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光の浴び方評価指標の提案
長谷部 徹, 岩田 利枝, 久保田 真由
セッションID: 101
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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わが国では照明技術の発達により夜間も昼間と同じ明るさの中で過ごすことが増えている。しかし人間は、光や生活情報という強い因子によって、本来25時間周期である概日時計を24時間周期に同調させている。また、変動のない光環境下に長時間いることは生体リズム自体の脆弱化につながることが示唆されており、日照時間が少ない環境では冬期季節性感情障害や睡眠リズムに異常がある傾向がみられている。
そこで本研究では人間が浴びている照度と、加速度の測定から睡眠状態を測定した。そして光の浴び方評価指標を提案し、光の浴び方による睡眠への影響を考察した。
携帯型照度測定装置を用いて、浴びている照度と加速度を測定した。被験者は内勤労働者1名と学生1名(2003年2月_から_3月)である。また、睡眠解析ソフトを用いて睡眠の客観指標を算出した。
本研究では、光の浴び方評価指標として“朝夜比”を提案した。森田の光の指標(日中と夜間の浴び方)と様々な算出方法による朝夜比を参照し、本研究では“起床から6時間の積算照度/就寝前6時間の積算照度”の朝夜比を用いた。十分な光量が位相変化を起こすことから光の量も重要であるが、積算照度と朝夜比の相関をとったところ、R=0.76で相関があったので、朝夜比も光の量の指標とした。
本研究では光の浴び方によって、睡眠指標に影響があることが示した。これは、生体リズムの1つである睡眠にとっては、光の量とともに朝と夜の浴び方も重要であることを示した。
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近藤 太郎, 下川 修治, 錦辺 健, 池田 紘一
セッションID: 102
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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色は感覚的なもので、知覚される量を定量的に表す研究が進められてきた。そこで考案されたのが均等色空間である。その中でもNC-_III_C均等色空間は人間の色知覚の特徴である反対色応答における非線形補正関数を導入しているため、他の空間に比べて知覚量との整合性が良いと言える。本研究ではD65標準光源、A標準光源、蛍光ランプE-XLにおいてMacbeth Color Checkerがどのように知覚されるかを視覚実験を行った。さらに、この実験で得られた視覚実験データを均等色空間上で比較することにより、どの色空間が人間の色知覚をよく表しているかを検討した。NC-_III_C均等色空間、L*a*b均等色空間、U*V*W均等色空間、L*U*V均等色空間、Nayatani空間、Hunt空間で検討した結果、一番色ずれが小さいのはNC-_III_C均等色空間だった。今後の課題としては他の光源の下でも同様の実験を行い、検証を進める事である。
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那倉 達哉, 尾崎 知宏, 入倉 隆
セッションID: 103
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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長時間運転をすることでドライバーに疲労が蓄積しそのことによって、道路標識の発見、障害物の認識などに影響があると考えられる。明滅光は交通信号として広く用いられていることから明滅光に着目して実験を行った。実験は暗室内にて行った。17インチのディスプレイを被験者から50cm先に設置する。101個の刺激光が表示され、マウスダウンによりそのうちの1つが明滅を開始する。被験者は明滅光を発見した瞬間にマウスアップしその間の時間を測定する。被験者には運転代用タスクとしてビジランス作業を行った。ビジランス作業はある条件がそろったときにのみ反応をするものであり、作業内容が運転に近いことが明らかにされている。ビジランス作業時間を変化させて、明滅光探索時間との関係を調べた。実験結果からビジランス作業時間が長くなるにつれて明滅光探索時間が長くなった。このことは長時間運転による疲労が危険物などの発見を遅らせることを示唆している。
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点光源の密度の影響
笠原 鉄平, 入倉 隆
セッションID: 104
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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日常生活の中で、照明は人にとって不快ではない適切な光であることが望ましい。現在、不快グレアの評価方法としてUGRが用いられているが、UGRには制限があり点光源のように非常に小さい光源には適用できない。点光源は例えば、遠方の対向車のヘッドライト、道路照明、電光掲示板の文字信号など我々の身の回りに多く存在する。そこで、恒常法によるBCD光度を求める実験を行い、マトリクス状に配列された複数の点光源による不快グレアの特性について検討した。実験は暗順応下でマトリクス状点光源の密度を変化させて行った。その結果、一定面積内の点光源の数が増加するとBCD光度も増加するが、BCD光度の増加は点光源数の増加より小さい。点光源数がさらに多くなるとBCD光度の増加は小さくなる。また、点光源の密度が高い場合でも、面光源よりマトリクス状点光源の方が不快グレアを生じやすいことを明らかにした。
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駒場 敦子, 萩原 和人, 桜井 将人, 阿山 みよし
セッションID: 105
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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遠方から観察する信号や標識の網膜における刺激サイズは小さい.また,周辺視で信号や標識を検出し,そちらへ視線移動して確認する,という状況は日常多々あると考えられる.本研究では,周辺視野で観測しても中心と同じ色名を維持することができる範囲を測定することを目的とした. 測定は大型視野計を用いて,片眼右で,固視点を移動する方式で視野周辺まで刺激を呈示した.固視点は中心と上下左右各方位5、10,20゜の計13点とした.刺激はCRTで呈示し,平均輝度19.64cd/m2の赤領域(R)10色,黄領域(DaY)9色,緑領域(G)11色,青領域(B)13色と平均輝度59.54cd/m2の黄領域(BrY)12色の計55色を用いた.BrY刺激を用いた理由としては,DaY刺激は輝度が低く,色カテゴリーとして黄色に見えない可能性が前実験により示唆されたので,明らかに黄色に見える刺激としてBrY刺激を作成した.背景はN5.5の灰色とした.評価法としては,反対色型色評価,黒み・白み評価,カテゴリカルカラーネーミング (赤,橙,茶,黄,緑,青,紫,ピンク,白,灰,黒の11基本色名のうち1色名で応答)を行った.被験者は色覚正常な20代男女各1名,計2名とした. カテゴリカルカラーネーミングの結果としては,周辺視野では赤,緑応答は黄,青応答と比べて激減した.上下左右全ての方位について,緑応答は5゜まで,黄,青応答は10゜まで中心と同じ色名が維持される測定点が複数存在するが,赤応答に関してはそのような測定点はなかった.
