3, あるいは8年間または10年間, 類代飼育した雌性単為生殖をするクワガタダニとナミッブダニの個体変異を調べた。その結果と野外個体群の場合とも併せて, 次のものが種内変異として考えられた : クワガタダニにおいては, 体表をおおう顆粒の大きさや形, 後体部にある凹みの強弱や大きさ, 後体部前方両側の突出部分の大きさ, 吻部の三つ山状起伏の強弱, 桁遊離部先端の膨張の程度と小さな突起の有無, 胴感毛の形, 肛扉毛。 肛側毛, 性扉毛, 性扉側毛の数と位置, 肛側裂孔の形と位置, ナミツプダニにおいては, 桁の形, 後体部前縁の形, 股条の形, 肛扉毛, 肛側毛。 性扉毛, 性扉側毛の数と位置である。今回類代飼育された両種に特異的なのは, 母ダニの死後, 母体の中で卵から幼体が孵化していたことと, 太く長く色濃い肛門後部錠 (新称) であった。又両種共に, 先端部の切れ込んだ吻や肛門側縁に平行な肛側裂孔を個体変異として持つ例はみられなかった。
抄録全体を表示