メディア・英語・コミュニケーション
Online ISSN : 2436-8016
Print ISSN : 2186-1420
7 巻, 1 号
メディア・英語・コミュニケーション
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
目次
招聘論文
  • 立命館アジア太平洋大学と国際教養大学の実例
    関根 紳太郎, 石原 知英, 井上 彩, 樗木 勇作, 福本 明子
    原稿種別: 招待論文
    2017 年 7 巻 1 号 p. 85-103
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、社会的実践の 1 つとしてのテクストである日本の2大学の英文大学案内を対象に、質的な分析手法と量的な分析手法により、テクストの価値体系を明らかにするとともに、背景化される事象を検証した。具体的には、批判的ディスコース分析の手法を参照した質的分析 と、コーパスを活用した量的分析を試みることで、留学生勧誘の戦略や背景にある価値体系を顕 在化させている。1つ目の分析対象テクストでは、「国際的」で「先導的」であることをロールモデルとし、「学生主体」・「体験重視」・「実用志向」の 3 つの要素を持つ学びを肯定的にとらえる価値観が形成されている。その一方で、「アジア」や「アカデミックな学び」が背景化されていることを指摘する。さらに、2つ目の分析対象テクストでは、地域社会で体験できるアクティビティーの充実を謳っている点を取り上げ、教育機関としての情報伝達ジャンルと観光案内ジャンルの混合についても論じている。日本文化をインフォーマルなスタイルでアピールするなどの留学生 誘致の戦略を浮き彫りにした。具体的には、潜在的留学生が学位取得目的か、または短期留学目的であるかによって、アカデミックな情報伝達と観光案内といった異なるジャンルが使い分けら れている事実も指摘している。

  • 英文大学案内の比較分析
    稲永 知世, 越智 有紀, 冨成 絢子, 仲西 恭子
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 7 巻 1 号 p. 105-132
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    日本社会のグローバル化が進んでいく中、大学にも教育のグローバル化という波が押し寄せている。本研究は、日本の大学におけるグローバル化のディスコースを検証するために、国際化された教育で名を馳せている 2 校の大学(国際教養大学(AIU)と立命館アジア太平洋大学(APU))の英文大学案内を分析する。その際に本研究が援用する理論的枠組みは、批判的ディスコース分析(critical discourse analysis, CDA)である。さらに、分析対象とする英文大学案内は、言語的要素と非言語的要素が混ざり合ったマルチモダルな(multimodal)ディスコースである。そこで、本研究は、視覚デザインを分析するために、社会記号論(social semiotics)(Kress and van Leeuwen 2006)を適用する。本研究は、これらの理論的枠組みに基づいて、社会的行為者(van Leeuwen 2008)、過程タイプ(Halliday 1994;フェアクラフ 2012)、前提などの言語的特徴、およびレイアウトや写真などの非言語的特徴を分析することにより、英文大学案内という教育ディスコースにおいて「国際化」がいかに表象されているかを検討する。結果として、AIU と APU が、それぞれの大学の特性や何を勧奨しているかという点に応じて、異なる方法で「国際化」を表象しているということを主張する。

実践報告
  • 自己選択による英文記事のプレゼンテーションをとおして
    中村 太一
    原稿種別: 実践報告
    2017 年 7 巻 1 号 p. 67-84
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は大学1年時の必修英語科目において、自律的な学習者を育成する試みとして英字新聞の記事を個々の学生に自由に選ばせ、その内容についてプレゼンテーションしてもらうという学習者中心のアプローチに基づく授業実践についての報告である。英文記事の選択にあたっては、検索ツールとしてオンラインデータベース LexisNexis を紹介し利用を促した。記事の選択からプレゼンテーションの方法にいたるまで学習者の判断にゆだねたことに対して、学習者がどのように受け止めたのかを質問紙法によって調査し、その結果から得られる示唆について論じている。また、Benson(2001)のモデルを援用して、今後のメディア英語教育への展望と自律的な言語学習者を育成していくうえでの課題についても言及する。

研究論文
  • 計量テキスト分析からみる特徴
    宮原 淳
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 7 巻 1 号 p. 11-30
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    トランプ大統領のVykvvgt は過去の大統領とは異なる新しいメディア活用として注目さ れている。本稿は計量テキスト分析を通して、その特徴を指摘した。第一に、「スター性」である。 スローガン、キャッチフレーズを繰り返し用い、イベントの参加や投票など行動を呼びかけ、賛同者を鼓舞した。支援者が集うインナーサークルができている。@を多用して敵を設定し、特定の単語を使ってネガティブなイメージを作り出す。第二に、トピックに着目すると、抽象的なものが多く、議論の場として機能しているとは言い難い。ハッシュタグの活用手段としては、自らの政策論はほとんどなく、具体性を欠く。第三に、表現上の特徴として、インナーサークルを閉鎖的に強化する単語を使いこなしている。例えば、わかりやすく日常的な単語によってアメリカ再生のスローガンが繰り返される。また、善悪の二項対立的な表現や感情的に煽りやすい主観的な形容詞が目立つ。トランプ大統領は支援者を排他的なインナーサークルでまとめ上げて鼓舞し、自らがサイト上の「スター」となった。このケースは、今後、他の政治家やスターとの共通点や特異性などを検証する上でモデルとなり得るものである。"

  • トゥーイー ディビッド
    原稿種別: research-article
    2017 年 7 巻 1 号 p. 31-50
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    米国南西部のラティーノには環境保護実践の長い歴史がある。しかし、その存在自体 を否定されたリ、また環境保護実践ではなく単なる土地の利用や農業用の灌漑の実践であると考えられている。本稿では 1880 年代から 1960 年代後半の英語によるマス・メディアおよび現代のニュー・メディアにおけるラティーノの環境保護活動に関する記述を時系列に提供し、ラティーノによる環境保護主義にはいくつかのテーマが継続して見られるということを主張する。それらのテーマとは、1)人々が土地を破壊することなく利用できるのだという環境保護主義、2)環境と農業を描写するにあたって用いられている神話的表現、である。これらは環境保全、農業、産業化、そして都市化に関するモダニスト的概念とは矛盾するものである。

  • 小野田 榮
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 7 巻 1 号 p. 51-66
    発行日: 2017/09/08
    公開日: 2023/10/25
    ジャーナル オープンアクセス

    この研究は、英語学習における自己効力感、メタ認知自己調整ストラテジーとリーディング力向上の因果関係について調査したものである。教育心理学の分野で提唱されている、自己調整学習、学習意欲、成功体験のモデルと自己決定理論および社会認知理論を第二言語習得に応用したものである。教育心理学の分野では、自己効力感が自己調整ストラテジーの使用を促進し、その結果、学習効果が上がるとの研究は多いが、第二言語習得の分野でのそれらの要因の関係を解明した研究は[作成者1]少ない。この 3 つの要素の因果関係について調べるために、日本の大学の英語専攻の学生を対象に、自己効力感とメタ認知自己調整ストラテジーを測定するために開発した質問紙と TOEFL のリーディングテストから得られた数値データを利用し、構造方程式を用いて分析を試みた。その結果、自己効力感がメタ認知自己調整ストラテジーの使用を促進し、そしてそれが英語リーディング力向上に影響を与えていることが分かり、教育心理学の研究結果が第二言語習得に当てはまることが解明できた。そして、自己効力感を高めることが英語の指導の上で重要であるという示唆が得られた。

大会基調講演
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