唾液はヒトの健康維持する上で重要な役割を果たしている.しかし,唾液を分泌する唾液腺は,切除や摘出されても機能回復させるための処置がとられることはない.本研究では,損傷を受けた唾液腺のより効果的な回復法について検討した.
実験にはWistar系雄成ラットを使用した.顎下腺を矢状断し,近心側半分を切除後,左右の切断面を合わせ縫合したものを実験群とした.侵襲を加えなかったものを対照群とし,唾液腺重量,体積,H-E染色,唾液分泌能および,遺伝子解析の項目について評価した.
手術後8週の顎下腺は対照群の顎下腺1個分に比べ大きくなっており,唾液分泌機能は温存されていた.
損傷を受けたラット顎下腺を反対側の腺体に結合させると,残存腺房細胞数の増加と両側導管からの唾液排出が可能となり,顎下腺の再生を促進していると考えられた.
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