グラム陰性の偏性嫌気性菌であるPorphyromonas gingivalisは,歯周病の最も有力な原因菌であると考えられている.P.gingivalisの産生する
ジンジパイン
は,発育増殖に不可欠な因子であると同時に,宿主タンパクを広範に分解し宿主免疫機構の破綻をきたす重要な病原因子である.本研究では,
ジンジパイン
を標的とした受動免疫による歯周病治療の可能性について検討した.
ジンジパイン抗原を免疫した鶏卵から抽出した抗ジンジパイン
鶏卵抗体(IgY-GP)を含有するタブレットを調製し,被験者に8週間投与した.その結果,投与前後で臨床症状に顕著な変化は認められなかったが,細菌学的評価では,唾液中の総細菌数に対するP.gingivalisの割合がIgY-GP含有タブレットを服用した群で統計学的に有意に減少した.今後,さらにIgY-GPの有用性を明らかにし,効果的な使用方法を確立するために,さらなる研究が必要であると考えられる.
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