高圧アセチレンは,非常に不安定で,激しく分解して爆発を引起す。この爆発の原因および条件について正確な知識をえて,爆発事故を防止することは,工場の安全上重要な問題である。高圧アセチレンの分解爆発の原因として,
静電気放電
火花がどの程度の危険性をもっているかについては, 全く検討されていない。著者らは, 高圧アセチレンの
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により点火されるのに必要な最小エネルギーを, アセチレン圧力( 絶対圧)2kg/cm
2より15kg/cm
2 までの範囲で測定した。その結果,最小点火エネルギーは,アセチレン圧力2kg/cm
2で10.5Jであり,圧力の上昇とともに減少して,5kg/cm
2で18.6mJ,10kg/cm
2で2.9mJ,15kg/cm
2では0.56mJ以下になる。この測定値から,
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火花は,高圧アセチレンの分解爆発を起す原因の一つとして,考えなくてはならないことがわかる。とくにアセチレン圧力が15kg/cm2以上になると,
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火花により最も点火されやすい物質の中に属するので,高圧アセチレンを取扱う工場の安全のためには,
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が起らぬよう注意しなくてはならない。
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