アカエゾマツの精英樹クローンについて, 成長形質は6カ所, 材質では2カ所の採種園を対象に調査した。樹高, 胸高直径およびクローネ径の反復率および形質問の相関係数は, 高い値を示した。6カ所の採種園の25年生の平均反復率は, 樹高が0.52, 胸高直径では0.44であった。これらの形質は年次相関が高いことから, 早期評価の有効性が示唆された。2カ所の採種園の共通クローンから推定された容積密度数の反復率は0.70であった。また,成長形質および容積密度数には, 採種園間に正の相関がみられたことから, 遠隔地におけるクローンの再現性が高いことが推察された。以上の結果から, 成長形質と容積密度数は遺伝的変異が大きいと推察され, 特に容積密度数は反復率が高いことから, 遺伝的要因の寄与が大きいと考えられた。
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