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山口 秀樹, 篠田 博之, 池田 光男
セッションID: 106
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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現在空間の明るさを表す単位として主に照度が用いられている。しかしこの測光量だけで人間が認識する空間の明るさ感を正しく表すことができないという問題が、多くの研究者によって指摘されている。我々は空間の明るさ感はその空間の照明状況の認識に基づく感覚であると考え、照明の強さに対する認識の定量化を試みてきた。これには無彩色のテストパッチの色モード境界輝度を用いる。色モード境界輝度とは、物体表面の色の見えのモードが、その環境において「自然な物体表面の色」から「物体としては不自然な色」へと変化する境界の輝度である。本実験では不均一な照度分布を有する照明環境を数種類用意し、各照明環境下において境界輝度の分布を調べた。異なる照明環境間で境界輝度を比較することにより、境界輝度に加法則が成り立つことが明らかになった。つまり複数の照明器具によって照明された環境の境界輝度の分布は、それぞれ単独の照明器具によって照明された環境の境界輝度の分布の和で表現できる。これにより複雑な照明環境においても、単純な照明環境の境界輝度の和で表現することができるため、照明設計に応用するうえで本手法は非常に有用であるといえる。
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青木 悠, 平野 友彦, 入倉 隆, 豊福 芳典
セッションID: 107
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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視認性に影響を及ぼす要因として、対象物の大きさ、形状、背景輝度、背景と対象物の輝度対比などがあり、ランドルト環等を用いて様々な研究が行われている。しかし、私達の生活の中には様々な形状の物体が存在し、特定の対象物の視認性についての研究が行われていない場合が多い。また現在、電気は私達の生活の中で必要であり、送電設備の増加が見込まれている。それに伴い送電設備が飛行中の航空機の障害となり、事故が増加すると考えられる。よってトラス構造物の中で航空機の障害となりうる、鉄塔の視認性についてデータを得る。また視認性に影響を及ぼす要因の一つとして気象が考えられるため、霧中での視認性についてもデータを得た。実験は研究室内と霧実験室内で行われ、視標は300種類用いた。結果として、“送電設備を回避するのに鉄塔だとはっきりわかる事必要だが、霧中では困難である”、“コシュミーダ_-_の式が鉄塔の視認性に適用できる”が示された。
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景山 陽一, 西田 眞, 浅野 聡
セッションID: 108
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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我々の目にする物体の色は,光源からの照射光(電磁波)が物体表面で反射した光であるため,その分光反射率と光源の分光分布により物体の色を表すことができる。また,人間の視覚系は物体の見え方を一定に保持しようとするカラーコンスタンシー(色恒常性)の特性を有している。すなわち,照明条件が変化しても物体の見え方は大きく変化しないため,我々人間は物体表面固有の色を知覚することができる。 色情報は形状情報とともに物体を特徴付ける重要な要素であり,物体認識に必要である。しかしながら,屋外などの自然環境下で取得されたデータを解析に用いる場合,観測対象が同一であっても天候や時間などのデータ取得条件によっては異なる色と認識されることも起こり得る。このことが物体を誤認識する原因の一つになっている。 一方,高度な道路交通支援システムの構築を目標とする場合,前方向で取得される環境情報の一つとして道路標識がある。このため,情景画像中から道路標識を自動検出し,得られた情報を車両の運転手および歩行者に提示することにより,道路交通の利便性や安全性の向上が期待される。そこで本研究では,カラー情景画像取得条件の影響を低減可能な色情報とエッジ情報を用いたファジィ推論による円形道路標識の情報抽出法を提案し,その有用性について検討を加えたので報告する。
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白澤 洋一, 西田 眞
セッションID: 109
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年,音声などの聴覚的情報に加え,顔画像などの視覚的情報に着目した読唇および個人識別の研究が行われている.発話に伴う口形の時系列変化は固有の特徴を有するため,口唇形状を良好に抽出する処理の開発が求められている.しかしながら,室内環境で取得された画像データを処理する時,天候および撮影時間帯などの違いにより,取得した画像全体の色彩情報の異なる場合が有り得る.また,照明(蛍光灯)の周期的な明度変化に伴いフレーム毎においても色彩情報は変動する. そこで本研究では,口唇形状抽出処理に必要となる色彩情報をフレーム毎に自動取得し,解析に用いる手法について検討を加えた.すなわち,照明の影響による色彩情報の変動を考慮して,口唇形状抽出処理に必要となる色彩情報は事前に用意せず,各フレームから取得し解析に用いた.ここで,色彩情報としてL*a*b*色空間で定義された知覚色度指数およびメトリック色相角に着目し,これらのヒストグラムに対して判別分析法を施すことにより得られる各特徴量を用いた.さらに,口唇輪郭の境界が明確でないことなどを「あいまいさ」と見なし,ファジィ推論によるクラス分類処理による口唇形状抽出法を提案し,その有用性について検討を加えた.実験の結果,提案手法により色彩や形状に関する情報を事前に用意することなく,口唇形状が被験者毎の口唇輪郭に沿って良好に抽出可能であることが明らかとなったので報告する.
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辻 賢太郎, 原 直也, 野口 太郎
セッションID: 110
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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印刷物や液晶モニタなど種々の表示媒体を用いて視認性や明視性を把握する研究は多くなされているが、視対象の表示媒体が異なる場合について明視三要素が等しい状態で視認性・明視性が等しくなるかは未だ検証されておらず、種々の表示媒体において既存の資料を活用するに当たり、それらの対応関係の成立する条件範囲を知ることは必要である。本研究では種々の表示媒体で表示した視対象について被験者の輝度差閾値と読みやすさ評価を把握する実験を行い、表示媒体による視認性・明視性の差異を検討した。
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その1 高齢者の生活行動パターンとその光環境
今西 美也子, 土井 正, 岩田 三千子
セッションID: 111
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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健康の維持に不可欠な安定した生体リズムの調整に日常生活で暴露される光環境が強く関わっている。虚弱高齢者は外出機会が低下することによって、変化に富んだ昼光環境による光刺激を受けにくくなり、生体リズムに変調をきたしやすくなる。その結果、寝たきり状態に移行するきっかけになることが予測される。とりわけ、日照環境の劣悪な大都市圏の住宅密集地では暗い室内が多い。しかしながら、経済的にゆとりの少ない高齢者世帯では節約のために日中は電灯を点けないことが多いといわれている。そのため、低照度で単調な光環境における生活時間が長くなることから生体リズムの変調をもたらすことになる。本研究では、NHK国民生活時間調査データブックから高齢者の日常生活時間のパターンモデルを作成し、その行動を一般的な居住環境で模擬体験を行い、その際に光刺激量として顔面近傍の鉛直面照度を測定している。その結果、無職の男性高齢者の多くは、長時間室内でTVをみて過ごしていることがわかった。そのときの、光刺激は単調で低照度であった。一方、女性高齢者は様々な家事行為に多くの時間を使っており、場所の移動も多くなることから変化に富んだ比較的高い照度に暴露されていることがわかった。
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小林 孝彰, 柴野 正樹, 成宮 高志, 中山 昌春, 池田 紘一
セッションID: 112
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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産業界における製品の保守管理上、色彩の表示方法は重要な要件の一つであるが、色は本来感覚量であるので測色量を知覚量と一致させることが必要とされている。そのため、色を表示する均等色空間として国際照明委員会(CIE)では、1976年にL*a*b*均等色空間とL*u*v*均等色空間とそれぞれの色差式を勧告した。しかし、これら二つの空間及び色差式では測色上の色差と知覚した色差との対応で問題点を含んでいると指摘されている。そのため、他の均等色空間についての研究がなされているが、そんな中、1994年TCI-29からCMCに比べ、L・C・Hへの細かな依存性を簡略化したCIE94色差式が提案された。また、人間の反対色応答過程における非線形応答性を表式に取り入れたNC-IIIC均等色空間及び色差式が開発された。本研究においては、L*a*b*均等色空間、L*u*v*均等色空間、CIE94色差式、及び、NC-IIIC均等色空間における測色した色差と知覚した色差との対応関係より、均等色空間における色差の均等性について検証を行った。色空間,色差式について調べた結果NC_-__III_C均等色空間が人間の知覚に非常に近い色空間であった。
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飯田 篤弘, 山家 哲雄, 大谷 義彦, 藤田 淳一, 小平 恭宏
セッションID: 113
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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「バリアフリー」という言葉は、1970年代半ば以降から使われるようになり、未だどこの国も経験したことのない高齢化問題が現実のものとして認識されはじめた、1990年代に入ってから我々の生活の中に深く浸透した.本研究では、健常高齢者を対象とした「歩行空間におけるバリアフリー照明のあり方」を検討するためにコンピュータ・イメージ処理を使用し、年齢別の視覚特性解析に関する基礎的研究を行った.
