日本再生歯科医学会誌
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4 巻, 1 号
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原著論文
  • 堂前 英資, 合田 征司, 池尾 隆
    2006 年 4 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/10
    ジャーナル フリー
    Src family kinase(SFK)は,細胞の分化,形態形成,運動に関与するなど,多彩な機能をもつ非受容体型チロシンキナーゼである.ノックアウトマウスを用いた実験からSrcは破骨細胞の機能発現に不可欠であることは知られているが,SFKの骨芽細胞における機能はほとんど知られていない.今回,我々は,骨芽細胞の増殖,遊走に対するSFKの関与を明らかにするために,骨芽細胞株MC3T3-E1のwound healingに,SFK阻害剤であるPP2添加が及ぼす影響を検討した.Wound healing assay では,PP2添加によりwound healing は抑制されたが,細胞増殖活性には影響しなかった.ウエスタンブロッティング法による細胞内シグナル伝達分子の検討では,PP2添加によりAKT,ERK1/2のリン酸化が阻害された.また,PI3-kinase(PI3K)の阻害剤であるLY294002添加でwound healing は抑制された.
     以上のことから,MC3T3-E1の遊走にはSFKとPI3Kが関与することが示唆された.
  • 田治米 康宏, 覚道 健治
    2006 年 4 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,表面性状の差異と歯科インプラント周囲の歯槽骨に及ぼすPRPの影響を明らかにすることである.6頭のビーグル犬に抜歯窩を想定した実験的骨欠損を作製し,欠損中央部に表面性状の異なる歯科インプラント(HAコーティングおよびブラスト-酸のインプラント)を埋入した.それぞれの歯科インプラント体周囲の骨欠損部にPRPと自家骨を充填した.カルセインおよびアリザリンレッドで骨新生状態をラベリングし,共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)ならびにマイクロフォーカスX線CTで経時的に観察した.その結果,術後2週から一部ではインプラント体周囲に新生骨がみられ,術後4週ではインプラント体周囲にも仮骨が認められた.また,術後8週におよぶと,インプラント体周囲に新生骨の増加と骨改造が認められた.これらのことから,骨欠損部の自家骨移植にPRPを併用すると早期における骨新生が可能であることが推察された.
  • 山田 龍男, 山本 浩貴, 覚道 健治
    2006 年 4 巻 1 号 p. 29-43
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/10
    ジャーナル フリー
    唾液はヒトの健康維持する上で重要な役割を果たしている.しかし,唾液を分泌する唾液腺は,切除や摘出されても機能回復させるための処置がとられることはない.本研究では,損傷を受けた唾液腺のより効果的な回復法について検討した.
    実験にはWistar系雄成ラットを使用した.顎下腺を矢状断し,近心側半分を切除後,左右の切断面を合わせ縫合したものを実験群とした.侵襲を加えなかったものを対照群とし,唾液腺重量,体積,H-E染色,唾液分泌能および,遺伝子解析の項目について評価した.
    手術後8週の顎下腺は対照群の顎下腺1個分に比べ大きくなっており,唾液分泌機能は温存されていた.
    損傷を受けたラット顎下腺を反対側の腺体に結合させると,残存腺房細胞数の増加と両側導管からの唾液排出が可能となり,顎下腺の再生を促進していると考えられた.
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