詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "プロバイオティクス"
1,715件中 1-20の結果を表示しています
  • 梅﨑 良則
    腸内細菌学雑誌
    2011年 25 巻 3 号 157-164
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/06
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    ”という言葉とともに
    プロバイオティクス
    製品が我々の日常生活の中で極めて一般的なものになろうとしている.今日にみるこの
    プロバイオティクス
    の普及は国内にとどまらず,グローバルな傾向であり,その背景には人々の科学的な情報に基づく健康への関心の高さがあると思われる.現時点であらためて,この
    プロバイオティクスの普及の背景となった日本でのプロバイオティクス製品の誕生の背景からプロバイオティ
    クス
    のコンセプトと定義の変遷,そして
    プロバイオティクス
    に期待される機能性については,整腸作用から出発して,発酵乳,ヨーグルトのような食品,あるいは菌末を主体とするサプリメントとしての
    プロバイオティクス
    の多方面にわたる医学的な展開についてサイエンス的な側面を中心に議論する.最後に,今後の
    プロバイオティクス
    の方向性に影響を与えると推測されるヘルスクレイムの法的な規制も含めて,
    プロバイオティクス
    の将来を考えてみたい.
  • 田岡 洋介, 前田 広人, Jae-Yoon JO, 坂田 泰造
    水産増殖
    2007年 55 巻 2 号 183-189
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    魚類の消化酵素合成に対する生菌体及び死菌体
    プロバイオティクス
    の添加効果を検討するため, 市販
    プロバイオティクス
    製剤を配合飼料若しくは飼育水に添加し, 閉鎖式循環水槽を用い, テラピアを飼育した。アミラーゼ活性は,
    プロバイオティクス
    処理区, 特に生菌飼料区, 生菌飼育水投与区において強い活性が認められた。トリプシン活性も全ての
    プロバイオティクス
    処理区において高い傾向を示したことから, 生菌体
    プロバイオティクス
    が特に消化酵素合成促進に寄与することが示唆された。
  • 神谷 茂
    腸内細菌学雑誌
    2010年 24 巻 1 号 1-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/27
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    (probiotics)の投与がHelicobacter pylori感染症に有用であることが報告されている. Lactobacillus, Bifidobacterium, Streptococcus, Clostridium, Saccharomycesなどの
