犯罪社会学研究
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42 巻
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  • 2017 年 42 巻 p. 0-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 42 巻 p. 3-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • ─脳科学・神経科学の進歩と米国少年司法の変容,そしてわが国への影響─
    山口 直也
    2017 年 42 巻 p. 4-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 友田 明美
    2017 年 42 巻 p. 11-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     近年の脳科学研究の進展により,ヒトの脳の成熟のプロセスが緩徐に進行することがわかってきた. 例えば,前頭前皮質の成熟は20代後半まで進行する.一方で,感情と報酬感を制御している大脳辺縁 系の発達は,まだ前頭前皮質が未熟な10歳頃に始まる思春期にホルモン量が増えて成熟が促される. ヒトの脳は胎児期,乳幼児期,思春期に爆発的に成長するが,その時期は脆弱な時期でもある.とく に10代の若者では感情を司る大脳辺縁系と衝動的行動を抑制する前頭前皮質の成熟がミスマッチして いるからだ.すなわち,この不均衡のために前頭前皮質が未熟な10代の少年たちは危険な行動に走り がちだが,一方で環境が適切に整えられれば,それに素早く適応することも十分に可能な「脳の可塑 性(脳領域間のネットワークを変更することによって環境に応じて変化できる)」も考慮できる.現代 では,思春期の開始年齢は世界的に早まる傾向にあることが知られており,世界的に長くなってきて いる不均衡期間にある少年の脳を理解することは脳の可塑性の視点からも重要で,今後の脳科学研究 の大きな課題でもある.
  • 赤羽 由起夫
    2017 年 42 巻 p. 19-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,脳科学と少年観の関係について,社会学的にどのように捉えたらよいかを考察す ることである.  現代の日本では,脳科学の知識や技術の広がりが,さまざまな影響を社会に及ぼしている.ここで は,脳科学の知識や技術が社会に普及し,影響を及ぼしていく過程を「社会の脳科学化」と呼ぶ.本 論文では,社会の脳科学化が脳科学と少年観の関係にもたらす影響について議論する.議論の結果は, 以下の5点にまとめられる.  第1に,脳科学と少年観の関係を捉えるためには,あらゆる脳科学の使用法を考慮する必要がある. 第2に,社会の脳科学化を促進する社会的文脈としては,新自由主義的な主体像の浸透が有力な仮説 の1つである.第3に,少年に対する処罰と教育の関係については,なにが社会化すべき能力とみな され,どのくらいその能力の発達可能性があるとみなされているのかを見る必要がある.第4に,少 年に対する治療と教育の関係については,なにが逸脱とみなされ,どのように脳科学の知見が使用さ れるのかを見る必要がある.第5に,少年に対する事前統制と事後統制の関係については,それらの 重点の変化を見る必要がある.
  • 本庄 武
    2017 年 42 巻 p. 33-49
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     少年の刑事責任の低減を示す脳科学の知見は,アメリカの判例に積極的に取り入れられ,少年に対 する死刑の廃止や仮釈放のない終身刑の大幅な制限をもたらしている.この背景には,法学者と科学 者の活発な共同研究,大規模な共同研究を支援する体制,経験科学の知見を司法に導入することに対 する裁判所の寛容な姿勢があると考えられる.脳科学の知見は,現在各州で少年に対する厳罰化を抑 制する立法を後押ししており,将来的に,少年に対する刑事処分全体ひいては少年司法全体の改革を もたらす可能性がある.脳科学は,少年司法の基盤をパレンス・パトリエに基づく慈悲の精神から, 意思決定能力の未成熟さという科学的な知見に移行させ,少年犯罪者を成人から区別して取り扱うと いう発想を強固にする.重大犯罪においても,少年の刑事責任の低減に見合った処分のあり方が求め られる.現在までのところ,脳科学は青年期に関する発達心理学の知見を補強するという慎重な用い られ方をしており,その限りで弊害は乏しい.日本の少年司法も脳科学の知見を取り入れるべきであ ろう.
