学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
6 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 深沢 和彦, 河村 茂雄
    2017 年6 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,小学校通常学級における特別支援対象児の在籍数によって,同じ学級に在籍する他の児童(周囲児)の学級適応感に差異があるのかを明らかにすることを目的とした。公立小学校に通う4~6年生,3,779人を対象に調査をしたところ,特別支援教育の対象児童172人と周囲児3,515人の有効回答が得られた。周囲児を,所属する学級の特別支援対象児在籍数によって,対象児が在籍しない群,1名在籍する群,2名在籍する群,3名以上在籍する群に分類し,各群の学級適応感について学級満足度尺度および学校生活意欲尺度を用いて比較検討した。分析の結果,学級満足度尺度の承認得点および学校生活意欲尺度の友達関係得点,学級の雰囲気得点において,在籍数が増えるにつれて低くなる傾向が認められた。この結果から,学級に特別支援対象児が在籍することによって,担任教師は特別支援対象児に個別に関わることが多くなると予想され,学級内の周囲児への指導や声かけが手薄になって,周囲児の学級適応感が低くなるという可能性が考えられた。
  • ―非対象児との比較を通して―
    河村 茂雄, 武蔵 由佳
    2017 年6 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,学級担任制度をとる小学校において,特別な教育的支援を必要とする児童と他の児童の学級満足度とスクールモラールを比較することで,通常学級における特別支援教育のあり方について検討することを目的とした。2013年6~7月に,公立小学校6校の児童2,087名(男子1,054名,女子1,033名)および学級担任(67名)に調査を行った。結果,学級満足度尺度の承認得点,学校生活意欲尺度の友人関係および学習意欲得点において,特別支援対象児が非対象児よりも有意に得点が低く,被侵害得点は特別支援対象児が非対象児よりも得点が高かった。よって,特別支援対象児の学級適応の困難さや意欲の喚起しにくさが推測された。さらに,学習面と行動面ともに著しい困難を示す児童がもっとも深刻な状況にあり,学習面に著しい困難を示す児童は友人関係には意欲的でも学習に関しては意欲的になれない様相が,また行動面に著しい困難を示す児童は友人関係に対して苦戦している様子が明らかになった。
  • 武蔵 由佳, 河村 茂雄
    2017 年6 巻1 号 p. 19-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,通常学級に在籍する特別支援の必要な児童の学級生活満足感とスクールモラールについて,学級の雰囲気によって差異があるのか否かを検討することを目的とした。2013年6~7月に,公立小学校6校の児童2,087名(男子1,054名,女子1,033名)および学級担任(67名)に調査を行った。調査対象の学級および児童を,「学級の雰囲気H群で対象児が在籍しない学級の非対象児(1タイプ)」,「学級の雰囲気H群で対象児が在籍する学級の非対象児(2タイプ)」,「学級の雰囲気H群で対象児が在籍する学級の対象児(3タイプ)」,そして,「学級の雰囲気L群で対象児が在籍しない学級の非対象児(4タイプ)」,「学級の雰囲気L群で対象児が在籍する学級の非対象児(5タイプ)」,「学級の雰囲気L群で対象児が在籍する学級の対象児(6タイプ)」,に分類し,学級満足度尺度の承認,被侵害,学校生活意欲尺度の友人関係,学習意欲に差異が見られるかを検討した。学級の雰囲気の高低が非対象児と対象児にかかわらず児童の学級満足度および友人関係形成意欲や学習意欲に関連していることが明らかになった。
  • -専門学校版Q-Uの学校満足度尺度と主要5因子性格検査との関連性分析-
    片瀬 拓弥
    2017 年6 巻1 号 p. 27-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    近年,文部科学省の大学制度改革で専門学校が取り上げられ注目を浴びている。その中で,学生の学級適応という視点から専門学校の学校満足度を改善する研究は,今まで見過ごされてきた可能性がある。本研究の目的は,専門学校版Q-Uの学校満足度尺度と主要5因子性格検査との関連性を分析することにより,学校満足度に対する性格特性の影響を男女別に明確化することである。さらに,この男女別の結果に基づき,学校満足度改善のための性格的アプローチを提案することである。関連性分析の結果,男性では外向性・情緒安定性,女性では外向性・協調性・情緒安定性が,主として学校満足度に影響していた。次に時間経過に伴う学校満足度尺度4群の変化に対応した所属変化4群を定義した。所属変化4群と主要5因子性格検査との関連性を分析し,男女別・所属変化4群別の性格特性を示した。これら男女別の結果を検討し,専門学校の学校満足度改善のための性格的アプローチを提案した。
  • 森 俊博, 森永 秀典
    2017 年6 巻1 号 p. 41-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,全校児童が250人程の小学校で児童会活動の一環として学校規模のソーシャルスキル教育(Social Skills Education :SSE)を実施し,ソーシャルスキルと学級満足度にどのような影響を与えるかを検討するものである。実施した結果,4~6年生の児童の配慮スキルとかかわりのスキルがともに有意に向上し,特にかかわりのスキルは1%水準で有意であった。さらに,全校児童の学級満足度尺度の被侵害得点が有意に下がり承認得点が有意に向上した。対人関係育成のプログラムを教育課程の中に位置付けたり特別に授業時間の中に組み入れたりしない児童会活動の一環として行った学校規模のソーシャルスキル教育であっても,ソーシャルスキルの習得を促すだけでなく,児童の社会的適応状態を良好にできることが明らかになった。
  • 河村 昭博
    2017 年6 巻1 号 p. 73-83
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,教員のユーモアを活用した指導行動が効果をあげるための前提について,海外の知見を整理し,教員の指導行動の向上に寄与する要因を考察することを目的とした。具体的には,河村(2016)が日本の教育分野におけるユーモアに関する先行研究を整理したカテゴリーの中で,特に,(1)教員のユーモアを活用した指導行動に関する知見,(2)教員のユーモア表出と学級集団に関する知見に焦点化して整理し,その上で教員の指導行動の向上に寄与する要因を考察した。
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