    プロバイオティクス
    in vitroにてH.pyloriの付着や増殖を抑制する.また,無菌マウス,スナネズミなどの実験動物を使用した in vivo研究において,各種の
    プロバイオティクス
    H. pyloriの胃内定着を抑制することが明らかにされている.メタ解析を含む多数の臨床研究からも
    プロバイオティクス
    H. pylori持続感染菌量の低減作用,除菌率向上作用および抗菌薬による副作用防止効果が示されている.副作用の殆どない
    プロバイオティクス
    H. pylori感染症の除菌治療の際に有効に使用していくことが今後期待されている.
  • 神谷 茂
    日本細菌学雑誌
    2007年 62 巻 2 号 271-277
    発行日: 2007/05/25
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    (probiotics) は腸管内の正常細菌叢 (normal bacterial flora) に作用し, そのバランスを改善することにより生体に利益的に作用する微生物のことである。
    プロバイオティクス
    の投与は腸管感染症, 炎症性腸疾患, アレルギー疾患のみならずHelicobacter pylori 感染症などの予防や治療にも有用であることが多数報告されている。Lactobacillus, Bifidobacterium, Clostridium, Saccharomyces などの
    プロバイオティクス
    H. pylori の付着や増殖を抑制することがin vitroおよびin vivo実験により明らかにされている。また, 臨床研究からも
    プロバイオティクス
    H. pylori 持続感染菌量の低減作用や抗菌薬による副作用防止効果が示されている。副作用のほとんどない
    プロバイオティクス
    H. pylori 感染症の除菌治療の際に有効に使用していくことが期待されている。
  • 腸内菌叢と腸管免疫システムに対する作用
    細井 知弘
    日本醸造協会誌
    2003年 98 巻 12 号 830-839
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    (probiotics) とは,「宿主の腸内菌叢のバランスを改善することにより, 宿主にとって有益な作用をもたらす生きた微生物, 並びにそれらを含む食贔」と定義される。
    プロバイオティクス
    の効果としては, 腸内菌叢の改善, 腸管感染症下痢症の改善, 便秘の解消, 免疫機能向上, 血圧低下などが報告されている。ここでは, 腸内菌叢と腸管免疫システムについての概説と, 大豆発酵食品である納豆に関与する納豆菌や納豆の
    プロバイオティクス
    としての作用について, 解説していただいた。
  • 金森 豊
    静脈経腸栄養
    2010年 25 巻 4 号 923-928
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は
    プロバイオティクス
    とプレバイオティクスを併用するシンバイオティクス療法を1997年から重症小児外科疾患患児に応用してきた。これは、Bifidobacterium breve Yakult 株とLactobacillus casei Shirota 株の二種類の
    プロバイオティクス
    とガラクトオリゴ糖を用いる方法で、この治療により異常な腸内細菌叢を有した患児の腸内細菌叢を改善し、腸炎の頻度を低下させて患児の栄養状態を改善することが可能であった。最近では、重症患児において早期から上記二種類の
    プロバイオティクス
    と母乳を併用する予防的シンバイオティクス療法をおこなって、患児の腸内細菌叢をいち早く正常に誘導し、成長を促す試みをおこない、良好な結果を得ている。本稿では、予防的
    プロバイオティクス
    療法の実際を症例で提示し、その効果をもたらす理論的背景について解説する。
  • ―T-RFLP法による糞便細菌叢の解析からの考察―
    長嶺 敬彦
    日本未病システム学会雑誌
    2004年 10 巻 2 号 237-244
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    腸内細菌叢が起因菌となる敗血症であるbacterial translocationは, 感染, 免疫, 老化を考える上で示唆に富む病態である。本来共存関係にあるべき腸内細菌が腸管のバリアを通過して宿主に著しい害を与える現象である。治療には敗血症の起因菌に対して感受性のある抗生物質が使用されるが, 必ずしも全例に有効であるわけではない。そこで
    プロバイオティクス
    の概念から益生菌を併用したところ, 明らかに治療効果が上がった。
    今回, bacterial translocationの治療に抗生物質単独より
    プロバイオティクス
    を併用した方がなぜ有効であるのかを検討した。Bacterial translocationの既往がある患者で,
    プロバイオティクス
    を用いたときの糞便細菌叢の変化を分子生物学的手法 (T-RFLP法) で検討した。
    Bacterial translocationの既往がある患者では, Clostridium, Bacteroides, Ruminococcus, Enterococcusが優勢で, Bifidobacteriumが非常に少ないことがわかった。
    プロバイオティクス
    を投与せず経過を追うと, 糞便細菌叢はほとんど変化しなかった。それに対して
    プロバイオティクス
