学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
11 巻, SpecialIssue 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • ―2019年度と2020年度との比較を通して―
    河村 茂雄, 武蔵 由佳, 河村 明和
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 1-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル フリー
  • ―2019年度と2020年度との比較を通して―
    河村 明和, 武蔵 由佳, 河村 茂雄
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 11-18
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルスの感染予防のため,他者との直接的なかかわりや協働活動の展開を物理的に制限された状況で,2020年度の学校教育は展開された。本研究では,そのような状況が,中学生にどのような影響を及ぼしたのかを,探索的に明らかにすることを目的とした。そこで,A市の公立中学校4校の生徒を対象にして,2019年度の新型コロナウイルス問題発生以前と,2020年度の感染症対策が徹底された年度との,生徒の学級生活満足感,意欲(スクール・モラール)とソーシャルスキルを調査し,その年度ごとの差を比較検討した。その結果,全体では,被侵害得点が2019年度よりも2020年度が低かった。さらに学年別に検討を行ったところ,1年生は,学級の雰囲気と配慮のスキルが2019年度よりも2020年度において有意に高かった。配慮する行動の高まりで規律が守られ,学級との関係は良好だったと考えられるが,かかわりが増えていない中での上昇であるという点に留意が必要である。また,2020年度の2年生は2019年度と比較して,学習意欲は1,3年生よりも,教師との関係は3年生よりも低くなっており,学級生活不満足群の出現数が有意に多かった。2年生の一部の生徒の学級生活に対する満足感が大きく低下したことが明らかになった。以上から,2020年度の新型コロナウイルス問題の影響は,学年によって異なることが考察された。
  • ―小学校低学年の児童に注目して―
    武蔵 由佳, 河村 明和, 河村 茂雄
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 19-26
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    2020 年度,新型コロナウイルスの感染予防のため,他者との直接的なかかわりや協働活動の展開が制限された状況で学校教育は展開された。本研究では,そのような状況が,小学校低学年の児童にどのような影響を及ぼしたのかを,探索的に明らかにすることを目的とした。そこで,同じ地域の同じ学校の低学年の児童を対象にして,新型コロナウイルス問題発生以前の2019年度と感染症対策が徹底された2020年度に,児童の学級生活満足感と意欲(スクール・モラール)を調査し,年度ごとの差を検討した。その結果,全体的に,被侵害得点が2019年度よりも2020年度の方が低く,非承認群の出現率の増加と学級生活不満足群の出現率の減少が認められた。他者とのかかわりが制限されたため被侵害行為が減少したことで,2年生と3年生では,学級生活不満足群から非承認群への移行がなされているのではないかと考えられた。特に学年別では,1年生においては2020年度に承認感,友達関係,学級の雰囲気が有意に低かった。1年生には「小1プロブレム」の問題が指摘されてより手厚い支援が期待されている中で,コロナ禍で個別対応などが制限された可能性が推測された。
  • ―校長の経験年数と卒業生合唱のとらえ方に着目して―
    生貝 博子, 仁平 義明
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 27-38
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためにさまざまな活動が制限された中で,首都圏A市の中学校長たちが最後の教育の機会である卒業式をどのように運営したのかを調査し,卒業式の活動の中で,とくに突然に式の直前になって教育委員会から禁止された「卒業生の合唱」が校長たちにとってどのような意義をもつのかを明らかにするものである。校長たちは,「三年間の教育の成果」を,とくに象徴的なものとして「卒業生の合唱」を通じて,いかに保護者や生徒たち自身に確認してもらうかに苦慮していた。その際,校長たちは「生徒,保護者,教職員」の合唱にかかわる感情に共感を示し,教育委員会という上位の組織の禁止を表面的には逸脱しないようにしながら,時には実質的に逸脱してでも,「卒業生の合唱」の実現を目指していた事実が確認された。
  • 齊藤 勝, 伊藤 正徳
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 39-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,全国の小中高校・特別支援学校に一斉休校が要請された。その間,対面授業の代替として,オンライン授業を実施してきた事例が報告されている。しかしながら,オンライン授業には,協働的な学び,他者と関わるといった面で課題が多いことも指摘されている。本研究は,いち早くICT環境の整備に着手し,休校期間中にも,協働学習やリレーション形成の視点をもって学びを保障してきたオンライン授業の成果と課題について考察した。意図的・計画的に展開されたオンライン授業は,対面授業と同等に機能し,一定期間の代替を有効にすることが示された。また,オンラインホームルームなどの実施が,集団発達を促しリレーション形成に効果的に働き,その後の協働学習場面での相互交流,グループ活動を後押しすることが示された。
  • ―SGEの理論に基づいたエクササイズの実施を通して―
    雪野 光洋, 高橋 幾, 河村 茂雄
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 47-56
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルスの感染対策により,児童生徒の人間関係の構築やかかわりに関するストレスが問題となっている。そこで,学級におけるリレーション形成を促す手立てを考察するため,介入者と学級担任との間で共有された学級状態のアセスメントに基づいて構成されたエクササイズを実施した。小学5年生を対象にした結果,学級全体の学級満足度尺度の承認得点が高くなった。また,学校生活意欲尺度の友人との関係得点,ソーシャルスキル尺度のかかわりスキル得点が高くなった。このことから,アセスメントに基づき,新型コロナウイルスの感染拡大対策をした上でのエクササイズを実施することで学級全体のリレーション形成を促すことが示唆された。
  • 井口 武俊, 前田 美穂
    2022 年11 巻SpecialIssue 号 p. 57-66
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/10/06
    ジャーナル フリー
    本研究では学級集団アセスメントを専門とする筆者及び第2筆者が,学級担任へのコンサルテーションを適切に行いながら,コロナ禍における非接触型のSELプログラムを実施し,その効果について検証することを目的とした。その結果,全体として承認,友達関係,学級の雰囲気,ソーシャルスキル,快感情,安静気分の得点に向上がみられた。また,学級毎の結果において,快感情がA,B両学級において向上がみられた。しかし,安静気分においてはA学級で有意差がみられなかったことや,不快感情においてはA,B学級で真逆の結果となったことに対して,SELの実施によって,学校生活の中で一定の交流活動が増えたことにより,対人トラブルや対人葛藤が起きやすい状況が生まれたことが考えられ,学級によってトラブルをうまく解消できない場合は,不快感の高まりがみられることが示唆された。
feedback
Top