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野田 真一郎, 石原 靖士, 木本 晃市, 池田 紘一
セッションID: 114
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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光源の分光分布の違いによる色の再現性を評価する指標の一つとして演色評価数がある。現在、国際照明委員会(CIE)では光源の演色性評価方法としてCIE1964均等色空間(U*V*W*)を演色評価数の計算に採用している。しかし、U*V*W*は人間の色覚属性との整合性がよくないため、この空間を用いた評価方法は正確さに欠けると指摘されている。そこで、本研究では3種類の光源下における色の知覚属性と、本研究室で開発されたNC-IIIC空間を含む各種均等色空間におけるメトリック量との整合性を比較し、実際の色の見えに適した均等色空間を検討する。試験色票としてJISマンセル標準色票から明度6クロマ4,6,8の各40色相を選択し、分光測色を行った。また、試料光源としてXeランプ、白熱電球、蛍光灯EX-Lを用いて主幹評価実験を行った。実験の結果、U*V*W*, L*u*vにおいてはいずれの光源においても知覚量との整合が全く取れていない。また、Huntにおいてはクロマの対応が取れていない。L*a*b*, Nayataniにおいては総合的な誤差は少ないものの、A光源、EX-L光源における空間の歪が知覚特性と一部対応が取れていない。一方、NC-IIICはいずれの光源においても知覚特性との対応が良好であり、NC-IIICが人間の色覚特性に最も対応した空間であると言える。
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赤塚 幸士郎, 小出 健太郎, 池田 紘一
セッションID: 115
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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NCS表色系の規格にはNCS表色系の概念,観測条件,NCS色票及び三刺激値などが記載されているが,心理評価実験や完全色(c=100)のデータなどに関して不明瞭な部分も少なくない。そのため,本研究はNCS色票80枚を使用して知覚された属性を評価し,NCS規格値との対応を検討する。さらに,光源を変えた際の知覚された属性を評価し,本研究室で開発された新均等色空間NC-IIIC-Vでの知覚された属性とメトリック量との対応を評価する。心理評価実験ではNCS色票80色(s=35,c=30:20枚,s=30,c=40:40枚,s=25,c=50:20枚)を使用し,3名の観測者が5回ずつ計15回行った。照明光は標準昼光D65及び標準の光Aを使用した。NCS表色系に関しては,色み,黒みを小さく評価する傾向にあったが,これは鮮やかさと明るさを混同したためと思われる。NC-IIIC-Vに関しては,メトリック量と知覚量との差がNCS表色系に比べて1.7%にとどまり,従来困難とされていたNCS表色系の色み,白み,黒みを心理物理量として表示することが可能であると分かった。知覚的側面と心理物理的側面の両者の方法を併せ持つNC-IIIC-V空間の方がより量的な表現方法を持っていると言えるが,紫色の範囲で色相が広がっていた。これは,NCS表色系がマンセル表色系のように紫色を定義していないためであると考えられる。
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未学習色の弁別
太野垣 康子, 関谷 聡子, 関根 征士, 大河 正志
セッションID: 116
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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人間の色覚メカニズムはいまだ解明されていない点も多く、これを解明することは医学的にも工学的にも有用であると考える。本研究は、色覚メカニズムの解明を目的としている。研究方法として、色覚モデルを作り、そのモデルから色覚の“しくみ”を推測して解明する。そのためには、まず色覚モデルを作る必要がある。本研究では、脳の神経回路を模倣したコンピュータアルゴリズムである“人工ニューラルネットワーク”を用いて色覚モデルを構成した。これまでの研究で、コンピュータに正解を教えながら色を学習させるアルゴリズム(バックプロパゲーション)を用いて、マンセルシステムより選択した40色を学習するモデルの構築をし、40色の学習がなされていることを確かめた。今回は、そのモデルが未学習の色を弁別できるかについて調べた。モデルにおける色弁別の基準は人間の色弁別能力に基づいたものを設定してある。結果として、構築したモデルにて未学習色の学習ができたことがわかった。
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山子 幹雄, 金谷 末子
セッションID: 117
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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近年、照明器具に使用される光源の輝度が高輝度化してきている。一方、屋内照明における照明要件の一つに不快グレアの除去があり、光源と視線方向との位置は不快グレアの程度に影響する。それらの関係についてはこれまで水平視線上仰角53度までの範囲に存在する光源が不快グレアに影響するとされてきたが、Ngaiらは水平視線上仰角85度以上であっても頭上からのグレア(Overhead Glare以下OHG)が発生することを明らかにした。我々は日本人若齢者を対象にOHGについて実験を行ない、これまで影響の少ないとされていた水平視線上仰角75_から_85度の範囲であってもOHGが発生することを明らかにした。本研究では、机上面照度・発光面輝度・水平視線上仰角を変化させた実験条件のもとで、日本人高齢者を対象に主観評価実験を行い、日本人若齢者との比較を行なうことを目的とした。 実験結果から、高齢者は発光面輝度が高輝度(20000cd/m2)・中輝度(10000cd/m2)の場合すべての仰角(55_から_95度)においてOHGが生じていることが明らかとなり、高輝度の場合は仰角75度以上、中輝度の場合は仰角65度以上で若齢者よりもOHGを感じやすいことが明らかになった。
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原田 泰彦, 山口 秀樹, 篠田 博之, 池田 光男
セッションID: 118
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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空間の照明状況に対する認識を照明認識視空間といい、特に照明の色みに対する認識を認識軸という概念で表現する。例えば物体表面の色が認識軸上にあればその物体は無彩色に見え、軸から遠ざかると色みは強くなる。実験では複数の色刺激に対して色モード境界輝度を測定し、その変化の様子から認識軸の位置を決めることが可能かどうかを調べた。色モード境界輝度とは、局所照明された色刺激がその空間内にある物体表面の色としては不自然に見え始める境界の輝度のことである。部屋の照明3種類の色温度5500k,3700k,2800kに対して8種類の色のテストパッチの輝度を変化させ、色モード境界輝度を測定した。結果から色モード境界輝度は凸型の形状を持つこと。また照明の色度が変わると、その形状は照明の色度方向に移動することがわかった。さらにテストパッチが無彩色に見える色度を調べると、色モード境界輝度がピークかそれより青方向へ急激に下がる色度が、無彩色に見える色度に重なった。このことから本手法で認識軸を測定することが可能であることがわかった。
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井上 義親, 山口 秀樹, 篠田 博之, 池田 光男
セッションID: 119