    を投与した患者では, 明らかに糞便細菌叢のパターンが変化した。Bacterial translocationの治療に
    プロバイオティクス
    が有効である理由として, 腸内細菌叢のパターンが変化し, 宿主に良い影響を与えることが考えられた。
  • 辨野 義己, 呉 太廣
    土と微生物
    2001年 55 巻 2 号 105-111
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    先進国において抗菌性物質の飼料への添加が規制されるにいたり,これに代わるものとして,
    プロバイオティクス
    と総称される乳酸菌生剤や乳酸発酵産物が家畜・家禽の発育促進,飼料効率の改善,または下痢の予防・治療などの目的で使用される機会が多くなっている。家畜・家禽の生産性向上に有効な
    プロバイオティクス
    の研究開発の一環として「ブタの生産性向上に有効な
    プロバイオティクス
    」に関する研究を韓国生命工学研究所と開始し,有用な
    プロバイオティクス
    としての性質(耐酸性,耐胆汁性,各種抗生物質に対する抵抗性,病原菌排除能および下部腸管での定着性)を有する菌株の選択を行うために,ブタの腸管からLactobacillus約1万株を分離した。これらから最終的に
    プロバイオティクス
    としての能力を有するL. casei TSC-66株を選択した。さらに,本菌株の投与試験を実施したところ,対照群に比べて成長率の改善,飼料効率の改善,下痢症の低下および腸内アンモニア量の低下などが認められ,生産効果が優れていることが確認された。アジア諸国から輸入される動物性食品は年々増加している中で,それらの安全性の視点からもより有用な
    プロバイオティクス
    の研究開発を生産現場であるアジア諸国の研究者とともに推進することが望まれている。
  • 福田 真嗣, 大野 博司
    腸内細菌学雑誌
    2009年 23 巻 4 号 271-278
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    近年,ヨーグルトなどの乳製品を摂取することで腸内フローラの改善による疾患の改善・予防効果が明らかになると共に,ビフィズス菌や乳酸菌を直接利用する
    プロバイオティクス
    の有用性が,健康維持・予防医学の面から認識されている.腸管出血性大腸菌O157は志賀毒素を産生し,下痢や,重症例では時に死に至る溶血性尿毒症症候群を引き起こす最もポピュラーな食中毒原因菌のひとつであるが,これまでに
    プロバイオティクス
    投与によるO157感染症の予防効果が多数報告されている.
    プロバイオティクス
    は多種多様な生理活性を持つことが知られているが,O157感染症に対する防御効果は①O157の腸管への付着抑制効果,②志賀毒素産生抑制効果,③O157の増殖抑制効果に大別される.
    プロバイオティクス
    菌株によってO157感染症に対する防御効果の種類は異なるが,それら防御効果の詳細な分子機構についてはいくつかの報告があるのみに留まっている.本稿では腸管出血性大腸菌O157:H7に対する感染防御能を有する種々の
    プロバイオティクス
    を用いた in vitroあるいはマウスモデルを用いたin vivoでの研究について紹介し,
    プロバイオティクス
    によるO157感染防御効果に関する研究の現状と,今後必要とされるであろう研究の展開について議論したい.
  • 野本 康二
    日本未病システム学会雑誌
    2006年 12 巻 1 号 43-46
    発行日: 2006/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    は, 「十分量を摂取することにより宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」として定義される。
    プロバイオティクス
    であるLactobacillusBifidobacteriumは, その腸管環境改善作用や免疫賦活作用により, 種々の動物実験モデルにおける細菌感染防御作用を発揮する。さらに,
    プロバイオティクス
    とプレバイオティクス (オリゴ糖) の併用 (シンバイオティクス) が, 小児外科や消化器外科などの領域において術後の感染性合併症に対する予防作用を発揮するという報告もなされている。
  • 加藤 豪人
    腸内細菌学雑誌
    2019年 33 巻 4 号 175-189
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/29
    ジャーナル フリー

    プロバイオティクス
    は,宿主の常在細菌叢のバランスの改善を介して有益な作用をもたらす生きた微生物として,古くから発酵食品をはじめとした食品に利用されてきた.近年の菌叢解析技術の発展により,種々の疾病の原因として腸内細菌が関与することが明らかになり,
    プロバイオティクス
    の利用範囲も健常人だけではなく疾病罹患者にも拡大している.本節では,健常人から免疫系疾患,代謝系疾患,神経系疾患まで種々の健康状態を対象とした
    プロバイオティクス
    の有効性を解析しているランダム化比較試験を中心に紹介するが,ヒト試験においては
    プロバイオティクス
    の生理効果が腸内細菌叢の変化を介していることを明確に示す報告は極めて少ない.今後,メタゲノム解析やメタトランスクリプトーム解析等を用いた腸内細菌叢の機能解析やヒトでの
    プロバイオティクス
    の効果検証方法などを工夫し,さらにエビデンスを重ねていく必要がある.

