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291件中 1-20の結果を表示しています
  • 淺野 玄
    日本野生動物医学会誌
    2010年 15 巻 1 号 5-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    安楽死とは,苦痛がない,または苦痛が最小限の死である。わが国では動物愛護管理法で動物の人道的な殺処分に関する規定がなされているが,対象は家庭動物,展示動物,産業動物(畜産動物),実験動物などの人の飼養に関わる動物であり,野生動物の殺処分について定める法律は整備されていない。しかし,現実的には,被害軽減のための個体数調整,特定外来生物の防除,野生動物救護,調査・研究などにおいて,野生動物の殺処分が必要な場面は多い。野生動物の命を奪うにとの精神的ストレスや処分に対する社会的圧力に耐え,安楽殺処分に対する説明責任を果たすためには,動物への苦痛が最小限の方法を実施することが不可欠である。今後,野生動物の適切な安楽殺処分のためのガイドラインの整備や優れた人材の育成が望まれる。
  • 2. まだまだ油断ならないSFTS
    前田 健
    動物臨床医学
    2018年 27 巻 1 号 4-11
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー
  • 岡野 司, 松浦 里子, 久保 正仁, 柳井 徳磨, 淺野 玄, 鈴木 正嗣
    日本野生動物医学会誌
    2010年 15 巻 2 号 105-109
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    交通事故に遭遇し,衰弱および起立困難となった野生のクマタカが岐阜大学野生動物管理学研究センターに搬入された。治療等により,いったん回復の兆しが見えたが第34病日目に死亡した。病理学的検査の結果,腎腺癌,壊死性肝炎および寄生虫性胃炎が認められた。本症例は,交通事故で救護された野生個体が,腎腺癌に罹患していた珍しい例である。
  • 勝俣 悦子
    教育心理学年報
    2008年 47 巻 14-17
    発行日: 2008/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
  • 阿部 豪, 三好 英勝, 佐鹿 万里子, 中井 真理子, 島田 健一郎, 上田 一徳, 富樫 崇, 池田 透, 立澤 史郎, 室山 泰之
    哺乳類科学
    2011年 51 巻 2 号 257-263
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/21
    ジャーナル フリー
    エッグトラップはアライグマ捕獲に有効な罠だが,保定・回収の際に作業従事者が攻撃を受ける,アライグマにストレスがかかるなどの問題点も指摘されている.そこで本研究では,エッグトラップで捕獲されたアライグマが自発的に回収箱に潜り込むように,内部を暗くした専用の誘導型回収箱を設計し,捕獲個体を円滑にかつ安全に回収する方法を開発した.本研究では,市販の容器に黒の塗料を塗布したタイプAと,北海道で最も普及率の高い箱罠に黒の覆いをかけて内部を暗くしたタイプBの2種類の回収箱を製作し,エッグトラップで捕獲されたアライグマ60頭(オス24頭,妊娠メス8頭,非妊娠メス28頭)の回収を試みた.試験では,タイプAで8頭,タイプBで52頭の回収を行ったが,捕獲個体が極端に興奮するなどの理由により回収に時間がかかった3例をのぞき,すべて60秒以内に回収することができた.60秒以内に回収できた57個体の平均回収時間(±SD)は,14.5(±11.1)秒で,回収箱のタイプや保定状況,性別による回収時間に差は見られず,この方法が多様な対象や捕獲状況に適用可能であることが示唆された.回収箱の大きさや材質などによって回収時間に差が見られなかったことから,誘導型回収箱に必要な要件は,アライグマが身を隠すのに十分な広さと暗い空間である可能性が示唆された.また,既存の箱罠に覆いをかけただけの簡易な回収箱でも十分機能することが明らかとなり,回収した個体の処分について,通常の箱罠捕獲と同様の対応が可能なことが示された.