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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最近では、窓のない空間が増加している。今ではそういった場所でも照明や換気といった機能は容易に得られるが、窓によって与えられていた快適性まで得られたとは言えない。例えば、窓がないことで外の情報が得られず隔離されていると感じる。そこで我々は本来の窓の代わりに外の情報を閉空間に取り入れるためのシステムとしてコミュニケーション・ウィンドウ・ライティング(CWL)を提案している。本研究では、CWLで外の明るさや色の変化を再現することで時刻や方角といった情報を伝えることを目的とする。実験室は2面の壁に1基ずつのCWが設置されており、CWは事前に測定しておいた外界データからそれぞれの明るさと色を独立してコントロールできる。実験では、CWで明るさのみを再現した場合と明るさと色を同時に再現した場合とを比較し、色情報を与えることの有用性を検討した。被験者は、開始から5、15、30、45、60分後に、実験室内で感じる時刻、CWのある方角、天気を答える。今回の実験では色再現によって回答が正確なものになるとは限らなかったが、色再現による効果はあったといえる。今後、条件やタスクの設定を変えて実験し、色情報が有効な条件を特定することが必要である。
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家庭用品表示部の記載文字について
北川 葵, 井上 容子, 秋月 有紀
セッションID: 120
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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<目的>実在する文字視対象は、その物理量の構成要素が多様である。本研究は、家庭用品表示部の記載文字の実態を把握し、既往の知見による明視性評価法を適用し、その読み易さについて検討したものである。<方法>家庭用品19商品について、表示事項を10分類し、文字寸法、文字と背景の反射率、色度、文字配列、文字数等の明視性に関与する物理量を測定する。<結果>一表示事項内の文字群数、文字寸法、背景反射率、輝度対比、色について検討し、表示事項毎に幾つかの特徴を把握した。文字には無彩色かPBが多く使用されており、「用途・適用範囲」「注意・規制」では、背景、文字ともに有彩色である組み合わせが多い。輝度対比は、95%以上の文字が0.5以上である。今回対象とした家庭用品表示部の物理量が明視性評価法の適用範囲内であることが確認されたので、同評価手法を用いて、物理条件の異なる文字を読み易さが等しい、輝度対比0.93、背景輝度10cd/_m2_、視距離400mmの条件下での文字寸法(等価文字寸法:分)に置換して検討した結果、各表示事項内の最大文字群であってもその等価文字寸法(中央値)は最大視力0.9(高齢者の平均両眼視力に相当)の人の50%が「普通に読める」文字寸法より小さい場合が多く、最小文字群については最大視力1.7(若齢者の平均両眼視力に相当)の人の50%が「普通に読める」文字寸法をどの表示事項でも満たしていない。
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無彩色背景における有彩色文書の視環境設計用資料
大島 寛之, 難波 一郎, 原 直也, 野口 太郎
セッションID: 121
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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既往研究の多くは無彩色視対象の明視性に着目しており、これまでに提案された明視性に基づく視環境設計法の多くは、有彩色視対象にはそのまま適用できない。しかしながら有彩色文書については、視対象の色彩が明視性評価に及ぼす影響が報告され、視対象の系統立てた色彩の組み合せと明視性との対応関係を定量的に把握した結果も報告されている。本報では、既報において把握された無彩色背景の有彩色文書の色彩と明視性との対応関係に見られる傾向を回帰したデータに基づいて算定した、有彩色文書と明視性において等価な無彩色視対象の輝度対比(等価輝度対比)を彩色文字の色彩(明度、色相角、彩度)と関連付けて示す。暗室内の液晶モニタを観察するという極端な視環境における限られた被験者に基づいた資料ではあるが、本資料を用いて彩色文字の色彩条件から導出した等価輝度対比を既存の無彩色文書の読みやすさに基づく視環境設計法の明視要素である輝度対比として用いることで有彩色文書に対する視環境設計が可能となる。
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久保田 真由, 岩田 利枝, 大場 奈緒子
セッションID: 122
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
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現在、夜間の室内照度は、昼間の室内照度と同じ設定になっているのがほとんどであるが、窓面輝度の低い夜間では昼間と同じだけの照度は必要ではないと考えられる。本研究では、作業するのに最適な明るさの昼夜比較と、被験者の特性が最適な明るさに与える影響を目的として被験者実験を行った。実験は昼と夜の2回行い、模型内はオフィスを想定し、窓面には晴れ・曇り・ブラインド・夜のスライド設置し、模型室内を最適な明るさに調光し、模型内机上面照度を最適照度とした。同時にアンケート(日常の好みの明るさ・昼の主要照明・睡眠時間)を行った。
実験時刻による昼夜に差異がないことから、光の曝露履歴が最適照度に影響していないことを示した。模型窓面輝度による昼夜には、夜の最適照度が昼の最適照度より有意に低い結果となり、模型1が晴れ条件での夜の最適照度は、昼の最適照度の0.7倍であった。被験者特性において、睡眠時間と昼間の主要照明では有意差があり、睡眠時間と昼間の主要照明違いによって最適照度に差異が出ることが示唆された。日常の好みの明るさには、有意差はなかった。どの被験者特性においても、夜の最適照度は昼の最適照度より有意に低い結果であった。よって昼夜では、最適照度が異なることを示した。
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川原 理恵, 金井 博幸, 上條 正義, 佐渡山 亜兵, 小林 正自
セッションID: 123
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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色彩心理学の分野で、「色彩」が、人間に生理的・心理的に影響を及ぼすことが知られている。赤の危険、黄色の注意、青の清潔、緑の落ち着くというイメージは、その代表的なものである。心理生理作用の効果には、元気づける、創造力を高める、精神集中を促す、ストレスを軽減するなどがある。 色彩が心身に影響を与えることは知られているが、色彩の呈示パターンである光点灯パターンの心身への影響についての研究は少ない。我々は、色彩を光と称し、光点滅パターンが心身に与える影響を調査し、「やすらぎ」や「危険性」、「緊急性」を感じる光点滅パターンを特定することを目的としている。 本研究の一環として、本稿では、緊急警告に適した自動車リアランプ表示を制御する光点滅パターンの特定を行う。様々な発光体の点滅パターンの人体に与える刺激の強さを、心電図から求められる自律神経活動から評価する。自動車リアランプの点灯制御は、交通事故の防止や周辺車両に対する運転者の意思伝達を可能とし、道路交通の円滑や安全に重要な役割を果たすと考える。
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松本 健一, 金井 博幸, 上條 正義, 佐渡山 亜兵, 小林 正自
セッションID: 124
