FORMATH
Online ISSN : 2188-5729
ISSN-L : 2188-5729
8 巻
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Original Article
  • T. Nakajima, H. Kanomata, T. Ito, S. Tatsuhara, N. Shiraishi
    2009 年8 巻 p. 179-194
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

    For expansion of forest area by implementing thinning, it is important to analyze attitudes of forest owners, who are the ultimate decision makers for implementation of silvicultural practices in private forests.Using a questionnaire survey, we aimed to clarify the preferences of forest owners for the implementation of thinning practices. We surveyed the attitudes of forest owners regarding silvicultural practices and strategies to expand plantation forest area through commercial thinning.We conducted a questionnaire survey in Hayakawa, Japan, which has a large forest area, to examine forest owner attitudes about implementing precommercial thinning, commercial thinning from below, line thinning, or joint thinning together with other land owners. We also asked forest owners what criteria are important in making decisions for joint implementation of thinning. The interest of forest owners in line thinning was relatively low. Given a harvesting income to expenditure ratio that is not negative, more than half of surveyed forest owners, except for those with no intention to thin, intended to implement thinning. The most important factor for forest owners on whether to agree to joint implementation of thinning was the possibility of reducing harvesting costs by scaling up. If we could provide evidence that harvesting income and expenditure would not be negative when cooperating with other forest owners in joint implementation of thinning, it may be possible to expand managed plantation forest area under thinning with the forest owners’ consent.

  • 佐藤 樹里, 山本 博一, 巽登 志夫
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 1-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    文化的・歴史的価値の高い木造建造物文化財を維持していくためには, 高品質な大径長尺材の確保が必要である. しかしこのような資材の確保は, 経験的な基準によって行われてきたため, 補修が必要な際, 効率よく確保できていない現状がある. そこで木造建造物に適用できる資材の基準を明らかにすることが重要である. 本研究では, 補修用資材として需要の多いヒノキを対象とし, 木造建造物に使用されている原木の規格, さらに立木の規格を評価する手法を検討した. この結果, 辺材幅の実測値を用いて, 製材品規格の要求に応えることのできる原木規格が得られた. そして木曽の天然ヒノキ林で調査を行い, 樹高曲線式と相対幹曲線式を作成し, これらの式より要求されている規格の原木が得られる立木の樹高と胸高直径を推定した. さらに文化財の構成部材の具体的な情報から, その部材を得るための立木の胸高直径を推定することができた.

  • 當山 啓介, 上村 佳奈, 山崎 加奈, 龍原 哲
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 13-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    東京大学千葉演習林における昭和53 年度から平成17 年度までの育林作業記録を用いて各種育林作業の功程と地形・地理条件との関係性を調べ, またこの間の標準功程を算出した. 年一回目下刈で傾斜が約20 度以下の時に作業効率が悪いという点以外では, 地形・地理条件で功程の統計的な関係を説明することはできなかった. 実施本数あるいは実施面積といった事業量が少ない施業記録の間では功程のばらつきが大きかった. 得られた標準功程によると, 育林作業は従来より効率化あるいは省力化されていた.

  • 田中 万里子
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 25-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    21 世紀に入りインターネットを活用した営業活動が各界で始まっている.「距離の超越」, 「時間の超越」, 「情報量無制限」のインターネットの特徴は, 森林地域にとって今までになかった有利なものである. そこで, 森林に期待されている木材生産, 観光ビジネス, 各種の環境提供の3つの機能にとって, どのようにインターネットを活用できるか整理を行った. 他産業界では,WWW は情報発信から双方向コミュニケーションツールとしての役割へと利用方法が変化している. 「環境税」が近年各県で導入されているが, これにも活用できる.

  • 嘉戸 昭夫
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 45-61
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    富山県内で実施された研究結果をもとに, 冠雪害リスクが高いスギ林分や林木の特徴をとりまとめた. その結果, 冠雪害リスクは富山県西部の低山帯で高い傾向が認められた. この理由として, 冠雪害に弱い品種であるボカスギ林が多かったこと, 気温が比較的高いために付着力の大きな雪が降ることがあげられた. 冠雪害リスクが高い林分は, 平均形状比が大きい, 斜面方位が風下側に位置する, 斜面形状が凹地形であるなどの特徴があった. 冠雪害リスクが高い林木は形状比が大きい, 樹幹ヤング率が小さいなどの特徴があった.