  • 自然防御への可能性
    福島 洋一
    化学と生物
    2008年 46 巻 1 号 17-23
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    を摂取する,すなわち生きた細菌を食べて健康を得る.ヒトは細菌に対する備えとして免疫などの系を発達させてきた.そしてまた,細菌を食べるという食文化も生み出してきた.近年,科学は安全に食することができ,さらに宿主の系を刺激してヒトの自然防御力を引き出す能力を有する菌株を選択し,
    プロバイオティクス
    として利用することを始めた.
    プロバイオティクス
    の研究は,現在どこまで進み,今後どのような展開を見せようとしているのか.自然防御の可能性を中心にその展望について述べる.
  • 高橋 良樹, 福田 能啓, 野口 敬康, 三野 幸治, 奥田 真珠美
    静脈経腸栄養
    2014年 29 巻 2 号 741-747
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    【目的】麹菌醗酵産物が TNBS誘発大腸炎ラットの腸管病変に及ぼす効果を検討した。【方法】麹菌醗酵産物(
    プロバイオティクス
    麹)として強力わかもと®、その組成分アスペルギルス・オリゼー NK菌培養末を用いた。ラットに5%
    プロバイオティクス
    麹を4週間混餌投与し、TNBS/50% Ethanol注腸で大腸炎を誘発した。対照群は精製飼料を同様に投与し、大腸炎を誘発した。TNBS注腸7日後に、大腸病変、大腸のsuperoxidedismutase(SOD)、myeloperoxidase活性と血清 Zn濃度、大腸のサイトカイン mRNA量、糞便Lactobacillus属の変化、下痢固体数などを評価した。【成績】5%
    プロバイオティクス
    麹投与群では、対照群に比して体重減少、下痢が抑制され、大腸重量と傷害スコアの上昇が有意に抑えられ、SOD活性、Lactobacillus属と Zn濃度の低下も有意に改善又は改善傾向を認めた。著しく上昇した TNF-α、Cytokine induced neutrophil chemoattractant-1は、
    プロバイオティクス
    麹により有意に抑制された(p<0.01)。【結論】
    プロバイオティクス
    麹は、TNBS誘発大腸炎の大腸病変の悪化を防止し、腸管環境を改善した。
  • 田附 裕子, 前田 貢作, 和佐 勝史, 飯干 泰彦, 藤元 治朗
    静脈経腸栄養
    2010年 25 巻 4 号 929-934
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    小児外科外来では、ヒルシュスプルング病・類縁疾患などとの鑑別を含め慢性便秘症の症例に多く遭遇する。基礎疾患が除外された慢性便秘症の多くは生活習慣による機能性便秘であり、排便習慣が確立するまでの根気強いフォローが必要となる。近年、予防医学の観点から
    プロバイオティクス
    の効果が報告されている。小児の慢性便秘に対しても
    プロバイオティクス
    の臨床的な投与効果が期待される。
  • Con:アレルギーの予防は不可能である
    大嶋 勇成
    日本小児アレルギー学会誌
    2020年 34 巻 1 号 153-157
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル 認証あり

    プロバイオティクス
    やプレバイオティクスの作用機序の解析から,アレルギー性疾患の発症予防効果が期待される.しかし,介入研究のシステマティクレビューやメタ解析からは,
    プロバイオティクス
    は湿疹の発症を予防するが,他のアレルギーを予防する効果は認められない.一方,プレバイオティクスには食物アレルギーや喘息の発症予防効果を認める.しかしながら,出版バイアスや研究の多様性,結果のばらつきなどからこれらのエビデンスレベルは極めて低い.そのため,主要なガイドラインでは,
    プロバイオティクス
    やプレバイオティクスはアレルギー疾患の発症予防としては積極的には推奨されていない.
