視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
選択された号の論文の65件中51~65を表示しています
ポスター発表
  • 学校に通っていたときと社会人になってからとの比較
    青木 成美, 永井 伸幸, 中野 泰志
    セッションID: P-26
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    1.研究の目的
     統合教育を受けた成人弱視者は、中・高時代にどのような視覚補助具や拡大教材を使用したのか、また、それらに対する教育支援がどのように行われていたかを調査する。そして、成人なり働くようになってからは視覚補助具や拡大文字の印刷物をどのように活用しているのか、またどのような支援をうけているのかをも調査する。そして、その両者の相違点を分析した結果を報告する。
    2.調査方法
     盲学校に通わず通常の中・高等学校に通った弱視者が、学校に通っていたときと働き出したときの読み書きの方法の違いを調べ、その理由を明らかにする。
    (1)調査項目
    _丸1_通っていた学校でどのような援助(教育支援)を受けていたか、またそのとき使用していた補助具はどのような種類の物を使用したか。 _丸2_大学ではどのような援助(教育支援)を受けていたか、またそのとき使用していた補助具はどのような種類の物を使用したか。 _丸3_社会人として働き出したとき、文字の読み書き等の視覚情報入手をどのような補助具活用と工夫で行っているか。
    (2)アンケート対象者
     成人になっている弱視者に上記の観点にのっとた質問紙を配布し、記入してもらう。
    年齢 20代、30代の弱視者
    3.結果
     調査結果の分析検討からいくつかの観点が得られた。この結果を学生時代から社会人として働くまでの視覚補助具の選択及び活用のための有効と思われる支援プログラム作成の一助にしたい。
  • 新井 千賀子, 尾形 真樹, 田中 恵津子, 工藤 かんな, 小田 浩一, 平形 明人
    セッションID: P-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    緒言:読書速度と文字サイズの関係では、臨界文字サイズ以上になると速度が一定となるタイプと、さらに文字サイズを拡大すると読書速度が低下するパターンがあることが知られている。後者は求心性視野狭窄や黄斑を取り囲んだ輪状暗点など黄斑部に視野が残存する場合にみられる。このような症例の場合の補助具選択では視力が高い場合には拡大について十分に検討されていない。今回、黄斑部を囲む輪状暗点があり視力が高いが、高拡大倍率でより読書成績が改善された症例を経験したので報告する。症例:59歳男性、クロロキン網膜症による脈絡膜萎縮、視力:右眼(0.8) 左(0.1)、視野:右眼 、傍中心窩を囲む輪状暗点、左眼、中心窩の比較暗点および傍中心窩から耳側上方かけての暗点。左眼外斜視。強度近視のため接近視で11ポイントの文字を約100文字/分の速度で読めるが読み作業の困難を訴えていた。経過:19インチモニタでPC-版MNREAD-Jを両眼開放において実施した結果は、0.5logMARで読書速度96文字/分を示し0.9ogMARで読書速度が低下1.3logMARで再び速度が上昇した。より高い拡大を得るために42インチモニタで実施した結果では2.0logMARで読書速度206文字/分を示した。この結果より長時間の読み作業については拡大読書器で2.0logMARの文字サイズに拡大し、短時間の読み作業は裸眼で接近視にて行う事となった。考察:視力が高い輪状暗点を示す症例では、拡大効果よりも中心視力を活用した補助具の選択が行われることが多い。しかし、本症例の様に拡大することで読書効率が向上する場合には高倍率の補助具の方がより効率がよい。視力が高い輪状暗点の症例ではより高倍率を提供することで読書効率が改善する可能性を考慮して高倍率に拡大した文字サイズまで読書評価を実施し、用途に対応した補助具を検討する必要性が示唆された。
  • ~受け入れに対する理解は進んでいるのか~
    久保 ますみ