  • 辻 知香, 横山 真弓
    ワイルドライフ・フォーラム
    2012年 16 巻 2 号 16-17
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2017/11/03
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • *盛田 怜子, 林 仁美, 谷合 枝里子, 八舟 宏典, 赤根 弘敏, 白木 彩子, 石井 雄二, 鈴木 和彦, 渋谷 淳, 三森 国敏
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 O-47
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    【背景および目的】肝臓における代謝過程でCYP2Bを誘導する化学物質の中には、CYP2B誘導による活性酸素種 (ROS) 産生とそれに伴う酸化的ストレスに起因するラット肝発がんプロモーション作用を持つものがある。本研究では、CYP2B誘導剤であるORPHのラットにおける肝発がんプロモーション作用について検討した。【方法】ラット肝2段階発がんモデルを用い、6週齢の雄性F344ラットにイニシエーターとしてdiethylnitrosamine (200mg/kg) を単回腹腔内投与し、2週間後からプロモーターとしてORPH (1500ppm, 750ppm) の混餌投与を行った。混餌投与開始から1週間後に2/3部分肝切除を施し、実験開始から8週間後に剖検した。肝臓を採材し、病理組織学的、免疫組織化学的および分子病理学的検索を行った。【結果】ORPH投与群で体重増加抑制が認められ、相対肝重量の有意な増加が認められた。また、肝細胞の肥大と空胞変性、変異肝細胞巣が濃度依存的に認められた。肝前がん病変のマーカーであるglutathione S-transferase placental form (GST-P) の陽性細胞巣は個数、面積ともにORPH投与群で有意に増加し、Cyp2b1/2のmRNA発現、酸化的ストレスの指標であるthiobarbituric acid-reactive substance (TBARS) およびマイクロソームにおけるROS産生がORPH投与により有意に増加した。また、DNA損傷の指標となる8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG) もORPH1500ppm投与群において有意に増加した。【考察】ORPHがラット肝発がんプロモーション作用を有することが明らかとなり、その機序にはCYP2B誘導によるROS産生とそれに伴う酸化的ストレスが関与していることが示唆された。
  • *淺野 玄, *峰本 隆博, *小林 恒平, *鈴木 正嗣
    霊長類研究 Supplement
    2013年 29 巻 P-174
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】アライグマは防除実施計画の認定・確認が最も多い特定外来生物であるが,わが国では根絶を達成しえた地域はまだない.その一因は,農作物被害の防除を目的とした箱罠捕獲が中心となっている地域が多く,計画的・効率的な個体数管理が実現されていないためであろう.この現状を打開する一助として,本種の効率的な個体数抑制のため,捕獲をすることなく免疫学的に繁殖を抑制しうる経口避妊ワクチンの開発に向けた基礎研究を行ってきた.とくに,抗原候補として受精に関与する卵透明帯(Zona pellucida; ZP)蛋白に着目しており,本大会ではその塩基配列の解読結果や今後の課題を報告したい.
    【方法】既報のネコ目(イヌ,ネコ,マングース,オコジョ)における ZP蛋白の 1種である ZPCの塩基配列を基にプライマーを作成し,アライグマの卵巣を用いて RT-PCR法を行った.さらに RACE法によりアライグマの ZPCの完全長配列を解読し,既報の他種(イヌ,ネコ,マングース,オコジョ,マウス,ヒト)の同蛋白塩基配列との相同性を比較した.また,同配列のうちで精子卵結合部位と考えられるアミノ酸配列 23AAを解明して他種との相同性も比較した.
    【結果・考察】アライグマの ZPC完全長配列 1,279bpが明らかになった.また,同配列における他種との相同性は,イヌ86.4%,ネコ82.9%,マングース86.4%,オコジョ92.2%,マウス72.2%,ヒト78.5%であった.精子卵結合部位のアミノ酸配列 23AAでは,イヌ19AA,ネコ11AA,マングース16AA,オコジョ18AA,マウス4AA,ヒト 8AAでのみ一致し,同部位はワクチン抗原として種特異性を有しているものと考えられた.今後は,in vivoによる避妊効果および同所性に生息する在来他種への影響の評価,野外での効果的な投与方法などについても検討する必要がある.
