詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "鯨類"
1,392件中 1-20の結果を表示しています
  • ―鯨肉の市場流通構造と価格形成の特徴―
    遠藤 愛子, 山尾 政博
    地域漁業研究
    2006年 46 巻 2 号 41-63
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2022/10/11
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,冷凍・生鮮ともに鯨肉供給量は増加傾向にあり,消費需要の拡大が推し進められている。両者の製品としての特徴・価格の違いから市場では棲み分けができているとも言われるが,実際には品質・価格面で競合関係にたつことが多い。本研究は,冷凍・生鮮鯨肉の市場流通構造と価格形成システムを解明し,鯨肉流通で重要な役割を果たす中央卸売市場(名古屋市,大阪市,広島市,仙台市,大分市および福岡市中央卸売市場)における冷凍鯨肉,生鮮鯨肉それぞれ取扱いの実態をあきらかにする。さらに将来の消費需要拡大の可能性について検討をすすめた。冷凍捕獲調査副産物の排他的な流通構造と硬直的な価格形成システムは,販路の拡大を阻害し,消費需要の増加を困難にしている。鯨肉流通の一旦を担う中央卸売市場では,冷凍・生鮮鯨肉供給量の増大に対し,両者間で品質・価格競争を引き起こした。各市場の取扱鯨肉の種類や数量はその地域がもつ鯨肉食習慣や市場の集荷力の違いが大きく関係しているが,鯨肉という特殊な商品を扱う,卸売会社や仲卸業者等の意思決定も大きく影響している。また,鯨肉の取り扱いは卸売会社や仲卸業者のリスク負担が大きく,市場の2極化がすすんでいる。生鮮と冷凍製品は,単に商品としての違いだけではなく,生産主体,国家の生産活動への関与の度合いの違いが,その流通構造や市場価格に反映されている。今後,鯨肉供給量が増加した場合,冷凍・生鮮ともに消費需要の拡大が図れるかどうかについては,検討を要する。

  • 石山 巳喜夫
    歯科基礎医学会雑誌
    1984年 26 巻 4 号 1054-1071
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    従来, 歯
    鯨類
    のエナメル質に関する組織学的研究は非常に少なく, 未知の部分がきわめて多い。今回著者は主に走査型電子顕微鏡を用い, 現生歯
    鯨類
    6科7種のエナメル質の組織学的構造について検索を行なった。
    マッコウクジラのエナメル質は歯の先端部のごくわずかの部位に局在し, 無小柱エナメル質である。ツチクジラのエナメル質は非常に菲薄な無小柱エナメル質で, 3-5μmの厚さしかなく, 哺乳類としては特に発達の程度が低い。一方, マダライルカ, マゴンドウおよびラプラタカワイルカはいずれも有小柱エナメル質を有し, そのprism patternは種類あるいはエナメル質の部位により変化に富んでいる。またスナメリのエナメル質はエナメル・ゾウゲ境付近においては小柱構造が明瞭であるが, 中層部において不明瞭となり表層に至る。イシイルカのエナメル質は無小柱, 有細管エナメル質で, 異状な低石灰化度を示す。
    すなわち歯
    鯨類
    のエナメル質は各科ごとに非常に多様な組織構造を呈している。また一般に大型種において発達が悪く, 小型種においてよい傾向にある。
  • 沖縄県名護ヒートゥ漁を中心として
    遠藤 愛子, 山尾 政博
    地域漁業研究
    2007年 47 巻 2-3 号 75-98
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2020/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,沖縄県名護における

