ゲル等電点焦点法によってクワの栽培3品種, 国桑第21号, 一ノ瀬および剣持の葉身, 葉柄, 茎, 根および花穂におけるパーオキシダーゼアイソザイムの器官特異性を調べた。
国桑第21号および一ノ瀬ではそれぞれ総計17本, 剣持では18本のアイソザイム
バンド
をザイモグラムで検出した。これらの
バンド
のうち4本の
バンド
はいずれの品種, いずれの器官においても共通して存在した。個々の品種ですべての器官に共通して存在する
バンド
の数は, 国桑第21号. 一ノ瀬および剣持のいずれの品種でも5本であった。それ以外の
バンド
は1~4種類の器官に特異的に存在する
バンド
であった。pI9.5Aの
バンド
は国桑第21号, pI5.2, 5.4の
バンド
は, 一ノ瀬, pI9.0, 9.1B, 9.5Bの
バンド
は剣持にしか現われなかった。またpI9.0から9.5Bに位置する
バンド
は一ノ瀬では全く認められなかった。これらの
バンドはそれぞれの品種を特徴づけるバンド
であろう。
なお, これら栽培3品種の葉身のザイモグラムは齢特異性を示すものがあった。
バンド
の存否とその濃度をパラメーターとした不一致数法によってそれぞれの器官のザイモグラムの類縁性を調べたところ, 概して近接した部位にある器官のザイモグラムほど類縁度が高いことがわかった。ただし, 花穂と他の器官のザイモグラムに関してはこの関係が明瞭でなかった。
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