  • 岡 裕泰
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 63-91
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    世界の森林資源と林産物市場を統合した世界モデルの基礎としてのFAO の森林資源統計(2005 年版) および林産物統計(2006 年版) の報告状況について分析した. 世界森林資源評価FRA2005 では森林蓄積量や蓄積変化について報告している国は数の上では7 割程度だが, それらの森林面積の合計は世界の森林面積の9 割弱に相当する. また産業用材生産量については世界の森林面積の約99% をカバーする国々について何らかの統計値が報告されているが, 生産量の記載されている値の内のほぼ半数が自国からの報告値で,残りの半数はFAO 等による仮の推定値である. ただし量的に見ると報告されている生産量の約3/4 は自国からの報告値であり, 先進国の大部分では自国からの報告が採用されている. これに対して, 途上国の生産量についてはFAO 等による推定値が件数, 合計数量ともに多いことが確認された. こうした事実は薪炭材を除く世界の木材需給の7 割余りを占める先進国を中心とした需給推計の基礎を与えてくれるが, 途上国での木材需給の推計を困難にしている.

  • 行武 潔
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 93-120
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    第二次世界大戦後の木材価格と需給構造に関する近代経済学的アプローチによる研究は, 赤井, 半田, 岸根, 野村の4 氏に代表されよう. 本稿ではこの4氏の研究成果を中心にその後の研究成果も含めて検討し, 今後の方向を示唆する一助としたい. 検討の結果は以下のとおりである. (1) 赤井は,木材価格変動を上昇期, 下降期の趨勢変動に注目して期間を区分し, その間の需給構造の変化から各期の上昇, 下降の傾向を検証した. (2) 野村・半田の価格論争において, 価格弾性値は分析期間, 対象品目また需要, 供給関数の推定結果の確かさにより異なるものの, 野村の指摘のように国産材需要, 供給の価格弾力性の推定結果は, 岸根やその後の研究を含めても0.2∼0.5 ほどでともに非弾力的であると推察される. (3) 高度経済成長期は以前とは違って需要のシフト要因と補完材というよりも代替材としての外材の影響が特に顕著となったことが指摘される. (4) また岸根の供給行動を効用理論で説明するのは些か無理があり, 貨幣と留保需要(固定的供給量) の効用最大の選択問題とするよりも固定的供給量(利用可能蓄積量) を, 期待価格のもとに今伐るか将来伐るかの利潤最大の選択問題とした林家の経営行動とした方が妥当であろう.

  • 木島 真志, 吉本 敦, 嘉戸 昭夫
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 121-136
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    本研究では, 「シルブの森成長モデル」を使って経済的に最適な間伐計画を探索できる最適化モデルを構築した. 「シルブの森成長モデル」では, 直径階分布の成長が予測できるので, 各期において, 従来の間伐強度だけでなく,間伐方法(上層間伐, 下層間伐, 全層間伐) と間伐強度の組み合わせを最適化することが可能である. ここでは, 間伐の長期的な直径分布成長への影響を考慮できるMSPATH アルゴリズムを用いた. そして, 富山県のカワイダニ杉の林分データを用いて, 最適化モデル応用の実例を示した.

  • 加茂 憲一, 柳原 宏和, 嘉戸 昭夫, 吉本 敦
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 137-152
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    ロジスティック回帰モデルを用いて, 2004 年小矢部市のスギ林における冠雪害に対する発生リスクの解析を行った. 回帰モデルの構築には冠雪害に影響を与える要因を選択する必要があるが, ここでは情報量規準による変数選択法を用いて要因を決定した. また, 規準量についても, AIC, BIC, CAICの3 つを用いた. 更に, ここで得られた結果と, 先行研究である回帰木による予測結果との比較を行い, ロジスティック回帰モデルの有効性を実証した.その結果, 冠雪害リスク判別能力は, 50% を基準とした場合は大差ないが,ロジスティック回帰モデルが被害リスクを連続的に表現することができる点を考慮すれば, ここでのモデルの方が有効であることが分かった.

  • 稲田 充男
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻 p. 165-177
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    筆者は, カーマック・マッケンドリックの流行病モデルを応用し, 松くい虫被害量推移モデルを導き, その適合性ならびに予測性について検討してきた.しかし, 松くい虫の被害状況が次々と報告される中で, 従来のモデル構造のままでは対応できない事例が出てきた. 本論では, これまでのモデル構造を見直し, モデルの多重化およびベースライン付加の必要性を認め, より現実を再現できる新たなモデルを提案し, その適合性について検討した.

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