日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
シベリア産カラマツ材の製材工程で生じる微粉末塊を利用した食用きのこ栽培
高畠 幸司
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2002 年 10 巻 4 号 p. 205-211

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抄録

シベリア産カラマツ材を製材する工程で集塵ファンやダクト内に微粉末の塊が形成されるが,この微粉末塊には水抽出物が約40%の含有率で存在していた.微粉末塊を粉砕したカラマツ微粉末(以下,カラマツ微粉末とする.)を寒天培地,鋸屑培地,液体培地に添加して,ヒラタケ,シイタケの菌糸体成長,子実体形成に及ぼす影響を検討した.カラマツ微粉末を培地に添加することにより,ヒラタケ,シイタケの菌糸体成長は促進された.鋸屑培地にカラマツ微粉末を添加することにより,ヒラタケ,シイタケ共に子実体収量は増加した.好適な添加濃度は2〜5%で,ヒラタケでは無添加培地の1.2倍,シイタケでは1.4倍の子実体収量を示した.カラマツ微粉末はトリコデルマ菌の菌糸体成長に抑制作用を示した.カラマツ微粉末のヒラタケ,シイタケ,トリコデルマ菌に対する作用はカラマツ水抽出物と同様な傾向を示し,カラマツ微粉末中の水抽出物が作用したと考えられる.

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© 2002 日本きのこ学会
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