日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
52 巻, 3 号
日本臨床生理学会雑誌
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総説
症例報告
  • 渡邉 紗都, 八木 麻衣子, 赤尾 圭吾, 田中 修, 長田 尚彦, 太田 明雄
    2022 年 52 巻 3 号 p. 129-135
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2023/06/09
    ジャーナル オープンアクセス

     【背景,目的】重症管理後のCOVID-19 肺炎患者に対し,呼吸状態に合わせた介入を実施し自宅復帰に至った2 症例について報告する.

     【症例紹介】症例1:58 歳男性,人工呼吸,ECMO 管理後26 病日に当院転院.介入初期は呼吸苦で離床に難渋も多職種での退院支援を実施し,62 病日にHOT 導入しADL 自立で自宅退院.退院時身体機能は健常者比で膝伸展筋力63%,握力46%,6 分間歩行距離65%と低値であった.症例2:51 歳男性,High flow nasal cannula oxygen 管理後26 病日に当院転院.労作時低酸素血症と息切れが著明であったが50 病日にHOT 導入し自宅退院.退院時身体機能は膝伸展筋力47%,片脚立位時間15%,6 分間歩行距離64%と低値であった.

     【まとめ】2 症例ともにADL は自立し退院となったが,呼吸機能に加え著明な身体機能低下が残存していた.重症COVID-19 肺炎患者には,入院期に加え退院後の長期的な支援が重要であると考えられた.

原著
  • 加藤 貴雄, 加藤 和代, 生沼 幸子, 佐藤 恭子, 西村 芳子, 菅原 一樹, 金井 好恵, 今井 夏実, 川村 梨穂, 佐藤 美恵, ...
    2022 年 52 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2023/06/09
    ジャーナル オープンアクセス

     背景: 職種による日常業務の違いが高血圧の発症に関係しているかに関しては,十分に解明されていない.

     対象と方法: 東武鉄道社員のうち2010 年度の定期健康診断にて無治療で血圧が正常であり,かつ2020 年度の健康診断における血圧値が確認できた2,357 名を対象とし,2020 年度も無治療で正常血圧であった1,879 名(正常血圧維持群)と高血圧と判定された478 名(高血圧発症群)に分けて特徴を調べた.高血圧発症に関連する可能性のある因子として,同時期に測定されたBMI,尿酸値,HbA1c 値,LDL- コレステロール値,eGFR 値および別途行ったストレスチェックテストの成績を取り上げ,主として従事している業務によって事務系社員,駅務員,エンジニア,乗務員の4 群に分けて比較検討した.

     結果:(1)高血圧発症率は事務系社員14%,駅務員15.8%,エンジニア19%,乗務員25.2%で,乗務員において他の職種より有意に高かった.(2)高血圧発症群では正常血圧維持群に比して,事務系社員では年齢,BMI および尿酸値の増加率,駅務員では年齢のみ,乗務員ではBMIと尿酸値の増加率がそれぞれ有意に高かった.(3)2020 年度における年齢(Age ≧ 50),肥満(BMI ≧ 25),高尿酸(UA ≧ 8.0),高血糖(HbA1c ≧ 6.5),高脂質(LDL-C ≧ 160),腎機能低下(eGFR < 60)と高血圧発症との関連性を多変量解析で見たところ,乗務員において肥満と高尿酸が,事務系社員および駅務員において肥満がそれぞれ独立した危険因子であった.(4)ストレスチェックにおいて,高血圧発症に及ぼす高ストレスの関与は乗務員においてのみ有意であった.

     結論:高血圧の発症には肥満や高尿酸血症のほか高ストレスが関係していたが,その関与の仕方には職種による差があった.

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