  • 山田 一孝, 山口 敏朗, 澤野 海太, 岸本 海織, 古濱 和久
    RADIOISOTOPES
    2012年 61 巻 3 号 129-132
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル オープンアクセス
    福島第一原子力発電所から20km圏内で飼育されていた交雑種豚が,事故17日後に清浄区域へ移動し,移動41日後に試料が採材された。Ge半導体検出器を用いて,バラ,モモ,ロース及び心臓のγ線スペクトルを測定したところ,放射性セシウムの存在が確認された。被検豚は移動前後ともに豚舎で飼育され,生涯汚染のない輸入飼料で飼養されていた。牛肉の放射能汚染の原因は汚染された稲藁と報道されているが,稲藁だけが汚染の原因ではない可能性がある。次世代のために,食の安全の観点から牛肉のみならず他の畜産物についても監視が必要である。
  • *板橋 恵, 田中 猛, 白木 彩子, 阿部 一, 木村 真之, 水上 さやか, 渡邉 洋祐, 寒川 裕見, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-116
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
    会議録・要旨集 フリー
    【背景および目的】イミノジプロピオニトリル(IDPN)は、齧歯類への飲水投与により中枢や末梢神経に軸索傷害を誘発することが知られている。本研究ではIDPNのマウスを用いた発達期暴露実験を行い、離乳時及び成熟時での海馬歯状回におけるニューロン新生への影響を検討した。【方法】各群12匹の妊娠ICRマウスに0、600、1200 ppmの濃度で妊娠6日目から離乳時(分娩後21日目)まで飲水投与し、雄児動物を生後21日目と生後77日目に解剖し、その脳を用いて歯状回の顆粒細胞層下帯(SGZ)におけるニューロン新生の各成熟段階にある細胞数の変動及び歯状回門での介在ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。【結果】母動物、児動物ともに分娩後8~21日にかけて摂餌量の低値を伴う体重低値が600 ppmより認められ、離乳時には1200 ppmで児動物の脳絶対重量低値がみられた。1200 ppmでは母動物の12匹中8匹において、脊髄神経にごく軽度な軸索変性がみられた。免疫組織化学的染色によりSGZにおけるdoublecortin陽性細胞数の減少が1200 ppmでみられた。SGZにおけるBlbp、Sox2、Tbr2陽性細胞数、歯状回門でのreelin、parvalbumin、calbindin、calretinin陽性細胞数に関してはいずれも変動しなかった。生後77日目においてもSGZではdoublecortin陽性細胞数の減少がみられた。【考察】IDPNの妊娠期・授乳期暴露により歯状回での介在ニューロンを介さないニューロン新生障害が示唆され、その標的細胞はSGZの後期前駆細胞もしくは未熟顆粒細胞と考えられた。この変化は生後77日においても持続しており、IDPNによるニューロン新生障害は不可逆的と判断された。
  • *田中 猛, 阿部 一, 白木 彩子, 板橋 恵, 木村 真之, 水上 さやか, 渡邉 洋祐, 寒川 祐見, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 O-21
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】オクラトキシンA(OTA)は主にAspergillus属のカビが産生するマイコトキシンであり、穀物やコーヒー、ビールといった幅広い食品で汚染例が報告されている。その毒性影響として腎毒性や腎発がんの他に中枢神経毒性が知られているものの、後者の特性は十分に検討されていない。本研究ではOTAの神経発生毒性の病理学的なリスク評価を目的として、ラットを用いたOTAの妊娠期・授乳期暴露実験を行い、海馬歯状回におけるニューロン新生への影響を検討した。
