進する予定である。

  • 栢森 良二
    The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
    2013年 50 巻 12 号 957-961
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/04
    ジャーナル フリー
    Thalidomide embryopathy resulted in babies born with deformities such as phocomelia after their mothers took only a few tablets of thalidomide drug during 36 to 56 days after their last menstrual periods. There are two thalidomide embryopathy groups depending upon whether their hypoplasia is in the limbs or the auditory organs. In the limb group, deformities range from amelia to hypoplasia of the thumb. In the auditory group, the severity can be determined by the degree of deafness. This group is often associated with aplasia of the abducens and facial nucleus. Fifty years after the thalidomide scandal, the drug is still in use. It helps treat leprosy, multiple myeloma, AIDS and cachexia. As of June 2012, there are two hundred and ninetyfive victims still living in Japan. Disabilities include inadequate pinch and grasp, besides short reach. In the last two decades, the condition of these patients has worsened with chronic intractable pain due to overuse of hypoplastic skeletal muscles. They are now suffering from snapping fingers, stenosing tenosynovitis (trigger finger) and carpal tunnel syndrome. As their concomitant deformities or impairments include dislocation of the shoulder, droopy shoulders, hip dislocation, cervical block vertebrae, thoracic kyphosis, scoliosis, occult spina bifida, and L 6 lumbarization, these have become secondary etiologies for chronic pain, resulting in a dependent ADL condition. For these patients, physical exercise or recreation activities have become a viscous circle of ever increasing pain, weakness and fatigue. Furthermore, the resulting inactivity and weight gain has made ADL even more problematic. They also suffer from internal organ anomalies. Thus, a variety of problems including weakness and chronic intractable pain, which may be called post-thalidomide syndrome, has created an additional barrier for the surviving thalidomide embryopathy patients in social participation, as their aging is progressing.
  • 小笠原 隆, 笠松 紀雄, 梅澤 弘毅, 内藤 雄介, 橋爪 一光
    気管支学
    2011年 33 巻 3 号 158-162
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/10/29
    ジャーナル フリー
    背景.
    サリドマイド
    はその免疫調節作用や抗血管新生作用から多発性骨髄腫や他の悪性腫瘍に対しても使用されている.副作用として薬剤性肺障害の報告はまれである.症例.76歳,女性.治療抵抗性の多発性骨髄腫として
    サリドマイド
    の服用6か月後に,病勢悪化と倦怠感が増強し入院した.自覚症状はないが胸部X線写真にて浸潤影を認めた.気管支肺胞洗浄で著明なリンパ球増多と肺生検にて間質性肺炎に矛盾しない所見を得た.
    サリドマイド
    のみ中止し,胸部画像所見の改善を認め,
    サリドマイド
    による薬剤性肺障害と診断した.結論.無症状で発見された
    サリドマイド
    による薬剤性肺障害を経験した.
    サリドマイド
    投与中は定期的な胸部画像検査も必要と考えられた.
  • 岩井 友香里, 大野 愛, 三浦 崇則, 勝見 章男, 加藤 智則, 伊藤 達也, 小野 芳孝
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2005年 54 巻 2G11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     
    サリドマイド
    は、鎮静・睡眠薬として世界中で使用されたが、胎児寄形という大きな薬害を引き起こし、販売が中止された薬剤である。近年、アメリカで難治性多発性骨髄腫に対し治療効果があると報告され、患者の個人輸入により
    サリドマイド
    が使用されている。しかし、その管理は必ずしも適正であるとはいえず、再び
    サリドマイド
    による被害が発生する危険性が否定できない状況であり、昨年12月に、厚生労働省より「多発性骨髄腫に対する、
    サリドマイド
    の適正使用ガイドライン」が出された。当院では、それ以前から
    サリドマイド
    治療がスタートしており、我々も
    サリドマイド
    の管理と運用に積極的に関わってきたので、その運用方法と現在の状況を報告する。