    鯨類
    資源と地域との係わりについて分析し,変容する
    鯨類
    資源の利用実態とその役割を浮き彫りにすることを目的としている。第一に,名護の突きん棒漁業の生産と流通構造を明らかにした。商業捕鯨モラトリアム以降,捕獲された
    鯨類
    のうちゴンドウクジラ類は地元ではなく福岡市場に販売されている。全国的に,生鮮鯨肉のうちゴンドウクジラ類を取り扱うのは福岡市場に限られており,沖縄産,鮎川産,太地産が福岡市場に集中し,生鮮鯨肉間,さらに生鮮鯨肉と冷凍鯨肉の間に品質・価格競争を引き起こしている。福岡市場での地域ブランド形成が今後の課題となる。第二に,地元名護に供給される鯨肉生産物の消費実態をあきらかにするため,地域住民を対象に鯨肉食に対するアンケート調査を実施した。慢性的な供給不足と高値設定のために,消費者のヒートゥ肉ばなれが進行していた。しかし,ヒートゥ肉の食習慣が維持・継承されており,供給量の増加と価格低下を要望する消費者の声が目立った。第三に,地域社会においてヒートゥ漁や
    鯨類
    資源がもつ多面的機能について検討した。漁業生産活動による食料供給以外に,社会文化的な役割を果たしている。ヒートゥ漁存続のためには,地元消費や地域社会と結びついた存在意義の見直しが必要である。なお,本研究を進めるにあたり,仙台,築地,横浜,名古屋,大阪,広島,福岡,大分の8中央卸売市場における鯨肉取扱について調査しその取扱状況を類型的に把握した。

  • 鳥羽山 照夫, 内田 詮三, 西脇 昌治
    哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan
    1969年 4 巻 4-6 号 112-120
    発行日: 1969/12/30
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    1969年4月1日,茨城県大津港に突棒漁法によりセミイルカが水揚されたが,その中にいわゆるシロハラセミイルカ Lissodelphis peroni と称されている1個体を認めた。本個体の外形はセミイルかと殆んど変らないが,体色に明確な相違が認められた。骨格計測値もセミイルカ計測値の範囲内に入る。従来別種として取扱ったこともあったが亜種またはそれ以下の変異として取扱う方が適当と思われるが更に研究を必要とする。
  • 辻 紀海香, 加賀美 りさ, 社方 健太郎, 加藤 秀弘
    日本航海学会論文集
    2014年 130 巻 105-113
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    In order to develop Under Water Speaker system (UWS) incorporating species specific audible properties, we examined cetacean sighting survey data collected by hydrofoil crew from four major hydrofoil sea lanes, in 2008 – 2011; “Northern Kyushu (including Busan-Iki-Tsushima routes)”, “Kagoshima”, “Izu-Oshima (including Atami routes)” and “Sado”. In “Northern Kyushu” cetaceans were tended to be frequent in offshore deeper than 100m. In “Kagoshima”, cetaceans including humpback whales were mainly observed in winter. In “Izu Oshima” it was remarkable that sperm whales occurred in winter to early spring with peak of January to March, and also it seemed to be currently increasing. Baird's beaked whales also occurred in winter in addition to regular occurrences in summer. In “Sado”, minke whales were mainly sighted in month from March to June. So as to increase accuracy in cetacean species identification, it is desire to conduct educational lecture and training for cetacean species identification.
  • 石川 創, 西脇 茂利
    日本野生動物医学会誌
    2000年 5 巻 1 号 19-25
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    世界の海産哺乳類は
    鯨類
    が79種, 鰭脚類が34種, 海牛類が4種の他, ラッコ, ホッキョクグマなどの食肉類が3種知られている。このうち日本の近海には,
    鯨類
    としてヒゲクジラ8種ハクジラ28種の計36種, 鰭脚類7種の他, ラッコ, ジュゴンが生息する。これら海の哺乳類, 特に
    鯨類
    と人間の関わり合いとしては, 見方によっても変わるが, 1.自然現象としてのストランディング, 2.捕鯨, 混獲など漁業活動での捕獲, 3.水族館での飼育展示, 4.ホエール・ウォッチング, 5.野外での調査研究, などが挙げられる。これらのうち野生動物医学という観点からは, 傷病野生個体の保護治療(1, 3), 野生個体群の管理(2, 5), 野生動物生態の研究(3, 4, 5)等が取り組むべき課題として挙げられる。
  • 今西 克也, 川上 学, 島田 あずさ, 木村 義孝, 近石 一弘, 村上 雅志, 梶原 夏子, 山田 格, 田辺 信介
    環境化学
    2005年 15 巻 2 号 429-443
    発行日: 2005/06/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    分析に供した全25検体の
    鯨類
    試料からトキサフェン及びマイレックスを検出し, わが国周辺の海洋汚染を初めて明らかにした。どちらの物質も, 日本からの放出の影響は認められない一方, 外洋性種は回遊海域の日本海やオホーツク海, 北部北西太平洋で暴露を受けていることが示唆された。とくにトキサフェンの暴露量は多いことが示唆され, 汚染経路として大気が重要な役割を果たし, 広域かつ複雑な影響を及ぼしていることが考えられた。この海域の汚染源として中国, 旧ソビエト連邦, 低緯度アジア, 米国の4地域の可能性が考えられたが, アジア域におけるこれら物質の使用実績に関する知見が不足しているため, 特定には至らなかった。本研究の結果は, アジアにおけるトキサフェンおよびマイレックスの汚染が軽視できないことを示唆しており, 時空間的な環境動態の把握が今後の課題となった。
  • 今川 恵
    地域漁業研究
    2016年 56 巻 3 号 109-122
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文では,和歌山県東牟婁郡で広範に許可が与えられている小型