  • ─米国連邦最高裁 J.D.B. v. North Carolina 判決の検討を中心に─
    山口 直也
    2017 年 42 巻 p. 50-64
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
    米国連邦最高裁判所は脳科学・神経科学の新たな知見を採用して,少年犯罪者の刑の減軽に関する いくつかの注目すべき判断を示してきた.そしてこれを契機に,少年の量刑をめぐる脱厳罰化の動き が米国各州において見られる.もっとも,米国連邦最高裁判所は少年の量刑のみならず,少年司法手 続における適正手続保障に関しても,医学的知見を踏まえた画期的判断を示している.いわゆるミラ ンダ原則に基づいて,捜査官が少年被疑者に弁護人依頼権,自己負罪拒否特権を告知しなければなら ない「身柄拘束状況」が,少年の年齢によって客観的に決定されるとした2011年J.D.B.判決がその代 表的判例である.「少年は大人とは異なる」という基本的観念の下,少年に対する適正手続保障の本質 は,少年期に固有の認知統制システムの脆弱性を補完することであるという認識を本判決は示唆して いる.わが国においても参考にされるべきである
  • 上野 正雄
    2017 年 42 巻 p. 65-71
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     少年法は保護処分すなわち教育によって少年を更生させようとする.しかし,近時の少年法を巡る 動きを見ると少年の責任を追及するという姿勢が強くなってきている.その背景には,少年を可塑性 が高いという点で質的に成人と異なる存在と見るか(子ども観),少年と成人の連続性を重視して本質 的な相違はないと見るか(小さな大人観),法対象者の見方の違いがある.このような中で,近時の脳 科学・神経科学の進歩は,衝動的行動を抑制する前頭前皮質の成熟は20代後半まで緩徐に進行するが, 感情をつかさどる大脳辺縁系は10歳頃に始まる思春期に成熟が促進され,この両者の成熟速度の不均 衡のため,10代の若者は危険な行動に走りがちだが,一方で環境に素早く適応することができる,と いう知見をもたらした.これは「子ども」観が拠って立つ科学的根拠の一つとなる.反面,非行少年 に対する責任を追及するという方策は,少年の更生とそれによる社会の安全確保にとって望ましいも のではないことになる.その上で,「子ども」観の徹底という点から,少年法上のいくつかの制度につ いてどのように解釈し,運用することが適切なのかを検討する.
  • 2017 年 42 巻 p. 73-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • ─少年院出院者に対する質問紙調査に基づいて─
    只野 智弘, 岡邊 健, 竹下 賀子, 猪爪 祐介
    2017 年 42 巻 p. 74-90
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
    近年,欧米において,犯罪や非行からの立ち直り(デシスタンス)に多くの関心が寄せられている. しかしながら,本邦では,犯罪や非行からの立ち直り過程に関する実証的研究はほとんど行われてい ない.本研究の目的は,日本の男子少年院からの出院者103名のサンプルデータを用いて,非行から の立ち直りに関する要因を調査することである.書面による調査への参加同意が得られた被験者は, 出院後1年半から2年間の追跡調査を受けた.45名(43.7%)は再非行が認められた一方,58名 (56.3%)は,調査期間中の犯罪や非行が認められなかった.再非行群に比べて,デシスタンス群は, 自信,希望,目標指向性といったポジティブな認知的要因において,有意に高い得点を示した.これ らの知見は,過去の研究や実務家の経験と一致するものである.本研究は,いくつかの研究上の限界 はあるものの,犯罪や非行からの立ち直り過程に焦点を当てた本邦における最初の実証的研究の一つ であり,本研究領域に大きく寄与するものである.刑事司法の実務に対する示唆や更なる研究に向け た方向性について論じた.
  • ─1948年の「残虐」観─
    櫻井 悟史
    2017 年 42 巻 p. 91-105
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     本稿では,なぜ日本は死刑を存置し続けるのかという問いについて検討する.特に1948年3月12日 の最高裁判所での新憲法下における死刑制度合憲判決に着眼し,当時の死刑/絞首刑と「残虐」観が いかなる関係にあったのかについて,占領期という歴史的・社会的背景(=「時代と環境」)から読み 解くことを目的とする.  分析対象は,アメリカ国立公文書館Ⅱの資料,当時の刑法学者たちの論文,アルフレッド・オプラー の回想,朝日新聞・読売新聞といった新聞記事である.  分析の結果,先行研究で指摘されるような占領期に死刑廃止の機会を逸したというよりはむしろ, 占領期という「時代と環境」が死刑制度を存置する要因の一つであったことが明らかとなった.  アメリカではすでに絞首刑が廃 すた れて久しいことに鑑みるなら,死刑制度合憲判決が出された当時の 「時代と環境」は大きく変わったと考えられる.それゆえ,法学的な視点のみならず,歴史的社会的な 視点からも,死刑制度合憲判決における「時代と環境」を再考する必要があるというのが本稿の結論 である.
  • ─被害者・加害者の関係と親密な関係者間暴力に注目して─
    島田 貴仁
    2017 年 42 巻 p. 106-120
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     日本のストーカー事案の実態把握と予防方策策定のための課題として,複数項目からなる尺度を用 いたストーキング被害の測定と類型化,被害者─加害者の親密関係の有無による差異の検討,親密関 係崩壊時のストーキング被害リスク要因の把握を挙げた.  インターネット調査会社に登録した18-39歳の女性を対象に調査を実施した.予備調査(n=10000) では,20.8%の女性が過去5年間の被害を申告した.本調査では,親密関係崩壊後のストーキング被 害者(n=121),非親密の被害者(n=153),親密関係崩壊を経験したがストーキング被害の未経験者 (n=135)を比較した.26項目のストーキング被害尺度に因子分析をかけた結果,「精神的圧迫」,「生 活空間侵害」,「物理的暴力」,「過剰連絡」,「間接侵害」,「接近」の6因子が見出された.親密関係崩 壊後の被害者は,非親密の被害者に比べて,「精神的圧迫」,「生活空間侵害」,「物理的暴力」の被害を 有意に多く受けていた.また,ロジスティック回帰分析からは,親密関係時の精神的暴力や細かい監 視が関係崩壊後の総体的・個別的なストーキング被害に影響していることが示された.警察の事案対 応やストーキングの一次予防に関する含意を議論した.
