日本産のヒメクチキヒメバチ属を再検討し、本州と四国で得られた標本に基づき新種Deuterixorides breviterebratus を命名、記載した。本種はヒメクチキヒメバチD. orientalis (Uchida, 1928) に似るが、前脚および中脚の基節が黒色である点(ヒメクチキヒメバチでは赤色)、肩板は黒色~黒褐色(ヒメクチキヒメバチでは黄色~黄白色)、産卵鞘は前翅の0.6倍の長さ(ヒメクチキヒメバチでは0.7~1.0倍)であることで容易に区別できる。国後島と極東ロシアから知られていたクナシリクチキヒメバチD.atratus Kasparyan, 1976はヒメクチキヒメバチの種内変異に収まると認め、前者を後者のシノニムとした。結果、日本産のヒメクチキヒメバチ属は2種が認められた。D. breviterebratus の新標準和名として、全ての基節が黒色である点にちなみモトグロヒメクチキヒメバチを提唱した。
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