    【方法】各群10匹の妊娠SDラットにOTAを0、0.12、0.6、3 ppmの濃度で妊娠6日目から離乳時(分娩後21日目)まで混餌投与した。離乳時及び分娩後77日に児動物を解剖し、雄性児動物の海馬歯状回での、顆粒細胞層とその下帯(subgranular zone: SGZ)におけるニューロン新生の各段階にある顆粒細胞系譜の細胞数の変動及び歯状回門におけるGABA性介在ニューロン及び成熟ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。
    【結果】児動物では離乳時に3 ppmで脳相対重量の高値及び腎臓相対重量の低値がみられた。免疫組織化学的に、離乳時における児動物のSGZでは3 ppmでPAX6及びTBR2陽性細胞が減少したが、BLBP及びDCX陽性細胞数は変動せず、アポトーシス及び細胞増殖活性に影響はみられなかった。歯状回門では3 ppmでsomatostatin陽性細胞が減少したが、calbindin、calretinin、parvalbumin、reelin及びNeuN陽性細胞は変動しなかった。これらの変化はいずれも分娩後77日では消失した。
    【考察】OTAのラットに対する妊娠期・授乳期暴露により、離乳時の海馬歯状回において3 ppmで顆粒細胞の分化及び生存を制御するGABA性介在ニューロンが減少し、type-2前駆細胞を標的とするニューロン新生障害が認められたが、影響は可逆的であった。
  • *田中 猛, 板橋 恵, 阿部 一, Liyun Wang, 村上 智亮, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2014年 41.1 巻 P-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】T-2トキシンは主にFusarium属のかびが産生するマイコトキシンであり、動物に対して血液毒性、免疫毒性に加えて神経毒性を誘発することが知られている。本研究ではT-2トキシンの神経発生毒性の病理学的なリスク評価を目的として、マウスを用いた妊娠期・授乳期暴露実験を行い、離乳児での海馬歯状回におけるニューロン新生への影響を検討した。【方法】各群9~10匹の妊娠ICRマウスに、妊娠6日目からT-2トキシンを0、1、3、9 ppmの濃度で離乳時(分娩後21日目)まで混餌投与した。離乳時に児動物を解剖し、雄性児動物の海馬歯状回について顆粒細胞層とその下帯(subgranular zone: SGZ)におけるニューロン新生の各段階にある顆粒細胞系譜の細胞数の変動及び歯状回門でのGABA性介在ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。【結果】母動物は9?ppmで分娩後7~21日にかけて体重低値を示し、分娩後21日目で摂餌量、摂水量の低値を示した。児動物は9 ppmで投与期間を通じて体重低値を示した。離乳時の病理学的検査において母動物では9?ppmで前胃粘膜上皮の過角化、肝細胞の肥大及び空胞変性がみられ、児動物では3?ppm以上で脳絶対重量の低値と9?ppmで肝臓、脾臓、胸腺の相対重量の低値がみられた。免疫組織化学的に児動物のSGZでは6?ppm以上でTbr2陽性細胞が減少した。Sox2、doublecortin陽性細胞数は変動しなかった。歯状回門では9?ppmでreelin陽性細胞が増加したが、parvalbumin及びNeuN陽性細胞は変動しなかった。【考察】T-2トキシンのマウスに対する妊娠期・授乳期暴露により、離乳時において海馬歯状回のニューロン新生障害が認められ、その標的はtype 2前駆細胞であり、前駆細胞の移動異常を反映した介在ニューロンからのreelin産生の増加が示唆された。
  • 岡野 司, 淺野 玄, 柳井 徳磨, 鈴木 正嗣
    日本野生動物医学会誌
    2012年 17 巻 2 号 73-77
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/29
    ジャーナル フリー