    プロバイオティクス
    やプレバイオティクスによる制御性T細胞の誘導効果などは投与中止により減弱することや,予防効果が期待できない児が存在する可能性を考慮すると,介入対象者を同定する方法や,有効な投与方法が確立されない限り
    プロバイオティクス
    やプレバイオティクスは予防方法として推奨できない.

  • Ian L. Brown, Masaru Yotsuzuka, Anne Birkett, Anders Henriksson
    日本食物繊維学会誌
    2006年 10 巻 1 号 1-10
    発行日: 2006/06/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     レジスタントスターチ(RS)は多彩な生理学的機能を発揮するが,その効果の多くはRSの大腸内菌叢による醗酵に由来する。RSは特定の腸内益性菌の増殖を促進するとともに多くの病原性細菌を抑制することによりプレバイオティクスとして機能することが観察されている。RSは腸内常在菌叢を活性化するので細菌性の下痢や炎症性大腸炎などの治癒を助ける。
    プロバイオティクス
    は宿主の健康を改善すると考えられてきたが,その有効性に関する検証結果は必ずしも一貫性のあるものではなかった。このような中で,
    プロバイオティクス
    とプレバイオティクスを組み合わせた『シンバイオティクス』が
    プロバイオティクス
    の有益な効果の再現性を改善するものとして提案されている。また,RSは特定の
    プロバイオティクス
    を狙った標的シンバイオティクス開発の可能性を提供する。この場合,RSは上部消化管内通過に際して
    プロバイオティクス
    を保護するとともに大腸内で好ましい特定の生理機能を誘発するなど,多面的な機能を発揮する。Bifidobacteria lactisとそれが好んで醗酵するハイアミロースコーン起源のRSとを配合した『シンバイオティクス』は,大・直腸がんのモデルラットでアポトーシス係数を顕著に高めることが示されている。RSは,その多様性のため,目的に応じて適切な
    プロバイオティクス
    を用いて標的特異的な『シンバイオティクス』を開発し,大腸の健康の改善や疾患の治療に寄与する機会を提供する。
  • 田村 基
    日本食品科学工学会誌
    2010年 57 巻 10 号 446
    発行日: 2010/10/15
    公開日: 2010/12/01
    ジャーナル フリー
    バイオジェニックスとは,光岡博士が提案した言葉で,腸内フローラを介することなく,直接,免疫賦活,コレステロール低下作用,血圧降下作用,整腸作用,抗腫瘍効果などの生体調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御に働く食品成分のことである.免疫強化物質,血圧降下・コレステロール低下物質を含む各種生理活性ペプチド,植物ポリフェノール,DHA(ドコサヘキサエン酸),EPA(エイコサペンタエン酸),ビタミンなどの食品成分がこれに該当する1)
    機能性食品の範疇に属する
    プロバイオティクス
    は「腸内微生物のバランスを改善することで宿主に有益に働く生菌添加物」であるし,プレバイオティクスは,「腸内の有用菌の増殖を促進もしくは,活性を高めて宿主の健康に寄与する難消化性食品成分」であり両者とも腸内フローラに直接働きかけることが特徴である.これに対し,バイオジェニックスは,腸内フローラを介することなく,宿主のなんらかの健康に寄与する成分である.代表的なバイオジェニックスには,生理活性ペプチドが挙げられる.アミノ酸が2個以上結合してできたペプチドには特異的な生理作用を有するペプチドがあり,生理活性ペプチドと呼ぶ.これらの生理活性ペプチドは,本来,不活性なタンパク質由来のものが多く,タンパク質の消化過程や食品の加工・調理中で初めて活性のある構造を生じる場合が多い.生理活性ペプチドであるラクトトリペプチド(Val-Pro-Pro, Ile-Pro-Pro)はLactobacillus helveticusの発酵酸乳から見出された乳カゼイン由来のペプチドである.このラクトトリペプチドは,アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するACE(アンジオテンシン変換酵素 : angiotensin-converting enzyme)を阻害することで血圧降下作用に寄与することが報告された2) . Val-Pro-ProとIle-Pro-Proの高血圧ラットへの単回投与は対照群に比べて血圧が有意に低値を示し,ラクトトリペプチドの血圧降下作用が認められた.さらに,高血圧患者30名を対象にして,ラクトトリペプチドを含む酸乳を投与するプラセボ対照試験を8週間行ったところ,ラクトトリペプチドを含む酸乳はラクトトリペプチドを含まないプラセボ乳に比べて収縮期血圧と拡張期血圧ともに,有意な血圧低下が認められた.このラクトトリペプチドを含む酸乳は血圧が高めの方に適した特定保健用食品として認可されている.
