日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
選択された号の論文の236件中101~150を表示しています
R4:鉱物の記載・分析
  • 田中 崇裕, 皆川 鉄雄, 濱根 大輔
    セッションID: R4-03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の結果、西南日本内帯に産するallanite subgroup mineralsに関して花崗岩類とペグマタイトでMn及びREE量に違いがある事が判明した。また,広島花崗岩類のペグマタイトと領家花崗岩類のペグマタイトでMn及びREEの挙動が違う可能性がある.西南日本内帯のペグマタイトに産するallanite subgroup mineralsは非常にMn,Y,MREE及びHREEに富むことが特徴である.その反面,花崗岩類に含まれるallanite subgroup mineralsはMn及びYがほとんど含まれておらずLREEが多い.また、本研究でuedaite-(Ce)は愛媛県の立岩鉱山,庄鉱山,大三島,石手川ダムの4ヶ所から確認された.Uedaite-(Ce)は2006年に承認されてから,未だ4ヶ所からしか報告されていない.さらに,uedaite-(Y)相に対応する鉱物も発見した.
  • 宮副 智之, 榎並 正樹, 西山 忠男, 森 康
    セッションID: R4-04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    緑簾石族鉱物のA2サイトは,通常Caで占められているが,その大きさはSrなどのCaよりも大きなイオン半径を持つ元素イオンが入るのに,より適している (Dollase, 1968).このため,Srに富む緑簾石は,様々な変成度の岩石から報告されている (Nagasaki & Enami, 1998 ; Miyajima et al. 2003; etc). 熊本県五木村の黒瀬川帯には,蛇紋岩中のローソン石-青色片岩を主体とした構造岩塊や破木変成岩類 (大島, 1979) と呼ばれる緑色岩を主体とした地質体が見られる.今回,これらが持つ岩石に伴って,Sr緑簾石を含む岩石を見出したので,その詳細について報告する.
  • 五石 由美, 赤坂 正秀, 榊原 正幸
    セッションID: R4-05
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Feに富むパンペリー石のFeの酸化数と分布について,メスバウアー法,X線リートベルト解析により解明した.試料は日本愛媛県秩父帯北帯に属する緑色岩より採取した.パンペリー石の平均total Fe2O3含有量は10.01wt.%であった.メスバウアー法より決定されたFe2+:Fe3+比,リートベルト法と化学分析結果より求められたXY席のFe原子数から,化学式は(Ca7.95Na0.01K0.02)Σ7.98(Al1.58Mg1.21Fe3+0.61Fe2+0.53Mn0.09)Σ4.02(Al6.51Fe3+1.49V0.02Ti0.01)Σ8.03Si12.25O40.75(OH)15.25となった. [KD = (Fe3+/Al)X/(Fe3+/Al)Y]は1.69であり,Fe3+Y席よりもX席に分布しやすい.
  • 下林 典正, 井上 真治
    セッションID: R4-06
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    鳥取県若桜地域から産したヒスイ輝石岩およびその関連岩を横切るヒスイ細脈中から糸魚川石を報告しているが、それらと共存するバリウム鉱物を再度検討した結果、セルシアンとキュムリ石とが共生していることがわかった。この細脈はヒスイ輝石の長柱状結晶が主体となっており、脈中の紋斑部に糸魚川石-パンペリー石のintergrowthした共生体が見られる。セルシアン-キュムリ石の共生はその紋斑部の周縁に沿って分布している。すなわち、セルシアンとキュムリ石の平衡共存とパンペリー石の出現とから、このヒスイ細脈の生成条件を絞り込むことができた。
  • 松原 聰, 宮脇 律郎, 重岡 昌子
    セッションID: R4-07
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    長野県大鹿村を流れる鹿塩川の河原の転石中より我が国初産の苦土斧石が確認された。このサンプルは、苦土斧石と鉄斧石が累帯構造をしていて、それぞれの割合は、58:42から23:77まで変化する。主成分のホウ素は、1.1から0.63 apfuまで変動し、ホウ素が減少している場合には、ケイ素が増加する。ホウ素四面体の一部がケイ素に置換されている可能性がある。
  • 福田 惇一, 篠田 圭司, 中嶋 悟
    セッションID: R4-08
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
     環状珪酸塩鉱物の代表物質である菫青石と緑柱石はチャネルと呼ばれる筒状の空洞を形成している.チャネル中にはtype I, type IIと呼ばれる2種類の水分子があることが知られている.Type I はH-Hベクトルがc軸方向(チャネル方向)に平行に向いて存在している.水分子の近傍にLi+やNa+などの陽イオンが存在するとH-Hベクトルがc軸垂直方向に向いたtype IIに再配向する.  本研究では,菫青石と緑柱石中の水分子について,高温その場状態と急冷後室温での赤外吸収スペクトルを測定することにより,type I / II水分子のチャネル中での安定性や脱水挙動を議論する.また,type II水分子の対称伸縮振動,変角振動ピーク波数の変化は,水分子の陽イオンへの配位数変化によって説明できることを報告する.
  • 門馬 綱一, 西久保 勝己, 高田 雅介, 高橋 直樹, 本間 千舟, 長瀬 敏郎, 工藤 康弘, 池田 卓史
    セッションID: R4-09
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    千葉県南房総市荒川から、メラノフロジャイトとは異なる骨格構造を持つシリカ包摂化合物を見出したので報告する。包摂化合物を産出したのは、新第三期前期中新世の保田層群中の砂岩・泥岩である。岩石の裂罅を一部、方解石脈や玉髄質の石英脈が充填しており、包摂化合物の結晶は石英脈中やその空隙中に見られる。結晶の大半は既に石英の仮晶に変化しているが、一部に新鮮な結晶が見られた。気体分子を除く組成は、主成分SiO2の他に、酸化物換算で約1wt%のAlと少量のNaを含む。何れの結晶もpseudo-merohedral双晶になっているため、粉末X線回折データのRietveld解析およびMEM解析を行った。結晶系は正方晶系で格子定数はa=13.7190(9), c=19.349(1)、骨格構造はMTN型に相当する。ラマン分光測定では、ケージ中に含まれるメタン分子のピークが確認された。
  • 小川 英晃, 牧野 州明, 石橋 隆, 中野 聰志
    セッションID: R4-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    苗木花崗岩ペグマタイトに産出する玉滴石は紫外線照射下で緑色蛍光を発することがある.本研究ではこの蛍光原因・蛍光特性を明らかにするために,産地の異なる3種の玉滴石についてWDX,FT-IR,蛍光測定を行った.ひとつは苗木産の玉滴石,ひとつは滋賀産の玉滴石,最後のひとつは佐賀産の玉滴石である. 化学組成分析によると苗木産の玉滴石はUを含むのに対して,滋賀産及び佐賀産の玉滴石はUを含まず,蛍光も発しない.また,苗木産玉滴石の薄片試料における蛍光分布写真とU分布はよく一致している.そして蛍光強度とU含有量も整合性が認められる. 苗木産玉滴石の蛍光強度は400℃以上で加熱することにより小さくなる.そして,加熱温度が高くなるにつれて蛍光強度は小さくなる傾向が認められる.これは玉滴石中の水が蛍光に影響を及ぼしていることを意味する. 以上のことから苗木産玉滴石の蛍光にはU,H2OまたはOHの両者が原因だと推定できる.