    岐阜大学附属野生動物救護センターに2004~2008年に搬入されたオオタカ16羽において救護事例の回顧的研究を行った。主な初診の状態は,脊髄損傷による両脚の麻痺(25%)および翼の骨折(19%)であった。最も多い救護原因は,車両以外への人工物への衝突(69%)であった。他の原因は,交通事故(13%)および建物への迷入(13%)であった。転帰は,死亡,野生復帰および永久飼養(野生復帰不可)が,それぞれ75,19および6%であった。
  • *渡邉 洋祐, 齋藤 文代, 赤堀 有美, 今田中 伸哉, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2017年 44.1 巻 P-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/29
    会議録・要旨集 フリー
    【背景及び目的】メチルニトロソウレア(MNU)は、ラットへの28日間反復経口投与により、脳重量の低下と海馬歯状回の神経新生障害を誘発することを報告した。本研究では、この投与例で複数の脳領域における細胞増殖抑制作用に起因する神経毒性指標の獲得を目的として以下の実験を行った。【方法】5週齢の雄性SD ラットにMNUを0、5 及び15 mg/kgの用量で28 日間強制経口投与し、複数の脳領域でマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。また、発現変動遺伝子の遺伝子産物ないしその関連分子の免疫染色による分布解析を行った。【結果】発現解析の結果、15 mg/kg群で1.5倍以上の発現上昇又は0.67倍以下の発現低下遺伝子数が海馬歯状回で328、脳梁で1144、大脳皮質で317、小脳虫部で1385であった。その内、4部位に共通して27遺伝子が発現上昇し、3遺伝子が発現低下した。部位間で共通に発現上昇した遺伝子として、Cd14、Cd74、Ccl3、Lgals3、Lsp1、Mt1a、Mt2a、Tnfなどの炎症・免疫応答関連遺伝子、発現減少した遺伝子として、Bmp4、Vcanなどの形態形成関連遺伝子を見出した。免疫染色の結果、IBA1陽性ミクログリアの増数を各脳領域で確認した他、アストロサイト及びミクログリアでのメタロチオネイン (MT)1/2及びガレクチン3 (GAL3) の発現増加を確認した。【考察】本研究結果より、MNU28日間反復投与により、広い脳領域で炎症・免疫応答の活性化と形態形成の低下が示唆され、それぞれ活性化ミクログリアの増加や脳重量の低値との関連が示唆された。また、ミクログリア由来のTNF等のケミカルメディエーターによるアストロサイト及びミクログリアにおけるMT及びGAL3の誘導が示唆され、神経毒性指標になる可能性が考えられた。
  • *長谷川 也須子, 水上 さやか, 大塚(出田) まき, 五十嵐 勝秀, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2017年 44.1 巻 O-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/29
    会議録・要旨集 フリー
    【背景及び目的】オクラトキシンA(OTA)は主にAspergillus属のカビが産生するマイコトキシンであり、生体への曝露により腎発がんの増加が懸念されている。我々は既に成熟ラットを用いたOTAの28日間強制経口投与によって腎臓髄質外帯外層(OSOM)において、尿細管上皮の巨大核形成と共に、細胞増殖亢進、アポトーシス及び細胞周期停止細胞の増加を見出している。本研究では、OTAの反復投与による腎臓でのエピゲノム遺伝子発現修飾の関与について検討した。【方法】ラットに2年間の投与により腎腫瘍を誘発する0.21 mg/kg体重の用量でOTAを28ないし90日間、強制経口投与した。得られた腎臓のOSOMからMBD2-seq解析により遺伝子プロモーター領域の過メチル化を示した遺伝子を選別後、リアルタイムRT-PCR法により遺伝子発現の下方制御を受ける遺伝子を選出し、メチル化特異的PCR及びパイロシークエンス法により過メチル化の検証解析を実施した。更に、遺伝子産物のOSOMにおける発現分布を免疫組織化学的に検討した。【結果】MBD2-seq解析により10遺伝子を過メチル化遺伝子として見出し、このうち4遺伝子でmRNAの発現減少を確認した。更にメチル化特異的PCR及びパイロシークエンス法により、OTA投与群でRad51cRbm38でプロモーター領域の過メチル化を確認した。免疫組織化学的解析により90日間OTA投与群のOSOMでは巨大核を有する尿細管上皮の一部でRBM38の発現減少が観察された。【考察】OTAのラットへの反復投与により、腎臓のOSOMでDNA修復に関与するRad51cとがん抑制遺伝子であるTp53の発現調節を担うRbm38の過メチル化と下方制御を認めたことから、OTAによる腎発がん過程の早期にエピゲノム遺伝子発現制御を介したDNA修復やがん抑制遺伝子の発現調節変化を生じることが示唆された。
