日本鶏17品種(尾長鶏,小国,東天紅尾曳,鶉尾,土佐地鶏岐阜地鶏,大軍鶏小軍鶏,矮鶏,蜀鶏,蓑曳,薩摩鶏,声良,地頭鶏,烏骨鶏,岩手地鶏)と日本本土周辺鶏3品種(チャーン,対馬地鶏,済州島地鶏)合計1102羽について,血液蛋白質
多型
を支配する遺伝子構成の比較により,その相互の遺伝的関係を調べた。また,外国鶏4品種(5系統)についても比較検討した。調査した18座位中,血漿アルカリ性ホスファターゼ(
Akp,
Akp-2),血漿エステラーゼ1(
Es-1),血漿アミラーゼ1(
Amy-1),血漿トランスフェリン(
Tf),血漿アルブミン(
Alb),血漿ポストアルブミンA(
PasA),血漿カタラーゼ(
Ct)の8座位に
多型
が認められ,他の10座位は固定していた。この遺伝子頻度のデータからNEIの式により枝分れ図と,主成分分析から散布図を作成して,品種の遺伝的相互関係を調べた。今回始めて調査した済州島地鶏は岐阜地鶏と比較的近かったが,他のものとは関係が遠かった。日本鶏の祖先は主に弥生時代に朝鮮半島から入ったと推定されるが,地頭鶏,岐阜地鶏,蜀鶏など著しく遺伝子構成の異なるものがあり,また周辺鶏種である対馬地鶏,チャーンも遺伝子構成が多くの日本鶏とかなり異なっている。これらのことから日本鶏種の成立過程はかなり複雑であると考えられる。
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