    【運用方法】
     
    サリドマイド
    が患者の輸入手続により手元に届いたら、すぐに薬剤・供給部門の専用の保管場所に保管し、
    サリドマイド
    管理用ファイルを作成する。管理用ファイルには、患者名、患者ID、生年月日、管理ファイル作成日、作成者、依頼医師名、入庫日、入庫数、ロット番号、残数を記入している。
    サリドマイド
    は麻薬と同等の扱いで調剤や受け渡しを行ない、常に施錠された場所に保管するなど厳重に管理している。また、
    サリドマイド
    による治療は入院中に開始されるため、病棟薬剤師が服用前に服薬指導を行なうこととした。その際に、用法、用量、副作用に加え、
    サリドマイド
    の社会的な背景をお話し、服用中の飲み残しがあった場合、服用が中止になった場合は必ず薬剤・供給部門への返却をお願いした。また、自宅での管理方法の指導も行ない、誤って第三者が
    サリドマイド
    を服用することがないように十分に説明を行なった。

    【実際の状況】
     現在内服中の患者は、体調不良等により飲み残しが発生した際に、薬剤・供給部門の窓口に飲み残し分をすべて返却している。患者自身が
    サリドマイド
    の返却の意義を充分に理解しており、不要な
    サリドマイド
    はすべて回収され、この薬物が適正に管理されているといえる。

    【おわりに】
     
    サリドマイド
    を薬剤・供給部門で厳重に管理し、患者へ十分な説明を行なうことで、他に薬害を出すことなく安全に治療を進めることができている。過去の経緯から、
    サリドマイド
    が適正に使用されないことで、全面的に使用が制限されてしまう事態を招く可能性もある。
    サリドマイド
    の承認を待つ患者も多い中、その適正使用に薬剤師が関わる意義は大きいと考える。今回の経験を生かし、他の薬剤の適正使用にも薬剤師が積極的に関わり、患者の治療の選択肢の幅を広げていけたらと思う。
  • 石井 則久, 石田 裕, 岡野 美子, 尾崎 元昭, 儀同 政一, 熊野 公子, 後藤 正道, 野上 玲子, 畑野 研太郎, 山田 暁, 四津 里英
    日本ハンセン病学会雑誌
    2011年 80 巻 3 号 275-285
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
     ハンセン病の急性症状としての2型らい反応(らい性結節性紅斑、erythema nodosum leprosum: ENL)の治療薬として
    サリドマイド
    がある。日本においては多発性骨髄腫に保険適用になっている。使用には
    サリドマイド
    製剤安全管理手順(Thalidomide Education and Risk Management System: TERMS®)を適正に遵守することになっている。
     今回
    サリドマイド
    を2型らい反応に使用するにあたって診療ガイドラインを作成した。2 型らい反応に対しての
    サリドマイド
    使用の経験や文献は多くない。そのため、TERMS® を適正に遵守し、
    サリドマイド
    を就寝前に50 〜100mg 内服から開始し、症状の変化を観察しながら増減することで2型らい反応をコントロールすることとした。
  • 水村 容子, 小川 信子
    日本建築学会計画系論文集
    2002年 67 巻 555 号 157-162
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to study about conditions of housing environments for people with congenital upper limb disabilities, focusing on pains that have been happened to their bodies when they manage activities of daily lives in pre-built environments for able-body people. The subject of this study is the people with Thalidomideinduced upper limb disabilities both in Japan and Sweden. From the results of this study, it become clear that frequencies of occurrence of pains with feet, back, hands and fingers are high in Japan. Though those frequencies are low in Sweden, pains with neck and back of neck happen frequently.
  • 羽生 尚広, 伊藤 拓水, 安藤 秀樹, 山口 雄輝, 半田 宏
    谷本学校 毒性質問箱
    2012年 2012 巻 14 号 99-105
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2023/12/27
    解説誌・一般情報誌 フリー

     

    サリドマイド
    は、近年ハンセン病治療薬、多発性骨髄腫治療薬として販売が再開されているが、半世紀にわたる研究にも関わらずその催奇性の分子機構は不明のままであった。我々は、
    サリドマイド
    が実際に結合し作用する標的タンパク質を同定し催奇性のメカニズムを分子レベルで明らかにした。

