アプライド・セラピューティクス
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最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 芦川 直也
    2020 年 15 巻 p. 1-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー
    心不全症例は増加の一途を辿っていることから、予後不良であるこの病態についての患者およびその予備群における理解度向上は喫緊の課題である。心不全症例に対する薬剤師の介入すべきポイントは、良好な服薬アドヒアランスの確立、ACE (Angiotensin Converting Enzyme)阻害薬、ARB (Angiotensin Receptor Blocker)、βブロッカー、MRA (Mineral corticoid Receptor Antagonist)等の標準治療薬の導入提案、低腎機能例に対する処方支援など多岐にわたる。また、心不全症例は再入院率が高く、これに至る理由が服薬アドヒアランス不良を含めた生活上の不摂生および感染症が過半数を占めることから、他職種と連携して生活面についての患者教育を行うことも非常に重要である。  心不全症例に対して適切な処方提案を行うためには、その心不全が左室駆出率の低下したHFrEF (Heart Failure with reduced Ejection Fraction)なのか、それとも保持されたHFpEF (Heart Failure with preserved Ejection Fraction)なのかを理解しておく必要がある。なぜなら、この2つの状態の間で心不全治療薬の予後改善効果に関するエビデンスが異なるためである。また、心不全増悪時の処方内容について、NSAIDs等の症状増悪に関連した可能性がある薬剤は中止するよう提案すべきである。そして、心不全治療薬の導入においては、ACE阻害薬、ARB、MRAによる腎機能悪化およびβブロッカーによる徐脈に留意し、あわせて利尿薬抵抗性を生じた際には、適切な対処法を提案する必要がある。
  • 高橋 雅弘, 越前 宏俊
    2020 年 15 巻 p. 13-27
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/03
    ジャーナル オープンアクセス
    薬剤師による症例報告は、薬物治療の適切性をEBMの考え方に基づいて評価することで、適正な薬物治療の実践へ貢献することが求められる。薬剤師による患者ケアプロセスはCollect、Assess、Plan、Implement、Follow-upの5ステップから成るが、症例報告ではこれらのうちCollect、Assess、Planのステップが取り上げられる。薬剤師の症例報告では、個々の患者が有する医学的問題点と薬物に関連した問題点を特定するための患者背景情報の収集が最初のステップになり、引き続いて、収集した情報に基づいて患者が抱える問題点のリストアップと介入の優先順位づけが行われる。その後、優先度の高い問題点から順に、薬学的な視点に基づく詳細な評価を行う。薬剤師による問題点の評価は、薬物の適応症(indication)、有効性(effectiveness)、安全性(safety)、アドヒアランス(adherence)の4つの側面(IESA)から段階的に実施することが推奨されている。問題点の評価が完了したら、評価内容に基づいて患者に最も推奨する薬物治療計画を立案する。薬剤師は、薬物治療の専門家としての科学的な考察を十分に発揮した症例報告を通じて、目前の患者にとって最適な薬物治療を提案し、そして実践することが求められる。
  • 津田 泰正, 蓮沼 智子, 山藤 満, 緒方 宏泰
    2020 年 15 巻 p. 28-41
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
    関節リウマチ(以下、RA)の治療は、欧米および日本の各リウマチ関係学会からフローチャートによるガイドラインが提示されている。まずメトトレキサート(以下、MTX)をアンカードラッグとして使用し、効果不十分の症例では生物学的製剤やJAK阻害剤などを使用して早期の寛解導入を試みる。症例によっては生物学的製剤の種類によって治療反応性が違うため、反応を見ながら変更が必要かを検討して行く。本稿では2019年10月に愛知県薬剤師会が主催した標準薬物治療法研修会(2019 年度第1回)で実施した研修内容をご紹介する。具体的には、RAに関する疫学や原因、病態、標準薬物治療について学習した上で、ある比較的典型的なRAの症例を元に治療方針を決めて行く作業を参加者と共に行っていき、治療の選択を決定する上でのポイントについて解説した。また、その際に、科学的・合理的な薬物治療実践のために問題志向システム(POS: Problem Oriented System)に基づく問題解決プロセスを用いながら提示症例の主観的データ(S: Subjective data)と客観的データ(O: Objective data)を抽出する作業も行った。
  • 石村 淳, 鈴木 康友, 渡邉 文之
    2020 年 15 巻 p. 42-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/07
    ジャーナル フリー
    糖尿病は、世界的に急激に増え続けており、わが国においても非常に多くの患者が存在する疾患である。糖尿病治療は「療養が主体」であるため、治療は食事・運動療法が基本となるが、薬物療法も重要な役割を担っており、血糖コントロールのためには、薬剤師による患者個々の生活環境や療養状況に応じた適切な服薬支援を行うことが必要となる。そこで、薬剤師の糖尿病薬物治療の知識の向上、および薬薬連携の定着や浸透、さらに糖尿病の生活指導のエキスパートと認定される糖尿病療養指導士の取得の向上を目的として、「千葉県西部若手薬剤師糖尿病研究会」を設立した。そこで、本研究会の糖尿病治療教育の取り組みの成果や問題点について報告する。 研修会の参加者数は、設立当初と比較して増加傾向となり、薬局薬剤師のニーズに合わせた研修会を検討した結果であると考えられる。加えて、千葉県糖尿病療養指導士(CDE-Chiba)取得薬剤師の参加者も増加し、研修会が参加者の意識変化に少なからず影響を与えた可能性も推察された。しかしながら、薬薬連携に対しては消極的な意見が多く、依然、発展には至っていない。今後、薬薬連携の発展のために、研究会の世話人会で検討した情報提供書を用いた連携を参加者に提案することを考えている。
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