  • 黒澤 正紀, 笹 公和, 石井 聡
    セッションID: R4-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    花崗岩からの熱水流体の組成とその移動過程の組成変化を解明するため、山梨県甲府花崗岩体の黒雲母花崗岩の晶洞・ペグマタイト・熱水石英脈に含まれる流体包有物の元素組成を粒子線励起X線分析法(PIXE)で分析した。岩体全体の主要な包有物は塩濃度5-10wt.%の2相包有物であるが、標高1200m前後の石英脈には塩濃度30-38wt.%で岩塩を含む高塩濃度流体包有物も認められた。分析の結果、晶洞とペグマタイトの包有物には数wt%のCl, K, Ca, 数千 ppmのFe, Ba, 数百ppmのMn, Zn, Pb, Cu, Br, Ge, 数十ppmのRb, Srが含まれていた。この濃度は花崗岩固結直後の放出流体組成を示すと考えられる。一方、高濃度流体包有物には同様の元素がその数倍の濃度で含まれていた。この高濃度流体は、放出流体が割れ目に沿って上方へ移動した際の減圧沸騰で生じたと考えられる。
  • 江島 輝美, 赤坂 正秀, 永尾 隆志
    セッションID: R4-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    山口県萩市笠山火山中の高温酸化したスコリアと溶岩中のかんらん石におけるFeの酸化数と分布を研究した。 スコリア丘の外側斜面から赤褐色化した黒色スコリアを,スコリア丘火口内部から赤褐色スコリアを,海岸の露頭より赤褐色化した黒色安山岩溶岩および赤褐色安山岩溶岩を採集した。 赤褐色スコリアにおけるかんらん石のFo成分は91mol%,赤褐色化した黒色スコリア及び黒色スコリアではそれぞれFo 83-85およびFo 79-81(mol%)であった。FeLβ/FeLα強度比による赤褐色化した黒色スコリアと黒色スコリアのかんらん石におけるFe2+:Fe3+ 比はそれぞれFe2+:Fe3+= 92-93: 8-7、Fe2+:Fe3+= 93-98:7-1であった。赤褐色化した黒色溶岩および黒色溶岩のかんらん石におけるFo成分はそれぞれ79-80および73-80,Fe2+:Fe3+比はそれぞれ92-99:8-1, 93-99:7-1であった。 X線リートベルト法による赤褐色化した黒色スコリア中のかんらん石のM1席とM2席のMgとFeの席占有率はMg(M1)=0.84, Fe(M1)=0.17, Mg(M2)=0.83, Fe(M2)=0.17であった。同スコリアのかんらん石の57Feメスバウアースペクトルは, M1,M2におけるFe2+,M2のFe3+,およびライフーナイトのM2のFe3+に帰属されるダブレットからなり,Fe2+(M1,M2):Fe3+(M2)比は69:31であった。これらの結果から求めたかんらん石の化学式は [(Mg0.835Fe2+0.165)M1(Mg2+0.830Fe2+0.053Fe3+0.117)M2]Σ2.000Si1.000O4である。 Fe3+の存在による空席が存在すると考えられる。かんらん石中にライフーナイトの短周期構造が存在する可能性が高い。
  • 石橋 秀巳, 荒川 雅, 大井 修吾, 山本 順司, 三宅 亮, 鍵 裕之
    セッションID: R4-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Fo89Fa11オリビンについて,700-1050cm-1の波数領域で,非偏光ラマンスペクトルパターンの結晶方位依存性を検討した.化学組成の均質なオリビンからなるダナイト薄片中の多数のオリビン粒について,その結晶方位をEBSDにより決定し,さらにこれらについての非偏光ラマン分光測定を行い,得られたスペクトルパターンの比較を行った.今回測定を行った波数範囲では,822, 854, 881, 914, 955 cm-1に5つのピークが見られ,それぞれをp1,p2,p3,p4,p5と名づけた.スペクトルパターンを特徴づけるために,p2の強度に対するp1,p4,p5の相対強度比をとり,各比の値を結晶方位の関数として経験則的に定式化した.得られた経験式は,ラマンスペクトルパターンと結晶方位の関係を良く記述し,これらを用いてラマンスペクトルによる簡便な結晶方位決定が可能である.
  • 藤田 英之, 小林 祥一, 宮脇 律郎, 岸 成具, 草地 功
    セッションID: R4-P01
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    大分県佐伯市木浦鉱山地域に分布するスカルン型鉱床の一つから、鉄とマグネシウムの含水のヒ酸塩あるいはケイ酸塩鉱物を見出した。この鉱物は長さ約1mmの乳白色の繊維状ないし柱状で,石英を伴う砒鉄鉱の晶洞に、あるいはその表面に砒灰鉄鉱,スコロド石と共に産する。1つの柱状鉱物試料の組成像では,輝度の高い(A)部分とやや暗い(B)部分が見られた。A部分のEPMAによる化学分析値は、鉄、マグネシウムのケイ酸塩あるいは砒酸塩鉱物を示し、B部分はマグネシウムのケイ酸塩鉱物であることを示した。AとBを含む試料の赤外線吸収パターンでは、水による吸収は認められたが炭酸による吸収は認められなかったことから、Aには18wt%,Bには14wt%程度の水が含まれていると考えられる。AおよびBの微小部X線回折パターンは類似しているが、Bは3.1Å付近に2本の回折線を持つAと区別される。
  • 田中 崇裕, 皆川 鉄雄, 草地 功, 田邊 満雄
    セッションID: R4-P02
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    岡山県備中町布賀布賀鉱山の結晶質石灰岩に貫入した銅に富む熱水脈より,本邦初産となるzálesíiteを発見したので報告する.このzálesíiteはREE freeであり,Biを含むのが特徴的である.共存鉱物としてはandradite, aragonite, cahnite, conichalcite, cuprite, johnbaumite, stringhamiteが観察され,それらの一部はBiを含んでいる.また,これらが産した銅に富む熱水脈は初生鉱物としてcalcite中にbornite, chalcocite, chalcopyriteが観察され,稀に5μm以下の粒としてwitticheniteを含む事が特徴的である.この熱水脈は複数のステージにより形成されたと考えられる.おそらく最初に銅に富む熱水が貫入し,その後BiやAsに富む熱水が再度脈に沿って通過したのであろう.
