1996年5月から9月までの間に動物病院において外耳道炎と診断された犬92例から菌分離を行い, 抗菌および抗真菌剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。
Malassezia pachydermatisは外耳道病巣から約70%の割合 (60株) で分離された。抗真菌剤9種に対する感受性を調べた結果, ケトコナゾールが最も良好なMIC値を示し, 次いで硝酸ミコナゾール, イソコナゾールおよびアムホテリシンBに高い感受性を示したがその他に対しては耐性であった。また外耳道病巣部から分離した細菌126株のうち最も多かったのは
Staphylococcus spp.で次いで
Pseudomonas spp.,
Corynebacterium spp. および
Streptococcus canisの順であった。これらの分離細菌に対する抗菌剤11種の感受性は
Streptococcus canisおよび
Pseudomonas spp. をはじめとするブドウ糖非発酵菌で多剤耐性菌が多数認められ, オルビフロキサシンのみに感受性を示すものも多く認められた。今回得られた成績では犬の外耳道炎の多くから
Malassezia pachydermatisや細菌が分離され, 多剤耐性の菌株も多数認められることが明らかとなった。
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