日本再生歯科医学会誌
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 堤 定美
    原稿種別: Review
    2023 年 21 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    筆者のこれまでの再生歯科医学における研究手法や活動について概説する.まずWolffの法則を基にした有限要素法を駆使した骨リモデリングのシミュレーションについて紹介し,3次元造形法による手術ガイド,MRIを応用した新しい計測技術,生体軟組織の力学的物性測定法,そして再医療機器の国際標準化活動について紹介する.

  • 今井 弘一
    原稿種別: Review
    2023 年 21 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    再生医療は病気やけがなどの様々な原因で失った組織や臓器を再生する医療で損傷を受けた臓器または組織を正常な状態に様々な再生テクニックを使用して元の機能に戻す目的がある.生体組織工学の考え方は20世紀に登場してからすでに数十年が経過しました.臓器または組織を再生させるための必要な因子として, 細胞, スキャフォールドおよびシグナル分子の3因子すべてが必要であることが指摘されてきた.歯科領域では歯や歯槽骨などの硬組織と, 歯肉や口腔粘膜などの軟組織とが再生対象となる.また, 口腔には各種の唾液腺組織もあり, 唾液も大きな再生目標となる.味覚は全身の健康や栄養にも関係するため味蕾の回復は重要な再生ターゲットである.歯科領域では従来から補綴治療で歯の機能を回復することが一般的で, 補綴治療に審美的で十分な機械的強さを示すバイオマテリアルを開発してきた.バイオマテリアルを用いない再生医療テクニックが従来の補綴治療に加わることには大きな期待があります.今回, 上記3因子で再生医療の内容を述べ, さらに歯科再生特有の内容についても付け加えた.

  • 斎藤 隆史
    原稿種別: Mini Review
    2023 年 21 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    接着性修復材料開発において, 口腔内環境の変化に応じて, 再石灰化能, 抗菌性, 抗バイオフィルム形成能, 修復象牙質誘導能などの機能を効果的に発揮し, 齲蝕発生を防止するとともに歯髄を保護することが可能な多機能性スマート材料の開発が待たれている. 我々の研究グループでは, 象牙質齲蝕治療を「脱灰象牙質の再石灰化誘導」と「修復象牙質形成誘導」の両面から捉え, それぞれのアプローチから象牙質再石灰化/再生研究を行い, 象牙質・歯髄複合体に自己修復能を付与する機能性修復材料の開発を進めてきた. これまでに, 我々が開発したレジンモノマーCMET が石灰化誘導能, 象牙質再生能, 抗バイオフィルム形成能を兼備する高機能性モノマーであり, 機能性材料開発において有望な材料であることを見出している. これらの知見を基に新しい生体活性型歯面コーティング材およびボンディング材が開発された. 今後さらなる改良を図ることによって, 齲蝕予防はもちろんのこと sealed restoration における感染脱灰歯質の自己修復も確実に可能となるものと思われる. これによって齲蝕治療が現在の潮流を超越し, 「切削・修復治療」から「自己修復型治療」への完全脱却が図られるものと考える.

  • 西谷 佳浩
    原稿種別: Mini Review
    2023 年 21 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    特定機能病院である鹿児島大学病院では, 高度な医療の提供を目的として日々診療を行っている.保存科においても様々な臨床研究を実施しており現在も複数の研究が進行中である. Mineral Trioxide Aggregate (MTA) は硬組織誘導能が期待されることから歯科の保存治療において極めて有用であり, 日本国内において種々のMTA系材料が販売されている.それらの一つであるトリブチルボラン(TBB)を重合開始剤とするレジン複合型 MTA 系材料(以下, PCX-TBB)を, 歯根尖切除後の逆根管充填材料として応用することに着目した.

  • 村瀬 晃平
    原稿種別: Review
    2023 年 21 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    再生医療ふくめ, 生体組織の力学的, 材料的な特性の解明には様々な実験が必要になる.正確な実験結果を得るために, 複雑なプロトコルの開発や数多くの準備が繰り返し行われるのが常であるが, 当初の狙い通りの結果とならない, あるいはメカニズムが明瞭にならないことがある.そこで歯科をはじめとするバイオメカニクス分野でも, 有限要素解析等のコンピュータシミュレーションや, AI, GAをはじめとする情報科学分野の技術を用いて, 現象や傾向を予測することが広く普及しつつある.

    コンピュータの処理速度が飛躍的に向上し精緻な予測やモデル化も可能となったが, その結果はどの程度正しいのだろうか? 本発表ではいくつかの種類の生体力学シミュレーションを紹介しつつ, 定性的あるいは定量的に信頼性のある結果を得るために, 過去にも増して重要になりつつある研究者自身の理解について解説する.

  • 村田 知明, 堤 定美, 坂之上 悦典, 會田 哲夫, 金 郁喆, 岡 佳伸, 高橋 謙治
    2023 年 21 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    骨折治療では,チタン合金やステンレス材等の金属製インプラント,あるいはポリグリコール酸やポリ乳酸等の生分解性樹脂を用いた樹脂製インプラントが一般的に使用される.しかし,既存の金属製インプラントは,治癒後に抜去手術が必要であることから患者への負担が大きい.一方,樹脂製インプラントは,体内で分解するため抜去手術を要しない利点があるものの,強度不足である点などが課題となっている.

    これらの課題を解決するため,人体の必須元素で,生体内での吸収性を持つマグネシウムに注目し,特に生体安全性を考慮して,合金化元素を含まない高純度マグネシウム材を対象としている.純度,結晶粒径,結晶状態を調節することで,in vitro試験では溶解期間を8~12週間以上に調節でき,強度を保つことが可能であった.マグネシウムインプラントの安全性は,生物学的安全性試験及び臨床試験により,確認,確立していく.

  • 松村 和明
    2023 年 21 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/07
    ジャーナル オープンアクセス

    これまでに報告された凍結保護剤や凍結保護法について紹介する.特に近年盛んに研究されている高分子系の凍結保護剤について,その作用メカニズムから再生医療用途への応用まで概説する.

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