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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本研究の目的は、輝度が任意に変化する動視標を追従する眼球の動きを眼球電図(EOG)によって測定し、EOGから対象物の輝度対比弁別閾を客観的かつ定量的に計測する手法を開発することである。従来、輝度対比弁別閾は、恒常法によって、視標が見えるか見えないという主観調査から求められてきた。恒常法は、統計的処理により、人間の判断を正確に反映することができる特徴を持つが、実験の長時間化による被験者への負荷、被験者の返答があいまいであり、バラツクなどの問題がある。これを解決する方法として、我々は、動視標を追従する眼球のEOG波形から視標の知覚を判別するアルゴリズムを作成し、輝度対比弁別閾を求める手法を提案する。本稿では、作成したEOG測定による輝度対比弁別閾測定システムの有用性を検証するために、3種類の背景輝度、3種類の視標サイズにおける輝度対比弁別閾を求め、先行研究によって報告されている結果と比較した。
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前田 京子, 金井 博幸, 上條 正義, 佐渡山 亜兵, 小林 正自
セッションID: 125
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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夜間、ヘッドライトのみで照明された自動車走路の見やすさを評価するための指標を作成し、画像センサによって測定される道路の輝度分布から走路の見やすさを評価するシステムの開発が本研究の目的である。道路から視覚によって得られる情報は、色、形、明るさなど様々あるが、本研究では、視覚的に物体を認知するために不可欠な明るさ、特に、路面とレーンマークの輝度コントラストに着目し、輝度コントラストから見やすさを評価するシステム開発を目指している。見やすさを評価するためには、見やすさの程度を示す指標が必要である。見やすさ指標として、Blackwellの研究に基づいてCIEにおいて可視度(Visibility Level:VL)が提案されている。輝度コントラスト測定装置によって測定された対象と背景の輝度コントラストをCとし、実験室で測定される人間の限界の輝度コントラスト弁別閾をCthとしたとき、可視度VLは、VL=C/Cthで求められる。輝度コントラスト弁別閾の測定に関しては、多くの研究が報告されている。本研究では、これまでに行われてきた研究を基に、走路の見やすさ感を反映した新しい見やすさ評価指標を作成するために、輝度コントラスト弁別閾の測定が行える装置を作成し、輝度コントラストの測定実験を行った。本測定実験によって得られた結果と先行研究の結果と比較し、作成した輝度コントラスト測定方法の有用性を検証した。
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大垣 崇, 田中 利興, 原 直也, 野口 太郎
セッションID: 126
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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既往研究で明らかとされている定常時における文章の明視三要素(順応輝度、輝度対比、文字の視角)と読みやすさとの対応関係を利用して、視野輝度変動時の読みやすさの予測法を構築するにあたり、視野輝度変動時の輝度差閾値の変動から同定される順応輝度を文章の明視要素の順応輝度として用いる枠組みが考えられる。輝度差閾値の変動から同定される順応輝度と、文章の読みやすさから同定される等価背景輝度を比較することでその枠組みの有効性を検討する。本報告では視野輝度変動下において観察者の輝度差閾値を把握する実験を行った結果を示すとともに、輝度差閾値の変動から同定した順応輝度と、視野輝度変動下での文章の読みやすさから同定した等価背景輝度とを比較することで視野輝度変動時の読みやすさの予測法の枠組みについての知見を得るものである。順応輝度と等価背景輝度の変動範囲が一致した場合は順応輝度を用いて視野輝度変動時の読みやすさの予測が可能となると考える。この考察の結果、視野輝度変動下における文章の読みやすさには順応輝度の変動による影響だけでなく、その他の要因が大きく影響していると考えられ、視野輝度変動時の読みやすさの予測法の有効性は得られなかった。
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三木 啓, 木村 均, 原 直也, 野口 太郎
セッションID: 127
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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本報告では視野全域に適応する実効輝度関数の導出を目指し、高輝度面を注視点から放射状に配置することで発光面の呈示を21°≦θ≦80°まで実現し、広域な視野における方位性と加法性の検討を行う。
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太田 亜紀子, 金谷 末子, 阿山 みよし, 向 健二
セッションID: 128
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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狭帯域発光形蛍光ランプと広帯域発光形蛍光ランプによる白色感の差異を明らかにするために主観評価実験を行った。その結果、全色票のうち「白」または「やや色みのある白」と判断した色票の割合が60%以上の色票は、3000Kでは狭帯域ランプの方が広帯域ランプよりも多くなった。両ランプを比較すると、広帯域ランプではPB系が選ばれ、狭帯域ランプではPB系に加えB、BG系も選ばれた。 逆に、6500Kでは広帯域ランプの方が狭帯域ランプよりも多くなった。両ランプを比較すると、狭帯域ランプではPB、P、N系が選ばれ、広帯域ランプではPB、P、N系に加えR系も選ばれた。6500Kでは、3000Kに比べて割合が60%以上の色票の数が狭帯域ランプ,広帯域ランプともに多かった。「最も白い色票」と「好ましい白の色票」と判断した色票は、両者ともにPB系が選ばれた。次に、狭帯域発光形蛍光ランプと広帯域発光形蛍光ランプによる各刺激色票の色度計算を行い、各ランプと基準光源との色差を算出して両者の相関性を検討した。3000Kの相関係数はr=0.85であり、6500Kの相関係数はr=0.77であった。 実験結果と測色計算結果から、3000Kでは狭帯域ランプの方が広帯域ランプよりも白色感がやや高く、6500Kでは広帯域ランプの方が狭帯域ランプよりも白色感がやや高くなったが、両者間の白色感の差異はきわめて小さいことが明らかとなった。
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小橋 克哉, 田口 常正
セッションID: 129
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年,電気_---_光変換効率が高いIII-V族化合物半導体であるGaNをベースとした青色,近紫外発光ダイオード(Light-emitting Diode: LED)の性能が格段に向上し,外部量子効率40%以上,発光効率30lm/W以上の白色LED光源が開発された.また,LEDは小型軽量,低消費電力などの特徴から,次世代の照明用新光源として産業界で大きな期待が寄せられている.最近,著者らのグループにより,高効率・高演色性の白色LEDが開発された.本研究では,この新光源とCCD技術を用いて高輝度高分解能撮影技術を開発した.この技術をさらに高分解能撮影技術に応用して医療用光源としての特徴を評価した. 実験は,現在市販されている内視鏡の先端に基板実装型白色LEDを取り付けた.LED光源からの照射のもと内視鏡によって“人間の口内部(扁桃腺部など)”や“ビーグル犬の胃の内部”等を撮影し,通常用いられているハロゲンランプ光源と比較した.撮影した画像は予めホワイトバランスを調整しているので基本的にハロゲンランプ照射と遜色ない映像が得られることがわかった.講演では光源部の詳しい設計,他の被写体における課題などについて述べる.