  • *水上 さやか, 八舟 宏典, 渡邉 洋祐, 長谷川 也須子, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2016年 43.1 巻 P-78
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【背景及び目的】プロモーター領域の過メチル化は下流遺伝子の発現を抑制することが知られている。メチル化は安定した化学修飾であり、細胞分裂後の娘細胞に継承されることから、発がん物質投与により標的細胞にメチル化異常を介した遺伝子発現の下方制御を示す遺伝子は、不可逆的な発がん過程の進行に寄与する可能性がある。我々は、肝発がん過程の初期からTmem70 等の遺伝子の過メチル化を見出してきており、本研究では新たに二つの遺伝子について、発がん過程での発現特性を検討したので報告する。【方法】ラットにthioacetamide(TAA)を28日間、400 ppmの割合で混餌投与し、得られた肝組織を用いてCpG island microarray解析を実施して過メチル化遺伝子を同定した。次いで、real-time RT-PCR法により発現の下方制御を示した遺伝子につき、methylation-specific PCR法によるメチル化の検証を行った。解析の結果、免疫染色可能な分子を選別し、発がんへの関与を検討するため、ラット中期肝発がん性試験法に従って様々な発がん物質による発がん促進によって得られた増殖性病変での免疫染色による発現挙動を検討した。【結果及び考察】TAAの28日間投与により、E2ユビキチン結合酵素をコードする Ube2e2 及びSTE20様serine/threonineタンパクキナーゼをコードするSlkのプロモーター領域における過メチル化と転写産物発現量の減少を認めた。さらに、発がん促進によって誘発されたGSTP陽性変異肝細胞巣に一致して、UBE2E2及びSLKは陰性巣を形成していた。UBE2E2は検索した全ての発がん物質で陰性巣の数が増加したが、SLKはTAA及びpiperonyl butoxideでのみ陰性巣の増数を認めた。以上より、SLKとは異なり、UBE2E2は発がん過程早期から発現が喪失する新たな癌抑制遺伝子である可能性が示唆された。
  • *渡邉 洋祐, 水上 さやか, 長谷川 也須子, 赤堀 有美, 今田中 伸哉, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2016年 43.1 巻 P-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】アルキル化剤であるメチルニトロソ尿素(MNU)には細胞増殖抑制作用があり、我々はMNUの母動物を介したラット発達期曝露により、曝露終了時に児動物の海馬顆粒細胞層下帯(SGZ)における神経幹細胞の減少、アポトーシス及びtype-2~3 前駆細胞の増加を確認した。また、成熟期の成熟顆粒細胞の減少も確認している。本研究では、一般毒性試験の枠組みでの発達神経毒性予測系の確立のための一連の研究の一つとして、ラットを用いたMNUの28日間反復投与を行い、海馬ニューロン新生への影響を検討した。
    【方法】5週齢の雄性SDラットにMNUを0, 5, 15 mg/kgの割合で28日間反復経口投与し、投与終了時の脳をパラホルムアルデヒド灌流固定した。解析としてSGZにおける顆粒細胞指標と細胞増殖指標、歯状回門における介在ニューロン指標について免疫組織化学的な陽性細胞数の変動を検討し、TUNEL染色によるSGZのアポトーシス数も求めた。