    セッションID: P-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    2002年に身体障害者補助犬法が施行され、7年が経とうとしている。この法律は、公共的施設や公共交通機関、不特定多数の人が利用する施設等で、盲導犬や聴導犬、介助犬の同伴を拒否することを禁じたもので、2008年には一部が改正され、都道府県・政令指定都市・中核市において相談窓口が設置された他、従業員56名以上の事業所での受け入れが義務化された。
    しかしながら、昨年度、当協会が受け付けた、盲導犬ユーザーや一般市民、事業者からの相談は41件あり、その半数は、盲導犬ユーザーからの施設・交通機関等での受け入れ拒否に関する相談であった。
    一方、事業者からの盲導犬ユーザー受け入れに関する相談は約3割で、受け入れるためにどのような対応をしたらよいのか、といった内容が多かった。このような受け入れることを前提とした相談がある一方で、受け入れを拒否した事業者と話をすると、多くの事業者が身体障害者補助犬法を知らず、どのように受け入れたらいいのかわからないまま拒否した、というケースが多かった。ただ、わずかではあるが、身体障害者補助犬法の存在は知っていてもユーザーの利用を拒否した、という事業者もあった。
    盲導犬ユーザーが、他の利用者と同じようにスムーズに施設・交通機関を利用できる社会を創るために、どのようなアプローチが必要なのかを考えてみたい。
  • 永井 伸幸
    セッションID: P-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    目的:弱視者におけるフォントの効果について、様々な観点から論じられているが、好みのフォントと好みの文字サイズの関係については明らかにされていない。そこで、弱視者に文字サイズを自分が好ましいと思うサイズ(選好文字サイズ)に設定した場合、ゴシック体と明朝体でどのような違いが見られるのか、実験的に検討した。
    方法:被験者は5名の弱視者であった。事前にMNREAD-Jを用いて臨界文字サイズと読速度の測定を行った。CRTディスプレイ上に1行10文字で3行の読み刺激を呈示した。読み刺激は、小学校で習得する漢字を含む文章で、フォントについて明朝体とゴシック体の2条件を設定した。視距離は各参加者の見え方に応じて調節した。「この状態で読み続ける時に好ましいと思う文字サイズに調節して下さい」と教示した。呈示された文字を縮小して好みの文字サイズに調整する縮小調整と、拡大して調整する拡大調整を交互に10試行ずつ行った。フォント条件の提示順序はランダムであった。
    結果:フォントによる選好文字サイズの違いについて、参加者ごとにt検定を行った結果、5名中4名において、明朝体よりゴシック体で有意に小さな文字サイズを選択した。「ゴシック体の方が見やすい」と発言する弱視者は多いが、実際に選択する文字サイズも小さくなることが示された。これは横線の線幅の違いが影響したと考えられる。今後、臨界文字サイズとの関係や、明朝体とゴシック体の形状の差異との関係について検討していく。
  • 中西 勉, 松崎 純子
    セッションID: P-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】:網膜色素変性患者が歩行する際に、何を見ているのかを言語報告してもらった。何を見ながら歩行をしているのか、そして目的物を発見する際のストラテジー検討した。
    【被験者】:網膜色素変性患者8人(平均49.5歳)であった。両眼視による視力(logMAR)は0.5 logMARから1.4 logMAR、視野(左右眼それぞれ8方向の平均)は20.5°から3.0°であった。
    【方法】:網膜色素変性の患者の歩行状況をアイマークレコーダーやビデオカメラで撮影し、どこを見ているのかについて言語報告してもらった。
     被験者は、近隣の小学校横の歩道を歩いた。交差点の右折、歩道橋の上り下り、交差点の横断を含む約250mのルートで、車道側は主に植え込み、学校側はフェンスや植え込みとなっていた。二つ目の交差点にある押しボタンを発見するまでの約110m部分を主な分析対象とした。