  • 大西 政之, 下林 典正, 小林 祥一, 井上 かおり, 藤原 由輝
    セッションID: R4-P03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    島根県銅ヶ丸鉱山から日本で初めて確認したhydrowoodwarditeの産状および鉱物学的性質について報告する。
  • 坂野 靖行, 宮脇 律郎, 松原 聰, 佐藤 恵理子, 中井 泉, 松尾 源一郎, 山田 滋夫
    セッションID: R4-P04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    角閃石グループに属するカリ鉄パーガス閃石[理想化学式 KCa2(Fe2+4Al)Si6Al2O22(OH)2]が三重県亀山市加太市場に分布する石灰質変成岩より見出された.カリ鉄パーガス閃石は単斜晶系,空間群C2/m,格子定数:a = 9.937(5), b = 18.108(5), c = 5.335(4) Å, β = 105.30(3)°, V = 926.0(9) Å3, Z = 2である.本鉱物はIMA新鉱物命名分類委員会により新鉱物として承認された(2007-053).
  • 田中 秀和, 三浦 裕行, 皆川 鉄雄
    セッションID: R4-P05
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Mn3V2Si3O12 garnetはyamatoiteと呼ばれているが鉱物としては未承認であり、2価, 8配位のサイトにMnを3価, 6配位のサイトにVを持つgarnetと推定されている。以降、Mn3V2Si3O12 garnetをyamatoiteと呼ぶ。yamatoite成分に富むgarnetは大和鉱山(桃井・吉村, 1964), 鞍瀬鉱山(皆川ほか, 1988),藤井鉱山・法華寺野鉱山(遠藤ほか, 2007)から見出されている。このgarnetについてマッピングを行った結果、Mn-calcite, tephroiteと共生する自結結晶、Ca-rhodochrositeと共生する脈状、Ca-rhodochrosite, tephroite, vuorelaineniteと共生する不定形の3タイプが見出された。不定形は周縁部を溶食されていた。共生鉱物の産状から鞍瀬鉱山の緑色garnetは一度自形結晶として産出し、その後に熱水の溶食作用を受け、その際に放出されたAlでvuorelaineniteを、Mnでcarbonateを生成し、温度圧力の低下に伴って最終的にyamatoite成分の少ないgarnetを被覆成長させたものと思われる。さらに、yamatoite-goldmanite-spessartine-grossular系の合成実験も行ったのでその結果についても報告する。
  • 大浜 多喜, 山田 隆, 小菅 康寛, 松原 聰
    セッションID: R4-P06
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    栃木県鹿沼市(旧上都賀郡粟野町)発光路鷹ノ巣鉱山からトゥチェク鉱(tucekite;Ni9Sb2S8)を見出した。 トゥチェク鉱はオーストラリアと南アフリカから発見され1980年に記載された鉱物で、ハウチェコルン鉱グループの一員、正方晶系の鉱物である。近年、埼玉県広河原鉱山からも微細なものが見つかっている(西久保ら2005)が詳細な鉱物学的性質については公表されていない。足尾山地の層状変成マンガン鉱床である鷹ノ巣鉱山における野外調査の結果、一定量のトゥチェク鉱を採集し実験に用いることが出来たので、産状や形態とともに、実験結果を報告する。鷹ノ巣鉱山は足尾山地の変成層状マンガン鉱床の一つで、久良沢鉱山とともにマンガンパイロスマライトの産出で知られる。 トゥチェク鉱は方解石あるいは菱マンガン鉱に包有され、マンガンパイロスマライトやバラ輝石の結晶の隙間に、錐面を伴う正方柱状の自形結晶として産する。結晶の長さは最長で約4mm、太さは最大でも1mmまでである。新鮮なものは白色の金属光沢で光をよく反射するため、微細な結晶でも肉眼で気付きやすい。空気中に放置すると次第に輝きを失う。電子線プローブマイクロアナライザーによる化学分析では、およそNi:Sb:S=9:2:8で、わずかにCoやBiを含む。X線粉末回折実験により格子常数はa=7.216, c=5.383(Å)であった。
  • 門田 亮, 皆川 鉄雄, 田中 崇裕
    セッションID: R4-P07
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    東赤石かんらん岩体,肉淵岩体,銅山川転石のかんらん岩よりorceliteが見出されたので報告する.東赤石かんらん岩体は四国中央部三波川帯に位置する東西延長約5km,南北延長約1.5kmのかんらん岩体である. Orceliteは理想式Ni5-xAs2が与えられている世界的にも産出の稀な鉱物である.今回見出されたorceliteはpentlandite,heazlewoodite,awaruite,native copperと共生し,orceliteの組成はMetal:66.87~63.58wt%,As+Sb+Bi:32.51~34.95wt%の値の範囲を示している.As+Sb+Bi=2とした場合のorceliteの実験式は,M4.699As2~M5.277As2(MはNiと少量のFe,Co,Cu,Ag)である.また,irarsite,native nickelについても報告する.
  • 北風 嵐
    セッションID: R4-P08
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    様似鉱と幌満鉱は様似町の幌満橄欖岩体中のかんらん石の隙間で見つかります。幌満鉱のEPMAによる分析的値はCu:0.43、Fe:41.82、Ni:23.76、Ni:0.52、S:33.29、計99.52wt%で、実験式は (Fe5.77Ni3.12Co0.07Cu0.05)9.00S8.00であり、X線の単結晶および粉末回析による結晶学的データは、正方晶系、a=10.566, c=9.749であった。様似鉱のEPMA分析値はCu:16.90、Fe:34.60、Ni:15.48、Ni:0.16、S:32.87で計100.10wt%であった。実験式はCu2.08(Fe4.84Ni2.06Co0.02)6.92S8.00で、X線単結晶および粉末回析による結晶データは正方晶系で、空間群P42/mnm、a=10.089、c=10.402Åであった。
  • 林 宏樹, 赤井 純治
    セッションID: R4-P09
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
     高知県足摺岬環状複合岩体のジルコンに見出された特異な内部組織について報告する。同ジルコンには大別して5種類の異常な組織が見られ、特に内部から発達する擾乱組織(inner disturbance)と結晶表面から発達する擾乱組織(outer disturbance)は多くの結晶で確認された。またこれらの組織をもつにもかかわらず、同ジルコンの外形は明らかに火成起源であることを示唆している。接触関係より各組織の発達順序が推察されるが、各々の組織の成因については今後化学的手法を用いて明らかにしていく。
  • 関口 陽美, 牧野 州明, 津金 達郎, 竹下 欣宏
    セッションID: R4-P10
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    長野県和田峠東方の男女倉地域に分布する流紋岩質溶岩は黒曜石を伴っている.黒曜石には球顆が含まれており,この球顆は主にクリストバライトとアルバイトを主体とし,加えてわずかな輝石やオキサイド,空隙から構成されている.黒曜石の球顆様構造には放射状の球顆と同心層状のリソフィーゼがある.黒曜石中には斑晶やマイクロライトが含まれ流理構造を構成するマイクロライトもある. リソフィーゼは中心付近に気孔を持ち,斑晶,散在するマイクロライトを包含し,流理を構成しているマイクロライトの配列を変形させているが,これらのマイクロライトはリソフィーゼには包含されない.一方,球顆は斑晶,散在するマイクロライト,リソフィーゼのほかに,流理を構成しているマイクロライトの配列を変形させずに包含している. これらのことからリソフィーゼは,斑晶や気孔の表面を核として形成が始まると考えられる.その後,溶岩流中の流理を構成しているマイクロライトが形成され,放射状の球顆が斑晶,リソフィーゼなどを核とし,散在するマイクロライト,流理を構成するマイクロライトを包含しながら未固結部分を連続的に成長し,最終的には薄い外皮が全体を覆う.リソフィーゼと球顆はともに斑晶の隅から成長していることが多く,溶岩流が未固結状態であるときの斑晶によるキャビテーションが球顆とリソフィーゼの成長のきっかけの一つとして考えられる.
