本研究は,島根大学教育学部で1年次に実施されている学校教育実習Ⅰの事前事後指導にあたる学校教育実践研究Ⅰを事例として,教員志望学生の授業観察力量を向上させるためにいかなるカリキュラムデザインが必要となるかを明らかにするものである.学校教育実践研究Ⅰ受講者の自己評価アンケートの結果を基に,学校教育実践研究Ⅰにおける3年間のカリキュラムデザインの再構成が受講者にどのように反映されるか,また反映されないかを分析していく. 2011年から2013年の3年間にわたるカリキュラムデザインの再構成によって,VTRを活用した事前指導の成果が認められ,授業を1時間の流れ,次時とのつながりという一連の流れで捉える受講者も増加した.だが,授業観察に必要な用語を用いた授業記録・授業協議については3年間共通して課題が認められた.また,授業観察において,授業や教師へ視点が焦点化することで,児童・生徒に対する意識が弱まる点が示唆された.