本研究は,高校生を対象に著作権(著作権法とマナー・エチケット)に関する情報倫理教育を行い,行動・意識・知識の変化について授業前,授業直後,3ヶ月後に調査を行い経時的変化を検討したものである.その結果,高校生に対して実施した著作権に関する指導において,行動と知識は授業直後には適切な行動への選択や知識(正答)の向上,知識(正答)に対する確信度の向上が見られたが,3ヶ月後には低下して定着率は低いことが認められた.しかし,罪悪感を感じるという意識は授業を受けることで感じなくなり,3ヶ月後にも継続されることが認められ,行動や知識の場合とは異なる傾向であった.さらに,行動・意識・知識の関係は,著作権法に関しては適切な行動と知識が結びついているが,マナー・エチケットに関しては望ましい行動と知識とは結びついていないことがわかった.これらのことから,著作権に関する高校生への今後の指導は,マナー・エチケットに関する内容を取りあげ,行動・意識・知識を共に高めていく授業法の開発が必要であることが示唆された.
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