    鯨類
    の突きん棒漁業の操業実態と,突きん棒漁業がなぜ今日においても存続しているのかを明らかにすることを目的としている。というのは突きん棒漁業は自然条件や漁業者の技術・カンといった要素に大きく左右され,効率的漁業とは言い難いからである。

    突きん棒漁業が存続してきた要因としては,以下の2点があげられる。①鯨肉の価格低下と燃油費の上昇が進む中で,突きん棒漁業は,より省人化・省コスト化を進め,他漁業の存在を前提とした組み合わせ操業という形に変容した。②手間・労力のかかる漁業生産をより効率的に操業でき,一定水準の水揚げ金額を実現できるような熟練技術のある漁業者が担い手として残存していることである。

  • 栗原 望, 大池 辰也, 川田 伸一郎, 子安 和弘, 織田 銑一
    哺乳類科学
    2013年 53 巻 1 号 99-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/13
    ジャーナル フリー
    三河湾で漂着あるいは混獲した44個体のスナメリについて,体長,性別,漂着時期,漂着場所を調べ,既往知見とあわせ三河湾産本種の生活史や漂着の特徴を整理・分析した.三河湾産本種の出産期は隣接する伊勢湾と同様の4~6月頃,出生体長は80 cm前後であると考えられた.雌雄の漂着数は,体長120 cm未満の幼獣ではほぼ等しかったが,より大型の個体ではオスに偏り,オスの数がメスの1.6倍以上となった.漂着数は4~6月および10~12月に増加した.80 cm前後の幼獣は4~6月に集中して漂着し,100~140 cmの個体は10~12月にその大半が漂着した.漂着場所も季節的に変化した.春から秋にかけては湾全域で漂着が認められたが,冬季には湾奥での漂着が極めて少なかった.
  • 石川 創
    マリンエンジニアリング
    2020年 55 巻 5 号 619-625
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー
  • 山田 格
    日本野生動物医学会誌
    2000年 5 巻 1 号 11-18
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    日本をとりまく海には約40種の海棲哺乳類が棲息している。彼らをよりよく理解するためにはあらゆる機会を活かし十分な調査を行わなければならない。日本の海岸には年間100件をこす海棲哺乳類のストランディングが報告され, かれらに触れる機会となっている。生死を問わずストランディング個体は限りない情報を我々に提供してくれようとしているのであって, 我々はこれを活用すべく体制をととのえておく必要がある。生存個体の介護, 死亡個体の病理検索など獣医師に期待される部分はきわめて大きい。
  • 生鮮鯨肉の流通構造と消費地市場の棲み分けについて
    遠藤 愛子, 山尾 政博
    地域漁業研究
    2008年 48 巻 1-2 号 37-59
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2020/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    現在,日本でおこなわれている沿岸捕鯨活動により捕獲された生鮮鯨肉のうち,沖縄県や和歌山県で捕獲されたゴンドウ肉類は主に福岡市中央卸売市場へ,イルカ肉類は下関漁港地方卸売市場へ出荷販売されている。つまり,両産地の生鮮鯨肉は北部九州地方にある消費地市場へ出荷販売され,さらに両市場間には,取り扱われている鯨種の棲み分けが形成されている。本論文は生鮮鯨肉のフードシステムに焦点をあて,生産から消費地市場へ向かう生鮮鯨肉の流通チャネルを解明しながら,両市場間における鯨肉取り扱いの棲み分けについて,その形成過程・形成要因について考察した。ゴンドウ肉の流通チャネルは,沖縄県の場合,産地-福岡市場ルートにほぼ一本化されており,福岡出荷は実質漁業者がおこなっている。太地では,流通チャネルが複雑・多様化しているが,大部分は福岡市場へ出荷され,福岡出荷は仲卸業者主導で確立されている。福岡市場での販売対応は両産地の生産構造に対応している。生鮮イルカ肉について,沖縄県ではほとんど地元で消費されているが,太地では流通チャネルが多様化している。両産地とも下関出荷体制は,仲卸業者主導で確立されており,下関漁港市場での販売対応は産地生産構造に特に関係しておらず,常に相対売り販売されている。モラトリアム以降形成された両市場への生鮮鯨肉の集中と,取り扱い鯨種の棲み分けは,歴史的背景をもとに,福岡市場を中心とした消費地の卸売会社や仲卸業者等の流通業者の意思決定により徐々に形成されてきたものである。