    Val-Tyrは,イワシから見出された生理活性ペプチドで,高血圧自然発症ラット(SHRラット)に対する降圧作用を有し,消化管プロテアーゼ耐性なACE阻害ペプチドである.軽症高血圧者を含む健常人を対象にVal-Tyrを含むドリンクを与えたヒト試験では,軽症高圧者に対して有意な血圧降下作用が認められたことを明らかにして,血圧が高めの方に適した食品として特定保健用食品として認可されている.
    大豆由来のペプチドについても生理活性ペプチドの存在が報告されている.大豆ホエイたん白質のプロテアーゼS分解物から単離・同定されたアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドVal-Lys-Pro, Val-Ala-Pro, Val-Thr-Proのラットにおける血圧降下作用を調べたところ,これら3種のトリペプチドは,高血圧自然発症ラットへの単回経口投与試験により血圧降下作用を有していた.
    血圧降下作用以外にも生理活性ペプチドの効果が報告されている.動物試験において,プロテアーゼ処理したグロブリンの消化物がオリーブ油投与後に血清中性脂肪低下作用を有することが報告されている.この作用には生理活性ペプチドVal-Val-Tyr-Proが関与していた.この中性脂肪低下作用のメカニズムには,脂質の消化管からの吸収抑制および肝臓のトリグリセリドリパーゼの活性化が考えられた.
    ポリフェノール等のバイオジェニックスには,抗酸化作用を有するものが多い.フラボノイドはポリフェノールに属し,フラボノイドにはカテキン,アントシアニン,フラボノールやイソフラボン等があるが,これらフラボノイドにはフラボノイド骨格のみからなるアグリコンとフラボノイド骨格に糖が結合したフラボノイド配糖体が存在する.フラボノイドのアグリコンは小腸から吸収されるが,フラボノイド配糖体のなかには,ルチン(ケルセチン-3-ルチノシド)のように空腸で吸収されず下位消化管に到達し,この部位で吸収・代謝を受けるものも存在するため,アグリコンとある種の配糖体とでは生体に及ぼす生理作用が少し異なる可能性が考えられる.フラボノイドの中には,弱いエストロゲン作用を有するイソフラボンや抗アレルギー作用を有するメチル化カテキンなども存在する.近年,茶葉中メチル化カテキンの抗アレルギー作用が報告されている3) .このようにバイオジェニックスには様々な生理作用を有するものが存在し,今後,新たな機能性食品としての開発が期待される.
  • 野本 康二
    ファルマシア
    2017年 53 巻 11 号 1087-1090
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクス
    やシンバイオティクスの保健機能を支持する臨床研究や非臨床研究の結果が蓄積しているが、食品としての機能性のより確固たる証拠が必要である。保健機能を的確に説明する作用メカニズムの提示も重要であり、腸内フローラおよび環境の改善や自然免疫系などの免疫機能の調節について菌株特異的なメカニズムが示唆されている。新規な
    プロバイオティクス
    として、さまざまな腸内常在細菌の可能性も示唆されている。
  • 永田 智
    順天堂医学
    2011年 57 巻 2 号 115-124
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒトの腸内細菌は, 99%以上が大腸に生息しており, その総数はおよそ100兆にもおよぶ. 腸内において優勢な菌群は, 長い進化の歴史の中でヒトと共生関係を結ぶ「有用菌」であるが, 残念ながら, 加齢, 栄養・生活様式などの影響により, その数は減じ, 代わって有害な性質をもつ悪玉菌の増殖を許し, 腸内環境は悪化していく.
