日本食品科学工学会誌
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塩基配列に基づく細菌同定法の食品ミクロフローラ解析への応用
長島 浩二八十川 大輔中川 良二池田 隆幸
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1998 年 45 巻 1 号 p. 58-65

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抄録

16SrRNA遺伝子の塩基配列に基づいた細菌同定法を食品のミクロフローラ解析に応用した.漬物,スモークサーモン,調味ホルモンから菌を分離し,93菌株について16SrRNA遺伝子の5'末端約300塩基を決定した.
その内の互いに異なる35配列をDNAデータベースと照合した結果,既知菌種の配列と91~100%の範囲でホモロジーを示し,平均では97.9%であった.熟成タイプのはさみ漬では乳酸菌がミクロフローラの大部分を占めていたのに対し,浅漬タイプの野沢菜漬は各種の細菌が混在しており,特に低温で生育可能な腐敗細菌が相当数存在した.両漬物でのミクロフローラの違いは,今回使用した野沢菜漬が浅漬タイプの漬物であり,はさみ漬が熟成タイプであることを反映したものと思われる.
スモークサーモンではStaphylococcus属,Acine-tobacter属およびFlabobacterium属の菌が検出された.調味ホルモンでは動物腸管生息菌2菌種を含む5菌種が検出された.
各種漬物の乳酸菌を検索したところ,LeuconostoccremorisあるいはLactobacillus sakeに近縁の菌種が常に分離された.

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