     言語報告のうち被験者が見た物や方向を抽出し、KJ法を用いて分類した。分析者は、歩行指導歴20年以上の2名であった。 結果:被験者が見ているもには、ある程度の傾向があった。車道と逆側のフェンス、車道側の植え込みなどを見ており、それは進行方向を保つためと考えられた。しかし、その多くはフェンスなどであった。前方を見ているとの報告も多く、安全を確認するためと考えられた。また、目的物の信号機のボタンがある交差点を探すために、その方向を意識していることが伺えた。交差点のゼブラゾーンを見ていると報告する被験者もおり、数十メートル先から見ていた。交差点に接近してから信号機の柱あるいはボタンを探していた。
    【結論】:フェンスなどを見ることで進行方向を保っていると考えられた。押しボタンのある交差点を比較的遠方から確認していることもわかった。 行くべき方向をおおざっぱに定め、そこに到着後、目的の物を探していると考えられた。
  • 和田 浩一
    セッションID: P-31
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     画面読み上げソフトを使用してパソコンを操作している視覚障害者の多くがタッチタイピングをマスターしてパソコンを操作している。ほとんどの場合、qwerty配列のキーボードを使用して、両手を使ったタイピングを行っている。視覚障害者は文字入力だけでなく、編集操作や様々なアプリケーションソフトの機能をキーボードの操作で行っている。  ところが、脳血管障害の後遺症など、上肢の運動機能が低下して、片手のみしか使えなくなった場合には、片手によるキーボードの入力をしなければならない。文字入力の速度や操作が困難となり、大きな不便を感じることとなる。  そこで、この問題を解決するための方法を検討した。片手で能率の良い操作をするためには、手の移動と正確な定位が重要である。定位を容易にするための触知マークの貼付やキーの配置の変更、組合せキーの設定によって、正確でスムーズな文字入力及びパソコン操作ができたので報告する。
  • 松下 昭司, 田邊 正明, 堀内 恭子, 森本 剛史, 和角 輝美子
    セッションID: P-32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     当養成部では、厚生労働省の委託により「視覚障害生活訓練等指導者養成課程」という名称で指導者の養成を行っており、「視覚障害生活訓練等指導者」は高い専門性を有していると考えている。
     視覚障害者の参加の制約を引き起こしている要因を、WHOのICF(国際生活機能分類)に基づき、環境因子、個人因子、健康状態、心身機能、活動の状況などの様々な側面から検討し、総合的な支援をおこない、参加につなげることが、「視覚障害生活訓練等指導者」の役割であると我々は考える。
     2007年には歩行訓練、2008年には日常生活動作訓練の指導における専門性の検証を行ってきた。2009年はコミュニケーション訓練の中の特にパソコン訓練の指導における専門性について考えていきたい。
     パソコンのハードやアプリケーションソフトの変化にはめまぐるしい物があるが、今回は、特に対象者に応じた指導に焦点を当て、専門性について検証したい。
  • 尾形 真樹, 田中 恵津子, 新井 千賀子, 小田 浩一, 平形 明人
    セッションID: P-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    目的:ロービジョン(LV)の中でも求心性視野狭窄は重度な歩行困難の原因となる。一般的にその対処策として白杖操作技術の提供を第一に考えがちだが、患者の中には仕事や対人関係を理由に白杖使用を強く拒む者もいる。患者の意向を尊重するためには、担当者が白杖以外の対応の知識・技術やその限界、あるいは患者が選択する対処策の特徴について着目する意義は高い。我々は外出機会もある仕事に就き、求心性視野狭窄による歩行困難の多い生活環境下で、可能な限り視覚情報の活用を優先して歩行したい意向のある患者の歩行行動に着目し、困難への対処方法をまとめたので報告する。
    症例:36歳男性、両網膜色素変性、左眼黄斑円孔、LV外来初診時の視力は右(1.2)左(0.2)、視野は両眼とも半径5度以下、羞明、暗順応障害を訴えた。LV外来は2003年7月から4年間で16回受診、ロービジョン担当者3名(歩行訓練士1名含)が対応した。その間、右眼は視力(0.8)で視野もやや狭窄が進行、左眼は失明した。
    方法:本症例との歩行困難に関する相談記録から、困難の具体的内容、それに対する本人の工夫や担当者の助言、最終的に本人が選択した対処策を抽出し分析した。
