ジルコニアは機械的物性が高いため,既存の方法ではチタンと同様の表面形状を獲得することは難しく,ジルコニアの材料特性に見合った表面改質法を検討する必要がある.ジルコニアに分子プレカーサー法を応用して炭酸含有アパタイト薄膜をコーティングした.ウサギ脛骨,大腿骨関節顆へのインプラント埋入を行った結果,新生骨形成が明瞭に確認され,高い骨-インプラント間接触率(BIC)が得られた.また,加熱処理温度がアパタイト薄膜の性状に影響していた.さらに,ナノ秒パルスのNd: YAGレーザをイットリア添加型,セリア添加型の2種類のジルコニア表面に照射し、深さ30 μm,幅30 μmの規則的な凹凸構造を形成させた.ラット大腿骨の欠損部にインプラント埋入を行った結果,イットリア添加型ジルコニアではサンドブラスト処理よりも良好な骨形成が見られ,BICも高い値であった.一方,セリア添加型ジルコニアでは,明瞭な骨接触が見られず,表面組成の変化が骨形成に影響を及ぼしていた.
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