目的 心身の健康問題を抱える高等学校の生徒に継続支援を行った養護教諭を対象に、先行研究で示された継続支援過程の初期段階・第2段階の養護教諭の対応から抽出した因子の信頼性・妥当性の検証、初期段階と第2段階の関連性の検証と初期段階と第2段階の養護教諭の対応と関連する養護教諭の経験を明らかにする。
方法 調査期間2019年8月~12月、A府の高等学校等(161校)の養護教諭232人に質問紙を郵送した。回収112人(回収率48.2%)のうち分析対象者93人(有効回答率40.1%)のデータを探索的因子分析後、初期段階と第2段階での養護教諭の対応の関連性を検証するためにPeasonの積率相関分析、養護教諭の対応因子について高等学校勤務年数及び継続支援件数の関連を検証するために、一元配置分散分析及び多重比較分析を行った。
結果 探索的因子分析による7因子を分析した結果、各因子の初期段階と第2段階の関連性が明らかになった。養護教諭の対応について、高等学校勤務年数による有意差はなかった。継続支援件数が1-5件の養護教諭の対応と比較して、継続支援件数11件以上の養護教諭の対応が有意に高かったのは、【生徒の様子から生じた感覚】【生徒が表出する言動を承認した働きかけ】【生徒から「何か」を話し出せるような働きかけ】、継続支援件数16件以上の養護教諭の対応が有意に高かったのは、【気になる生徒とつながるための働きかけ】【生徒の言動や変化に応じたかかわり】であった。
結論 継続支援件数1-5件の養護教諭の対応と比較して、継続支援件数16件以上の養護教諭の有意に高かった対応が、継続支援における実践経験がある熟練した養護教諭の対応であることが示唆された。
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