R5:鉱物の構造
  • 赤坂 正秀, 平田 みお, 濱田 麻希, 小山内 康人, 永嶌 真理子
    セッションID: R5-01
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Osanai et al. (1990)は東南極セールロンダーネ山地中央部地域のメーニパ山塊からバナジウムに富む緑色のざくろ石を発見し,1)大斑状変晶(タイプ1),2) タイプ1ざくろ石を取り囲むケリファイト縁中の細粒結晶(タイプ2),3) 基質部の細粒斑状変晶(タイプ3),の3種類の産状を報告した。タイプ1ざくろ石のV2O3は0.5-1.0 wt%程度であるが,タイプ2とタイプ3のざくろ石のV2O3含有量はそれぞれ14.4 wt%および21.2 wt%に達する。本研究では,これらのざくろ石のX線結晶構造解析を行い,結晶学的性質を検討した。 リートベルト解析のために分離したタイプ1,タイプ2,および単結晶構造解析のために分離したタイプ3のざくろ石の各平均化学組成から求めた6配位席の原子数は, タイプ1: Fe0.01V0.08Cr0.02Ti0.03Al1.86,タイプ2: Fe0.21V0.69Cr0.18Ti0.03Al0.99,タイプ3: Fe0.20V0.96Cr0.23Ti0.03Al0.68 である。 構造解析の結果,格子定数は,タイプ1:11.859(1) Å,タイプ2:11.926(1) Å ,タイプ3:12.0152(6) Åと得られた。タイプ3ざくろ石の6配位席におけるVとAlの原子数を6配位席のsite scattering valueから求めた結果,V = 1.35 apfu,Al = 0.65 apfuとなり,平均化学組成から求めたV,Fe,Cr, Tiを合計した値1.42 apfuに近い値となった。Y-O原子間距離はY席におけるVの増加に伴い,1.932 Å (タイプ1),1.97(1) Å (タイプ2),1.987 Å (タイプ3)と増加する。
  • 濱田 麻希, 赤坂 正秀, 瀬戸(阪本) 志津枝
    セッションID: R5-02
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    パンペリー石における二つの6配位席におけるクロムの挙動を調べるため,単結晶X線回折法を用いて含クロムパンペリー石の結晶構造を解析した.含クロムパンペリー石は岡山県大佐山超苦鉄質岩体中の塩基性片岩から採集した.色は赤みがかった灰色である.Crの分布は不均質で,Cr2O3含有量はクロマイトの近くで最も高く,13.3wt%に達する.試料から2鉱物粒を取り出し,結晶構造解析を行った。これらの含クロムパンペリー石のCr2O3含有量はそれぞれ0.53 apfuであった.X線回折データはRIGAKU RAPID-AUTO IP回折計を用いて測定した.最終的なAlX, CrX, AlY,CrY</Iの占有数は,それぞれ1.50,0.21,7.67,0.24である.X席とY席におけるCrとAlの結晶内分配係数[(Cr/Al)X/(Cr/Al)Y]は3.48と1.92で,このことはCrがY席よりもX席に強い選択性を持っていることを示している.
  • 永嶌 真理子, 赤坂 正秀, 皆川 鉄雄, Libowitzky Eugen, Armbruster Thomas
    セッションID: R5-03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    サーサス石Mn2+2Al3Si3O11(OH) 3および同構造であるマックホール石における結晶構造的・化学組成的関係の解明, および水素結合システムの解明のために, 4産地からのサーサス石の結晶構造解析を行った. 3種類の6配位席(M1, M2, M3)のうち, M1の3価の陽イオンは2価の陽イオンによって一部置換され,M2はAlのみに占有される.マックホール石と同様,6配位席に3価の陽イオンのみが存在するときは1構造式あたり3つのOH位置が存在するが, M1に2価の陽イオンが存在する場合,4つ目の新たなOH基によって電気的中性が維持される. しかし,M1における2価の陽イオンの影響のため,サーサス石における水素結合システムはマックホール石のものと異なる.
  • 永嶌 真理子, Rahmoun Nouri-Said, Alekseev Evgeny V., Geiger Charles A., Arm ...
    セッションID: R5-04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Keweenaw産マックホール石の化学分析,熱重量・示差熱分析,フーリエ赤外分光分析,単結晶構造解析を行った。化学式は(Ca2.03Na0.01)Σ2.04(Mn3+2.51Al0.27Mg0.09Cu2+0.03V3+0.01)Σ2.91Si3.05O10.88(OH)3.12 (Z = 2), 格子定数はa = 8.959(3), b = 6.072(2), c = 10.218(4) Å, β = 110.75(3)° (P21/m),6配位のM1,M2,M3の原子数はそれぞれMn0.82Al0.06Mg0.09Cu0.03,Mn0.75Al0.25,Mn0.95Al0.05であった。OH基はO6,O10,O11に存在し,O7位置は酸素および少量のOH基が存在する。赤外線スペクトルはOH基による3つの強い吸収線(3413, 3376, 3239 cm-1)とブロードな吸収線(2900 cm-1)からなる. M1サイトにおいて3価の陽イオンが2価の陽イオンに置換されると,電気的中性を維持するために, 4つめのOH基が出現する.
