日本と韓国の塩辛の遊離糖, 5'-リボヌクレチオド,遊離アミノ酸,オリゴペプチドを分析し,それらの結果から両国塩辛の呈味性の差異を考察した.供試した塩辛は「市場塩辛」,「
惣菜
塩辛」,「韓国産瓶詰塩辛」,「日本産瓶詰塩辛」であった.なお,「日本産瓶詰塩辛」と「
惣菜
塩辛」を日本と韓国の一般的塩辛と考えた.
1) 食塩は「市場塩辛」が23.2%,「
惣菜
塩辛」が14.4%,「韓国産瓶詰塩辛」が7.1%,「日本産瓶詰塩辛」が5.8%であった.
2)「市場塩辛」には遊離糖が検出されなかったが,他の塩辛は3500~6500mg/100gの遊離糖を含んでいた.
3) 塩辛には5'-IMPと5'-GMPは含まれていなかった.
4)「
惣菜
塩辛」の遊離アミノ酸は「日本産瓶詰塩辛」の約2倍であった.
5) アミノ酸総量に占めるグルタミン酸は「日本産瓶詰塩辛」が45.5%,「
惣菜
塩辛」が29.2%であった.
6) 主体的アミノ酸は「市場塩辛」がグルタミン酸,ロイシン,アラニン,リジンの4種類,「
惣菜
塩辛」がグルタミン酸,ロイシン,アラニンの3種類,「日本産瓶詰塩辛」はグルタミン酸が顕著に多かった.
7)「
惣菜
塩辛」のオリゴペプチドは「日本産瓶詰塩辛」の約4倍であった.
8) オリゴペプチドの主体的構成アミノ酸は,何れの塩辛もグルタミン酸,アスパラギン酸,プロリン,グリシンであった.
9) オリゴペプチドは何れの塩辛もグルタミン酸の割合が最も多かった.
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