     我々はまず機能性ナノ磁性微粒子を用い、

    サリドマイド
    が直接結合するタンパク質セレブロンを同定した。セレブロンはタンパク質分解に関わる酵素複合体(ユビキチンリガーゼ)の構成因子であり、胎児の四肢の形成に重要な役割を果たしていること、
    サリドマイド
    はセレブロンに結合してこの酵素活性を阻害することがわかった。更に、
    サリドマイド
    が結合しないように改変したセレブロンの遺伝子を導入したゼブラフィッシュとニワトリでは、
    サリドマイド
    による奇形がほとんど見られなくなることを確認し、セレブロンが
    サリドマイド
    催奇性の標的因子であることを立証した。

  • 巨山 保, 小沢 孝文
    日本口腔科学会雑誌
    1970年 19 巻 4 号 918-923
    発行日: 1970年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • -推計学の立場から-
    増山 元三郎
    順天堂医学
    1971年 17 巻 2 号 181-189
    発行日: 1971/07/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
  • *長谷川 拓郎, 白方 渉太, 高島 宏昌, 山崎 浩史, 北嶋 聡, 桑形 麻樹子
    日本毒性学会学術年会
    2023年 50.1 巻 P3-271
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/08
    会議録・要旨集 フリー

    ウサギ血漿、精液及び子宮内容物(胚,卵黄嚢膜及び胎盤)中の

    サリドマイド
    、5-ヒドロキシ
    サリドマイド
    及び5'-ヒドロキシ
    サリドマイド
    の定量法を開発し、バリデーションを実施した。ポマリドマイドを内標準物質(IS)として使用した。 子宮内容物は、Shake Master NEOを用いてホモジナイズした。すべてのマトリックスは、最初にSorensen -クエン酸緩衝液(pH1.5)で安定化した。生体試料からOasis HLBによる固相抽出で分析対象物を抽出した。移動相は0.1%酢酸含有アセトニトリル-水(50:50)を用いた。トリプル四重極質量分析計TQ5500(AB SCIEX)を用いて、エレクトロスプレーイオン化モードで検出した。ポジティブモードでは
    サリドマイド
    の前駆体-生成物イオン遷移m/z 258.9→186.0及びISのm/z 273.9→201.0、ネガティブモードでは5-ヒドロキシ
    サリドマイド
    のm/z 272.9→160.9、5'-ヒドロキシ
    サリドマイド
    のm/z 272.9→146.0及びISのm/z 271.9→161.0を定量に用いた。検量線の濃度範囲は、血漿中での
    サリドマイド
    は0.400~400 ng/mL,2つの代謝物は0.0400~40.0 ng/mLであった。また、精液中では
    サリドマイド
    が4.00~4000 ng/g、2つの代謝物が0.400~400 ng/g、子宮内容物中では
    サリドマイド
    が0.800~800 ng/g、2つの代謝物が0.0800~80.0ng/gであった。この測定方法を用いて直線性、測定バッチ内の真度及び精度に関して検証した。
    サリドマイド投与後のウサギから採取した生体試料中のサリドマイド
    及び2つの代謝物の濃度を測定するために本法を適用した。

  • 石井 則久
    日本ハンセン病学会雑誌
    2010年 79 巻 3 号 275-279
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2012/02/02
    ジャーナル フリー
  • 松木 孝之, 岡野 美子, 青木 美憲, 石田 裕, 畑野 研太郎, 熊野 公子
    日本ハンセン病学会雑誌
    2014年 83 巻 3 号 111-116
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/08/17
    ジャーナル フリー

     国立療養所邑久光明園で1978年以降の

    サリドマイド
    投与例のうち、2011年5月の時点で生存する20例について、2型らい反応の臨床像と菌検査結果と
    サリドマイド
    の投与歴の関係をretrospectiveに調査した。
    サリドマイド
    の投与量は総投与量、1日平均投与量、1日最高投与量、1日最低投与量、投与リズムを検討した。
    サリドマイド
    の効果は19例にみられ、明確な副作用の記載はなかった。
    サリドマイド
    の用量では、1日平均投与量は19mgである。1日最高投与量は、100mg以上が3例 (15%) であり、50mgが3例 (15%)、他の14例 (70%) では40mg以下で、治療効果が得られている。ほとんどの症例で漸減法が行われていたが、丁寧に試行錯誤しながら治療に導いたことが読み取れる。わが国における2型らい反応に対する
    サリドマイド
    の投与量の検討は、あまり行われていない。今回の検討の結果からみると、諸外国で用いられている投与量よりも少量で、現在の日本のガイドラインで推奨されている1日50〜100mgよりも少量でも2型らい反応をコントロールできる可能性が示唆される。