  • 大井 修吾, 三宅 亮, 下林 典正, 八島 正知, 北村 雅夫
    セッションID: R5-05
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    エンスタタイト(Mg2Si2O6)-ディオプサイド(CaMgSi2O6)系において1970年代から1400℃付近で安定領域を持つ斜方輝石(Opx)相が注目され続けており、当時は低温領域に安定領域を持つOpx相であるとされていた。しかし低温と高温の離れた領域に同じ相が安定領域を持つのは考えにくいとして、Carlson (1988) は低温のOenとは異なる独立したOpx相であることを示唆した。しかしCarlson et al. (1988)ではOenとは異なるOpxを示す結果を得ることができなかった。 本研究では、高温その場X線回折実験により、実験的にHT-OpxとLT-Opxの相変化をその場観察しており、両相が熱力学的に異なるということを示している。
  • 金村 大志, 瀬戸 雄介, 浜根 大輔, 永井 隆哉
    セッションID: R5-06
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    地球下部マントル条件下で、MgSiO3はペロブスカイト構造であることが知られている。近年MgSiO3ペロブスカイトにMg2+Si4+とFe3+Al3+の陽イオンが組になって置換し、固溶していることが示唆されてきた。そこで下部マントル下でのペロブスカイトの状態を調べるため、類似の置換形式により完全固溶体を形成するCaTiO3-NdAlO3系のペロブスカイトを合成し、陽イオンの秩序化が起こるかを中心に研究を行ってきた。すると粉末X線回折パターンでは秩序化による超周期を示すようなピークがまったく現れていないにもかかわらず、透過型電子顕微鏡下での観察の結果、超周期を示すような制限視野回折スポットが現れることがわかった。本研究ではこの解釈を中心に報告する。
  • 糀谷 浩, 榎本 彰人, 赤荻 正樹, 三浦 裕行
    セッションID: R5-07
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Mg2Al2O5組成を持つ高圧相が新たに発見された。粉末X線回折パターンが極めて類似しているルードビッヒアイトの構造に基づき、新Mg2Al2O5高圧相の結晶構造モデルを作成した。得られた構造モデルでは、稜共有および頂点共有により繋がった(Mg,Al)6八面体に囲まれた三角型のトンネルができており、その中にMgが位置している。トンネル中のMgは三角柱型MgO6の配位環境を持つ。X線回折ピークの消滅側から、空間群はPba2またはPbamの何れかであることが分かった。リートベルト解析の結果、Pbamを採用した場合のR因子はPba2の場合よりも小さくなることから、空間群はPbamが妥当であると考えられる。
  • 赤井 純治, 奥西 英治, 林 宏樹
    セッションID: R5-08
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    最新の電子顕微鏡技術、Cs補正のSTEMによるHAADFを使い、鉱物中の単原子の直接観察を試みた。電子線強度はI∝Zとなり(Z効果)、像コントラストが原子番号の2乗に比例することから、Zの大きい原子がZの小さい原子と共存する鉱物では明確に単原子として原子の直接観察が可能となる。メタミクト状態中では単原子の観察が可能だろうとの予測のもとに足摺岬産thoriteでSTEM-HAADFによる Th原子の像を初めて観察できた。観察中に、原子斑点は輝度がかわり動き、これは電子線エネルギーで、アモルファスに近いメタミクト構造の中を、Th原子が動き回っていることを示している。thoriteからメタミクト状態の生成かて、動的変化しうることが直接的に示された。
  • 小西 あゆ香, 奥野 正幸
    セッションID: R5-09
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    竹の葉に含まれるシリカについて、加熱処理に伴うそのナノ構造の変化を、X線回折法ならびに赤外分光測定の結果に基づいて解析を行った。竹の葉から抽出したシリカ成分は、シリカゲルとシリカガラスの中間的な構造を持ち、その他にシラノール基(Si-OH)も含んでいることを明らかにした。また、このシリカは最高1150℃の温度まで加熱処理を行った。加熱処理を行った試料の赤外吸収スペクトルを解析した結果、1000℃でシラノール基が脱水され、新たなSi-O-Si結合が生じSiO4四面体の重合度が上昇する事が分かった。また、X線回折パターンの解析から、加熱処理の結果、未加熱試料に含まれていたSiO4四面体の4員環構造は加熱により6員環構造に変化したことが明らかになった。
  • 渡部 幸平, 三浦 裕行, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Nesquehonite(MgCO3·3H2O) 熱分解中間相の構造解析を行った。合成Nesquehoniteを30℃/minの昇温速度で加熱した結果、結晶水が脱離する350℃から、発熱反応の直前である500℃の範囲で中間相が存在することを確認した。指数付け結果から、等軸晶系 I格子、格子定数a = 8.517 Å である。消滅則から可能な空間群はI432、I43m、Im3mである。組成はTGより求めた3MgO·2CO2 あるいはこれに近い組成と推定された。結晶構造モデル探査プログラムSMAPで探査したところ、CaO6八面体とCO3三角形から構成される構造モデルを見出し、RIETAN2000を用いリートベルト解析をおこなったところ、Rwp = 8.3% まで収束した。
  • 工藤 康弘
    セッションID: R5-P01
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    含水フォルステライトにおける可能な水素位置はMO6八面体の稜を構成する酸素と水素結合する位置と考えられるが[1][2],13.5 GPa and 1300 ºC で合成された[3] Feを含まないhydrous forsterite の結晶構造解析の結果(Kudoh et al., 2006)[1][4]では,主としてM1-siteに vacancy,13.5 GPa and 1400 ºC で合成された[5] Feを含む hydrous forsterite の結晶構造解析の結果(Kudoh et al., 2007)[2]では主としてM2-siteにvacancy が見出されている.Feを含まないhydrous forsteriteでは、イオン半径から期待される理想的なSiO4四面体の大きさに対して、M1-siteの歪みはM2-siteの歪みより大きい.歪みを最小にするために、HはM1-site のMgを置換し、M1-siteにvacancyが観測されると考えられる.Feを少量含む hydrous forsteriteでは、FeはM1-siteとM2-siteに入る.この場合、M1-M2に入る元素は、Mg-Mg, Fe-Fe, Mg-Fe, Fe-Mg の4通りの組み合わせが可能であるが、このうちFe-Mgの組み合わせの歪みが最も大きい.