データ分析の理論と応用
Online ISSN : 2434-3382
Print ISSN : 2186-4195
2 巻, 1 号
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論文
  • —数量化Ⅲ 類分析でみる日本人の国民性継続調査データの意識構造の変化—
    林 文
    原稿種別: 論 文
    2012 年 2 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2020/04/02
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    1953 年から5 年ごとに統計数理研究所の国民性調査委員会によって継続されている「日本人の国民性」調査から,林知己夫は数量化Ⅲ 類によって,日本人の特徴としての「考え方の筋道」を見出してきた.本稿では,その中心的な考え方とされる義理人情,伝統対近代,科学文明観の考え方について,最新の調査を含めて数量化Ⅲ 類による分析を行った.義理人情的回答とされた回答群が第一次的に表れる傾向は,1990 年代まであったが,2000 年以降は二次的なものとなっている.また,伝統対近代については,1953 年には伝統的とされる回答が固まり,強い結びつきを示していたが,次第に崩れて,科学文明観もその中で位置を変えてきた.現在はその延長上とはまた違う動きもみられている.異なる文化間の考え方の比較は,個々の質問の比較だけでなく,大きな枠組みの中で見出され,個々の質問を少し変えても変わらない構造として捉えることが大切で,数量化Ⅲ 類は,こうした様相を捉えるのに有効な分析ということができる.

  • 小田 牧子, 石岡 文生, 正木 隆, 栗原 考次
    原稿種別: 論 文
    2012 年 2 巻 1 号 p. 17-31
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2020/04/02
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    森林における樹木の動態の調査や定量的評価を行う場合,森林を分割した小区分ごとで分析が行われる.その際,森林の分割には,森林を等間隔に分割するような方法より,それぞれが生態学的に同じような性質をもつ分割の方が望ましい.このような生態学的に共通属性をもつ領域をパッチと呼ぶ.パッチを同定するには,通常,メッシュ内の樹木構成や特定の種目の生態に限定した分割手法が用いられる.しかし,既存の方法には,メッシュの大きさの選択がパッチの大きさに依存する,森林自体が多種の樹木によって形成されていることが反映しにくいという難点がある.よって,これらの点を改善したパッチの同定法が重要である.

    そこで本論文では,空間の位相的構造を階層的に表現できるエシェロン解析を用いて,森林を構成するパッチを同定する手法を提案した.エシェロン解析を利用することで,全樹種の生態や森林の更新を反映したパッチの同定が可能になることを示した.さらに,茨城県の小川試験地のデータに適用し,提案した手法の利便性を示し,森林の階層構造及び不均一性を明示した.

  • 山下 直人, 前川 眞一
    原稿種別: 論 文
    2012 年 2 巻 1 号 p. 33-51
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2020/04/02
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    本研究では,クラスタリングの1 手法である,K-平均法と,バイプロットのアルゴリズムを組み合わせることにより,個体と変数の分類と,分類後のクラスターのプロットを同時に行う方法を提案する.一般に,多くの個体・変数から成るデータ行列のバイプロットは,個体に対応する点,変数に対応するベクトルの数が非常に多くなり,煩雑なプロットとなるため,その解釈は困難である.提案手法は,個体・変数を少数のクラスターに分類し,そのクラスターを2 次元平面上にプロットするものであるため,データ行列の規模が大きい場合であっても,単純で解釈のしやすいバイプロットを得ることが可能である.提案手法の有用性は,数値シミュレーションと,実データ解析により,実証的に検証される.

  • 藤田 将成, 伊藤 浩二, 小林 稔, 南 弘征, 水田 正弘
    原稿種別: 論 文
    2012 年 2 巻 1 号 p. 53-68
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2020/04/02
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    ユーザのWEB 検索やコンテンツ閲覧履歴等を利用した情報推薦に関する技術が数多く研究されている.このような技術では,一定量の履歴が蓄積されるまで推薦精度が向上しないCold-start という問題がある.特に飲食店等のスポットの推薦に目的を絞ったスポット情報閲覧履歴の分析では,一般のWEB 検索などに比べ利用頻度が少ないため履歴の蓄積が進まず推薦精度が向上し難い.本論文では,スマートフォンの普及等により,ライフログの一つである継続的なGPS 移動履歴の収集が容易となっていることを利用して,スポットの推薦精度を向上させる手法を提案する.提案法では,GPS 移動履歴からユーザ行動範囲を抽出し,インターネット等からユーザ行動範囲のスポットのデータを収集し基準となる分布を算出する.統計的仮説検定の考え方を利用し,この分布との比較により,スポット情報閲覧履歴と,GPS 移動履歴を特徴化し,複数の検定結果を組み合わせるStouffer’s Z-score method により統合し解析する.飲食店推薦を対象とした実環境での実験を行い提案法の有効性を示した.

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