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山田 健一, 杉本 勝
セッションID: 130
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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紫外LEDに3波長蛍光体を組み合わせた白色LEDの開発においては、理論計算に基づいた目標値の設定が重要である。特に発光効率の理論計算により求めることが必要とされるが、これまで厳密に計算された例はない。そこで、演者らは3波長型白色LEDの発光効率について、既存蛍光体の分光分布を適用し、ストークスシフトをも考慮して理論計算を試みた。理論計算の結果、紫外LEDの外部量子効率が0.60、3波長蛍光体の変換効率が0.90の場合に白色LEDの発光効率が100lm/Wを超えることが示された。
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木村 秀吉, 杉本 勝, 石崎 真也, 塩濱 英二
セッションID: 131
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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高出力LEDモジュールの開発
発光ダイオード(LED)の照明用途応用においては、光出力を増大させる必要がある。個々のLEDに投入する電流を増やすために、LEDダイスで発生した熱を速やかに逃がせるように、基板の放熱性が重要となる。我々は突起付きアルミ板と穴を開けたガラエポ基板を貼り合わせ、露出したアルミ突起部に直接LEDダイスを実装することで放熱性を高め、高出力LEDモジュールを開発した。
表面実装型LED12個をガラスエポキシ基板に実装した従来型LEDモジュールと同形状の高出力LEDモジュールを作製し、全光束を比較したところ、従来の定格値である順方向電流20mA時において高出力型は従来型と同等以上の全光束が得られた。電流を増大させても光出力の飽和はほとんど起こらず、60mA時において従来型の最大3倍の全光束を得ることができた。
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薄型・大面積・均一発光を特徴とするフラット光源の開発
綾部 隆広, 本間 健次, 清本 浩伸, 堤 隆
セッションID: 132
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年LEDは、省エネルギーの観点から自動車のストラップランプ、信号機、ディスプレイなどに応用され始め、近い将来、一般家庭で使われている照明への置き換えも期待されている。このような照明のLED化に向けての課題としてはあ、LED自体の明るさのさらなる向上と、価格上昇分に見合うLEDならではの演出効果の実現が必要と一般的に考えられている。
今回われわれはこれまでの光源(電球、蛍光灯、さらには現存のLEDを含む)では実現できない、薄型・大面積・均一発光を特徴とするフラット光源を考案した。このフラット光源の原理は、独自のDouble-Reflection構造をベースに、より空間を細分化しての最適な光束配置のための緻密な光学設計を行い、それらの光束を重畳することにより大面積化を実現している。これにより発光面積が30mm×30mm、厚みが6mmで、一般的なφ5mmの砲弾タイプのLEDと比べると、同等の厚みで発行面積約50倍、また、砲弾タイプのLEDで同等な発光面積を実現しようとした場合と比べると、光学系の厚みは1/10_から_1/5倍となることが確認できた。フラット光源を複数個組み合わせることによりさらに大面積化することで十分な光量が得られるため、場所を選ばない壁掛け照明や携帯型照明といった、これまでになかった照明の実現が期待できる。
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蔀 洋司, 齊藤 一朗
セッションID: 133
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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全光束単位の更なる高精度化を目指して、新しい構造の配光測定装置をベースとした全光束絶対校正装置の開発を行った。従来の配光測定装置は、回転中心に標準電球を設置し、回転アーム上に受光器を設置する構造であり、この場合、測光距離が十分に取れないことが大きな問題であり、特に、光度標準電球の設置不確かさが絶対校正全体の不確かさに大きな影響を及ぼしていた。新規開発した全光束絶対校正装置は、従来型の配光測定装置とほぼ同じスペースで1.8倍の測光距離を実現している点を大きな特徴としている。全長約3mのアームの一端に全光束標準電球を、もう一方に受光器を設置し、アームの鉛直回転に同期した補正回転を加えることによって、全光束標準電球の位置を常に口金が鉛直上向き方向となるように制御を行い、これによって、2.7 mの測光距離を実現した。これによって光度標準電球の設置不確かさが大きく低減するとともに、測定全体の再現性向上や測定時間の短縮化等も併せて実現し、全光束単位の高精度化が大いに期待される。
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石堂 能成, 湊 秀幸
セッションID: 134
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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黒体空洞の放射率計算のために様々な方法が提案されている。モンテカルロ法のような追跡的手法は形状のはっきりした具体的なデバイスに対する放射および分布を見るには適するが、設計上重要なパラメータに対する特性などを解析的に明らかにしたり得られた数値データの物理的信憑性を検討するのは困難である。最近、完全拡散壁により構成された軸対称筒状黒体空洞の壁面放射率分布を計算する方法として、1)半無限円筒(底なし円筒)に対する厳密解と、2)放射ネットワーク法による精度保証付セルフコシステント計算法が提案されている。本報告ではこれらを元にして、開口あるいはその2次元アレイなど開口の組み合わせによる面構造より一定の距離における放射特性をあらわす簡明な計算モデル構築を意図する。予稿ではまず、一番単純な配置として、無限小の検出面が円筒空洞の対称軸上にある場合の垂直放射率(Normal Emittance)について、半無限円筒による厳密解をもとにした解析表現を示す。数値シミュレーションの結果と比較しその有効性を確認した。
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湊 秀幸, 石堂 能成
セッションID: 135
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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我々は、FT-IR分光器及び極低温冷凍器を用いた赤外分光放射計測システムを開発し、低温域における分光放射輝度及び放射率の精密測定に関する研究を行っている。本報告では、空洞型黒体と試料表面の分光放射輝度の比較測定において問題となる分光放射計測システムの入射開口径の影響を実験的に検討した。そして、実験結果より、システムの有効な入射開口径が決定された。このような有効開口径に設定されたシステムに基づく試料(黒色ペイント)の分光放射率の測定結果は分光拡散反射率測定法の結果と比較的よく対応しており、その有用性が確認された。
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内田 浩二, 日橋 賢治, 松岡 幹彦, 福田 良満
セッションID: 136
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年、低圧水銀ランプやキセノンエキシマランプ等の短波長紫外線(真空紫外線)を利用した半導体製造や表面改質、殺菌装置などの工業製品が利用されてきている。これに伴い、真空紫外線を長時間、安定して測定するセンサが要求されている。ダイヤモンド薄膜紫外線センサは、227nm以下の紫外線にのみ感度を有するソーラーブラインド性のセンサであり、短波長紫外線のセンサとして期待できる。今回、このセンサを140nm以上の紫外線が透過するサファイア窓を備えた金属容器内に気密封しパッケージし、電気回路部および測定値表示部で構成されたモニタを作製した。このモニタを使用して低圧水銀ランプ185nmおよびキセノンエキシマランプ172nmの発光出力を計測した結果、ダイヤモンド薄膜紫外線センサが、真空紫外域の短波長紫外線の測定に使用できることが確認できた。また、このセンサは、近年拡がりつつあるガラス基板洗浄や表面改質の実用的なモニタリングの他、F2レーザー(157nm)などのパルス光源の計測用途にも展開が期待できる。