歪みを最小にするために、HはM2-site のMgを置換し、M2-siteにvacancyが観測されると考えられる. References: [1] Kudoh, Y., Kuribayashi, T., Kagi, H. and Inoue, T. (2006), Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 101, 265-269. [2] Kudoh, Y., Kuribayashi, T., Litasov, K. and Ohtani, E. (2007), Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 102, 306-310. [3] Chen, J., Inoue, T., Yurimoto, H. and Weidner, D. J. (2002) Geophys., Res., Lett., 29, 1875, doi:10.1029/2001GL014429. [4] Kudoh, Y., Kuribayashi, T., Kagi, H. and Inoue, T. (2007), Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 102, 161. [5] Litasov, K. D., Ohtani, E., Kasgi, H., Jacobsen, S. D. and Ghosh S. (2007) Geophys., Res., Lett., 34, L16314, doi:10.1029/2007GL03073
  • 酒井 俊輔, 湯蓋 邦夫, 杉山 和正
    セッションID: R5-P02
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    Allanite(褐廉石)は、一般式(Ca,RE)(Fe2+,Fe3+,Al)3(Si2O7)(SiO4)O(OH)で表され、緑廉石族に属す。天然に産するAllaniteの多くは、微量に含まれる放射性元素(Th,U)の壊変による結晶構造の損傷(メタミクト作用)により、構造複雑化している。そこで、本研究は、動径分布関数(RDF)の導出と透過型電子顕微鏡(TEM)観察を組み合わせてメタミクト化の検討を行った。  試料にはBrazil、Teofilo、Otoni産のAllaniteを用い、波長分散型EPMAによって(Ce)-Allaniteであることを確認した。RDF解析は放射光源(PF-AR NW10A)を用いて実施した。またTEM観察は加速電圧200KeVにて、TEM像および電子回折像を得た。 解析の結果、本試料は、メタミクト化によって結晶構造が壊され、非晶質構造中に結晶質部が局所的にランダム分布するような構造不均一な状態であることがわかった。
  • 金野 隼人, 杉山 和正, 篠田 弘造, 三河内 岳
    セッションID: R5-P03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
     一般式 XY3Z6(BO3)3Si6O18W4で表されるtourmalineは、含まれる陽イオンの種類によって様々な色を呈する。アルカリ電気石であるelbaiteは、緑色、青色、黄色および赤色などの様々な色を示し、特に珊瑚礁の海の色のPariba産のelbaiteは人気がある。これまでの研究から、青色の発色は含有されるCu2+が主因と結論されている1)。しかし、ピンク色の発色要因に関しては、Mn2+およびMn3+の両者の可能性があるが詳細は明らかではない2,3)。またこれまでの研究では、cuprian elbaiteに含有されるMnはMn3+として扱われている3)。  本研究では、SR-XANES (物質構造科学研究所放射光実験施設BL-4A)を応用してrubellite (Mogok, Myanmar)およびcuprian elbaite (Dos Quintos, Brazil)に含まれるMnの状態分析を行った。Fig.1に分析に使用したrubelliteおよびcuprian elbaiteの写真を示す。今回分析したrubellite(Fig.1(a))には、色の濃淡が明瞭に観察できた。また、cuprian elbaite(Fig1(b))に関しても、青色およびピンク色領域が明瞭に分離できたので、それぞれ色の異なる領域に関してMn-XANES測定を行なった。今回分析したrubelliteおよびcuprian elbaiteのMn K-吸収端はMnOに近接し、Mn2+が卓越していることが判明した(Fig.2)。また、EXAFS解析からは、Mn-O原子間距離は0.22nmとなり、Mn2+の存在を示唆している。
  • 西 文人, 工藤 康弘, 栗林 貴弘, 宮脇 律郎
    セッションID: R5-P04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
     珪灰石の格子定数は、a≒7.9Å, b≒7.4Å, c≒7.1Å, α≒90゜,β≒95゜,γ≒103゜であり、基本的な特徴としては、SiO4の鎖がb軸に平行に走っている。今回、a軸が2倍(a≒16Å)の長さ及び4倍の長さ(a≒32Å)をもつ結晶の合成に成功し構造解析を行った。成分的にはCa(Ge0.65,Si0.35)O3、 Ca(Ge0.50,Si0.50)O3及びCa(Ge0.15,Si0.85)O3の3種類である。最初の結晶を65Woと呼び、2番目を50Wo、3番目を15Woと呼ぶことにする。65Woについては、X線回折強度パターンが偽C格子を示した。これはa軸方向に2つ並んだ基本構造が、互いに b/2ずれていることを示すが、この食い違っている2個の基本構造で2倍構造を構成していることが判明した。50Woの構造は単純にa軸方向に基本構造が2つ並び、それらで2倍構造を形成するというものであった。最後の15Woについても、b/2ずれるようなことはなく、単純にa軸方向に4つ並んだ基本構造で4倍構造を形成していることが判明した。
  • 野本 哲也, 下林 典正, 三宅 亮, 北村 雅夫
    セッションID: R5-P05
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    An25からAn75までの組成の斜長石にみられる秩序構造で、特定の方向にアルバイト格子の10倍に近い非整数倍の周期の格子を持つものは、きわめて特異な変調構造であり、e-構造とよばれる。 天然斜長石斑晶のe-構造は比較的低温で保持された変成岩や深成岩では報告されている(Gay, 1950)が、火山岩斑晶での報告はない。本研究では、火山岩としては比較的低温であるデイサイト中の中間組成斜長石を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しe-反射を発見したので報告する。
  • 荒砂 貴司, 奥野 正幸
    セッションID: R5-P06
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    NaAlGe3O8-KAlGe3O8系のガラスについて合成・分析を行った。実験は比重瓶を用いた密度測定のほか、粉末X線回折測定、赤外分光測定を行った。密度はK2O成分の増加に伴い減少する。X線散乱強度曲線の第一回折ピークはK2O成分の変化にともない連続的に変化し、中距離範囲の構造が変化していることを示している。赤外吸収スペクトルに見られるT-O伸縮振動のバンドはK2O成分の増加に伴い減少する。これはより小さいNa+イオンの方が、TO4四面体に強く影響し大きな歪みを与えているものと考えられる。これらのことからNaAlGe3O8-KAlGe3O8系ガラスではNa+とK+イオンの大きさがTO4四面体に影響すると共に、中距離範囲の構造がNa/K比によって変化する。そしてその総合的な結果としてK2O成分の増加に伴う密度の減少が起こっていると考えられる。