  • *松波 若奈, 栗山 浩一, 今村 航平, 長谷川 聡
    日本森林学会大会発表データベース
    2018年 129 巻 P1-024
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2018/05/28
    会議録・要旨集 フリー

    ホエールウォッチングは地域に経済的な利益を生み出す一方で、ウォッチング船が

    鯨類
    に与える影響が懸念されるために、現在規制の動きが大きくなっている。しかし規制を行う場合、ウォッチングに対する観光客の満足度は下がりかねない。満足度の低下は観光客の減少を招き、ウォッチングが行われている地域に経済的な損失を生む可能性がある。よって本研究では、規制項目の一つである船と
    鯨類
    の最接近距離について着目し、船と
    鯨類
    の最接近距離が変化したときの観光客の満足度の変化を経済的に評価する。さらに、ウォッチングに対する満足度をウォッチングの構成要素ごとに評価することで、
    鯨類
    との距離をとる場合に、何を代替的なサービスとして提供できるか明らかにすることを試みた。2017年7、8月に和歌山県南部でホエールウォッチングに参加した観光客に対して選択型実験を用いたアンケート調査を行った。分析の結果、観光客は
    鯨類
    との距離を非常に重視しており、1m近づくために約454円支払ってもよいと考えていることがわかった。また、観光客の代替的なサービスに対する評価は低い傾向にあり、
    鯨類
    との距離を他のサービスで代替することは難しいことがわかった。

  • *岡村 太路, 前田 将輝, 依田 憲
    自動制御連合講演会講演論文集
    2023年 66 巻 1G2-4
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    会議録・要旨集 フリー
  • 島田 章則
    日本野生動物医学会誌
    2000年 5 巻 1 号 37-43
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    日本沿岸に漂着した
    鯨類
    の病理学的検索結果に関する報告はほとんど無い。漂着個体の病理学的検索に必要な新鮮材料を採集するための方法やネットワークが日本においては確立されていないことがその原因の一要因である。一方, 海外では野生
    鯨類
    の疾病や死因に関する多数の報告がある。偶発的に魚網に絡まっての溺死(混獲)を除くと寄生虫性あるいは細菌性肺炎が野生個体の最も一般的な死因である。しかし, 陸生動物でも一般的に見られるこれらの疾患の背景にある病理発生は不明である。大気中の浮遊粒子状物質によって汚染された肺や肺門リンパ節を特徴とする炭粉沈着症が日本沿岸に漂着したいつくかの
    鯨類
    個体に最近認められた。海の哺乳類は陸と陸との間の広い海洋に生息し, 地球規模での物質の循環系の影響を受けている。化学的分析結果に加え, 病理学的検索の結果得られたこれらの動物に関する獣医学的情報は地球環境の実態を理解する上での重要な手がかりとなると思われる。
  • 宇仁 義和
    日本セトロジー研究
    2016年 26 巻 17-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    日本の近代