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田口 常正, 内田 裕士
セッションID: 137
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年高効率化が著しいLEDの照明応用に関して、光度と輝度の問題、あるいは点光源と面光源の扱いについて再議論する必要がある。これらの問題について考察を行い、LED光源に必要な光源の形状について理論計算を行った。
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プロジェクタ利用プレゼンテーション視環境評価への応用
坂野 正幸, 荒木 慶和
セッションID: 138
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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照度計測には平面的照度、立体的照度が存在する。すなわち床面照度、机上照度、目線照度などが定義できる。これらを時系列に測定し、プロジェクター利用プレゼンテーション視環境評価の基礎データを得たい。静的照度と動的照度の変化も追及したい。最大30ケ所に照度計を設置し同時刻に照度を計測し、コンピュータに取り込み、DBに蓄積する。データ間のリレーションを設計し、クエリを作成することにより、建築設計、照明設計担当者に短時間で正確なデータを提供したい。
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完全曇天空の場合
山崎 悠司, 竹下 秀, 佐々木 政子
セッションID: 139
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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太陽UV-B放射は地球上の動植物にとって様々な作用を引き起こすが、この作用量を正確に評価には太陽UV-B天空放射輝度分布の精密な測定と評価が必要不可欠である。そこで、太陽UV-Bならびに日射の天空放射輝度分布を測定し、完全曇天空時の太陽UV-B・日射の天空放射輝度分布を解析した。
降雨の原因となる乱層雲・層積雲が全天に広がった場合、UV-B放射、日射共に散乱角に依存せずバラツキが大きい。また、解析した4例について、太陽高度がほぼ同じにもかかわらず、すべて天空放射輝度分布が異なっていた。雨雲による紫外放射量の減衰に強く影響を与えるのは、雲を構成する水滴の大きさと雲層の厚さである。水滴の大きさが大きく、かつ、雨雲を通過する光路長が長い場合、ミー散乱の原理によって散乱減衰する放射量が大きくなる。これらは観測時間が30分しか違わないにもかかわらず分布が全く異なっている。水滴の大きさが急激に変化したとは考えにくく、この変化は雲層の厚さに起因したと考察される。
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佐藤 歩, 関根 征士, 大河 正志
セッションID: 140
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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次世代の高効率・長寿命白熱光源の一つとして,「クラスター光源」が期待されている.現在のクラスター光源の開発状況から,発光効率は約50 lm/W,寿命は約10,000 hと報告されている.この光源は,発光材料(クラスター形成物質)にタングステン(W)が用いられるが,これは白熱フィラメントとしてWが最も適しているためである.しかし,クラスター光源の開発においては,発光材料の発光効率や分光分布を解明する必要がある.クラスター光源の分光放射発散度は発光材料の分光複素屈折率によって決定される. 現在のところ,クラスター光源の動作温度である4000 K以上における発光材料の複素屈折率はえられていない.このような高温度における発光材料の複素屈折率の測定には,非接触で複素屈折率を測定可能なエリプソメトリー(偏光解析法)が有効であると考える.また,クラスター光源における発光材料は超微粒子状(数 nm)であるため,散乱の影響を考慮した測定方法を構築する必要がある.そこで,測定方法であるミー散乱エリプソメトリーについて検討し,測定装置であるミー散乱エリプソメーターを設計・構築した.
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中西 晶子, 植竹 久代, 森山 厳與
セッションID: 141
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年、白色LEDは次世代照明用光源として期待され始めた。しかしながら、白色LEDを照明へ応用する場合に、照明の性能を評価する演色性、色温度、発光効率および寿命などについての報告が少ない。そこで、国内で入手可能な白色LEDについて性能を評価した。 白色LED6種類について、初期の電気及び光学特性を測定した。そして、2種類については、常温雰囲気において定格電流20mAおよび過電流40,60および80mAで点灯し、寿命の加速試験を実施し、寿命の推定を行った。 その結果、初期の平均演色評価数は66_から_80、色温度は2800_から_8300K、発光効率は14.1_から_26.0lm/Wであることが明らかになった。また、寿命は電流に依存しており、点灯電流と時間との関係から、実験式により、通常の点灯条件である20mAで点灯した場合、維持率70%になるのは約12000時間、50%になるのは40000時間点灯後であることを確認した。また、ランプで寿命と定義されている維持率70%で、40000時間を満足するためには、点灯電流15mA以下にする必要があることがわかった。 以上より、白色LEDの性能は、色温度、平均演色評価数では、十分照明に適用できることがわかった。しかし、ランプで寿命と定義されている
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フォトリフレクタを用いた塗料の反射光強度の測定
石沢 千佳子, 西田 眞
セッションID: 142
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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使用済み飲料用缶のリサイクルは,ゴミの減量化を促進するだけでなく,限りある地球資源やエネルギーの節約にも有効である。一方,缶のリサイクルを向上させるためには様々な課題を解決する必要がある。その中の一つに,缶表面に施されている塗料の成分(チタンやカドミウムなど)が再生後の金属に混入するため,純度低下の原因になるという問題がある。このため,缶を溶解する前に塗料の除去が望まれており,薬品を用いた塗料除去法などが提案されている。しかしながら,回収される缶の量は膨大なため溶解前に細かな選別作業を行うことは困難であり,塗料除去の不必要な缶に対しても薬品による除去処理が施されているのが実状である。従って,必要以上の薬品が使用されている可能性が考えられる。そこで本研究では,塗料除去を必要とする缶の自動識別法の開発を目標とし,その基礎研究として,フォトリフレクタを用いた識別の可能性について検討を加えたので報告する。
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透過率・反射率とUPFによる評価
三島 栄治, 加賀見 悦成, 齋藤 昌子, 佐々木 政子
セッションID: 143
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年、オゾン層破壊に伴い太陽紫外線放射の地上到達量の増加による人体への悪影響が危惧されている。紫外放射の防御法としてはできるだけ肌から遠いところから行うというのが基本である。本研究では綿・ナイロン・ポリエステルの白色布と布素材であるセロファン・ポリアミド・ポリエステル高分子フィルムの透過率を測定し、布を形成する素材自体が、布の透過特性にどう影響するか検討した。試料布地はJIS-L-0803:1998染色堅ろう度試験用添付白色布(無蛍光)である。布素材高分子フィルムの透過特性は布地の透過特性に反映された。ポリエステルは高いUV-B防御効果を示した。次に、布の織が紫外領域の透過・反射特性にどのように影響するかポリエステル白色布10種類を用いて、表面形状「平織」と「凹凸あり」に分類して検討した。「平織」は凹凸の小さい布で、「凹凸あり」は凹凸の大きい布である。「平織」では織密度が大きく厚い布ほどUV-B領域をほとんど反射せず、「凹凸あり」はUV-B領域の透過率と反射率が非常に低かった。さらに、測定したポリエステル白色布について、UPF(Australia / New Zealand Standard UV protection Factor)を算出した。織密度が大きく厚い布ほどUPFは高かった。また、「凹凸あり」がD謔闕b?PFを示した。UPFは布のUV-B防御効果の表示に有効と考察された。
