獣医皮膚科臨床
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5 巻, 1 号
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原著
  • 松田 知子, 桃井 康行, 岩崎 利郎, 山添 和明, 工藤 忠明
    1999 年 5 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    獣医臨床領域でのTGF-βの創傷治癒への応用を目指して, 組み換えヒトTGF-β (rhTGF-β) が犬の初代培養皮膚線維芽細胞に与える効果を創傷治癒に関連した作用について検討した。まず, 生体の創収縮のモデルとされるコラーゲンゲル収縮試験を行った結果, rhTGF-βは0.1~10ng/mlの濃度で濃度依存的に犬の線維芽細胞埋没コラーゲンゲルの収縮を促進し, ゲル内に埋没している細胞の偽足の形成を促進することが明らかとなった。次に, 犬の線維芽細胞の培養液から血清を除去してrhTGF-βを添加したところ, 0.1~10ng/mlで濃度依存的に線維芽細胞を増殖させることがわかった。また, 犬の線維芽細胞の細胞外マトリックスの産生能に及ぼすrhTGF-βの作用についても検討を加えた。rhTGF-βの添加により0.01~10ng/mlの濃度で犬の線維芽細胞内のフィブロネクチン量の増加と濃度依存的なコラーゲン量の増加が認められた。これらの結果はそれぞれrhTGF-βが, 犬の創傷治癒における創収縮の促進, 創傷治癒において重要な働きを担う線維芽細胞の増殖および活性化, 肉芽形成時に細胞の足場となる細胞外マトリックスの形成を促進する機能を持つことを示唆するものである。このことからrhTGF-βは犬の線維芽細胞に対して作用することによって, 創傷治癒の過程を促進する高いポテンシャルを持つものと考えられた。
症例報告
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