  • ─ある痴漢被疑者への事情聴取場面の分析─
    今井 聖
    2017 年 42 巻 p. 121-138
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は,駅構内での女性への痴漢被疑者に対して行われた警察のワークを,「ワークのエスノ メソドロジー研究」の立場から考察することである.本稿では,被疑者を警察署に任意同行するため の説得と,警察署での実質的な事情聴取という2つのワークを分析する.  これらの警察のワークは,警察官と被疑者との会話的やりとりを通して遂行される.従来研究にお いて,「ストリートレベルの官僚」としての警察官による裁量の行使が指摘されていたが,実際の会話 的相互行為に基づいた研究は十分取り組まれてこなかった.  本稿では,ある実際の「痴漢事件」において,交番および警察署で行われた,警察官と被疑者によ る会話的やりとりを分析し,それにより達成される警察のワークを記述する.  分析からは,主として次の2点が示される.第一に,交番警察が被疑者を任意同行する際に,被疑 者にとっての必要性を強調することで「説得」を行っていること.第二に,警察署警察が,被疑者と 痴漢被害を訴える女性の同行者との間の相互行為を推断的に記述していることである.以上の分析知 見を踏まえ,警察のワークが被疑者に困難な「現実」をもたらし得るものであったことを指摘する.
  • 2017 年 42 巻 p. 139-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 生駒 貴弘, 岡田 和也, 長谷川 直実, 佐々木 渉, 平井 愼二
    2017 年 42 巻 p. 140-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,物質使用障害に対する条件反射制御法の効果について検証したものである.  この技法は,標的行動を司る反射連鎖を制御することを目的とするが,これまでの実践を通じて, 物質使用障害者の通院治療を継続させる効果,及びその再犯を防止する効果があると推測される.  その根拠となる仮説として,第1に,この技法は,具体的な作業をステージの進行に従って積み重ね る構成であるため,通院目的と課題が明確であり,また通院を重ねるごとに効果が実感されるため, 通院を継続する動機づけが高められる.第2に,この技法を用いることにより,物質使用の引き金とな る刺激に遭遇した際の反射連鎖の作動性が減衰するとともに,物質使用に至る行動を司る反射連鎖を 止めるための人工的な刺激(動作と文言)を形成し活用することで、規制薬物再使用の危険性を低下 させることができる.  仮説の検証は,2種類の実態調査を行い,その結果について統計的に検討を行った.  その結果,この技法は,物質使用障害者の通院治療を継続させる効果,及びその再犯を防止する効 果があることが示唆されたが,限定的な条件に基づく分析であることから,更なる実証研究の集積が 必要と思われる.
  • ─スティグマ対処行動に関する語りに着目して─
    都島 梨紗
    2017 年 42 巻 p. 155-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,更生保護施設で生活を送る非行経験者の語りをもとに,非行経験者が就労・社会生 活を送る際に知覚するスティグマとその対処行動を整理し,スティグマと「立ち直り」の関連を明ら かにすることである.  「非行・犯罪からの離脱」に関する研究では,「立ち直り」の過程において,スティグマからの回復 が重要であると言われている.しかしながら先行研究では更生保護施設におけるスティグマの効果や 当事者の対処行動について十分に取り上げられては来なかった.  本研究で得られた知見は,主に以下の2つである。1つは,スティグマ対処行動についてである。 就労生活や施設生活を維持するために,「補償努力」や「開き直り」という方法でスティグマの埋め合 わせをしていたことである.もう1つは,「更生保護施設」という集合的なスティグマも存在しており, それを知覚している非行経験者にとって更生保護施設は,スティグマ強化の場だけでなく,緩和の場 として経験されていることである.本研究の知見を踏まえると,スティグマ付与の経験とその対処行 動が非行からの「立ち直り」において重要な解釈資源をもたらしていることがわかった.
  • ―「今まで」と「これから」―
    甘利 航司
    2017 年 42 巻 p. 171-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • ―主に『女性の日常生活の安全に関する調査』の実施を通じて―
    津島 昌寛, 我藤 諭, 浜井 浩一
    2017 年 42 巻 p. 182-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 安田恵美 著
    古川 隆司
    2017 年 42 巻 p. 189-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 安田 恵美
    2017 年 42 巻 p. 191-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 深谷裕 著
    藤原 正範
    2017 年 42 巻 p. 193-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 深谷 裕
    2017 年 42 巻 p. 195-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 42 巻 p. 198-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 42 巻 p. 200-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 42 巻 p. 202-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 42 巻 p. 203-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー
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