認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
44 巻, 1 号
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理事長挨拶
原著
  • 茂本 由紀, 武藤 崇
    2018 年 44 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/18
    ジャーナル フリー

    本研究は、茂本・武藤(2017)が開発した漢字迷路課題を改良し、関係フレーム反応の測定指標としての妥当性、および抑うつ的反すうの測定指標としての適用可能性を検討することが目的であった。漢字迷路課題を中性語のみで構成された迷路と抑うつ語のみで構成された迷路の両方を含むように改良し、抑うつ語の反応時間から中性語の反応時間を減じた反応時間の差分を算出した。関係フレーム反応の妥当性の検討では、漢字迷路課題の反応時間の差分とIRAPのDIRAP得点との相関を求め、刺激の機能変換を測定する自己評定尺度の高群と低群との間で、反応時間の差分に差があるかどうかを検討した。また、抑うつ的反すうの測定指標としての適用可能性の検討では、抑うつ的反すうを評価する自己評定尺度による高群と低群の反応時間の差分を分析した。その結果、漢字迷路課題の反応時間の差分が、関係フレーム反応測定指標として妥当であることは示されなかったが、抑うつ的反すうの測定指標として適用可能であることが示唆された。

資料
  • 小関 俊祐, 伊藤 大輔, 小野 はるか, 木下 奈緒子, 栁井 優子, 小川 祐子, 鈴木 伸一
    2018 年 44 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、日本の認知行動療法の実践家を育成するために不可欠と考えられる教育研修内容を明らかにすることであった。まず、国内外の認知行動療法家4名によって、英国認知行動療法学会が認証した大学の35の研究科を対象に、教育内容項目が網羅的に収集された。次に、国内外の認知行動療法家7名によって、英国におけるガイドラインにおける教育カテゴリーと日本での教育制度の状況を参照しながら、収集された580項目の教育内容について、分類・整理が行われた。その結果、最終的に、3カテゴリー、62項目が得られ、日本の認知行動療法の教育内容リストが作成された。今後、本研究を基盤として、教育研修内容を構成することが求められる。

  • 小関 俊祐, 小関 真実, 中村 元美, 大谷 哲弘, 国里 愛彦
    2018 年 44 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/18
    ジャーナル フリー

    本研究は、児童の行動抑制および行動賦活の傾向を把握する自己記入式尺度のBehavioral Inhibition System and Behavioral Activation System Scale(児童用BIS/BAS尺度)日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検討を行うことを目的とした。本研究では、小学3年生から6年生1,624名を対象に調査を行った。確認的因子分析の結果、児童用BIS/BAS尺度は原版と同様の4因子構造を示した。信頼性において、児童用BIS/BAS尺度はBAS-刺激追求のα係数は低かったが、全体としては十分な内的整合性と再検査信頼性を示した。また、BISは、抑うつと正の相関を示し、外向性および情緒安定性と負の相関を示した。BASは、攻撃行動および外向性と正の相関を示し、抑うつおよび情緒安定性と負の相関を示した。以上より、児童用BIS/BAS尺度の構成概念妥当性が確認された。

  • 髙橋 高人, 松原 耕平, 佐藤 正二
    2018 年 44 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、幼児の問題行動を対象とした集団社会的スキル訓練(以下、集団SST)の効果を標準群との比較から検討することであった。介入群309名(5~6歳)の幼児がプログラムに参加した。標準群は、971名(5~6歳)であった。6セッションの集団SSTが、9カ月にわたって実施され、介入群の主張スキル、協調スキル、自己統制スキルの向上がみられた。さらに介入群において、外在化・内在化問題行動の改善がみられた。標準群との比較から、訓練後に標準群よりも介入群の主張スキルが、有意に高いことが示された。外在化問題行動は、訓練前に標準群よりも介入群のほうが有意に高かったが、訓練後には有意差がなかった。加えて、問題行動の改善が主張スキル、協調スキルの向上によって媒介されていることも示された。幼児に対する集団SSTが、社会的スキルのなかでも主張スキルの習得に関して効果的な介入であることが示唆された。

実践研究
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