日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
18 巻, 1 号
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特別報告 見えない子どもの姿を可視化する
研究報告
  • 小澤 保乃加, 竹鼻 ゆかり, 西谷 奈緒子
    2023 年 18 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル フリー

    背景:幼稚園における健康教育は重要な役割を果たす。幼稚園における健康教育を充実させるためには、まず、幼稚園の健康教育に関する現状と課題を調べる必要がある。

    目的:幼稚園の健康教育の現状と課題、健康教育を実施する上での影響要因を明らかにすることである。

    方法:幼稚園に勤務する幼稚園教諭134名を対象に、GoogleフォームのWEBアンケート調査を行った。調査内容は、基本属性、健康教育の意欲、健康教育の実施状況、幼児への健康教育の内容、保護者への健康教育、保護者への健康教育の内容とした。

    結果:幼稚園の健康教育の内容については、「衣服の調節についての指導」「食事に関する指導」「排泄指導」「手洗いやうがいの指導」の実施率は高かった。「性教育」「テレビやゲーム等の視聴時間についての指導」は実施率が低かった。

     重回帰分析の結果、【健康教育の実施状況】に有意に直接的な影響を及ぼす要因は、【物的資源】(β=0.30、p=0.003)、【教員個人の準備状況】(β=0.19、p=0.043)であった。このモデルの調整済み決定係数はR2=0.41(p<0.001)で、これらの変数によって41%が説明された。

    結論:幼稚園での健康教育を充実させるためには、教諭が健康教育を行えるよう幼稚園の環境を整えるとともに、健康教育を行う教諭を育てる必要が示唆された。

  • ―学校保健関係者の連携・協働に繋がる行動調査の結果(2022年)から―
    後藤 多知子, 笠巻 純一
    2023 年 18 巻 1 号 p. 28-38
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル フリー

     近年、養護教諭にますます組織を認識した専門性発揮が求められている。本研究では、養護教諭の学校関係者を連携・協働に導くリーダーシップ行動について担任教諭はどのように認知をしているのか、また、その認知と自校の学校保健に関する評価との関連について調査分析をすることを目的とした。2022(令和4)年の2月から3月に、東海北陸地方の小中学校400校に対しオンライン調査を依頼し、担任教諭102名の回答を得た。分析の結果、担任が認知する養護教諭のリーダーシップ行動は、3因子構造を有し、「積極的に教職員と交流する行動」、「信頼構築の行動」、「学校保健の組織マネジメント行動」と命名をした。これらの3つの行動と担任教諭の学校保健に関する評価は多数の項目に正の関連があったことから、養護教諭はこれらのリーダーシップ行動を認識して実行することにより、自校の学校保健の評価の改善に繋がる可能性が示唆された。

資料
  • 小平 かなめ, 鈴木 愛奈, 亀井 なぎさ, 大沼 久美子
    2023 年 18 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル フリー

     保健室来室記録(以下、来室記録と示す)は、保健室に来室する児童生徒の健康状態の実態把握に不可欠な記録である。しかし、養護教諭が手書きによる来室記録をパソコンへとデータ入力し直しているという現状があり、来室者の集計や分析についてはさらにその業務を効率化する必要がある。そこで来室記録のアプリケーション化によって、それが可能となると考えた。このことから本研究では、来室記録の実態と来室記録のアプリケーション化へのニーズを明らかにすることを目的に現職養護教諭312名を対象とした無記名式調査を実施した。

     調査の結果、60名より回答が得られ(回収率19.2%)、来室記録を使用している59名のうち記録媒体が「紙式と電子データ式の兼用」が44件(74.6%)と最も多く、手書きで紙に記録したものを、パソコンへとデータ入力し直して管理していることがわかった。また、「アプリを使用したい」と回答した者は45件(76.3%)あり、特に中学校・高等学校に勤務する養護教諭のアプリケーション使用のニーズが認められた(p<0.05)。小学校では12件(33.3%)が「アプリを使用したくない」と回答し、その理由はプライバシーへの不安や直接的な関わりが薄れてしまうなどの意見であった。

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