認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
49 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 亀谷 知麻記, 富田 望, 武井 友紀, 梅津 千佳, 熊野 宏昭
    2023 年 49 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2023/04/30
    [早期公開] 公開日: 2023/01/12
    ジャーナル フリー

    社交不安の特徴として、他者からの否定的評価に対する恐れ(FNE)、他者からの肯定的評価に対する恐れ(FPE)、それらと関わる注意バイアスが挙げられる。注意バイアス研究の多くはFPEやポジティブ刺激を含めていないため、本研究ではFNEとFPEによって表情刺激への注意バイアスがどう異なるかを明らかにすることを目的とした。大学生と大学院生55名を対象に質問紙への回答と、否定顔、中性顔、肯定顔の表情画像を用い、否定顔への注意バイアス得点と肯定顔への注意バイアス得点を算出するドット・プローブ課題を実施した。その結果、FNEが高くなるほど否定顔に対する注意バイアスと有意に関連することが示された一方、LSASとより強い関連を示したFPEは注意バイアスと関係しないことが示された。今後はFPEの影響をさらに検討するために、実際の評価場面を使った研究の実施が望まれる。

資料
  • 戸澤 杏奈, 松永 美希, 土屋 政雄, 中山 真里子, 熊野 宏昭
    2023 年 49 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2023/04/30
    [早期公開] 公開日: 2022/12/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、日本語版Work-related Acceptance and Action Questionnaire(WAAQ)を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。研究1では、日本語版WAAQを作成し、就業者180名を対象に構造的妥当性、内的一貫性、仮説検証(収束的妥当性)を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い内的一貫性、一部の構造的妥当性および収束的妥当性を有していることが示された。研究2では、就業者2,071名を対象に構造的妥当性、仮説検証(収束的妥当性とサブグループ間の比較)を検討し、うち320名を対象に再検査信頼性と測定誤差を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い収束的妥当性、十分な構造的妥当性を有していること、年代、業種、職種におけるサブグループ間を比較すると小さな効果量が見られること、また測定誤差が示された。一方、再検査信頼性には課題が残された。

実践研究
  • 仲上 恭子, 中鹿 直樹, 谷 晋二
    2023 年 49 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2023/04/30
    [早期公開] 公開日: 2022/11/29
    ジャーナル フリー

    在宅リハビリテーションでは、高齢者特有の心理状態により目標設定が不明確となっていると指摘されている。本研究では、在宅リハビリ患者に対する価値に関する介入が、生活の質と目標設定に及ぼす効果について、単一事例を通して検討した。患者は慢性腰痛を抱える男性であり、腰痛による活動性低下と、運動の拒否が生じていた。介入は、週に2回計12回の介入セッションと、2週間後のブースターセッション1回を実施した。結果、心理的柔軟性と生活の質が向上し、運動の拒否行動が減少した。価値に基づく行動として将棋を行い、痛みがあっても活動できることに気づき、運動が価値に関連づけられたことで拒否行動が低減したと考える。また、本研究では患者本人の心理的問題だけでなく、家族やリハビリ担当者との関係性とその問題を扱うことで、さらに介入の有効性を高めることができたと考えられる。

追悼
feedback
Top