  • 野尻 博美, 北谷  岳史, 奥野 正幸
    セッションID: R5-P07
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー

    1、はじめに
    長石は地殻の主要な造岩鉱物で、その機械的な変形に伴う構造・性質の変化は、長石を含む岩石の変形・破壊の過程を明らかにする上で重要である。本研究では、ボールミルを用いカリ長石(KAlSi3O8)を粉砕し、その構造変化をX線粉末回折測定、赤外分光測定により調べ、衝撃圧縮による変化と比較した。
    2、実験
     ボールミルとジルコニア玉石を用い、カリ 長石結晶を最大1200時間かけて粉砕した。粉砕の間に試料を抽出し、各粉砕時間の試料とし、粒度測定、赤外吸収スペクトルの測定ならびにX線粉末回折測定をおこなった。
    3、結果と考察
    粉砕により粒径は減少し、10時間の粉砕で粒径が6μm程度になるが、それ以上粉砕しても粒径は減少しない。X線粉末回折パターンの変化では,020,002回折線の強度は10時間の粉砕で急激に減少、それ以外は長時間の粉砕により強度が減少、2θが20~30°付近のバックグランド強度が増大した。これらより、長石結晶が粉砕により、まず、へき開での破壊等による結晶サイズが減少、その後結晶性が低下、1200時間の粉砕では非晶質に近い状態になったと考えられる。
    赤外吸収スペクトルでは、150時間以上の粉砕では1100cm-1付近のSi-O,Al-Oの伸縮モードに対応するバンドがブロードに、750cm-1付近のSi-O-Si、Si-O-Alのバンドの強度は減少した。300時間以上の粉砕では、900cm-1付近にSi-OHバンドに対応するショルダーがみられた。これらの結果は、粉砕によりSi-O,Al-O結合の分布が無秩序になり、Si-O-Si、Si-O-Al結合が切断され、そこにSi-OHが形成されたと考えられる。これらにより1200時間の粉砕でカリ長石はほぼ非晶質となり、我々が行ったサニディンの衝撃圧縮による変化とも大まかに一致する。
  • 小野 明人, 栗林 貴弘, 工藤 康弘
    セッションID: R5-P08
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、サメの歯(Carcharhinus leucas)を試料とし鉱物学的手法を用いて、水酸アパタイトの配向性について調べた結果を報告する。サメの歯の薄片試料を実体・偏光顕微鏡で観察した。粉末末X線回折法で試料の同定を行った。エナメル質部分を顕微FT-IRを用いて測定しピークの同定を行った。さらに顕微FT-IRの光路に偏光子を置き、偏光子を15度ずつ360度回転させて、偏光子の回転による水酸アパタイト中のOH基などの吸収度の変化から、水酸アパタイトの配向性を調べた。また、エナメル質部分を一辺が約100μmの角柱状に切り出し、ワイセンベルグ・プレセッションカメラを用いて試料中の水酸アパタイトの配向性を調べた。X線写真と偏光赤外の結果を対比させると、水酸アパタイト微結晶のc軸は、1.エナメル小柱の縦断方向と、2.それと約30度の角度をなす方向に配列している。
R6:鉱物の合成・成長溶解・物性
  • 月村 勝宏, 鈴木 正哉
    セッションID: R6-01
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    フェリハイドライトは,ゲーサイトやヘマタイト結晶に相変化する.実験によると,この相変化の速度はフェリハドライトの量に比例する.本研究では,相変化速度を説明するために転移のメカニズムについて検討する.フェリハイドライトの溶解速度は速いので,結晶生成速度は結晶の表面積に比例する.結晶成長がある大きさで止まるとすると,結晶の表面積は結晶の核形成速度に比例することになる.結晶が核形成するのはフェリハイドライト上にだけとすると,核形成速度はフェリハイドライトの量に比例することになる.したがって,結晶の核形成がフェリハイドライト上だけであり結晶成長がある大きさで止まると仮定することにより,結晶生成速度がフェリハイドライトに比例することが証明できた.以上の考察から,相変化の律速過程はフェリハイドライト上の結晶の核形成であることがわかる.
  • 橘 ちひろ, 平賀 岳彦, 大橋 直樹, 佐野 聡
    セッションID: R6-02
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    本実験では、粒成長に対する第二相の存在と非化学的量論の影響を調べるため、フォルステライト多結晶体を合成する際MgOおよびSiO2の量比を系統的に変化させ、フォルステライトや第二相の成長速度を実験的に調べた。 その結果、Mg:Si=2.0:1.0とMg:Si=2.5:1.0を比べた時、初期粒径(0h焼結の粒径)の差は0.1μmと小さかったが、5h焼結の平均粒径ではその差は4倍にも広がっていた。これから、Mgの過剰によってできた第二相であるMgOによりフォルステライトの粒成長が抑えられたことがわかった。このことは、Mg:Si=2.5:1.0のnの値の方が大きく、kの値が小さいことからもわかる。同様にSiが過剰な場合にも、Mg:Si=2.0:1.0と比べnの値が大きくなっている。しかし、化学量論からのずれが非常に小さいときは非化学的量論の影響を受け、粒成長速度や粒成長指数が過剰の時(第二相が存在する時)とは異なる振る舞いを見せている。
  • 阿部 利弥
    セッションID: R6-03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    CaO,V2O5,Li2OやB2O3からなるフラックスを使用して,アノーサイト結晶の合成を試みた.本研究で添加したLi2OやB2O3は,フラックスの流動性を高め,合成温度を下げるのに効果的であった.本研究では,1200℃から1050℃への冷却の場合など,いくつかの合成条件で,数ミリ大の透明な板状結晶を得ることに成功している.また,B2O3を用いた実験では,Li2Oを用いた実験に較べ,(010)面が発達する傾向が得られた.Li2O,B2O3いずれのフラックスの場合も,本実験結果から非常に有望な系であることが分かった.現在,このフラックスを使用した単結晶育成も開始しているが,十分なサイズの結晶はまだ得られていない.
  • 永嶌 真理子, Geiger Charles A., 赤坂 正秀
    セッションID: R6-04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究で天然での産出が稀なCr緑簾石の合成に初めて成功し,合成したCr緑簾石のX線リートベルト法による結晶構造解析を行った.酸化物混合物とゲルの出発物質について,それぞれ0.35-0.4GPa,500℃および0.8-1.5GPa,500-800℃の条件で合成実験を行なった.Cr緑簾石はゲル出発物質からのみ主要な相として晶出した.構造解析の結果,格子定数がCr含有量の増加と共に増加する。Cr3+はMn3+やFe3+と同様にM3を優先的に占有するが,M1にも分布する.本研究のゲルからのみCr緑簾石が晶出したという実験結果は,非晶質ゲル中のCrがCr緑簾石の結晶化に本質的な役割を果たしていることを示す.遷移元素のソースは遷移元素に富む緑簾石生成のための重要なファクターである.