    プロバイオティクス
    とは, 適正量を摂取した際に宿主に有用な作用を示す生菌体と定義されているが, とりもなおさずこの有用菌を基本に製剤化・食品化したものである. 主な
    プロバイオティクス
    として, Bifidobacterium (ビフィズス菌) とLactobacillus (乳酸桿菌) の2グループが知られている.
    プロバイオティクス
    の機能としては, 整腸作用がよく知られているが, 最近は, 細菌, ウイルスに対する感染防御作用, アレルギー抑制作用, 発がん抑制作用, 炎症性腸疾患抑制作用, 肥満解消作用などが新たにクローズアップされている.
    プロバイオティクス
    の抗菌作用は, 腸内での酢酸を主体とする短鎖脂肪酸の産生によるもの, 抗ウイルス・抗がん作用は, 宿主NK細胞の活性化に主に帰するものと思われる. Lactobacillusは, 宿主にTh1型免疫応答を誘導する傾向があるため, 抗アレルギー効果が期待されている. 発がん抑制効果も, NK細胞活性化を介するものと解され, Lactobacillusの効果が臨床研究で証明されている. 炎症性腸疾患はある種の腸内細菌の関与により発症している疑いが濃厚であり,
    プロバイオティクス
    により治癒に導いたり発症を予防できる可能性がある. 潰瘍性大腸炎に対しては, Bifidobacterium, Lactobacillusの寛解導入・維持効果は証明されているが, クローン病に対する有効性は現在のところ疑問視されている. 肥満患者では, 腸内細菌叢のインバランスが起こっている可能性があり,
    プロバイオティクス
    による肥満抑制効果はこれからの課題である.
    プロバイオティクス
    が安全で経済的な治療法として, 臨床の場において第一線で応用されるためには, さらなる臨床研究によるエビデンスの集積が必要である.
  • 佐藤 洋明, 醍醐 政樹, 大関 一裕, 梅崎 光, 工藤 綾子, 山城 雄一郎
    順天堂医学
    2009年 55 巻 2 号 136-141
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: Bifidobacteriaを用いた
    プロバイオティクス
    の投与により, 超低出生体重児 (出生体重1000g未満) および極低出生体重児 (出生体重1000g以上1500g未満) において感染症による死亡率を減少させることが出来るか否かを検討した. 対象および方法: 順天堂静岡病院新生児センターにおいて,
    プロバイオティクス
    の経腸投与を行わなかった時期 (1994-1999) と投与を行った時期 (2001-2006) に入院した低出生体重児における感染症の罹患率について後方視的に比較検討を行った.
    プロバイオティクス
    投与を行わなかった群は309人 (超低出生体重児126人, 極低出生体重児183人) で,
    プロバイオティクス
    投与を行った群は434人 (超低出生体重児210人, 極低出生体重児224人) であった.
    プロバイオティクス
    は, 授乳時の母乳, または未熟児用人工乳と母乳の混合乳にB. breveを一日量として1×109CFU (M-16V, 森永) を溶解し, 出生後数時間から新生児センターを退院するまで連日行った.
    プロバイオティクス
    投与群と未投与群の授乳方法は同様であった. 感染症死亡は, 敗血症の臨床所見および血液検査にて3日間以上連続してCPR値2.0mg/dl以上が確認され, 臨床的に死因として重症感染症または敗血症が最も考えられる症例とした. 結果:
    プロバイオティクス
    は超低出生体重児の感染症死亡を有意に減少させた. また, 出生体重1,500グラム未満の児においても感染症死亡を有意に減少させた. 結語: 未熟児の医療において, 出生後早期からB. breve
    プロバイオティクス
    として経腸投与することは, 感染症による死亡率を減少させる有効な手段であると考えられた.
feedback
Top