日本再生歯科医学会誌
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最新号
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総説
  • 廣田 正嗣, 早川 徹
    2024 年 22 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

    ジルコニアは機械的物性が高いため,既存の方法ではチタンと同様の表面形状を獲得することは難しく,ジルコニアの材料特性に見合った表面改質法を検討する必要がある.ジルコニアに分子プレカーサー法を応用して炭酸含有アパタイト薄膜をコーティングした.ウサギ脛骨,大腿骨関節顆へのインプラント埋入を行った結果,新生骨形成が明瞭に確認され,高い骨-インプラント間接触率(BIC)が得られた.また,加熱処理温度がアパタイト薄膜の性状に影響していた.さらに,ナノ秒パルスのNd: YAGレーザをイットリア添加型,セリア添加型の2種類のジルコニア表面に照射し、深さ30 μm,幅30 μmの規則的な凹凸構造を形成させた.ラット大腿骨の欠損部にインプラント埋入を行った結果,イットリア添加型ジルコニアではサンドブラスト処理よりも良好な骨形成が見られ,BICも高い値であった.一方,セリア添加型ジルコニアでは,明瞭な骨接触が見られず,表面組成の変化が骨形成に影響を及ぼしていた.

  • 大草 亘孝, 中井 真理子
    2024 年 22 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

    子どもへの虐待の早期発見は喫緊の課題である.相談対応件数についても統計開始以来右肩上がりが続いている状況である.特に大都市での相談対応件数が増加傾向にあり、早期に対応が求められる.我々歯科医療に携わる者として虐待の定義、要因を把握することが必要であり、歯科医療時においても歯科領域と虐待との関連性も常に注意することが重要である.しかしながら、虐待により子供が亡くなった場合は真摯に受け止め、その事象を生かさねばならない.そこで法医学、歯科法医学分野では虐待死から様々なことを学び、今を生きる子ども達、臨床の現場に知識を還元し、早期発見・防止に貢献するわけでる.また、虐待と再生医療についても発展段階ではあるが、研究が進められており、被虐待児の海馬萎縮から虐待の記憶が抜けず世代伝播が多々見受けられるが、ニューロン新生によって世代伝播を食い止めることができる可能性があるとの報告もされている.

原著論文
  • 松並 智子, 今井 弘一, 前岨 亜優子, 中井 真理子, 白井 翼, 橋本 典也
    2024 年 22 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

    現在,齲蝕予防のために小窩裂溝填塞材は臨床で多用されている.これらの小窩裂溝填塞材は様々な生物学的試験で安全性が評価されてから我が国では市販されている.タイプIコラーゲンを用いた3次元培養では,生体組織内のように培養細胞はコラーゲンゲル内で立体的に含まれる.そのため,2次元培養の細胞生存率試験の結果とは異なる結果が得られる可能性が考えられる.今回,市販のレジン系2種およびグラスアイオノマー系1種の小窩裂溝封鎖材を用いてMTT法による細胞生存率を比較した.その結果,2種のレジン系の小窩裂溝封鎖材ではともに光照射時間によって細胞生存率に大きな差が認められ,光照射の時間が不十分な場合には低い細胞生存率が認められた.また,グラスアイオノマー系の小窩裂溝封鎖材は,10秒間光照射した場合にはレジン系の小窩裂溝填塞材よりやや低い細胞生存率であった.また,練和後3分と5分との時間差では有意差が認められなかった.これらの結果から小窩裂溝填塞材の使用について光照射時間には十分な注意が必要であることを再確認した.

  • 白井 翼, 今井 弘一, 中井 真理子, 松並 智子, 桝田 康宏, 橋本 典也
    2024 年 22 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

    チタンや酸化ジルコニウム(ジルコニア)は生物学的為害性が少なくインプラントや審美歯科領域で近年の歯科臨床に多用されている.生体内での様々な理由によってチタンやジルコニウム表面からイオン化して金属周囲の組織へ影響した場合の生物学的リスクについてもさらに検討する必要がある.そこで,化学物質を暴露した培養液を取り除いた後に新鮮培養液の環境に戻し,細胞の回復程度から化学物質の毒性レベルを判定する細胞回復度試験法を用いて調べた.両イオンともに正常な細胞回復を示した.ジルコニウムイオンはチタンイオンと比べてさらに大きな細胞回復度を示した.チタンならびにジルコニウムは良好な生物学的安全性が示されているが,体内では機械的な刺激などでイオン化した場合には,他の金属イオン同様に生物学的に必ずしも安心・安全な材料ではない可能性もあり,さらなる多面的な生物学的検討も必要であると考えられる.

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