    鯨類
    学の草創期における東洋捕鯨株式会社とロイ・チャップマン・アンドリュースの影響を文書資料から調べた。東洋捕鯨の前身会社はナガスクジラとシロナガスクジラについて社内名称を生物学的種に基づいて固定し、それが標準和名として使用されるようになった。アンドリュースはひげ鯨に加え、歯鯨でも日本近海個体について初めて標本の観察から学名を比定した先駆者であった。そのような認識は当時の日本の動物学者も持ちあわせ、永澤六郎教授はアンドリュースと手紙で議論した結果を日本産
    鯨類
    の学名比定の論文に反映させていた。東洋捕鯨が社内名称として生物学的種の呼称を使用したこと、アンドリュースが標本を観察して学名を比定したこと、この実践が日本の
    鯨類
    学の近代化の端緒となった。

  • 西脇 昌治
    哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan
    1965年 2 巻 4 号 111-114
    発行日: 1965/04/20
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • *長澤 一雄, 渡部 晟, 澤木 博之, 渡部 均, 川辺 孝幸
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 G1-O-5
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    男鹿半島鵜ノ崎海岸の波食台は中期中新世の泥岩層(西黒沢層~女川層)からなり,直径1mから数mの巨大な炭酸塩コンクリーションが多数分布する.その形態は球タイプと繭タイプに分類されるが,近年それらの中に大型の

    鯨類
    化石が発見され注目されている(渡部ほか,2017;長澤ほか,2018).最近の研究ではコンクリーションおよび
    鯨類
    化石はドロマイト質であり,それらの炭素は主に化石の
    鯨類
    由来と考えられている(隈ほか,2023).本地域において100個以上のコンクリーションを観察した結果,約30個に
    鯨類
    骨を確認し,記載可能な25個のコンクリーションについて,露出部の化石の観察によって形態や
    鯨類
    タクサ等について検討したので報告する. コンクリーションの特徴は次のとおり.1)露頭の観察より16個が母岩に固着(現地性),9個が母岩より分離(異地性)と判断.2)現地性コンクリーションのうち,10個は西黒沢層に6個は女川層に含まれる.3)形態では繭タイプ9個,球タイプ4個,不明12個.4)全体の6割の15個が長径1m以上の大型コンクリーションで,最大のものは長径9mと巨大.5)全体の7割の18個で中心部周辺に化石を確認.6)ヒゲ
    鯨類
    の下顎骨や連続する椎骨が,コンクリーションの中軸部を貫通するものが12個(推定を含む)あり,繭タイプで目立つ.このように,化石とコンクリーションとの関連性が高いように見えるが,隣接するコンクリーションで化石がないものも多い.またコンクリーション内部に生痕化石が観察されることがある. 化石の特徴は次のとおり.1)形態と内部の海綿質の発達からすべて
    鯨類
    と同定.2)化石は骨格から分離した部位とその集合を主体とするが,複数の椎骨が連続する例や頭蓋・下顎が同層準で隣接する例があることから,軟部組織で連結された骨格もあったと推定.3)大半の化石に欠損・摩耗があるが,圧密による変形はほとんどない.4)産出部位と化石数は,肋骨30,椎骨15,ヒゲ
    鯨類
    下顎骨10,頭蓋(断片含む)5,上顎吻部4の計64点.5)化石は同一産出層準と形態の類似性に注目すると26個体程度にまとめられる.6)
    鯨類タクサではヒゲ鯨類
    が多く,部位形態よりセミクジラ科(下顎骨)5個体,ナガスクジラ科3個体(頭蓋,下顎骨)などを識別.7)形態の特異性から未知のタクサの可能性のある化石(下顎骨)も含む.8)化石部位を現生
    鯨類
    と比較すると,体長10m以上が15個体(最大16~22m)で,中期中新世
    鯨類
    では大きさが際立つ.  ところで,最近渡部ほか(2023)は,秋田県天徳寺層産の貝類化石コンクリーションの全炭素量に対して,貝類が供給しうる最大炭素量を検討した.その結果,貝類の軟体と殻を合わせた有機物起源の炭素量はコンクリーション全体の0.5~12%が上限であり,全炭素量のほぼ90%以上を他の未知の生物に依存している事実を明らかにした.隈ほか(2023)では,鵜ノ崎のコンクリーションの成因を基本的にはYoshida et al.(2015)のツノガイのモデルを鯨骨に置き換えたモデル(他の生物の関与も示唆)で想定しているが,膨大な炭素の大半を
    鯨類
    断片に求めることは渡部ほか(2023)を踏まえれば困難である.従ってその成因論についてはより慎重な議論が必要である.そのほか,隅ほか(2023)は西黒沢層と女川層にHCS(ハンモック状斜交層理)を認めたとして,HCSを要因とする
    鯨類
    の堆積過程や初生的なドロマイトの沈殿の説明を試みているが,これらも議論の余地が多い.そもそも,石油根源岩の深海性堆積層とされてきた女川層で,暴浪が海底に達するような浅海環境を想定することは,これまでの男鹿半島の地質研究からはあまりに乖離している. 文献 隈隆成ほか,2023,男鹿半島鵜ノ崎海岸の中新統西黒沢層・女川層中に見られる巨大鯨骨ドロマイトコンクリーション群の形成条件.地質雑,129,145-151.,長澤一雄ほか,2018,秋田県男鹿半島鵜ノ崎海岸の中新統コンクリーションより多数の
    鯨類
    化石を発見.古生物学会2018年年会予稿集,21.,渡部晟ほか,2017,秋田県男鹿半島鵜ノ崎の中・上部中新統(西黒沢層・女川層)に含まれる炭酸塩コンクリーション中の脊椎動物化石の産状.秋田県博研報,42,6-17.,渡部晟ほか,2023,秋田県大仙市天徳寺層(後期中新世後期-鮮新世)産球状炭酸塩コンクリーションの炭素の起源と形成過程.秋田県博研報,48,11-26.,Yoshida,H.et al.,2015,Ealy post-mortem formation of carbonate concretions around tusk-shells over week-month timescales.Sci.Rep. 5,1-7

