データ分析の理論と応用
Online ISSN : 2434-3382
Print ISSN : 2186-4195
7 巻, 1 号
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論文
  • 林 拓也
    原稿種別: 論 文
    2018 年 7 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2019/06/18
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    クラスター分析手法のひとつであるReduced K-means法では,多変量データを縮約した部分空間を構成する次元軸と,その次元空間におけるクラスター中心が同時に推定される。本稿では,大規模な社会調査データにこの手法を適用した分析例を示しつつ,K-means法や主成分分析を併用したタンデム・クラスタリングによる結果との比較を行い,その有効性について論じる。また,この手法では,次元数およびクラスター数の設定について選択の余地があるので,最終的にどの解を採用するかを決定するための判断基準が必要となる。その点について,客観的なクラスター評価指標に基づく検討を試みる。

  • —職業コーディングを例として—
    高橋 和子
    原稿種別: 論 文
    2018 年 7 巻 1 号 p. 21-42
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2019/06/18
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    社会調査において収集された自由回答を基礎データとして統計処理に用いるには,アフターコーディングを行って,事前に設定されたコードのいずれかに分類する必要がある.しかし,回答に含まれる情報が曖昧であったり不足する場合は,コーダの負担が大きいだけでなく,誤ったコードに分類される可能性がある.このような事態を回避するには,データ収集の時点で,コードの決定に必要な情報が含まれている必要があるが,これを回答者や調査員に要請するのは容易ではない.本稿では,調査員が調査現場にコンピュータを持参して回答を入力すれば,その場で情報不足か否かを判定し,情報不足と判定した場合は回答者に追加の質問を行って必要な情報を収集する処理を自動的に行うシステムを提案する.提案システムは,一連の処理の中で,機械学習の適用により確信度を付与したコードを出力するため,調査現場で基礎データを提供できるという利点もある.現在,アフターコーディングの代表である職業コーディングを対象にシステムを構築中で,一部人手を介した実験ではあるが有効性が示唆された.今後の課題は,システムの実装を完成させて評価を行った後,汎用化を進めることである.

  • —中国の北京と杭州を事例として—
    陳 艶艶, 鄭 躍軍
    原稿種別: 論 文
    2018 年 7 巻 1 号 p. 43-63
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2019/06/18
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    本研究では,異なる経済開発と環境の現状に置かれている中国の南北の都市を代表する北京市と杭州市を対象に,人々の環境意識と環境保全行動の実態を調査データの分析により解明すると共に,それぞれの環境意識の構造的特徴及びそれに影響を与える社会的・環境的要因を明らかにする.調査データの分析結果により,深刻な環境状況に直面している中国では一般市民の環境への関心が強いと同時に,環境問題の解決に科学技術の進歩に対する期待感が高いことも示された.また,杭州に比べ,北京では環境満足度が低く,環境悪化に対する不安感が高く,より多くの市民が環境保全行動に取り組んでいる傾向が見られた.これは両地域の環境現状の差が生み出したものと考えられる.多重対応分析の結果により,高年層,低学歴層,また低収入層に属する人々を中心的な対象とし,環境教育を強化し,環境意識を改善することが効果的であると結論づけた.また,ロジスティック回帰分析の結果により,地域の事情に合わせて環境保全活動を喚起する必要性が浮き彫りになった.

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