    結果:本症例は毎回歩行困難を訴えた(延べ81、重複あり)。困難は、通勤帰宅4.9%、営業関連79%、社内関連7.4%、仕事以外8.6%の場面に大別でき、多くは営業先訪問時に生じた。担当者は歩行補助具の活用に関する助言を多くしたが、仕事場面では白杖を使用しなかった。営業先の往路で帰路の手がかりを確認、夜間車のヘッドライトが照らす瞬間に周囲を確認、暗順応に時間をかけるなど視覚情報を活用して対処していたが、歩行中の怪我の報告もあり、本症例の対処策だけでは安全確保が不十分なこともわかった。
    考察:白杖なしで歩きたいという患者の選択の尊重、それによる安全性の低下、これらを同時に理解し、歩行困難への対処策を検討することも重要性が示唆された。
  • 藤原 義郎
    セッションID: P-34
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     視覚障害者の社会参加を阻んでいる課題の一つであり、もっとも顕著なのが就労の課題である。  高知県視覚障害者の就労を促進する会は、08年2月に発足した。最初の課題として取り組んだのが、高知県と高知市に対して公務員試験の際に、点字試験を認めていただくことである。以来、県・市職員に対して、音声パソコンのデモンストレーション、議会活動、街頭宣伝署名行動やニュース発行などを行い、高知県では、知事部局における障害者別枠採用試験で、08年11月に点字試験が実施された。試験時間は通常試験の1.5倍である。また、年齢条件は30歳から34歳まで延長された。20人の別枠試験受験者中、視覚障害青年1人が点字受験をした。又、09年度は上級行政職試験でも点字試験が可能になった。 一方、高知市では、09年に、点字試験を行うことを含む予算が計上されている。しかし、実施要項は、6月10日現在まだ出ていない。  考察  点字試験の実現の要素として、次のことがあげられる。 1.ニュースの発行、街頭宣伝などを通じて、労働組合やマスコミなどの協力も得られ、大きな世論を味方につけたこと。 2.議会活動で幅広い会派の方々の協力をえられたこと。 3.他の県の就労事例の調査やデータ収集により、説得力のある資料を作ってきたこと。 4.権利条約や労働法の改定など、法的にも雇用促進の基盤が進められてきていることなどである。  今後の課題として、 1.パソコン受験へ門戸を広げていくこと。 2.試験時間の延長の検討。 3.パソコンなど職業訓練の実施。などである。
  • 麻野井 千尋, 小田 浩一
    セッションID: P-35
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    目的 富山県におけるロービジョン・リハビリ関係の社会資源と活用状態が、過去35年間でどう変化したかについて、富山在住の中途視覚障害の人の非構造面接から検討した。方法 富山在住の48歳から73歳(平均57.5歳)の中途の視覚障害の男女7名(男性5名、女性2名)が面接に協力した。疾患は網膜色素変性症4名、白内障と緑内障1名、黄斑ジストロフィー1名、糖尿病性網膜症と脳出血による視神経萎縮1名であった。協力者1名につき、30分から~3時間の非構造面接を行った。得られた報告内容を、1)見えにくさを自覚した時期、2)医療機関から得られた助言、3)見えにくさを自覚した時点での社会資源に対する認識の程度、4)最初に到達した社会資源、5)活用した社会資源数と最初の社会資源に到達するまでの期間、6)社会資源を知った媒体、の6項目に分類し、見えにくさを自覚した時期が15年以上前のグループ(A群)とそれより最近のグループ(B群)で比較した。結果 B群はA群に比べ医療機関から得られた助言数と活用した社会資源数が多く、最初の社会資源への到達期間が短かった。社会資源に対する認識の程度は、両群で変化はなかった。B群の中にはインターネットや無料電話案内を活用し、全国的な社会資源に早期に到達する者もいた。考察 中途視覚障害の人の社会資源に対する認識の程度は過去35年間で変化していないにもかかわらず、時代が下るにつれ、活用した社会資源数は増加し、最初の社会資源にたどり着くまでの期間が短縮した。これは、ロービジョン・リハビリテーションに関する知識が、盲学校、市役所、視覚障害者福祉センター等の既存施設以外においても醸成 され、運用されるようになったことを示唆する。通信手段を活用することで、地域に居ながら全国レベルのこれら多様な社会資源に早期に到達することが可能である。