  • *安藤 昌幸, 宇田 裕
    日本トキシコロジー学会学術年会
    2007年 34 巻 O-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/23
    会議録・要旨集 フリー
    サリドマイド
    は、過去に催奇形性などによる深刻な薬害を引き起こしたことで広く知られている薬物であるが、近年では炎症性サイトカインの産生抑制作用などにより種々の疾病の治療薬として応用することが期待されている。
    サリドマイド
    あるいはその類縁化合物を治療薬として用いる場合、これらの体内動態を明らかにすることが薬効及び毒性発現機序を解明する上で重要である。そこで、
    サリドマイド
    の体内動態解析の一環として、ヒト血清中におけるin vitro代謝について検討を行うこととした。
    サリドマイド
    は不斉中心を有しており、多くの薬毒物と同様にエナンチオマー間にはpharmacokineticsおよびpharmacodynamicsに差異があると予想されるため、まず
    サリドマイド
    のエナンチオ分離HPLCを開発し、これを用いて検討を行った。 その結果、
    サリドマイド
    はヒト血清中で速やかに光学変換を受けることが明らかとなった。また、R体、S体およびラセミ体のいずれから出発してもR体が余剰(e.e. 約10 %)な状態で光学異性体の存在比が平衡に達することが明らかとなった。さらには、
    サリドマイド
    はヒト血清中で酵素的あるいは非酵素的に化学変換を受け、比較的速やかに消失することも明らかとなった。これらの光学変換および消失に関して詳細な速度論的な解析を行うとともに、各種阻害剤などによる反応機構の解明を進めており、その結果について報告する予定である。
  • 小林 直木
    ファルマシア
    2014年 50 巻 11 号 1145
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    サリドマイド
    は1960年前後,不眠症やつわりの治療に使われたが,催奇形性のあることが判明し,1962年にいったんは販売中止となった薬剤である.しかしその後,多発性骨髄腫への有効性が明らかとなり,2008年に再発または難治性の多発性骨髄腫治療薬として再認可された.
    サリドマイド
    誘導体のレナリドミドは,2010年に承認された多発性骨髄腫治療薬であり,
    サリドマイド
    と同様に催奇形性を有するが,デキサメタゾンとの併用療法において高い有効性が示されている.多発性骨髄腫は,B細胞の最終分化段階である形質細胞の腫瘍であり,
    サリドマイド
    やレナリドミドは,多発性骨髄腫の増殖を抑制する作用を持つが,さらに,インターロイキン2(IL-2)依存性のT細胞の増殖促進,炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子-α(TNF-α)産生抑制,血管新生阻害など多面的な作用を持つことが知られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ito T. et al., Science, 327, 1345-1350 (2010).
    2) Kronke J. et al., Science, 343, 301-305 (2014).
    3) Lu G. et al., Science, 343, 305-309 (2014).
  • 安野 友博, 藤本 英子, 井端 幸子, 河井 紀子, 浦谷 妙子
    AUDIOLOGY JAPAN
    1968年 11 巻 2 号 129-136
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    We examined the hearingloss of 31 cases in 4-7 years old children who had congenital malformation of the external ear.
    In case of congenital malformation of bilateral. external ears, two cases were diagnosed as sensorineural hypoacusis and the others conductive hypoacusis. The hearingloss of the bilateral microtia was found to be more severe than that of the unilateral microtia combined no other deformity.
    Characteristically, 6 out of 31 cases were seemed to be concerned with salidmide.
    Regarding to language development, children showed congenital conductive hypoacusis were favourable in development of vocabulary, articulation, language comprehension, discrimination score and special training, in comparison with children showed sensorineural hypoacusis with the same grade of hearingloss as above conductive hypoacusis.
  • *松澤 直樹, 中村 克徳, 百瀬 泰行, 松永 民秀, 松田 正之, 大森 栄
    日本トキシコロジー学会学術年会
    2010年 37 巻 P81
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    サリドマイド
    は,睡眠薬として開発・販売されたが,妊娠初期に用いられた場合にフォコメリアと呼ばれる四肢の全部あるいは 一部が短いなど特有の奇形を持つ新生児の多発が報告された。このことから,日本では1962年に販売が中止されたが,近年,再発又 は難治性の多発性骨髄腫治療薬としての効能が見いだされ,2009年2月に販売が再開された。
    サリドマイド
    は,その一部がCYP2C19 により代謝されることが報告されているが,CYP2C19 遺伝子多型による
    サリドマイド
    の動態への影響および薬効・副作用への影響に ついてはほとんど報告がない。本研究では,
    サリドマイド
    を安全で適正に使用するため,
    サリドマイド
    血中濃度とCYP2C19 の関連の 有無について検討した。
    【方法】
    サリドマイド
    (海外の輸入品あるいはサレドカプセル)投与を受けている信州大学医学部附属病院(当院)入院中の日本人患者5名 から文書による同意を得た後,末梢血を採取しCYP2C19*2および*3 遺伝子変異の有無をPCR-RFLP法により判定した。血中濃度は Sembongiら1)の報告を参考にHPLCを用いて測定した。なお,本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得ている。
    【結果】
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    服用患者5名のCYP2C19の遺伝子型は, それぞれCYP2C19 PM2名,CYP2C19 heteroEM3名であり, CYP2C19 EMはいなかった。CYP2C19 PMの患者では,CYP2C19 EMの患者と比較しCmaxがおよそ1.6倍に上昇していた。
    【考察】本研究から,CYP2C19の遺伝子型が
    サリドマイド
    の体内動態に影響を与える可能性があることが示唆された。現在のところ, この薬物動態の変化が薬効及び副作用にどの程度影響を及ぼすかは不明である。また,この変化が製剤学的な違いによる可能性もある ことから,今後症例数を増やして詳細に解析する。
    1) Sembongi K et al:Biol Pharm Bull . 31, 497-500, 2008.
  • 指宿 忠昭, 大胡田 茂夫, 高木 秀峰
    日本体育学会大会号
    1982年 33 巻 16-1020-0576
    発行日: 1982/10/15
    公開日: 2017/08/25
    会議録・要旨集 フリー
  • *柴田 哲男
    日本毒性学会学術年会
    2022年 49.1 巻 S14-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
    会議録・要旨集 フリー

