1歳齢の雄のラブラドール・レトリーバーが急性の疼痛を伴う全身の皮膚炎で来院した。鼻梁を除く顔面全体, 耳介, 腋窩, 前肢外側, 鼠径, 大腿外側, 肛門, 趾間に脱毛, 紅斑, びらんが認められた。粘膜皮膚移行部にも病変が認められ, 天疱瘡などの他の自己免疫性疾患も疑われる臨床像であった。この症例は, 臨床像, 病理組織像, 原因となる可能性がある薬剤投与歴があるという3点より, 多型紅斑と診断した。本症例は数日後に突然死したが, その死亡原因の特定は行えなかった。本病態の発生に関与が疑われた薬剤は, 我々臨床家が日常で使用しているものであった。.
抄録全体を表示