絶食した
ニワトリ
から得た血清が,
ニワトリ
胚繊維芽細胞の蛋白質合成におよぼす影響について調査した。2日間市販通常飼料を自由摂取あるいは2日間絶食させた6週齢の
ニワトリ
から血清を採取し,
ニワトリ
胚繊維芽細胞の蛋白質合成促進効果をウシ胎児血清と比較した。
ニワトリ
胚繊維芽細胞は,9日間孵卵した
ニワトリ
胚から採集した。培養液中の血清濃度は0, 2, 5, 10および20%とした。各濃度の血清を添加した培養液中で
ニワトリ
胚繊維芽細胞を54時間培養した後,L-[2,6-
3H]フェニルアラニン(37kBq/m
l)を培養液中に添加し,さらに18時間培養し,蛋白質に取り込まれた放射能量を蛋白質合成の指標とした。
無血清培養液群の蛋白質合成が最も低くなり,全ての種類の血清において,血清濃度が2から20%と上昇するのにともなって蛋白質合成が増加した。血清濃度が10%以上では,絶食した
ニワトリ
から得た血清を用いて培養した繊維芽細胞の蛋白質合成は,他の群の蛋白質合成より有意に低かった。絶食した
ニワトリ
から得た血清群(血清濃度20%)の培養液に
ニワトリ
インシュリン様増殖因子-I(IGF-I)を50μg/m
lとなるように添加したところ,
ニワトリ
胚繊維芽細胞の蛋白質合成は,通常飼料を自由摂取させた
ニワトリ
の血清群との間に有意な差は認められなかった。
以上の結果から,
ニワトリ血清のもつニワトリ
胚繊維芽細胞の蛋白質合成促進効果の一部は,而1中IGF-Iによって説明できることが示された。
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