  • 小松 隆一, 水越 教博, 蒔田 浩司, 塚本 勝男
    セッションID: R6-05
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    ポルトランドセメントの重要な初期水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)は、通常針状の結晶形態を示す。このエトリンガイトの生成で、方解石粉末が結晶生成を促進させることはよく知られているが、その原因は明らかではない。本研究では、その原因を明らかにする為に、方解石添加のエトリンガイトの結晶モルフォロジーと結晶成長挙動に与える影響について、その場観察法を用いて観察を行った。方解石無添加ではエトリンガイトは針状結晶(Fig.1)として成長するが、方解石粉末を添加すると針状結晶と球晶が確認された(Fig.2)。球晶は放射状に成長した針状結晶から成りその中心核には方解石が存在する。この場合、まず最初に球晶が成長を開始し、続いて針状結晶が成長することが観察された。方解石添加により一定時間後のエトリンガイト生成量は増加し、生成時期も早くなる、即ち促進作用が確認された。球晶の生成は、方解石がエトリンガイト結晶成長の核として働き、針状エトリンガイト結晶が生成しない低い過飽和度でも球晶だけが生成することが確認された。方解石粉末によるエトリンガイトの結晶成長の促進作用の原因は、球晶の急速な生成と二次核発生により針状結晶の生成密度増加によると結論された。
  • 吉野 徹, 鍵 裕之, 粉川 良平
    セッションID: R6-06
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
     原子間力顕微鏡によりアスパラギン酸水溶液中で溶解するカルサイト表面をその場観察することで、エッチピットの形態変化及びステップ速度を同時に測定し、それらの関係について調べた。 その結果エッチピットの形態変化はアスパラギン酸が鈍角ステップ及び[010]ステップに作用することで起こることがわかった。
  • 野口 直樹, 篠田 圭司
    セッションID: R6-07
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    含水鉱物中のプロトン(H+)の自己拡散は電気電伝導度などの巨視的な物性を支配している(e.g.Sweeney,1997)。拡散の微視的な機構に関しては先行研究が少なくよく分かっていない。本研究では、含水鉱物のなかで最も単純な構造をもつポートランダイトCa(OH)2の結晶にトレーサーの重水素を拡散させ拡散係数を決定し、拡散の活性化エネルギーの値からプロトンの拡散機構を明らかにすることを目的とした。 ポートランダイトの単結晶はCa(OH)2の飽和水溶液を窒素雰囲気中で蒸発させることによって析出させた。この単結晶数粒を約10μlのD2Oと共にAuチューブに封入した。これをテストチューブ型水熱炉で加熱し、結晶中へ重水素を拡散させた。拡散の圧力条件は1500barで、温度は250℃から450℃の範囲で実験を行った。回収試料の(001)へき開面を顕微ラマン分光器を使って5μm間隔で線分析した。OD基の伸縮振動とOH基の伸縮振動に帰属するラマンバンドの強度比のラインプロファイルを求め、予め作成しておいた検量線を使って重水素濃度のプロファイルに変換した。これに拡散方程式の解をフィットさせてc⊥方向の拡散係数を求めた。拡散係数のアレニウスプロットから、活性化エネルギー(E)58kJ/mol(=0.61eV)、振動数因子(D0)3.7*1010m2/sが求まった。 プロトンが受けているポテンシャルはOH基伸縮振動の基音及び、高次倍音による光吸収を観測することによって推測することができる(Ozaki and Kawata,1996)。実際にFT-IR、近赤外・可視分光器を用いて、ポートランダイトのOH基伸縮振動の4倍音までを測定しプロトンのポテンシャルを決定した。このポテンシャルを使って、酸素原子が平衡位置(O-O間距離: 3.31Å)にある場合の酸素原子間のポテンシャル障壁を見積もると0.98eVになった。拡散の活性化エネルギーはプロトンが移動する際に乗り越えるべきポテンシャル障壁の大きさに対応しているはずであるが、この値は本実験で得られた拡散の活性化エネルギー0.61eVに比べると大きい。熱振動によって酸素間の距離が0.3Å縮まったとするとポテンシャル障壁は0.61eVになり、この時にプロトンがジャンプして、隣接する酸素のサイトに飛び移っていると考えられる。D0から求まるプロトンのジャンプ頻度は~1010Hzで、 この値は酸素骨格の格子振動(1012~1013Hz)に比べると小さい。
  • 扇  嘉史, 鍵 裕之, 鎌田 圭, 柳田 健之, 太田 充恒, 有馬 寛, 吉川 彰, 杉山 和正
    セッションID: R6-P01
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    µ-PD法を用いて(Cex,Gd1-x)9.33(SiO4)6O2単結晶を育成し,その構造特性,光学特性を観察した.単結晶X線構造解析により,格子定数はCeの濃度が増加するに従い大きくなることが分かった.また, Ceは6hサイトに濃集することが明らかになった.XANESスペクトルの解析によりCeの大部分はCe3+の状態で存在するが,極少量はCe4+の状態で存在していることが明らかになった.光学的な測定によりCe3+の5d-4f遷移による発光が400 nm付近に観察された.これに対応する蛍光寿命は25 nsと極めて小さい値であった.
  • 大谷 曜, 赤井 純治
    セッションID: R6-P02
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    隕石中、特に炭素質コンドライト隕石中マトリクス中にはミクロ・ナノサイズの鉱物が多く含まれる(例えば、磁鉄鉱や炭素鉱物)。本研究では水熱合成法を基礎に、これら微小なミクロ、ナノ鉱物に対し様々な形態の合成を試みた。実験ではGreenberg and Li(1998)を参考に分子雲成分を擬似的に構成する15種類の試薬を任意に組み合わせ出発物質とし、これらを単独で、またこれらとダイヤモンドシードや鉄粉と混合した条件で水熱合成を行なった。出発物質および温度、圧力と時間の変化は任意に選択した。得られたサンプルは、いずれも室温大気中で乾燥させた。作成した個々のサンプルは走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、構造的および形態学的に検討した。また、電子回折像から、生成された炭素鉱物と鉄鉱物について鉱物種の同定を試みた。
  • 田村 維都江, 鹿園 直建, 中田 正隆
    セッションID: R6-P03
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究においては,出発物質として天然の鉄重石(FeWO4)を用い,灰重石(CaWO4)への交代作用に関する実験を行った。出発物質の鉄重石は,粉末試料と整形試料を作成した。反応溶液はCaCl2水溶液,反応温度は130-170ºC,反応期間は,3-84日(粉末試料)および56-168 日(整形試料)である。反応後の試料は, pH,ICP分析,重量測定,XRD分析およびSEM観察を行った。 今回の実験条件においては,鉄重石から灰重石への交代組織が生成される事が確認された。反応生成物である灰重石は反応時間および反応温度と共に増加し,自形の八面体の結晶へと成長していった。SEMによる整形試料の破断面観察等から,鉄重石から灰重石への交代組織は,試料表面の内と外に向かって成長していくと考えられ,この交代組織は,外縁交代組織に分類される。
  • 桑原 義博
    セッションID: R6-P04
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年,鉱物の溶解挙動を直接観察し定量化する目的で,AFMによる鉱物の溶解その場観察実験が行われるようになった.AFMを用いた溶解実験では,溶解速度を決定できることはもとより,鉱物結晶の溶解反応に寄与する反応表面の特定やそのダイナミックな挙動をその場観察することが可能である.現在,報告が極めて少ないアルカリ性条件下での白雲母の溶解現象について,その溶解反応速度の決定と反応機構の解明に加え,溶解速度の温度効果に関する理解を深める目的で,ホットステージAFM法による白雲母の溶解その場観察を進めてきたので,その結果を報告する.
Top