1981年Halnilらにより“lmprovedpatchclarnptechnique”が導入されて以来,その心筋細胞への応用には目覚ましいものがある.すでに少なくとも10種のイオンチャネルが同定されているが,本稿では心筋細胞(cell-attachedmode)におけるsingle channel current測定の原理を解説し,心筋の興奮伝導にとって重要なK
+電流とくに内向き整流K電流(i
K,rec)とNa
+電流(i
Na)の基本的な性質について述べる.
i
K,recは静止電位の形成にとって最も重要な外向き電流であるが,
脱分極
方向には電流を通しがたい性質がある,その一要因として細胞内Mg
2+によるK
+チャネルへの干渉が考えられる.Lysophosphatidylcholineは,i
K,recchannelの開確率を減少させるCs
+ やBa
2+と異なりそのsigle echannel conductanceを減少させることにより,内向き整流K
+電流をブロックし心筋膜を
脱分極
させた.i
Naについては,
脱分極
が強いと最初のchannel openingまでの時間(潜時)が短縮し,channelcpeningの同期性は良好であるが,開く回数は一回限りである.一方弱い
脱分極
では,チャネルの複数回の開閉(reopening)現象がしぼしばみられる.また1個のパッチ膜当り,500回の
脱分極
(持続500msec,1Hz)に1回の割合で,
脱分極
の期間中継続して開閉を繰り返すNa
+channe1活動(バースト型)がみられた.このチャネル活動により心室筋細胞は,1回の活動電位当り約20pAの電流を運んでおり,これは活動電位持続時間の約10%に相当する.すなわちこの電流は“windowcurrent”の本態と考えられる.
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