    【結果】SGZにおいて15 mg/kg 投与群でGFAP(神経幹細胞)陽性細胞の減少及びTUNEL陽性細胞の増加、5,15 mg/kg投与群でTBR2(type 2前駆細胞)、DCX(type 2~3 前駆細胞)、NeuN(成熟顆粒細胞)陽性細胞の減少が確認された。介在ニューロン指標に変動はなかった。
    【考察】 MNUの28日間反復投与により、低用量から増殖活性の高いtype-2~3前駆細胞を直接的に標的としたニューロン新生障害と、高用量では増殖活性の低いtype-1神経幹細胞を含むアポトーシスを介した傷害性が見出され、一般毒性試験の枠組みでDNA傷害物質による発達神経毒性の予測が可能であると判断された。発達期曝露影響との違いはtype-2~3前駆細胞への影響であり、発達期と成熟後での顆粒細胞系譜の細胞増殖活性やDNA傷害性に対する保護作用の違いを反映した結果であると推察された。
  • *白木 彩子, 阿部 一, 田中 猛, 渡邉 洋祐, 板橋 恵, 水上 さやか, 木村 真之, 寒川 祐見, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】メチルニトロソ尿素(MNU)は細胞増殖抑制作用を有するアルキル化剤であり、我々はこれまで、妊娠後期のラットないしマウスへの短期間投与により、離乳時の児動物の海馬歯状回(DG)におけるニューロン新生及び歯状回門のGABA性介在ニューロン分布に影響を与えることを見出している。一方、このような神経幹細胞ないし前駆細胞を標的にする物質の妊娠・授乳期の長期間暴露による児動物のニューロン新生への影響及びその持続性は不明である。そこで本研究では、MNUの発達期暴露によるDGにおけるニューロン新生障害性評価のために以下の実験を行った。【方法】ICRマウスに妊娠6日から出産後21日までMNUを0、12、24 ppmの濃度で飲水投与し、児動物を生後21日及び77日に屠殺した。【結果】雄性児動物において、出生時から生後35日齢まで、投与群で体重が減少した。生後21日齢の児動物において、投与群で脳の絶対重量が減少した。免疫組織化学的検索により、顆粒細胞層下帯(SGZ)の細胞分化指標として、生後21日の24 ppm群で幹細胞指標であるbrain lipid binding protein (BLBP)陽性細胞が増加した。その後の分化段階の指標であるSox2、T-box brain protein 2及びdoublecortin陽性細胞数は変動しなかった。また、PCNA陽性細胞及びTUNEL陽性アポトーシスも変動しなかった。歯状回門のGABA性介在ニューロンは、いずれの投与群においても変動しなかった。生後77日ではBLBP陽性細胞は変動しなかった。【考察】MNUの発達期暴露により、幹細胞が増加した一方で細胞増殖及びアポトーシスには影響を認めなかったことから、MNUの暴露により一部の幹細胞の分化が障害され、幹細胞のまま留まっている可能性が示唆された。生後77日齢では変動しなかったことから、この障害性は可逆的なものと考えられた。歯状回門のGABA性介在ニューロンはSGZの分化中期から後期の前駆細胞に入力することから、本実験では変動がなかったと考えられた。
  • *渡邉 洋祐, 村上 智亮, 阿部 一, 田中 猛, 白木 彩子, 木村 真之, 水上 さやか, 板橋 恵, 寒川 祐見, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
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    【背景及び目的】抗てんかん薬であるバルプロ酸 (VPA) は、GABAトランスアミナーゼ阻害により抑制性シナプスでのGABA量を増加させ、薬理作用を発現する。妊婦の服用により子供の自閉症のリスクが高まることが知られ,実験的に発達期でのニューロン移動異常の発生が報告されている。本研究ではVPA のラットを用いた妊娠期及び授乳期暴露実験を行い、離乳児動物での海馬歯状回 (DG) におけるニューロン新生への影響を検討した。