  • サポーター・ミズキ公開講座を通しての考察
    内田 教子
    セッションID: P-36
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    1.目的
     サポーター・ミズキは平成16年に視覚障害特性に配慮したサービスを提供することを目的に、介護保険のデイサービスと居宅介護支援事業を開始した。併せて視覚障害専門相談事業として視覚障害者に対する地域支援活動を開始している。活動の一環として、視覚障害者支援を目的とした公開講座を、平成16年11月から平成21年5月までに11回開催してきた。
     これまで行なってきた公開講座を通して、視覚障害者に対する地域支援活動のあり方について考察したので報告する。
    2、講座概要
    (1)開催目的
    ・視覚障害者が在宅生活への活力を高めるための支援の一環として、体験を含めた情報提供を行う
    ・視覚障害者への支援者に対し支援力を高めるための支援の一環として、障害特性や支援方法などについての理解を深めるための情報提供を行なう
    (2)開催内容
    ・障害特性、制度、介助方法などの講義
    ・調理・化粧などの講習、及び用具などの体験
    (3)時期:年2回13:30~15:30
    (4)場所:サポーター・ミズキのデイサービスルーム
    (5)定員:10~15名
    (6)対象者:視覚障害者、家族、視覚障害者支援に関心のある方
    3.考察
    (1)地域支援活動として公開講座を企画する場合、地域の障害者、支援者それぞれのニーズを的確に把握することが重要である。
    (2)講座を充実するためには、視覚障害特性に配慮し、講座に集中できる環境整備が必要である。
    (3)地域でイキイキと生活している視覚障害者の存在を知ることは、他の視覚障害者の生活意欲を高める効果があると考えられた。
    (4)講座は支援の一環であり、講座開催時ばかりではなく、講座の前後にも相談支援が必要である。講座を通しての情報発信とともに、相談機能も展開していくことが、地域支援活動に重要であると考えられた。
    今後「サポーター・ミズキ」において、視覚障害者への支援として、より的確な講座の開催方法を検討し、地域支援活動をより充実させて継続していきたい。
  • 利用者の視点から
    木村 仁美, 菊地 智明
    セッションID: P-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     2007年度より世田谷区では、情報・通信支援用具(アプリケーション・ソフトおよび周辺機器)を1・2級の視覚障害者を対象に日常生活用具の種目として新たに追加した。種目の新規追加にあたり、利用者の申請に基づき給付する従来のシステムを見直し、給付にあたり視覚障害の専門職が利用者のニーズやスキルなどを確認し、福祉事務所に現状を「連絡」した上で給付の可否を判断する手続きを導入した。  開始から1年経過した時点では、制度の浸透が不十分だったこともあると考えられ、申請は1年間でわずか3件のみであった。その後、申請件数は順調に増えてきており、制度開始2年目の2008年度には1年間に多数の相談や申請があった。 2008年度に行った調査は、福祉事務所のケースワーカーを対象に新システムの是非を問うもので、おおむね高い評価を得られたが、今回は利用者を対象に調査を行い、総合的な制度評価としたい。  
  • 小川 景子, 森口 綾, 板嶌 憲次郎, 堀 忠雄, 山崎 勝男, 仲泊 聡
    セッションID: P-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】夜間の睡眠中には、鮮明でありありとした夢見体験が出現する時期(レム睡眠)がある。レム睡眠中には網膜からの視覚入力がないのにも関わらず視覚野の活動が高まることが報告されており、これに記憶などの内因性の情報が加わることで夢の視覚映像が生成されると考えられる。先行知見により、全盲患者においても夢の視覚映像報告があること、中途視覚障害者で発症からの期間が短いほど夢の映像も鮮明であることが報告されている。しかし、これまで視野障害の種類ごとに夢の視覚体験を分類した研究は行われていない。そこで、本研究では日中の見え方が異なる中心暗点患者と求心性狭窄患者を対象に夢の見え方について面接調査を行うこととした。具体的には、障害間における日中の見え方の違いが夢の見え方の違いにも影響するのかどうか検討することとした。
