アプライド・セラピューティクス
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13 巻
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  • 土井 信幸, 飯塚 慎哉, 小見 暁子, 小柳 真依子, 菊地 潤一, 秋山 滋男
    2019 年 13 巻 p. 16-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    抗精神病薬は長期的かつ定期的な服用が必要であるが,用量依存的に有害事象を引き起こすことが知られている。そのため、抗精神病薬の処方に対し2012年の診療報酬改定より段階的に制限が設けられているが、診療報酬改定が医師の処方決定および実際に薬物治療を受けている患者に対して与える影響について詳細な検討はなされていない。そこで、本研究では診療報酬改定が統合失調症患者の処方内容に与える影響を調査した。群馬県内A病院精神科の外来統合失調症患者35名を対象に、2016年3月から2018年9月までの期間の抗精神病薬の処方解析を行った。患者平均年齢は49.2±11.0歳,男女比は男性51.4%,女性48.6%であった。抗精神病薬の処方剤数について2016年3月は4.5(3.0-5.8)剤(Median(IQR))、2017年5月は4.0(2.7-5.0)剤、2018年8月は3.6(3.0-4.0)剤と段階的に有意な減少が示された。クロルプロマジン換算値(以下: CP換算値)については2016年3月は454.6(235.0-866.2)mg(Median(IQR))で2017年5月の337.5(200.0 -611.5)mgと比較して有意に減少したが、2018年8月は350.0(225.0-675.8)mgであった。診療報酬改定に伴う患者の服用剤数や成分数の有意な減少が示され、CP換算値も有意に減少し、過鎮静などの患者のQOLに関わる副作用が軽減されていると考えられる。患者の治療の評価やQOLについての研究には限界があるが、定期的な診療報酬改定が医師の処方権を大きく阻害することなく統合失調症患者の薬物治療の適正化に繋がっていることが示された。
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