日本再生歯科医学会誌
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5 巻, 2 号
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総説
  • 池田 悦子, 中尾 一久, 辻 孝
    原稿種別: 総説
    2008 年 5 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 2008/03/30
    公開日: 2008/05/12
    ジャーナル フリー
    傷害や病気による臓器の機能不全に対して,幹細胞を移入する再生医療が確立されつつある.再生医療の最終的な目標は,損傷した臓器や器官を正常に機能する再生臓器と入れ替える臓器置換再生医療の実現であろう.歯科領域においては,喪失した歯をブリッジやインプラントなど人工歯で補う治療方法が確立している上に,細胞操作によって歯胚を再構築して第3の歯を創り出す「歯の再生」が取り組まれており,歯は器官再生研究として最も研究が進展している器官である.最近,私たちは,単一化した歯胚由来細胞から,正常な歯胚と同様に発生可能な再生歯胚を作製する細胞操作技術を開発した.さらにこの再生歯胚は,成体口腔内環境で正常発生することを明らかにした.「歯の再生」の実現には,患者に由来する幹・前駆細胞を用いた歯の作製技術や形態の制御,治療期間の短縮など,多くの技術開発が必要である.さらに「歯の再生」に向けた技術開発は,他の臓器や器官の再生に応用可能性が考えられ,次世代臓器置換再生医療のモデルとしての「歯の再生」研究の推進が期待される.
原著論文
  • 澤田 育典, 北郷 明成, 森田 章介
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 5 巻 2 号 p. 105-116
    発行日: 2008/03/30
    公開日: 2008/05/12
    ジャーナル フリー
    自家骨に代わる上顎洞底挙上術における移植材料の開発を目的として,ゼラチンハイドロゲルによる徐放化塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)とbiodegradable ceramicsを用いて新たな移植材料の検討を行った.ビーグル犬の前頭洞に1. β-TCPとbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル複合体,2. β-TCPと生理的食塩水含浸ゼラチンハイドロゲル複合体,3. β-TCPとbFGF水溶液および 4.自家骨を填塞し,術後4週および12週における骨形成能を検討した.軟X線撮影,組織学的観察および骨占有率測定の結果,bFGF徐放群では旺盛な骨形成が確認された.以上の結果より,bFGF徐放システムβ-TCP複合体材料は,自家骨に代わる上顎洞底挙上術の移植材料となりうる可能性を示した.
  • 第1報:ナノ化ハイドロキシアパタイトの応用による軟化根管象牙質の強化
    菊地 信之
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 5 巻 2 号 p. 117-128
    発行日: 2008/03/30
    公開日: 2008/05/12
    ジャーナル フリー
    完全除去が原則である根管の軟化象牙質を再硬化させ歯質を保存することを本研究の目的とした.ハイドロキシアパタイト(HA)は歯科領域において組織親和性に優れ,生体の治癒能力を阻害することは無く,高い再石灰化能あるいは硬組織誘導能を示すことが数多く報告されていることから本研究の材料として使用した.
    基礎実験として,人工軟化根管象牙質を作成した.次にナノ化した超微細構造のHAを根管内に応用したところ,軟化象牙質の再硬化がみられた.しかも根管象牙質深層部においても再硬化が現れた.
    ナノ化HAを一定時間根管に作用させることで完全軟化象牙質において,本来の象牙質の強度を得ることができたことは,今後補綴処置で除去すべき軟化根管象牙質を保存できる可能性を示唆している.
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