    サリドマイド
    は1950年代に睡眠薬/鎮静薬として販売されたが,新生児に重篤な障害(四肢奇形)を誘発することが判明し使用が禁止された。しかし現在では,多発性骨髄腫やENL (erythema nodosum leprosum)の治療薬として世界各国で再認可されている。ただし,
    サリドマイド
    が持つ催奇形性は消えたわけではない。催奇形を回避するためには,厳重な服薬指導に頼るしかないのが現状である。ところで
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    にはR型とS型の鏡像異性体が存在する。1979年,ミュンスター大学のBlaschke教授らは,独自に開発した光学異性体分離カラムクロマトグラフィーを用いて鏡像異性体を分離し,それぞれによる動物実験を行った。その結果,
    サリドマイド
    のS型鏡像異性体にのみ催奇形性が観察され,R型鏡像異性体は奇形を誘発しないという実験結果を得ている。この報告は医薬品開発における鏡像異性体の薬効の差異を認識させる重要な論文となり,鏡像異性体の片方のみを選択的につくる技術「不斉合成」の発展に大きく影響した。しかし実際には,
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    はからだの中でそれらの平衡混合物になるため,
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    は,ラセミ体が医薬品として使用されている。さて,
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    はラセミ化するわけであるため,実際にはどちらを使用しても同じ結果になるはずである。ではBlaschke教授らの結果をどのように説明すれば良いのであろうか。この矛盾「
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    パラドックス」は,これまで説明することが出来ず,大きな疑問の一つであった。今回我々は,生体内自己不均一化現象を用いてこのパラドックスを説明することに成功したので,その詳細について発表する。この成果は,安全な
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    の開発研究を進めるうえで大きな弾みになると期待出来るだけでなく,鏡像異性体の存在する医薬品の扱いに警鐘を鳴らすことになると考えている。

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