    【方法】周辺は見えるが見ようとするところが見えない中心暗点患者と、視線の方向は割と見えるが周辺視野がとても狭い求心性狭窄患者が調査に参加した。調査では、日中のイメージ想起レベル(視覚心像鮮明性質問紙(VVIQ)質問紙)および夜間の夢見体験中の見え方について面接聴取を行った。
    【結果と考察】視覚心像の鮮明性(イメージ想起レベル)は、求心性狭窄患者(73点)が中心暗点患者(53点)よりも高い値を示した。夢の鮮明性については、求心性狭窄患者は日中よりも夢の映像が鮮明であると答えたのに対して、中心暗点患者は日中と同様に不鮮明だった。本研究より、求心性狭窄患者は中心視野が比較的保持されているため、視覚イメージや夢の視覚映像の鮮明度も保持できている可能性が考えられる。
  • 中野 泰志, 新井 哲也
    セッションID: P-39
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    1.目的:地球温暖化やエネルギー問題が注目される中で、ハイブリッド車や電気自動車等は排気ガスや騒音等が少なく、優れた環境性能の車として注目を集めている。しかし、その静粛性のため、歩行者が車の存在に気づきにくく、接触事故等に巻き込まれる可能性も秘めている。特に、路地等を横断する際に車の有無をエンジン音で確認する場合が多い視覚障害者にとって、新たなバリアになる可能性もある。単独歩行している視覚障害者が路地を横断する際にどのような情報を手がかりにし、どんな困難や不便さを感じているか、また、車の音をどの程度利用しているのかを明らかにするためにアンケート調査を実施した。
    2.方法:音の静かな車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響を分析するために、1)ユーザの特性、2)単独歩行の実態、3)路地横断の際の手がかり、4)車の発見、5)事故経験等の観点から14項目のアンケート調査を作成した。アンケートへの協力者は、視覚障害関係のメーリングリスト(VIRN視覚障害リソース・ネットワークメーリングリスト、全国視覚障害者雇用促進連絡会メーリングリスト等)で募集し、調査はメールで実施した。
    3.結果・考察:調査への協力者128名の内、単独歩行が可能な有効回答121名を分析の対象とした。以下、主な結果を示す。ほとんどの視覚障害者が車の確認には音を手がかりにしており(112名[92.6%])、路地では車に気づかず危険な経験をしたことがある(101名[83.5%])ことが明らかになった。また、静かな場所でも危険な目にあったケースは多く(39名[32.2%])、路地で車等にぶつからないかどうか不安に思っている視覚障害者が少なくない(63名[52.1%])ことがあきらかになった。Nakanoら(2008)の研究では、ハイブリッド車がモーターでアイドリングしているときの音は人間の聴力では聞き分けが困難であることがわかっている。したがって、路地でアイドリングしたり、発信するときに何らかの音を出す必要がある。
  • 川嶋 英嗣, 水野 沙織
    セッションID: P-40
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日常で目にする様々な印刷物の文字は必ずしも高い輝度コントラストで印刷されているとは限らない。本研究では印刷物の文字の大きさと輝度コントラストについて調べることを目的とした。
    【方法】測定対象は,レシート,新聞,教科書,雑誌等,日常でよく目にするもの671種類とした。文字サイズはスケールルーペで測定し,背景と文字の輝度を色彩輝度計(トプコン製BM-7)で計測し,輝度コントラストを算出した。
    【結果と考察】文字サイズは2.0から3.0mmの範囲で特に2.4から2.6mmの物が多かった。また,コントラストは多くが40から98%の範囲で分布していた。最も低いものでは1%ほどのものも存在した。見やすくするために拡大はよく行われるが,コントラストを高くする工夫も配慮すべき重要な要因であることが示唆された。
feedback
Top