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向阪 信一, 西村 唯史, 八瀬 順也, 永岡 治, ニ井 清友
セッションID: 144
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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吸汁ヤガの防除のための防蛾灯の配置は、内田らによれば東西南北の鉛直面照度と水平面照度の5方向の平均値で定義される空間照度1lx(光源方向に向けた最大照度では2.5lx)必要である。露地栽培での防蛾灯の配置を決める場合,防蛾灯の設置高さが低いため水平面照度と空間照度(最大照度)との差が大きい。そのため,露地栽培キャベツ圃場で防蛾灯の器具間隔を最大照度によって決め,ヤガの被害軽減効果と最大照度の有効範囲を調べる試験を行った。40W防蛾灯2台を1組とし遮光部のある側を背中合わせにして3組を地面に垂直に設置した。ランプ中心を地上から1.5mとして,26m間隔で設置した。ヤガによる被害の程度は,キャベツの芯を食害するハイマダラノメイガによって発生させられる非結球株数で調査した。最大照度2.5lx(空間照度1.0 lx)以上あれば,非結球株はほぼ0_から_1株以下に抑えられた。ひとつの試験事例ではあるが,露地栽培用防蛾灯の配置設計では,最大照度でその配置を決める方法が有効であることが示唆された。試験は初期照度で行っているため,実際の配置では保守率を考慮し,初期の最大照度が防蛾灯間で少なくとも約4 lx以上得られるように,20m間隔程度で40W防蛾灯2台1組設置することが望ましい。
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内田 達清, 阪口 敏彦, 蟻川 謙太郎
セッションID: 145
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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近年、食の安全に対する消費者ニーズの高まりから、黄色防蛾灯による害虫防除方法が普及しつつある。この方法は圃場に低照度の照明を終夜点灯して夜行性害虫の複眼を明順応させ、行動抑制により被害を低減するものであり、照明光源には黄色蛍光ランプが主に用いられている。これは各種照明下で明順応に要する時間を調べた過去の知見によるが、この際に用いられた光源はブラックライトやカラード蛍光ランプなど5種類のみであり、これ以外の波長については調べられていない。そこで本研究では、効率的に明順応させることができる波長をより詳細に明らかにするため、複眼網膜の分光感度を神経生理学的手法を用いて調べた。その結果、オオタバコガ,ハスモンヨトウ、ハイマダラノメイガにおいて,520から540nmに最大感度、360から380nmに約50パーセントの感度が見られた。この最大感度は、従来から防除に最適とされてきた黄色防蛾灯の主波長より短波長側にずれており、520から540nmを主波長とする光の方が、より効率よく防除効果が得られることを示唆する。
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飯田 和久, 福嶋 総子
セッションID: 146
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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ヤガ類の害虫は、夜間「エンドウ」等の作物に飛来し、産卵する。この卵からふ化した幼虫が葉を食い荒らし、収穫量の減少を引き起こす。農薬による防除は、環境への影響が問題視されている。そのための新しい防除法として黄色蛍光灯を使用しヤガ類の防除に効果を上げたので報告する。一つのガラス温室を2つに区切り、照明器具を点灯する黄色蛍光灯区と、点灯しない無処理区に分けた。「エンドウ」(品種 紀州ウスイ)を平成14年9月20日に播種し、農家の慣行に従って栽培した。照明試験は平成14年9月10日から11月15日まで継続した。各区幼虫数および被害株数を調査した。照明試験期間中、ヤガ類の幼虫数は黄色蛍光灯区は、無処理区に対して5分の1以下に抑えられた。被害株率も10%以下で推移し、無処理区は、最大77%に及んだ。農薬を完全に止めることができなかったが、黄色蛍光灯区は、農薬散布回数を減らすことができた。光より開花時期が約1ヶ月早くなるという現象が生じたが、実用上は問題がないレベルと考えられる。
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シュッコンカスミソウに対する光質の違いの影響
森山 厳與, 勝田 敬子, 金浜 耕基
セッションID: 147
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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長日植物の光に対する反応メカニズムについては明らかにされていない。そこで、長日植物(シュッコンカスミソウ‘ブルストルフェアリー’)に対し、青色電球形蛍光ランプ(14W)、赤色電球形蛍光ランプ(14W試作品)、遠赤色電球形蛍光ランプ(14W試作品)を、縦100cm×横70cm×高さ115cmの遮光フィルムで覆った試験区に1灯設置し、9:00_から_17:00を自然光、17:00_から_9:00を蛍光ランプで照明した。その結果、長日植物‘シュツコンカスミソウ’は、照明無しの8時間日長および青色照射の場合は開花せず、赤色照射では、開花、草丈伸長、花芽形成を抑制し、遠赤色照射では、開花、草丈伸長、花芽形成を促進することが明らかになった。
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谷口 正成, 家名田 敏昭, 高木 相, 中鉢 憲賢, 赤間 弘則
セッションID: 148
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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小島 彰
セッションID: 149
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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1993年,我が国において青色LEDの商品化に成功し、フルカラーディスプレイとならんでLEDを光源とする赤・黄・青3色の交通信号機が実現した。しかしながら、技術開発面では世界トップを走っている我が国でのLED信号機普及は先進国の最後尾にある。そこで発表者らは、国のグリーン購入法の特定品目への認定と、国や自治体の警察や環境等関係部局へのLED信号機の採用を働きかけてきた。その成果は今後に期待するところが大であるものの、ここで今後のLED信号機の普及に資することを目的に、これまでの経過、関係部局との議論のポイント、今後の展望を述べ、公共調達への普及策全般について考察する。併せて、LED信号機の特性と環境負荷や維持費の低減効果等を明らかにする。1)LED信号機の特徴:視認性の向上、省エネ効果、メンテナンスコストの低減、廃棄物発生量の抑制、高所作業の容易化 2)信号機のLED化によるランニングコストの低減効果 3)LED信号機の導入に際しての助成制度 4)今後の技術課題
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物体形状による検討
篠田 大貴, 池本 直隆, 磯村 稔
セッションID: 150
発行日: 2003年
公開日: 2004/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、物体表面の反射特性が未知で光沢を有する物体の3次元形状計測を、照度差ステレオ法により行うことを目的としている。 光沢を有する物体、すなわち、物体表面の反射特性に鏡面反射成分を含む物体は、撮影した画像にハイライトを生じる。このハイライトの生じた画像を用いて、照度差ステレオ法により物体の3次元形状計測を行うと、形状計測結果に大きな誤差を生じる。 このため著者らは、ハイライトの生じている領域において、拡散反射成分のみによる輝度分布を推定することで、ハイライトを補正する方法を提案した。 本報告では、提案したハイライトの補正法を各種形状の計測物体に適用し、物体形状がハイライトの補正法を用いた形状計測結果に及ぼす影響を検討した。 その結果、提案したハイライトの補正法は、今回検討した計測物体形状の範囲において、物体形状に依存しない、有用な方法であることが明らかになった。 また、ハイライトの補正を行う領域が狭い物体形状ほど、補正後の形状計測結果の誤差は小さくなることがわかった。これは、ハイライトの補正を行う領域、すなわち輝度分布の推定を行う領域が狭い物体形状ほど、推定の精度が高くなるためだと考える。
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