目的は、小学校から高校までに出会った慢性疾患がある友達をどのように認識していたのか、また現在はそれをどのように受け止めているのかを明らかにすることである。
研究承諾の得られた女子大学生14名に、病気の友達の様子、病気の友人を通じて考えたことなどを半構造化面接にて調査し、M-GTAを用いて分析した。
その結果、16の概念と7つのサブカテゴリー、3つのカテゴリーを生成した。
女子大学生は子どもの頃、【友達が病気であることを認識したための疑問や感情】において、病気の友達に対して、《特別な存在であることへの疑問》と《教室内での位置や成長発達に伴い薄くなる存在への戸惑い》を持つことにより、《病気であることを知るために抱く葛藤》を抱いていた。また【病気とは異なる観点で認識する友達の存在】では、《病気に関わらず示された存在感》が分かることによって、《病気を認めたうえでの友達としての対応》を行えるようになっていた。この2つのカテゴリーは、病気の友達に対するアンビバレントな関係性であった。
更に、女子大学生が当時を振り返ったとき病気の友達に対して、理解や共感を示し《肯定的な受け止め》をするようになった故に、もっと配慮できたのではないかという反省や後悔の念を抱く《関わりかたへの苦い思い》をするようになる。つまり女子大学生が【子どもの頃に出会った病気の友達への後悔を伴った理解】をするようになる思考の内省的プロセスが明らかとなった。
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