    【方法】各群11~12匹の妊娠SDラットに、妊娠6日目からVPAを0、667、2000 ppmの濃度で離乳時(生後21日目)まで飲水投与し、雄児動物を離乳時と性成熟後(生後77日目)に解剖し、灌流固定後の脳についてDGの顆粒細胞層下帯 (SGZ) と顆粒細胞層におけるニューロン新生の各段階にある細胞数の変動及び歯状回門にあり、ニューロン新生を制御する各種のGABA性介在ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。
    【結果】母動物の摂餌量は低用量群及び高用量群において産後2日目で低下し、飲水量は高用量群において産後2、14、17及び20日目で低下したが、母動物及び児動物の体重に変動はなかった。離乳時の児動物の歯状回門ではparvalbumin陽性細胞が高用量群で、reelinが低用量群と高用量群で減少した。calbindin、calretinin陽性細胞数は変動しなかった。SGZではSox2、Tbr2、doublecortin陽性細胞、PCNA陽性増殖細胞及びTUNEL陽性アポトーシス細胞のいずれも変動しなかった。【考察】VPAの妊娠期及び授乳期暴露により、離乳時の児動物で海馬歯状回のGABA性介在ニューロンのポピュレーション変動が認められ、その薬理作用を介した機序が推察された。一方、生後ニューロン新生への影響は見いだせなかったが、reelinを標的とした新生後のニューロンの移動障害が生じている可能性が示唆された。
  • *木村 真之, 阿部 一, 田中 猛, 板橋 恵, 白木 彩子, 水上 さやか, 渡邉 洋祐, 寒川 祐見, 吉田 敏則, 渋谷 淳
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
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    【背景】我々は既に、ラットへの28日間反復投与により発がん標的細胞に増殖活性の亢進を示す発がん物質は、標的臓器を問わず細胞周期停止を反映した分子発現とアポトーシスの増加と共に、Ubiquitin D (UBD) のG2期からの異常発現によるM期スピンドルチェックポイントの破綻を誘発する可能性を見出した。【目的】本研究では、腎発がん物質の投与初期に生じる腎尿細管上皮細胞の増殖活性の変動に伴う、細胞周期分子発現の経時的な変化を検討した。【材料と方法】F344ラットを用いて、無処置群、腎発がん物質投与群[nitrofurantoin (NFT), 1-amino-2,4-dibromoantraquinone (ADAQ), 1,2,3-trichloropropane (TCP)]ないし非発がん性腎毒性物質投与群[1-chloro-2-propanol, triamterene, carboxin (CBX)]を設定し、実験開始後、3、7及び28日目に腎臓を採取し、免疫組織化学的解析を行った。【結果】実験開始後、尿細管上皮細胞の増殖活性の増加が、3日目ではNFT, TCP, CBXで、7日目ではNFT, TCPで、28日目ではNFT, ADAQ, TCP, CBXで認められた。NFTによる増殖活性の増加は7日目で最も高く、28日目では低下した。また、28日目ではADAQ, TCP, CBXにおいてG2/M期分子のTopoIIα陽性細胞及びUBD陽性細胞が増加し、NFT, CBXではM期分子のp-Histone H3陽性細胞が増加した。更に、この時点でのNFT, ADAQ, TCP, CBXにおける免疫二重染色による解析の結果、ADAQ, TCPでは、UBD陽性細胞でのp-Histone H3の発現割合が減少したが、NFT, CBXでは変動を認めなかった。【考察】28日間の反復投与時に強く増殖活性が促進した物質のうち、発がん物質のみがUBDのM期での発現を減少させた。一方でNFTは、UBDのM期での発現変動はなく、28日目で増殖活性が減弱した。以上より、投与28日目で強い増殖活性を示す腎発がん物質に特異的に、細胞周期内でのUBDの発現時期の異常に起因するM期スピンドルチェックポイントの破綻が誘発される可能性が示された。
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