日本再生歯科医学会誌
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9 巻, 1 号
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原著論文
  • 朴 浚喜
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 9 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル フリー
    歯肉の厚さを探針で穿通して測定する手法が臨床でおこなわれている.この手法に比較して,超音波による測定は簡便で低侵襲であるが,プローブ圧と歯肉の変形量と歯肉における音の伝達速度(以下,音速)の関係は明確でない.本研究の目的はこれらの点を明らかにすることである.
    ブタ下顎小臼歯部の歯肉を厚さ約2mm,長さ10mmの正方形にトリミングし,石膏で作った同サイズの箱に入れた.超音波厚さ測定機の測定条件を,軟組織中の音速として報告されている1,540m/sに設定した.微小試験機に接合した直径5mmのプローブを歯肉粘膜に垂直に接触させ,2分毎に接触圧を段階的に0.25Nずつ2Nまで上げた.微小試験機と超音波厚さ測定機から得た歯肉の変異量と厚さ,実際の歯肉厚さを記録し,これらのデータから歯肉粘膜中の音速を計算した.
    歯肉の変形量は接触圧が0.5Nまでは一定でなかったが,0.75Nから2Nまでは一定であり,0.75Nにおける音速は1,567.8m/sであった.本研究においてブタの歯肉を用いたが,これらの結果から歯肉中の音速を1,567.8m/sに設定することで,歯肉の厚さを正確に測定することが可能であり,この方法は歯科再生医療への応用も考えられる.
  • 村上 修一
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 9 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル フリー
    本研究は静磁場を作用させた際のヒト歯根膜細胞の免疫学的反応について研究した.
    静磁場のヒト歯根膜細胞に対する影響をManganase-superoxide dismutase(Mn-SOD)量とInterleukin-1β(IL-1β)をもとに検討した.測定は電子スピン共鳴を用いたスピントラッピング法とRadical酵素免疫測定法を用いて行った.磁場を歯根膜細胞に作用させると Mn-SOD活性は増加した.またリポ多糖を作用させた後のIL-1β産生量を検討すると,IL-1β量は減少した.以上のことから,磁場の作用は歯根膜組織に対して何らかの免疫学的作用を有することが示唆された.
  • 廣田 正嗣, 河野 健太郎, 早川 徹, 大久保 力廣, 中森 菜実, 遠山 岳史
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 9 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル フリー
    UV照射チタンおよび部分安定化ジルコニアインプラントが骨形成能の促進に関与する影響を明らかにするための基礎実験として,チタンおよび部分安定化ジルコニアの円盤状基板を用意し,擬似体液中でのアパタイトの形成挙動について検討を行った.結晶構造の分析を,X線回折法およびフーリエ変換赤外分光KBr法にて行い,結晶の形成状態は走査電子顕微鏡にて観察した.
    その結果,擬似体液中で各試料上に析出した結晶はすべて炭酸含有アパタイトであった.UV照射によってアパタイトの析出量には変化は認められなかったが,浸漬初期においてはアパタイト結晶の析出促進に影響している可能性が認められた.またUV照射により,チタンおよびジルコニア表面へのアパタイト結晶の接着性が向上する傾向が認められた.チタンと部分安定化ジルコニアを比較するとチタンの方がアパタイト結晶の接着性が良好であった.
  • 三島 弘幸, 徳弘 将光, 田中 和夫, 大久保 厚司, 見明 康雄
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 9 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は男女間の加齢変化に伴う組織構造及び組成変化を検索することである.歯石の色調は男女共に10代未満から50歳代では白色から灰色を呈し,60歳代以降は茶褐色が多く見られた.蛍光顕微鏡,偏光顕微鏡やSEMの観察では,女性では明瞭な層状構造を呈していた.歯石内部で男女共に球形の顆粒が多く,高齢者では不定形な形を示すものが多かった.EPMA分析ではNa,Mg,P,Caが検出された.X線回折法の結果では主な結晶はHAであるが,加齢に伴いOCPやwhitlockiteが検出された.歯石は唾液の分泌物に関連し,高齢者になる程,口腔細菌叢の変化,加齢に伴う疾病,薬の副作用などにより唾液の分泌量が減少し,唾液の成分も変化し,口腔の微小環境に変動に伴い,色調,組成や結晶の変化や不定形な構造が観察されたと考察される.女性の場合,女性ホルモンの分泌リズムの変化により層状構造が認められたと推測される.
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