  • 市森 大地, 鈴木 駿介, 小島 千里, 石森 謙太郎, 杉谷 舞, 松田 純佳, 小野 雄大, 松石 隆
    日本セトロジー研究
    2013年 23 巻 29-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    10年間通年にわたって津軽海峡で実施している

    鯨類
    目視調査計375回で発見された全鯨種について集計し、その出現の季節性と経年変化を検討した。この期間に発見された
    鯨類
    は1,876群19,065頭となり、カマイルカ、イシイルカ、ネズミイルカ、ミンククジラ、ハンドウイルカ、マイルカ、シャチの少なくとも7種類の
    鯨類
    が発見された。シャチを除く6種が4月~6月に発見頭数のピークを迎えた。一方8月~10月はどの種も遭遇率が少なく、カマイルカとネズミイルカを除く5種は、10年間に1度もこの時期の発見がなかった。ネズミイルカは、遭遇率が年々有意に増加していた。マイルカとハンドウイルカは2004年以降発見されなくなった。一方、シャチは2009年以降に発見されるようになった。

  • その可能性と問題点
    *岸上 伸啓
    日本文化人類学会研究大会発表要旨集
    2018年 2018 巻 A13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    カナダ北西海岸地域において新たな
    鯨類
    利用としてホエール・ウォッチングが行われている。ホエール・ウォッチングとは、海を回遊している自然状態の
    鯨類
    の生態を観察する観光の一種である。最近では、経営者としてこのビジネスに参入する先住民も出現しつつある。本発表では、カナダ北西海岸地域バンクーバー島東岸と西岸におけるホエール・ウォッチングを事例として先住民による
    鯨類
    の非致死的な利用について検討を加える。
feedback
Top